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2016/10/18

ユーモラスでポップなデ・ラ・ソウルのライブ!ヒップホップの“革新者”が繰り広げるピースフル&ファンキーなステージに心沸き立つ都会の宵

 何とポップで軽快なヒップホップなのだろう!!!

 デビュー以来、まったく変わらないピースフルなムード。ステージの上には簡素なターンテーブルのセットがあるだけ。ヒップホップの原初的なスタイルを継承しながらも、音楽性は常に革新に満ちているデ・ラ・ソウル。

 「気分はどう? ハッピー? みんな、スタンド・アップ!手を挙げて一緒に振って――」。

 観客を沸き立たせる掛け声も、他のアーティストとは異なり、どこまでもユーモアとインテリジェンスに満ちている。ポッチャリとした体型のポス、トゥルーゴイ、メイスの3人が醸し出すヒューマンな雰囲気は、会場にフレンドリーで暖かい空気を充満させ、聴いているとじわじわとハッピーな気分が高まっていく。

 すでにデビューして四半世紀を超え、今年の夏には12年ぶりになるフィジカルの新作『アンド・ジ・アノニマス・ノーバディ』をドロップして、相変わらずファンキーな知性を感じさせてくれたデ・ラ・ソウル。ネイティブ・タン一派の中核としての面目躍如なその内容は、心地好く肩の力が抜けていて、リラックスとコンシャスな感覚が絶妙のバランスで組み合わされた、彼ら独自のキャッチーな内容に仕上がっている。ゲストもヒップホッパーに留まらず、デイヴィッド・バーンやデーモン・アルバーンなど米英のロック・ミュージシャンも迎え、フレキシブルで一筋縄ではいかない音楽性を研ぎ澄ませているデ・ラ・ソウル。先月、素晴らしいステージを体感させてくれたDJプレミアとは、いい意味で対照的な彼らのパフォーマンスを観ていると、ヒップホップというストリート・ミュージックの進化と深化がダイナミックに感じられて感慨深いものがある。

 頻繁に観客に声を掛け、一体感をタイトにしていく。客席ではネクタイを締めたビジネスマンとヒップホップ・フリークが隣り合いながら身体をくねらせている。心地好いグルーヴ。

 代表曲の「ミー・マイセルフ・アンド・アイ」や「ア・ローラー・スケーティング・ジャム・ネームドズ“サタデイズ”」などをアル・グリーンやパーラメントの曲のフレイズを挟み込みながら矢継ぎ早に繰り出し、さらには新作からのナンバーもたっぷり織り込んで、会場を沸き立たせていく。ラストには3人がラップをリレーし、スマホのライトを点灯させた会場のみんなと一緒になってドリーミーな雰囲気を作り上げていった。

 強面のイメージが強いヒップホップ・アーティストの中では異質の、人懐っこく庶民的なムードを存分に楽しませてくれたデ・ラ・ソウル。ヒップホップの“革新者”である彼らのライブは、今もとびきり新鮮!ヒップホップのポップな一面を肌で感じた夜になった。

 彼らのライブは今日(18日)にも目撃するチャンスがある。キャッチーなヒップホップを体感するこの機会を、くれぐれも逃すことのないよう、チェック・ディス・アウト!

◎デ・ラ・ソウル公演情報
ビルボードライブ東京
2016年10月17日(月)~18日(火)
詳細はコチラ>

Photo: Ayaka Matsui

Text: 安斎明定(あんざい・あきさだ) 編集者/ライター
東京生まれ、東京育ちの音楽フリーク。やっと気候も落ち着きはじめ、熟成ワインの美味しい季節が到来。通常ならフランスのボルドーやブルゴーニュなどの“王道ワイン”がもてはやされるシーズンだけど、今年は近年、注目されてきている東欧や黒海沿岸のワインはいかがだろう。ブルガリアやハンガリー、モルドヴァ、クロアチア、ジョージア(グルジア)、モンテネグロなどの、歴史が長い東欧のワインはコスパがよく、味わいも豊かで輸入量も増えている。ヨーロッパでもマージナルなこれらの地域のワインは、テロワールを色濃く反映したものが多いのが特徴。ぜひ、これからの寒い季節に、肉の煮込み料理などと一緒にお試しを!ほっこりした時間をお約束します。

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