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<コラム>いよいよ日本1stシングルリリース、BIGBANG/BLACKPINKを擁すYG ENTERTAINMENTが放つ新星=TREASUREとは?



コラム

 TREASUREというグループには、何度も衝撃を受けている。最初はデビュー曲「BOY」のパフォーマンスをテレビで見たときのインパクト、ふたつ目は人々を掌握する圧倒的ライブ力、3つ目はメンバー達のとんでもないトークスキル。知れば知るほど“沼”へと誘われてゆく、韓国出身メンバーと日本出身メンバーからなるグローバルグループだ。

 2018年秋、BIGBANGやBLACKPINKなどグローバルアーティストが所属する韓国大手事務所のひとつ、YG ENTERTAINMENT(以下YG)の男子練習生29名で行われたサバイバルオーディション番組『YG宝石箱』が放送され、この番組から選ばれたメンバーでTREASUREを結成。2020年夏、『THE FIRST STEP : CHAPTER ONE』でデビューすると、タイトル曲の「BOY」は瞬く間に世界へ波及。米ビルボードの「ソーシャル50」には7週連続チャートイン、19か国のiTunesトップソングチャートの1位、現在同曲のMVの再生回数は1.1億回にのぼる。韓国の音楽番組でこの「BOY」のパフォーマンスを初めて観たとき、新人にも関わらずクオリティの高さに加えて余裕のあるパフォーマンスや、キュートな顔立ちのメンバーも多く、ヒップホップ色の強いYGのイメージからは新鮮だったことも強く印象に残った。【ゴールデンディスクアワード】をはじめ、この年末年始に行われた様々なアワードでは4つの新人賞を獲得した。

 2021年3月には、日本1stアルバム『THE FIRST STEP : TREASURE EFFECT』で日本デビュー。当時はまだコロナ禍で来日が出来なかったにもかかわらず、Billboard JAPANの総合アルバム・チャート“Hot Albums”で初登場首位(2021年4月7日公開)という、日本での強い人気を証明した。

 さらに2022年は、1stミニアルバムの『THE SECOND STEP : CHAPTER ONE』から大きく歯車が動き出す。今や彼らの代表曲とも言える、アルバム表題曲「JIKJIN」のヒットだ(Billboard JAPAN総合ソング・チャート“Hot 100”では、この曲で当時自身最高位の21位を記録した)。これまでのカッコよくて愛嬌のあるTREASUREから、更にクールでエッジの効いたイメージに進化。サウンド全体に攻め要素が増し、サビでハンドルを回すキャッチーなダンスや、後半で全員が激しく踏むステップから揃ってアッパーに歌い上げる流れはとにかくアガる。加えて、メンバーのチェ・ヒョンソク、ヨシ、ハルトの3人が表題曲の作曲に初めて参加した楽曲なだけに、彼らにとっても思いもひとしおだろう。
 また同ミニアルバム収録「DARARI」が、サビ部分に振り付けを加えた“DARARIチャレンジ”としてTikTokに登場。彼らの海外のファンによって作られたものだが、TREASURE自身もチャレンジ動画をあげ、国内外で反響を集めた。こうしてライブ活動が大きく出来ない中でも、着実に爪あとを残していった。

@yg_treasure_tiktok TREASURE - ‘다라리 (DARARI)’ CHALLENGE COMPILATION 💙 We hope you enjoy the DARARI CHALLENGE COMPILATION,made by TREASURE MAKER from all over the world!Thank you for all the love and support for ‘THE SECOND STEP : CHAPTER ONE’! 전세계 트레저 메이커가 함께 만든 다라리 챌린지 컴필레이션, 모두 즐겨주세요!그동안 ‘THE SECOND STEP : CHAPTER ONE’을 사랑해주신 모든 분들께 감사드립니다! #TREASURE #트저 #1stMINIALBUM #THESECONDSTEP_CHAPTERONE #DOTREASURE_PROJECT #다리 #DARARI #DARARICHALLENGE #COMPILATION #YG ♬ 다라리 (DARARI) - TREASURE (트레저)

 彼らがチャート上位の常連でいる理由のひとつとして、バラエティ豊かな楽曲力と、メンバーそれぞれの絶妙な声のバランスにある。「BOY」や「JIKJIN」のように、攻め感を持ち合わせながら楽しめる楽曲をはじめ、韓国デビュー年の3作連続シングルの3作目に出した「MMM」はややコアなサウンドに挑戦。
 ヒョンソク、ヨシ、ハルトのラッパー3人による「VolKno」は、これぞYGというハードなヒップホップに振り切った曲もある。かたや、少し切なくも元気になるナンバーの「HELLO」や、タイトル通り「I LOVE YOU」は爽やかで愛らしい楽曲に強めのEDMサウンドを乗せるという個性的な曲など、どれを取っても耳を楽しませる楽曲ばかりだ。さらに今日3月29日には、日本初のオリジナル・シングルとなる『Here I Stand』をリリース。シンプルなギターコードから広がるメロディに希望を抱かせる歌詞が乗り、コロナ禍の困難のなかのデビューに始まり、あっという間にドーム公演までたどり着いた彼らの道のりのようで、また一方で新生活の人々の背中を押してくれるような、TREASUREにとって新境地となる楽曲だ。映画『ブラッククローバー 魔法帝の剣』主題歌に決定しており、ファンにとっても初めて聴く人にとっても楽しめる楽曲となっている。


「Here I Stand」Lyric Video / TREASURE


 そうした楽曲を歌うそれぞれの歌声は、低音ラップのハルトを筆頭に、スパイシーなヒョンソク、ストレートなヨシの3人のラッパーがしっかり幹を築き、伸びのパク・ジョンウとソ・ジョンファン、まるみのあるアサヒ、ジュンギュ、優しいユン・ジェヒョク、ドヨン、ジフンとそのバランスも絶妙に音楽を構成する。

 2022年秋、いよいよ彼らの本領発揮となるツアーがスタートした。11月半ば、ソウルのアリーナ会場2DAYSで初のワンマンライブを実施。続いて日本では、【TREASURE JAPAN ARENA TOUR 2022-23 ~HELLO~】の7都市24公演の21万人分が即完、年が明けて今年1月には京セラドーム大阪での2DAYSが追加され、韓国アーティストの初来日ツアーとしては史上最多となる29万人を動員するという、脅威の人気を誇示したのだ。

 冒頭に記したように、彼らの大きな魅力のひとつに、そのライブ力の高さが挙げられる。筆者は日本での同ツアーの前に韓国でのライブを観覧したのだが、エネルギッシュなダンスに始まり、オーディエンスを楽しませる煽りや、自由にステージを動くという“ライブ感”溢れるステージに見入ってしまった。生バンドを連れた分厚いサウンドで魅せるのもさすがのYGならでは。TREASUREのステージが始まると、京セラドーム大阪の温度が2、3度上がるかのような熱狂とともに会場を掌握。ワンマンからイベントまで、つまりホームでもアウェイでも観るものを魅了する中毒性があるのが、TREASUREのライブだ。

 最後に、TREASURE最大の“沼”だと思われるのが、メンバーたちのコミュニケーション能力の高さだ。彼らのファンサイトの動画やInstagramなどで度々ライブ配信を行っているが、その自由奔放さがとにかく楽しい。中でもヨシとアサヒは関西出身で、なぜか福岡出身のハルトまで関西弁を駆使し、まるで関西の人気タレントのトークを見ているかのように、笑いの要素もテンポも抜群。そのせいか韓国メンバーまでも日本語が上手く、トークスキルが高すぎる。おそらく他のK-POPグループで、ここまで日本語率が高く、友達のように自由なトークを見せるアイドルはほとんどいないのではないだろうか。そうした面もライブでのMCに活かされ、楽曲、パフォーマンス、SNSサービスも含めて、多角的に魅力あふれるTREASUREとして支持されているのではないだろうか。


[TREASURE WORLD MAP] EP.7 KYOCERA DOME


 今年の夏には【SUMMER SONIC 2023】への初出演が決定し、K-POPアーティストの第1号として発表された。ライブ配信などでも、ケンドリック・ラマーなど同フェスに出演する海外勢への思いをよく語っているメンバー。どんどん大きなステージへ羽ばたいていくTREASUREは、日韓はもとより、あっという間に世界の人々も掌握してしまうだろう。彼らを観るなら、今だ。(Text by 筧真帆)

TREASURE「Here I Stand」

Here I Stand

2023/03/29 RELEASE
AVCY-97198 ¥ 1,430(税込)

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Disc01
  1. 01.Here I Stand
  2. 02.BEAUTIFUL (Ballad Ver.)
  3. 03.JIKJIN [TREASURE JAPAN ARENA TOUR 2022-23~HELLO~] -BONUS TRACK-
  4. 04.BOY [TREASURE JAPAN ARENA TOUR 2022-23~HELLO~] -BONUS TRACK-
  5. 05.HELLO [TREASURE JAPAN ARENA TOUR 2022-23~HELLO~] -BONUS TRACK-

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