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<インタビュー>SO-SOがサプリメント『ULBO』とコラボ──“反骨心”というテーマに制作された新たな一曲

インタビューバナー

Interview & Text:黒田隆憲
Photo:興梠真穂


 ビートボックスを起点にクラブミュージック/ベースミュージックの最前線を切り拓いてきたSO-SOが、マルチエナジーサプリメント『ULBO』のリブランディングに際し、その公式テーマソングを手がけた。

 掲げられたテーマは「反骨心」。歪みきった音圧、雷をモチーフにしたビジュアル、そして<Swallow the rage(怒りを飲み込め)>という挑発的なフレーズ──本作は単なるCMソングにとどまらず、SO-SO自身が長年内側に溜め込んできた感情と真正面から向き合った、ラディカルな自己表明でもある。

 Heavy Houseというスタイルを選び、キャリア史上最大の音圧に挑んだ制作背景から、幼少期の原体験に根差した反骨心の正体、さらには来春に控えるキャリア最大規模のワンマン公演と、その先に見据える海外展開まで──2025年の終わりに語られた言葉の数々は、SO-SOがいま確実に「跳躍の直前」に立っていることを強く印象づけるものだった。

『ULBO』の掲げる「反骨心」というテーマ

――今回、マルチエナジーサプリメント『ULBO』とのコラボはどのような経緯で実現したのでしょうか。

SO-SO:『ULBO』がリブランディングを進める中で、ブランド体験をより立体的に伝えるために「メッセージを音楽表現に昇華できるアーティスト」を探されていたと聞いています。その過程で、『ULBO』を展開する株式会社AINEXTの代表の方が、僕のライブを実際に観てくださる機会があり、「これは『ULBO』の世界観と合う」と感じていただいたことが、直接のきっかけになったと聞いています。

 また、うちの会社は一般的な音楽事務所というより、アートギャラリーを含めて複数の事業を展開している組織なので、所属する事務所経由でお話しをいただき、今回のコラボレーションにつながりました。音楽単体ではなく、表現全体として『ULBO』のブランディングに関われる点に魅力を感じて、参加させていただいた形です。


――実際に商品を手にして、どんな印象を持ちましたか?

SO-SO:最初に強く印象に残ったのが、ボトルのデザインでした。雷が走るようなビジュアルで、黒を基調にしつつ、光をまとった感じがあって、とにかくかっこいいなと。そこで提示されたテーマが「反骨心」だったのですが、僕に声がかかったということは、クラブミュージックやベースミュージックの文脈で、しかもビートボックスを軸に、思いきり攻めていい、ということなんだろうなと解釈しました。

 そこで選んだジャンルが「Heavy House」です。あまり聞き慣れないかもしれませんが、ベースハウスをさらに攻撃力特化に振り切ったようなスタイル。とにかく音が歪んでいて、音圧が異常に高いのが特徴です。反骨心を音で表すなら、圧倒的な音圧しかないだろう、と。そう考えて制作した結果、この曲は僕のキャリアの中でも、いちばん音圧の高い仕上がりになりました。


――Heavy Houseはどのあたりから派生してきたスタイルなのですか?

SO-SO:主にアメリカのフェスシーンで盛り上がってきたようですね。最近だと、EDM系の大型フェスではかなり存在感があると思います。あくまで僕個人の解釈ですが、もともとダブステップを作っていた人たちが、「もう少し抑制のあるグルーヴをやりたい」と考えた結果、生まれてきたスタイルなのではないかと。ダブステップの攻撃的なサウンド感を保ったまま、それを四つ打ちに落とし込んだ、というイメージです。今回の楽曲のテーマである「反骨心」を表現するうえでも、すごくフィットしていると感じました。


――歌詞で印象的なのが、繰り返される<Swallow the rage(怒りを飲み込め)>というフレーズです。

SO-SO:自分でも気に入っています。「怒りを飲み込む」という言葉は、サプリメントという存在とも自然につながるし、「怒り」そのものをネガティブなものとして扱っていないところがいいなと。「怒り」は扱い方次第では、すごく強いエネルギーになるものだと僕は思っていて。もちろん、ハッピーな気持ちから生まれるエネルギーもある。でも、怒りや悔しさ、負けたくないという感情のほうが、圧倒的にエネルギー量は大きいと思うんですよね。

 だからといって、マイナスの感情を抱え込んだままにするのはよくない。大事なのは、それを一度飲み込んで、別のエネルギーに変換すること。そういうイメージが、この曲や『ULBO』の掲げる「反骨心」というテーマと、すごく重なったんです。


――SO-SOさんにとって「反骨心」とは、どんな感情や経験から生まれるものなのでしょうか。

SO-SO:僕の場合は、かなり個人的なルーツに根ざしていますね。実は子どもの頃、11年ほど子役をやっていたんです。今でこそSO-SOとして活動を始めて5〜6年が経って、大きなステージに立たせてもらったり、海外のオーディション番組に出させてもらったりして、「いい人生だな」と思える瞬間も増えました。でも、小学生から10代にかけては正直ずっとくすぶっていたんです。


――というと?

SO-SO:11年間やって、一度も主役をやれなかったんですよ。テレビに出ても、戦後の学生役とか、江戸時代の下っ端みたいな役ばかり(笑)。18歳で辞めたときも、「結局、報われなかったな」という悔しさが強く残っていました。学校生活も、特に高校時代はあまりいい思い出がなくて。帰宅部だったし、その頃にビートボックスを始めたのですが、学校の中より外の世界のほうが圧倒的に楽しかった。いじめられていたわけではないんですけど、「一番目立ちたい」という気持ちが強かった分、高校の3年間はずっと報われない感覚があったんですよね。

 それが少しずつ変わり始めたのが、ビートボックスを始めて、世界大会で注目されるようになってから。それまでに蓄積されてきた悔しさや怒りは、正直、まだ全部は消化しきれていないと思っています。


――その蓄積された感情を、いまはクリエイティブに変換している。

SO-SO:そうですね。表向きには、カラフルでハッピーな音楽をやっているように見えるかもしれないですけど、裏側にはかなりドロドロした感情があります(笑)。恨みや悔しさを音楽に変換して、それが結果的に誰かを元気にしたり、子どもたちを笑顔にできているなら、それでいいかなと。

 そういう意味でも、僕にとっての反骨心は、外に向けた攻撃というより、自分の中に溜まっていた感情をどう昇華するか。そのプロセスそのものに、根っこがある気がしています。


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  1. 「『歪み』という要素を徹底的に研究しました」
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「『歪み』という要素を徹底的に研究しました」

――今回の制作で特にチャレンジングだったことはありましたか?

SO-SO:基本的に、ほぼすべてビートボックスで音を作っているのですが、唯一、ビートボックス以外で使った音があります。それが雷の音ですね。『ULBO』のボトルに雷のモチーフが入っているじゃないですか。それを見た瞬間に、「これはもう雷を使うしかないな」と(笑)。

 ちょうど夏頃、ものすごい豪雨と雷の日があって。「これはチャンスだな」と思い、iPhoneとレコーダーを持って傘を差しながら外で録音しました。いわゆるフィールドレコーディングですね。雷は「怒りの象徴」みたいなイメージもあるじゃないですか。そういう意味でも、今回の「反骨心」というテーマにすごくフィットする音だなと感じました。


――音圧や歪みの作り方も、かなり突き詰めた印象があります。

SO-SO:そこは今回、相当チャレンジしましたね。「ビートボックスで、このレベルの音圧をどうやって出すか?」というのは、今まで以上に真剣に向き合ったポイントでした。これまで使ったことのないコンプレッサーの設定を試したり、ディストーション、オーバードライブ、クリッパーをいろんな組み合わせで重ねたり、とにかく検証の連続でした。

 ただ、歪ませれば歪ませるほど迫力が出るかというと、そうでもなくて。やりすぎると逆に音が細くなるんですよ。単純に音量をしっかり上げて、リミッターで止めるだけのほうが、結果的に迫力が出ることもある。今回、とにかく「歪み」という要素を徹底的に研究しました。組み合わせ、バランス、処理の順番……本当にギタリストみたいな作業でしたね(笑)。正直、これまでの制作の中でも、いちばん音と格闘した曲になったと思います。


――ミュージック・ビデオとの連動という点では、映像チームとかなり密にやり取りをしながら進めたのでしょうか。

SO-SO:かなり密にやりました。実は今年1月に開催された【GMO SONIC 2025】で、ALAN SHIRAHAMAさんとB2BでDJをやらせてもらったのですが、そのときにバック映像としてロボットのアバターを使ったんです。その際に作ってもらったSO-SOロボットのデザインが、個人的に本当に気に入っていて。さいたまスーパーアリーナという大きな会場だったこともあって、迫力がとにかくすごかったんですよね。そこから自然と、「今回のミュージック・ビデオでもこのロボットを使いたいな」と思ったのが、最初のきっかけでした。

 今回のロボットは、そのときのデザインをベースにしつつ、胸の部分を雷のモチーフにして『ULBO』仕様にアップデートしています。「ロボット」と「電気」「雷」はやっぱり相性がいいんですよ(笑)。実際、海外のダブステップ系のミュージック・ビデオを観ていると、ロボットが登場する映像はかなり多い。でも、日本人であのテイストを本格的にやっている人は、ほとんどいない印象があって。だったら、そこも含めて挑戦してみたいなと。

 ストーリー自体は、かなりシンプル。そのぶん、映像の迫力で押し切る構成になっています。僕自身、楽曲にしてもそうなんですけど、複雑なメッセージや深い考察を求めるタイプではなくて。ミュージック・ビデオにも、難解な伏線のようなものは特にありません。Don’t think, feel──聴いて、観て、感じてもらえれば、それで十分だと思っています。



「ULBO」ミュージック・ビデオ


――SO-SOさんは、集中力を高めたいときや、自分の中で「モードを作りたい」とき、創作中に意識しているルーティンはありますか?

SO-SO:以前は深夜に作業することが多かったのですが、今は毎日じゃなくても、なるべく朝起きるようにしています。起きたらとりあえず水だけ飲んで、歯も磨かず、寝癖のまま外に出ます(笑)。目的は、とにかく太陽を浴びることですね。近所に1周10分くらいの公園があるので、そこを2〜3周。途中でコーヒーを買ったりベンチに座ったりしながら、トータルで30〜40分くらい外にいます。そのおかげか、最近すごく調子がよくて。集中力が続くし、モチベーションも落ちない。昼に眠くならないし、全体的にパフォーマンスが上がった感覚があります。

 あと、僕は一度集中すると一気にゾーンに入るタイプなんですけど、以前はそれを締め切り直前にやることが多くて。「これは良くないな」と思い、最近はあえてこまめに休憩を取るようにしています。作っている時間そのものよりも、「作っていない時間に何をするか」。そこが、実は一番大事なんじゃないかと感じるようになりました。


――『ULBO』は今後もいろいろな展開を考えているそうですね。

SO-SO:ジャンルを越えたコラボレーションを想定していると聞いています。あまり具体的なことは言えないのですが、今後は国内サプリメントカテゴリのNo.1の実績をもとに、日本発のグローバルブランドを目指しているという話もあって。そういう展開を聞くと、このプロジェクト自体が単発で終わるものではなく、カルチャーとして育っていく可能性があるなと感じますね。


――SO-SOさんは今後、どんな展開を考えていますか?

SO-SO:来年、3月31日に大阪・なんばHatch、4月8日に東京・豊洲PITでワンマンをやります。決まったのは今年の夏〜秋くらいで、そこから急ピッチで準備を進めています。今回は『SO-SO SPINS TOKYO』、いわゆる「山手線のアルバム」をコンセプトにしたワンマンにする予定で。その作品を軸に、過去の曲や最近の曲も含めて、「電車」という世界観の中にどう落とし込めるかをずっと考えているところです。ステージに電車っぽい要素を作れないかとか、入口に改札みたいな演出を置けないかとか、いろいろ試行錯誤しています。


――パフォーマンス自体も、これまでと違うチャレンジはありますか?

SO-SO:かなりあります。これまではDJ+ループステーション+ビートボックスが中心だったのですが、今回はAbleton Live(音楽制作者向けの制作ツール)を本格的に導入しようと。より自由度の高い、立体的なライブセットを組み、その場で音を組み立てていく。「ライブで音楽を作っている感覚」を、もっと前面に出したいですね。

 特に豊洲PITは、自主企画としては今までで一番大きい会場で、3000人を一人で集めるのは正直かなり大変だと思っています(笑)。でも、そのぶん準備にも一番時間をかけているので、少しでも僕のことを知っている人、名前を聞いたことがある人には「ここまで来たんだ」というところを見せられると思います。ぜひ観に来てほしいです。


――2025年も終わろうとしていますが(2025年12月に取材を実施)、今年、音楽以外でインスピレーションを受けたものはありましたか。

SO-SO:かなり直近だと落語ですね。意外かもしれないですけど。僕はSpotifyの「Spotify VIP」というプログラムに参加していて、アンバサダーとは少し違うんですが、Spotifyに選ばれたスペシャルコミュニティのような立場なんです。日本には50人くらいしかいなくて。そのメンバーのひとりが、若手落語家の桂枝之進さんでした。

 正直、僕の中での落語のイメージは『笑点』で止まっていたんですよ(笑)。でも実際に観に行ったら衝撃でした。漫才やコントは観たことがありましたけど、日本の伝統芸能としての落語の完成度の高さに純粋に圧倒されて。それが音楽にどう結びつくかはまだ分からないですが、こういう刺激は意識しないところでアウトプットに滲んでくるものだと思っていて。気づいたら曲の構成や展開に影響していたりする。そういう意味でもすごくいい刺激になりましたね。


――では、来年に向けて挑戦したいことはありますか?

SO-SO:実はこれまで、ビートボックスの世界大会に3回出場しているのですが、そのうち2回は大会前に願掛けでバンジージャンプを飛んでいるんです(笑)。ジャンプというより「度胸を解き放つ」ための儀式みたいな感覚ですね。1回目は岡山の山奥の遊園地、2回目はハウステンボスで。来年は3月・4月に大きなワンマンも控えているので、年明け一発目はまたバンジーかなと。どうせ行くなら岐阜にある日本一高いバンジージャンプ、100メートル超えに挑戦しようかなと思っています。


――バンジージャンプって、どんな感覚なんですか?

SO-SO:絶叫系は割と好きなんですけど、さすがに怖いですよ。でも飛んだ後の高揚感がすごい。脳が一気に覚醒して、「またやりたいな」となるんです。「人生が変わるか?」と言われたら別に変わらないですけど(笑)、人生で一回は飛んだほうがいいと思います。自分の恐怖や躊躇に打ち勝つ経験は、なかなかできないので。来年のワンマンに向けて、その覚悟を入れる意味合いも大きいですね。


――ワンマンライブの先には、どんな展開を考えていますか?

SO-SO:ワンマンで成し遂げた実績を、そのまま海外へ持っていくのが目標です。リリースに関しても、今年以上に曲を出していきたいですね。今年は正直、準備期間でもありました。2025年はSO-SOとしての活動に一本化した年だったので、制作だけでなく、スタッフや環境づくりも含めて地盤を整える一年だったと思っています。その下地がようやく固まってきた感覚があるので、来年はそれを一気に跳躍させる年にしたい。ここから本格的に、飛躍のフェーズに入っていけたらと思っています。


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