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名倉七海『こうき心』インタビュー

名倉七海 『こうき心』 インタビュー

エアギター世界チャンピオンの“SAMURAI GIRL”って何者?

 【2014年エアギター世界選手権】でまさかの世界チャンピオンに輝いた彼女は、元エアギターアイドルグループ“テレパシー”のメンバー。解散ライブができなかった悔しさをバネに戦い、家族一丸となって新たなストーリーの扉をこじ開けて見せた。そして念願のソロ歌手デビュー。吉田拓郎イズムを受け継いで、今度はつま恋野外コンサートを目指す。

元アイドルがエアギター世界チャンピオンになるまで

--【2014年エアギター世界選手権】直前以来のインタビューですが、見事その大会で優勝。世界チャンピオンに輝いた訳ですけど、ぶっちゃけ世界一になれると思ってましたか?

※Nanami
※Nanami "Seven Seas" Nagura (JP), Air Guitar World Champion 2014

名倉七海:うーんと……「なれる」というより「なりたい」気持ちが強過ぎました。でも海外のいろんな人が出ていて、自分の中では未知の世界、見たことのない世界だったので、なりたいけれど「なれる」とは思っていませんでした。去年の世界チャンピオンや各国のチャンピオンや挑戦者が出てくるので、アイドルからエアギターを始めたような私が本当に優勝できるのかな?って。

--前代未聞ですからね。エアギターの審査ポイントってどんなところにあるんですか? 何が優れてると勝てるんでしょう。

名倉七海:審査基準はリズム感やカリスマ性、芸術性、オリジナリティ、そしてエア感、みたいな感じでいろいろあるんですよ。私は他の挑戦者よりロックやギターのことの知識が少なかったので、オリジナリティを重視して、その部分で殺陣に挑戦してみたり、日本人らしく和柄の衣装を着たりしてやってみました。もしかしたら結果として、他の欧米の方たちにはないものを取り入れたことが良かったのかもしれない。普通のエアギターだと私より全然巧い人がいるんですよ。エアギター歴が長い人もたくさんしますし。その人たちと勝負する上で「自分にしかできないエアギターはなんだ?」って考えたんです。それでテレパシー(名倉七海が所属していたエアギターアイドルグループ)のときからやってきたステージング、激しい動きが自分らしいエアギターかなと思って。

--テレパシー時代の活動が生きたんですね。

名倉七海『こうき心』インタビュー

名倉七海:はい。どうしたら派手に見えるか、お客さんに楽しんでもらえるかもそうですし。お客さんを楽しませる難しさは知っていたので、そこは自己満で終わらせないように、観ている人にもちゃんと楽しんでもらえるものを考える努力はしました。

--初めて行ったフィンランド(【2014年エアギター世界選手権】開催国)はどんな場所でした?

名倉七海:海外に行くこと自体初だったんですけど、ヘルシンキ空港で一回降りたときに外国の方ばっかりで、それにまず驚きました。「本当に海外来たんだ!」って。あと、私は元々北欧に行ってみたくて、街の色やデザインが可愛くて好きだったので、そこに行けたのは本当に嬉しかったです。絵本の中の世界みたいな建物とか、全然日本と違うんですよ。

--大会前の写真とか見させてもらいましたけど、完全に観光してましたよね?

名倉七海:観光しまくりました(笑)。

--「あれ、あんまり緊張感ないなぁ」と思って見てましたけど(笑)。

名倉七海:大会の前、4日間ぐらいですかね。フリーな日があったんですけど、とにかく朝早く起きて街を探索していたので、緊張とかなくリラックスして過ごしてました。それで「こんなにリラックスし過ぎてて大丈夫なのかな?」っていう不安もあったんですけど、大会前日に【2014年エアギター世界選手権】ダークホース枠の最終予選があって。それは現地に行けば誰でも参加できるフィンランドで行われる最終予選で、日本からも4人自費で参加してて、その中でケイスケ・ザ・忍者さんって日本人の方がトップ通過したんですよ。それですっごい悔しくなっちゃって、ヤバイと思ってホテルで夜中まで練習してました。直前に気合いが入った。でもそれ以外はフィンランドの街をすごく楽しんで……遊んでました(笑)。

--そんな未踏の地で【2014年エアギター世界選手権】に臨んだ訳ですが、大会自体にはどんな印象や感想を?

名倉七海『こうき心』インタビュー

名倉七海:ステージが作られる前から会場になる広場は見てたんですけど、フィンランドは街にたくさん人がいる感じじゃないから閑散としてて。でも決勝大会の日には何千人ものお客さんがうわぁー!ってなってて、一緒に戦うエアギリストさんも前日までの普段着から気合いの入った衣装姿に変わってて、すごく刺激的でした。エアギターってちょっとふざけてるイメージがあるじゃないですか(笑)。でもそれにみんな一生懸命で、本気でエアギターしてる姿を見て「すごく格好良いな」って思ったし、大会が終われば“エアギターファミリー”と言って家族みたいな感じになる。そのライバルだけどファミリーという関係性がすごく良いなって思いました。

--1stステージでは1位に輝き、2ndステージではアメリカチャンピオンのマットアリストルバーンズと同率首位。史上初の同率決勝戦となる3rdステージに進み、見事優勝を果たした訳ですが、どんな心境で臨んだ感じですか?

名倉七海:私のエアギターは、脳味噌が磨り減るぐらい考えて創り上げた作品だったので、それがちゃんと認めてもらえるのかという不安があって。ダークホース枠で決勝に上がってきたケイスケ・ザ・忍者さんとか、私の前に登場したエアギタリストさんたちが会場をすごく盛り上げていたので、自分もちゃんとお客さんを楽しませられるのかな?とも思ったし。あと、振り付け間違えたらどうしよう?とか、どうでもいいような不安とかもすっごいあって、プレッシャーも凄かったんですよ。でもおじいちゃんに「楽しんでやるのが一番だ!」ってずっと言われていたので、その言葉を思い出してステージに立ったら緊張とかどっかに飛んでいってしまって、「私を見てください!」って気持ちでいっぱいになったんです。それで自分が持ってる力を全部出してパフォーマンスできました。

--テレパシー時代から様々なステージには立っていた訳ですが、今までのどのステージとも違う景色でした?

名倉七海:全然違いました。お客さんも外国の方ばかりでしたし、知っている人も全然いないし、「私、今、どこにいるんだろう?」っていう感じ。夢の中にいるような感覚でした。

--決勝の対戦相手、マットアリストルバーンズは凄かった?

※Matt ”Airistotle” Burns (US), Air Guitar World Championships 2014
※Matt ”Airistotle” Burns (US), Air Guitar World Championships 2014

名倉七海:英語が分からなかったので、同率決勝戦があるかどうかギリギリまで分からなかったんですよ。でもマットと私だけ残されて、そこでやっと「あれ? もしかして私はまた戦うのかな?」って思ってたら、くじ引きを引かされて。それで同率決勝戦に突入するんだって把握したんですけど、もうここまで来たら楽しんだ者勝ちだし、絶対に後悔したくなかったので、すぐに覚悟を決めたんです。マットのエアギターはすごく格好良くて、私も大好きなエアギターなんですけど、そのマットと同率1位になれたことも嬉しかったし、だから「あとはもう楽しんで思いっきりやろう」って気持ちだけで最後は戦いました。

--そんな相手を見事撃破し、世界チャンピオンに輝いたときはどんな気持ちに?

Japan's 'Seven Seas' crowned Air Guitar World Champion
Japan's 'Seven Seas' crowned Air Guitar World Champion

名倉七海:点数だけじゃ自分が勝ったかどうか分からなくて。そんな状態のままステージにエアギタリストさんたちが上がってきて、最初にマットの名前が呼ばれたから「へ?」って思ったんですけど、周りのエアギタリストさんたちが私に向かって拍手してくれたりして。それでも「嘘でしょ? 私が優勝したの?」って全然信じられなくて。でも最後に私の名前が呼ばれて、賞品のエレキギターをもらって、ノルディックサンダーっていう主催者側にいる方に肩車してもらって、そのエンディングの最中にだんだん「あ、本当に優勝したんだ」と思って。凄い高いところから会場全体を見渡して、頭は真っ白なんですけど、すっごく嬉しかったのはよく覚えてます。

--凄い経験ですよね。あと、面白いですよね。そもそもエアギターアイドルをやってなかったら、その光景を見ることはなかった訳じゃないですか。

名倉七海:そうですよね。

--だって「エアギターアイドルをやりましょう」って最初に言われたとき、正直言って「は?」ってなったでしょ(笑)?

名倉七海:なりました(笑)。でも最初はエアバンドアイドルって聞いていたから、どうやるんだろうな?って思ってたんですよ。そしたらまさかの5人全員エアギターだったから、最初は“?”でいっぱいだったんですけど、でも他のアイドルとは全然違った形で、私たちだけのスタイルではあったので、ちょっと得した気分もあって。楽しかったですよ、エアギターアイドル。

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幼女時代からサムライガール~家族で掴んだ夢~デビュー

--人生分からないですよね。テレパシーの解散もあって、そもそも芸能界でもう一度活躍できるかも怪しかった訳で。でもひとりエアギターを続けて世界チャンピオンですから、まさにシンデレラストーリーですよ。

名倉七海:自分でもビックリです。

--で、この後は「エアギター世界チャンピオンを獲得したサムライガールは何者なのか?」をテーマに進めていきたいんですけど、幼い頃はどんな女の子だったの?

名倉七海『こうき心』インタビュー

名倉七海:幼い頃はすごくオテンバで、男の子の友達とよく遊んでいたんですけど、その男の子たちを守る側。私のほうが強かったんです(笑)。友達がちょっと年上の子たちに「おもちゃ、よこせよ」って公園とかで言われてると、私が前に立って「ダメ!」みたいな。

--当時からサムライガールだったんだ?

名倉七海:アハハ! 結構強かったみたい。あとはよく転んでケガばっかりしてました。膝にいつも擦り傷がある。公園のブランコと鉄棒がすごく好きで、たまご回りとかもよくしていましたね。膝を抱えながら何回転もするやつをひたすら練習してたり、ブランコでどこまで高く上がれるか友達と競ったり。でも走るのはすごく嫌いで、鬼ごっことかはあんまりやらなかった。あとは、リカちゃん人形とかバービー人形がすごく好きで……

--ようやく出てきました、女の子らしいエピソード。

名倉七海:(笑)。それをお父さんとかに買ってもらって、友達の家に持っていって遊んだりもしてました。で、ダンスを習い始めた9歳からは中学2年生ぐらいまではずっとヒップホップ。ダンサーになりたいと思って、ダンスでイベントやコンテストに出たりしてました。それで賞とかもたまにもらったりしてたんですけど、「このままバックダンサーやダンスの先生になりたいな」って思ってて。ただ、欲張りなんで、芸能全般に興味があって、歌も好きだったし、女優さんになりたいとも思ってました。

--では、そもそも芸能人になりたいと思ったきっかけは?

※PUFFY『これが私の生きる道』
※PUFFY『これが私の生きる道』

名倉七海:PUFFYさんが大好きで、そこから歌とかダンスとか自分を表現することに興味を持ったんですよ。で、例えば女優さんもお話によっていろんな役を演じられるじゃないですか。吉高由里子さんみたいな独特な雰囲気を持ってる女優さんが好きで、そういうこともやってみたいなと思ったり、あとは人を感動させたり楽しませたりできる人になりたかったんですよね。

--ダンスを習っていたということは、両親は夢を追いかける生き方に協力的だったんですね。

名倉七海:そうですね。私のダンススクールの送迎とかもしてくれたり、弟のサッカーもやりたいからやらせてて、自分のやりたいことをやらせてくれる親なんです。でもお父さんは曲がったことが嫌いで。私たちが嘘をついたりすると、とことん「なんで嘘ついたんだ?」って厳しく聞いてくるんですけど、それによっていろいろ諦めずに済んだというか、自分に厳しくできるようになって。自分がやるって決めたことに関しては「1回自分で決めたんだから最後までやり通せ」って言うお父さん。で、お母さんはすごく優しくて、嫌なことがあってヘコんでいたりすると、友達みたいな感覚で何でも相談に乗ってくれる。一番親身になっていろんなことを考えてくれます。尊敬してます、お父さんもお母さんも。

--では、テレパシーが解散して落ち込んでるときも両親に救われたり?

名倉七海『こうき心』インタビュー

名倉七海:そういうときはお父さんも助けてくれるんですけど、「それは神様が決めたことだし、次に何かあるから解散という形になったんだ」って言ってくれました。いつもそういう考え方をするんですよ。例えばオーディションを落ちたら「このオーディションに落ちたということは、何か次にきっと良いことがあるから落ちたんだ」ってすごくプラスな考え方をするので、テレパシー解散のときもすごくプラスなことをいっぱい言ってくれて、そのおかげでちょっとポジティブに考えられるようになって。なので、すごく助けられました。いつも支えてもらってます。エアギター大会のときも支えられましたし。

--どういった感じで?

名倉七海:殺陣はお父さんに教えてもらったんですけど……

--え、お父さんはなんで殺陣を教えられるんですか?

名倉七海:古武道をやっていて。それで殺陣を教えてもらったり、時間があるときはお父さんとお母さんにエアギターを見てもらって、「もっとこうしたほうが良いんじゃない?」ってアドバイスをもらったり、衣装に関してもお母さんが装飾してくれたり、帯も買ってきてくれたりとか、いろいろ協力してくれました。

--じゃあ、本当に家族一丸となって世界チャンピオンを獲りに行ったんですね。良い家族。ゆえに芸能界にも入れたと思うんですけど、芸能界入りからテレパシー結成までにはどんなストーリーがあったんでしょう?

※テレパシー / テレパシーミライ【PV Short ver.】
※テレパシー / テレパシーミライ【PV Short ver.】

名倉七海:芸能界に入るにはまず事務所を決めなきゃいけなくて、お父さんも一緒にいろんなオーディションを調べてくれて。で、私は「太田プロダクションに入りたい」と言って受けたオーディションに受かったんですけど、最初は「女優になりたい」と言っていたのでアイドルは考えてなくて。でも歌うことも踊ることも大好きだったので、また新しい自分に出逢えるチャンスだと思ってテレパシーのオーディションを受けました。それが事務所に入ってから初めて受かったオーディションだったんですけど、メンバーに決まって間もなくおもちゃのギターを渡されるんです。ダンスは習っててもおもちゃのギターを持って踊ったことはないから(笑)、ギターを持つ手の位置とかストロークとかゼロから練習して。でもだんだんみんなが仲良くなるにつれて息も揃ってきて、ダンスも揃ってきて、そういうのが嬉しかったです。

--いざデビューしてみてどんなことを感じました? あ、デビュー直後、一緒にBiSのライブを観た記憶があります。

名倉七海:あ、観ました! 懐かしいですね。

--懐かしい。で、その模様を記事にしたんだ。

一同:(笑)

名倉七海『こうき心』インタビュー

名倉七海:もうあれから2年経つんですよね。当時、アイドルのライブを観るのが初めてだったんですよ。デビュー前はAKB48さんしかアイドルを知らないぐらいだったので。それで「あ、私はアイドルに向いてないんじゃないか」って悩み出しちゃって、「私はこんなに可愛らしくできるのかな?」とか。

--ゆえに初期は大人しかったですよね。インタビューでも他のメンバーがワイワイ騒いでて、話を振られてようやく喋っていた記憶があります。

名倉七海:そのときは自分から喋るのがちょっと苦手で、「私は話せないからみんな喋って」みたいな感じ。自信がなかったんですよね。「噛んじゃったらどうしよう? 間違ったらどうしよう?」って怖がっていて。でも美紅(もじゃ(佐々木美紅))とふたり最年長なのにずっと美紅に頼ってられないなと思ったし、このままだと一生喋れないメンバーになっちゃうと思って、少しずつ自分なりに「喋ろう!」って意識をするようになって。そしたらだんだん楽しくなってきて。

--ファンとの握手会やチェキ会はどうだったんですか?

名倉七海:最初は何を話せばいいのか分からなかったので、特に会話をできず「はじめまして。ありがとうございます」だけをみんなに言ってました(笑)。でも周りを見ると、美紅とかまっきー(君村マキ)とかいろいろ喋ってるんですよ。それで何を喋るか考えるようになって、そのうち自然に話せるようにはなったんですけど、最初は何も分からずただ感謝してました。

--自分の中で忘れられないライブってありますか?

名倉七海東京キネマ倶楽部でのワンマンはもちろん忘れられないんですけど、一番印象に残ってるのは池袋東武百貨店の屋上でやったリリイベですかね。まっきーが体調不良で出られなくて、4人でステージに立ったときに音響の不具合で曲が途中で止まっちゃったんですよ。急遽4人でアカペラでライブを続けたんですけど、そしたらファンの方も一緒に歌ってくれて、そのひとつになっている感じが物凄くて。メンバーとファンが支え合っているのを凄い実感して、あれは忘れられないです。あのハプニングをみんなで乗り越えられたときは、涙が出るぐらい感動しました。

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テレパシー再び?~新たな夢「つま恋野外コンサートやりたい!」

--活動休止/解散に至るまで、自分としてはテレパシーでどんな夢を叶えたいと思っていたんですか?

名倉七海『こうき心』インタビュー

名倉七海:最初は5人で【エアギター世界選手権】に出るって目標を立ててたし、武道館に行きたいとも言っていましたし、いろいろ掲げていた夢を全部叶えたいなとは思ってました。テレパシーの曲は格好良くて大好きだったので、それをもっと全国の人たちに聴いてもらいたかったですね。「もっと知ってもらいたかったな」って解散の後には思ってました。

--その想いがあったからエアギター日本大会でテレパシーの曲「テレパシーセカイ」を使ったところもある?

※テレパシー / テレパシーセカイ【PV Short ver.】
※テレパシー / テレパシーセカイ【PV Short ver.】

名倉七海:あの曲を使ったのは、テレパシーの解散ライブがなかったからです。ふわふわしたまま終わらせるのが嫌だったので、最後にケジメをつける為に、一人だけど、卒業ライブの代わりとして……来てくれるファンの人たちに届けられたらいいなと思って。それで「テレパシーセカイ」を使って、テレパシーの衣装を着て、テレパシーのおもちゃのギターを持っていったんです。

--その場でメンバーの名前も呼んでね。テレパシーは自分にとってどんな場所だったなと思いますか?

名倉七海:1年以上ほぼ毎日メンバーと一緒にいたので、よく言うんですけど、家族みたい、姉妹みたいな存在で。だから1週間テレパシーに会ってなかったら、結構寂しくなったり、不安になったりする。みんな、本当にキャラが濃くてバラバラな娘たちだったんですけど、それが逆に楽しくて居心地が良かったんですよね。家族の次に安心できる大切な場所でした。テレパシーは私の青春です。

--今も会うことはあるの?

名倉七海:フィンランドへ行く前々日になこ(前嶋菜子)とまっきー(君村マキ)とは一緒にご飯食べました。で、空港にはまぽ(三上真依)が見送りに来てくれたり、美紅もすぐ連絡くれたりして。そんな感じで今でもちょこちょこ連絡は取ってるんですけど、受験生がいたりとか、大学が忙しかったりとか、私もいろいろ活動してるからなかなか会えなくて。でも早くまた5人で……解散してから5人一緒に会ってないので、1回会いたいなとは思ってます。

--何年後か分からないですけど、遠い未来、もう1回5人揃ってテレパシーのライブをやってみたい気持ちはありますか?

名倉七海:あります! ちゃんと「これで終わり!」って決めて、5人でライブをもう1回だけやりたいです。5人であのギターを持って踊ったりとか、みんなでふざけてMCしたりとか…………テレパシーの曲が本当に大好きだったんで、あの空気をもう1回味わいたい。ファンの人も一緒に騒いでくれたりとか、すごく楽しかったので。いつか大人になったらまた……1回だけやれたらいいなって思います。

--そのとき自分だけエアギターのレベル上がってるんでしょ?

名倉七海:ハハハ!

--そんなテレパシーに区切りをつけるべくエアギター選手権に出て、そしたら世界チャンピオンにまでなって、この数ヶ月で流れが大きく変わってきていますが、心境的な変化はありましたか?

名倉七海:意識は変わりました。テレパシーが解散した後は大学も始まったので、アイドルから普通の女の子に一旦戻っていたんですけど、エアギター世界チャンピオンになったことで取材や番組に呼んで頂く機会も増えてきたので、「このまま普通の女の子でいたらダメだ!」「私は世界チャンピオンなんだからちゃんとしっかりしなきゃ!」と思うようになりました。あと、歌手デビューが早まったので、ギターの練習を毎日しています。

--ソロで歌手として活動していきたい気持ちは強くあったの?

名倉七海『こうき心』インタビュー

名倉七海:ありました。テレパシーが解散してからも「歌を続けたい」っていう想いはあって。あと、テレパシーで活動しているときからずっと「本物のギターを弾けるようになりたい」と思っていたので、それが実現できるということですごく嬉しいです。テレパシーは解散してしまったけど、自分のやりたいことが出来るので。ずっと5人だったから1人でやっていく不安もあったんですけど、今はワクワクしています。

--10/1に開催された【エアギター2014 世界チャンピオン 名倉Seven Seas 七海凱旋ライブ】はいかがでした?

名倉七海:生バンドとライブさせて頂いて、「いろんな人に支えてもらってるから1人じゃないんだ」とも思ったんですけど、「今、本当に自分がギターを弾きながら1人で歌ってるんだ」って思うと面白くて。ずっとエアギターやってたのに、本物のギター弾いてるんですよ(笑)? テレパシー時代のファンも来てくれていて、テレパシーじゃないけどまたみんなの前で歌をうたえる。そこに戻ってこれたことが嬉しくて、なんかもう……いろんな気持ちが混ざってました。

--そこでも披露した「こうき心」。吉田拓郎のカバーをライブで歌い、11月26日リリースのミニアルバム『こうき心』にも収録する訳ですけど。

※名倉七海 / こうき心(吉田拓郎カヴァー)【PV Short ver.】
※名倉七海 / こうき心(吉田拓郎カヴァー)【PV Short ver.】

名倉七海:この曲はテレパシーが解散した後に聴いて、自分の心境にすごく合ってるなと思って。すごく背中を押してくれた曲なんですよ。なので、歌いながら自分のことを重ねてしまって、何度も泣きそうになりましたね。後半の「なみだを流してみよう」とか「雨にうたれてみよう」っていうフレーズには、本当に心から気持ちを込めて歌っています。最初の「街を出てみよう」もそうですね。「テレパシーから卒業して、新しいところへ行ってみよう」って気持ちになりましたし、ひとつひとつのフレーズを自分と重ね合わせることができるので、歌いながらいろんな思い出の情景が勝手に浮かんでくるんです。

--今作には「川の流れの如く」「人間なんて」「花酔曲」のカバーも収録されていますが、吉田拓郎の音楽にはどんなことを感じたりしましたか?

名倉七海:ライブ映像を観させて頂いたんですけど、声とかよりも気持ちが一番出てて、熱くて、格好良いなって。パワーが凄いなって思って。観てるだけで拓郎さんの気持ちが分かるというか、届いてくる。だから私もこういう風に気持ちをいろんな人に伝えられたらいいなって思いました。吉田拓郎さんみたいになりたい。

--吉田拓郎イズムを受け継いだ元アイドル、格好良いじゃないですか。名倉七海みたいな女の子がつま恋野外コンサートみたいなライブやったら革命ですよ。

名倉七海:他にいないですよね(笑)。

--ここから歌手として生きていく上での意気込みをお願いします。

名倉七海『こうき心』インタビュー

名倉七海:本当に拓郎さんの曲に凄い力をもらったんですよ。歌詞も読んでいくと、どんどん心に刺さるんです。自分では考えつかないような歌詞が書かれていて、たくさん良い歌があるんで。その私が力をもらった曲を……私を通して今の世代の人たちに聴いてもらいたいです。拓郎さんのパワーを私が受け継いで、そのパワーを私がいろんな人に届けたいなってすごく思う。

--これからの名倉七海。夢は?

名倉七海:今までとは違う私に挑戦していく。エアギターと同じように知らない世界へまたゼロから踏み込んでいくんですけど、ひとりで。そこでの目標は、やっぱりいろんな人に知ってもらって曲を聴いてもらって、自分で作詞作曲もしたいですし、いつか拓郎さんと共演もしたいですし、紅白にも出てみたいですし、武道館でライブもしたいし……なんかもういろんなところへ行きたいです。あ、私もつま恋野外コンサートやりたいです!

--最後にとんでもない目標立てましたね(笑)。

Interviewer:平賀哲雄
Photo:外林健太

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名倉七海「こうき心」

こうき心

2014/11/26 RELEASE
FLCF-4482 ¥ 2,037(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.こうき心
  2. 02.川の流れの如く
  3. 03.人間なんて
  4. 04.花酔曲
  5. 05.こうき心 <instrumental>
  6. 06.川の流れの如く <instrumental>
  7. 07.人間なんて <instrumental>
  8. 08.花酔曲 <instrumental>

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