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2016/04/11

著作権侵害の温床だったロシアのSNS“VKontakte”がワーナーと合意

 Facebookのロシア版ともいえるSNS、VKontakte(フコンタクチェ)が、音楽の著作権侵害によって損なわれた経歴を拭い去ろうと、ワーナー・ミュージック・グループ(WMG)との機密の和解契約を取り付けた。先週、VKontakte創立者のパヴェル・デュロイが同社を去り、自身の新しいベンチャー事業で人気のファイル共有サービスを支援する予定だと発表されていた背景もある。

 新契約では、VKontakteはロシアのUnited Media Agency LLCを通して自社のユーザーにWMGの音楽を合法的に提供できるようになる。しかし、VKontakteがずいぶん前に約束した合法音楽サービスはまだ発表になっていない。

 VKontakteのCEO、Boris Dobrodeevはプレスリリースにて、「VKontakteは引き続きレコード会社や他の権利所有者との提携に向けて動いていきます。この動きにおいて今回の契約は重要な節目となり、音楽ファンと権利所有者双方の利益になります」と述べている。

 2年前、ソニー・ミュージックやユニバーサル・ミュージック・グループ、WMGが、当時同サービス上でまん延していた著作権侵害に対して共同訴訟を起こし、5,000万ルーブル(約8,000万円)余りの賠償金を要求していた。しかし、今回の契約によりVKontakteと大手音楽各社との法廷闘争は終結に一歩近づくことになる。

 2015年の夏、ソニーはこの訴訟から手を引きVKontakteと好意的な契約を結んだが、詳細は明らかになっていない。サンクトペテルブルクの裁判所は昨年9月、ユーザーの違法なアップロードを防ぐよう、VKontakteは追加策をとるべきであるとの裁定を下したが、原告側の賠償金は認めなかった。各レーベルは控訴したものの、双方ともこの裁定を勝利とみなした。