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<インタビュー>島田歌穂、新たな解釈とアレンジで届けるディズニー名曲『島田歌穂・シングス・ディズニー』

インタビューバナー

Text & Interview: 服部のり子

 デビュー50周年を迎えた島田歌穂がディズニー公式カヴァー・アルバム『島田歌穂・シングス・ディズニー』をリリースした。これまでに実写映画『美女と野獣』、実写映画『メリー・ポピンズ リターンズ』、『魔法にかけられて2』で吹替を担当し、また、ミュージカル『メリー・ポピンズ』にも出演するなど、さまざまなディズニー作品と関わってきた島田歌穂ならではの記念作品となっている。さらに忘れてはいけないのがクリスマスの名曲「ウェルカム・トゥ・クリスマス」だ。2003年に東京ディズニーシー(R)スペシャルイベントのために歌って以来、長く愛され続けてきたこの曲が今回英語で歌われる新録音「ウェルカム・トゥ・クリスマス(2024)」となって、アルバムにも収録されている。そんな新作について、お話をうかがった。

──50周年ということで、ディズニーをテーマに選んだいきさつ、理由からまずおうかがいできますか?

島田歌穂:50周年というタイミングにリリースする特別な1枚にするためにはどんなアルバムがいいのか、ずっと悩み続けていたんです。ディズニーとのご縁は「ウェルカム・トゥ・クリスマス」をはじめ、映画の吹替や、ミュージカル『メリー・ポピンズ』に出演させていただいたこともあり、ふとカヴァー・アルバムのアイデアが浮かびました。でも絶対に無理だろうな、と思いながらも、もし実現したらこれほど特別なことはない、と意を決して、ドキドキしながら(笑)、ディズニーのご担当者にご相談したところ、「やりましょう!」と言ってくださって。それだけでもうれしいのに、「ウェルカム・トゥ・クリスマス」を、夫・島健の新しいアレンジで英語にて新たにレコーディングするご提案もいただきました。そこからこのアルバムの制作はスタートしました。


──その英語ヴァージョンの「ウェルカム・トゥ・クリスマス(2024)」は、10月27日の【ディズニー・オン・クラシック ~まほうの夜の音楽会 2024】でも披露されて、私も当日聴かせていただきました。この曲とボーナストラックを含めて全13曲収録ですが、まず選曲が大変だったのではないでしょうか?

島田:もう名曲がありすぎて、選曲はすごく悩みました。時代も幅広いじゃないですか。どんな世代の方にも楽しんでいただきたいと思うと、さらに選ぶのが大変になってしまって、島健と忌憚のない意見交換をしながら、やっと辿り着いたのがこのラインナップです。

──お話を聞くだけで時間がかかったことが想像できます。

島田:「ウェルカム・トゥ・クリスマス(2024)」を柱として、最初に決まったのはミュージカル『メリー・ポピンズ』より「鳥に餌を」でした。『メリー・ポピンズ』は出演させていただいた思い入れもあり、名曲ばかりなので、他に「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」も収録しましたが、本音を言えば、もっと入れたかったので、泣く泣くの2曲です(笑)。ミュージカル『メリー・ポピンズ』は、ブロードウェイで舞台化された後、日本での上演が決まり、オーディションでバードウーマン役を得ることができたのですが、もっと以前に、あるTV番組で歌ったのをきっかけにコンサートでも歌わせていただくようになって。ミュージカルの舞台で「鳥に餌を」を歌うのは本当に幸せで、毎回大感動していました。「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」は、島健がビッグバンドでやりたいということで、最初に決まったのがこの2曲でした。

──アレンジの話が出ましたが、曲によって全然違いますね。

島田:選曲もアレンジも、歌詞を日本語にするか英語にするかも、1曲1曲丁寧に決めていったんですね。たとえば、「星に願いを」は、あまりに名曲なので、このアルバムならではのアプローチをしたいと試行錯誤を繰り返すなかで、ハープと歌のデュエットになりました。「美女と野獣」は、映画の実写版で吹替をさせていただいたご縁でコンサートでも歌わせてもらってきたのですが、この曲もあまりに有名なので、ボサノバでやると新鮮かなぁとか。「彼がトランプさ」はオリジナルがジャズなので、あえてそのままジャズで歌わせていただいています。

──そういう意味で、「ウィッシュ~この願い~」も印象的です。オリジナルは、10代のまっすぐな願いを熱唱していますが、島田さんヴァージョンは、ブルージーな大人のジャズナンバーになっていますよね。

島田:昨年ディズニーのオフィスにお邪魔したときに、この歌を偶然耳に して、ジャズっぽく演ったらおもしろいかもしれないって思い付いたんです。でも、実際に歌うと本当に難しくて。メロディもそうですが、拍子もどんどん変わっていくので、この曲のヴォーカル・レコーディングは、かなりアプローチに悩みながら時間をかけて収録しました。

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客席でミッキーマウスとミニーマウスが見守ってくれている
まさに世界に1枚の絵なんです

──井上芳雄さんと「輝く未来」をデュエットされています。井上さんとデュエットで歌うことが多いですよね?

島田:舞台でもご一緒していますが、40周年と45周年、さらに10月に行った50周年コンサートにも出演してくださって、「僕は周年男です」なんておっしゃっていました……。「輝く未来」は、芳雄さんもご自身のアルバムで録音されていて、ひとりで歌われていたのがとても新鮮だったのですが、ここではオリジナルに合わせてデュエットで、しかも英語で歌おうと。芳雄さんがいてくださると安心というか、すごく信頼させてもらっています。彼とは共通点があるんです。私は『レ・ミゼラブル』に出演する前に、井上ひさしさんが旗揚げされたこまつ座の公演にご縁があって出演させていただいたんです。それまではミュージカルの舞台しか知らなかった私が、いきなり井上先生の言葉と向き合う世界に飛び込むことになって、一言一言に込められた深さ、難しさ、日本語の美しさなど、舞台女優として歩んでいく上で、“演劇の扉を開いていただく”という貴重な経験をしました。しかも『花よりタンゴ』と『黙阿彌オペラ』という2つの書き下ろし作品に参加させていただいて。芳雄さんもストレートプレイに果敢に挑戦されていて、井上ひさしさんの書き下ろし作品で主演されているんですね。そういう面で共感できますし、挑戦し続けている彼の姿がすごいなと思っているので、芳雄さんとデュエットしたいってなるんです。

──ミュージカルで歌われている方々は、歌の発音がクリアで、心に届く歌を歌われますよね。

島田:ミュージカルの歌は、歌詞が全部セリフなので、その言葉をどう伝えていくか、言葉の心をどう伝えていくかが命題。これは私の人生の永遠のテーマですね。今回のアルバムでは半分くらい英語で歌っているのですが、私なりに精一杯解釈して、とにかく歌詞を伝えたいという思いで歌いました。

──その歌詞ですが、英語と日本語、どちらにするのか、どのように決められているのでしょうか?

島田:アレンジに合わせて1曲1曲選んでいきました。「パート・オブ・ユア・ワールド」のこのアレンジなら歌詞は英語のほうがいいな、というように。「美女と野獣」は、映画で岩崎宏美さんが歌われた日本語の歌詞がとても素敵だったので日本語にしましたし、「鳥に餌を」は、ミュージカルで私が歌わせていただいた歌詞が大好きだったので、例外的に映画ではなくミュージカルの日本語歌詞で歌っています。

──さて、今回ディズニーの名曲をレコーディングされて、あらためて感じた魅力、発見したことなどはありましたか?

島田:全ての曲に愛が込められていて、絶対にあきらめないという強い気持ちや、何があっても勇気を持って進んでいくポジティヴな気持ち、さらにそれぞれの物語の核となるテーマ、大事なことが全部、歌に込められているんですね。そして、どの作品にも深いメッセージが込められている。だからこそ、時代を超えて、世界中の人たちから愛され続けているんだと思います。夢や希望、力を与え続けている。ディズニーの世界の深さ、素晴らしさを、歌を通してあらためて感じさせられました。


左:『島田歌穂・シングス・ディズニー』
右:「ウェルカム・トゥ・クリスマス(2024)」
©Disney

──ジャケットがまたかわいいですね。

島田:ディズニーの方々と打ち合わせをするなかで、「このアルバムだけのスペシャルなジャケットにしましょう」とご提案をいただいて、「ぜひ!」と、描き下ろしていただきました。まさに世界に1枚の絵なんです。なにかイメージはあるか聞かれ、いつも島健とデュオで歌うときはステージにピアノとマイクがあるので、そのイメージをお伝えしたら、それに加えて、ドナルドダックがベース、グーフィーがドラムという設定にしてくださって。グーフィーはスティックを忘れてきてしまって、それをチップとデールが届けていて、そのステージの様子を客席でミッキーマウスとミニーマウスが見守ってくれているという、とっても素敵なストーリーにしてくださいました。

それから先行配信されたシングル「ウェルカム・トゥ・クリスマス(2024)」のジャケットも描き下ろしていただきました。小さい頃の思い出のアイテムを聞かれまして、音楽家だった父が家でいつもピアノを弾いていたのでアップライトピアノと楽譜、母が好きだった編み物のセット、私のデビュー作だった『がんばれ!!ロボコン』のロビンちゃんのトウシューズ、初舞台がオリジナル・ミュージカルの『シンデレラ』だったことにちなんで、ディズニーのシンデレラとかぼちゃの馬車の絵を入れていただきました。このアルバムとシングル2枚のジャケットは私にとって生涯の宝物です。

──最後に読者の方にメッセージをお願いします。

島田:50周年という節目に念願叶ってこのアルバムを作れたことは、50周年に最高のプレゼントをいただいたような気持ちでいます。また、大切に歌わせていただいてきた「ウェルカム・トゥ・クリスマス」の日本語と英語ヴァージョンを収録できたこともうれしく思っています。収録曲は、みなさんがよくご存じの曲ばかりですが、この幸せなチャンスに心からの感謝を込めて、私たちなりのアプローチで1曲1曲、丁寧に作らせていただきました。ひとりでも多くの方に聴いていただければ、うれしいです。

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