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Special

<CASIO×Billboard Live>佐藤純一が語る楽器奏者としての原点、解き放たれたfhánaのネクスト・ステージ

インタビューバナー

 「すべての人に音楽を奏でる喜びを」という想いから、新しい生活スタイルに寄り添う電子楽器を展開するCASIOがBillboard Liveとコラボレーション。Billboard Liveの出演者にリレー形式で「音楽の楽しみ方」を語ってもらう。

 9月23日に大阪公演、10月1日に横浜公演を控えているのは、4月に約4年ぶりのオリジナル・アルバム『Cipher』をリリースしたばかりの4人組バンド、fhána。「青空のラプソディ」(TVアニメ『小林さんちのメイドラゴン』OP主題歌)や「星をあつめて」(劇場版『SHIROBAKO』主題歌)など、数多くのアニメ・ソングを手掛けたきた彼ら。メインの作曲担当であり、ステージ上ではキーボードとコーラスを主に担う佐藤純一は、バンドのリーダーであると同時に、ホリプロの音楽作家チーム“SCORING POSITION”にも所属し、他アーティストへの楽曲提供も積極的に行っている。

 そんな佐藤のミュージシャンとしての原点、不安定な社会情勢から少なからず影響を受けた最新作『Cipher』に至るヒストリー、そして秋のビルボードライブ公演に向けた意気込みなど、本人に話を訊いた。 (Interview: Takuto Ueda)

僕の音楽はCasiotoneでスタートしたと言っても過言ではない

――まずは佐藤さんの楽器奏者としての原体験について教えてください。

佐藤純一:小学校低学年の頃に両親が買い与えてくれた、Casiotoneというコンパクトなモデルのキーボードが家にあって。当時ずっとそれで遊んでいたのが原体験ですね。


――ご両親も音楽好きだったんですか?

佐藤:僕の両親が若かった頃ってフォークがブームだったと思うんですけど、それもあって家にはアコースティック・ギターもあったりして。そのアコギを使って親は、井上陽水さんだったり当時のフォーク・ソングも弾いていましたし、The Beatlesの曲も弾いていましたね。


――佐藤さん自身、キーボードはどのように学んでいったのでしょう?

佐藤:Casiotoneって、伴奏データが入ったファミカセみたいなROMパックを本体にセットすることができて、その伴奏に合わせて弾きながら練習することもできたんですよ。それで僕は当時、好きなゲームの曲や流行っていたポップ・ソングを弾いていました。


――独学だったんですね。

佐藤:そこからだんだんとROMに入っていない曲も頑張って耳コピしてみたり、いつしかオリジナルっぽいものも弾くようになって。いま思えばめちゃくちゃ面白いんですけど、Casiotoneには当時からサンプリング機能が搭載されていたんです。横幅40cmくらいの小さいキーボードなのに、マイクとサンプリング・ボタンがついていて、サンプリングした音声に音程をつけて演奏もできるんです。そんなの小学校低学年からしたら、すさまじく面白く感じるじゃないですか。僕の音楽はCasiotoneでスタートしたと言っても過言ではないんです。


――入門編として手に取りやすいキーボードであると同時に、かなりクリエイティブなアイテムでもありますよね。

佐藤:プロになってからいろいろと調べたんですけど、音楽の歴史から見ても、Casiotoneってすごく重要アイテムだったみたいで。プリセットでいろいろなリズム・パターンが入ってるんですけど、その中には世界的に有名なものもあるんです。「Casiotone リズム」で検索してみると……「レゲエ界に革命を起こしたリズム『スレンテン』は日本人女性が生み出した」という記事が出てきますけど、実はそれがCasiotoneのプリセットらしくて。


――もし楽器初心者のふぁなみりー(fhánaのファン呼称)が鍵盤楽器を始めるなら、fhánaのどの曲をまず最初に弾いてみることをオススメしますか?

佐藤:最近、レーベルの企画で『ChoieL(クワエル)』というアニソン合唱プロジェクトが立ち上がって、曲の譜面が発売されたりしているんですよ。fhánaは「青空のラプソディ」が譜面化されていて、すぐに入手できるという点ではオススメです。ほかにはデビュー曲の「ケセラセラ」とか、まだ自主制作だった頃の「kotonoha breakdown」みたいな初期の曲は、構成がシンプルなエレピのリフ、コード進行の繰り返しなので、けっこう弾いていて楽しいかもしれないですね。


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ビルボードライブはリラックスして過ごしやすい空間

――では、直近のスケジュールについても聞かせてください。fhánaとしては9月に大阪、10月に横浜のビルボードライブで単独公演【fhana Billboard Live Tour 2022 Autumn】が決定しています。ビルボードライブは今年1月に行った東京、大阪公演ぶり。まずは前回のステージを振り返ることはできますか?

佐藤:まずビルボードライブって、すごくfhánaに合っている会場だなと感じました。それまではスタンディングのライブハウスやホールのステージに立つことが多かったですけど、ビルボードライブはラグジュアリーな空間で、お酒や食事も楽しみつつ、じっくりリラックスして音楽を聴くのに最適な場所だなって。こういう300キャパぐらいの会場だと、小さめのライブハウスがほとんどで、もちろんそれはそれの良さがあると思いつつ、落ち着いてゆったり見るような感じではないですよね。かといって、ホールは座席数が1,000を超えたりするので、当然お客さんとアーティストの距離はどうしても生まれてしまう。でも、ビルボードライブはリラックスして過ごしやすい空間で、なおかつ近い距離でステージを見ることができるので、僕らにとってもお客さんにとっても、すごくいい時間の流れになったんじゃないかなと思います。


――前回は「愛のシュプリーム!」をイメージした公演限定カクテルも提供させていただきました。佐藤さんもお飲みになりましたか?

佐藤:3杯ぐらい(笑)。本番前はノンアルコールでしたけど、本番後にはアルコール入りを飲ませていただきました。


――公演中には最新アルバム『Cipher』のリリースも発表されていましたね。1月のステージはアルバムの制作に何か影響を与えたのでしょうか?

佐藤:1月のビルボードライブ公演は、fhánaにとって約2年ぶりの有観客ライブで、久しぶりにお客さんの前でパフォーマンスをするからと、ボーカルのtowanaが「Cipher」という曲をやりたいと言い出したんです。その曲はもともとfhánaを結成する前、僕がボーカロイドで作った曲で。当時2010年ぐらいだったと思うんですけど、ちょうど今のメンバーとも知り合った時期でもあるので、fhána結成の前日譚みたいな曲なんですよ。


――デビュー後もたまにワンマンなどで披露される機会はありましたよね。

佐藤:それを久々にビルボードライブで演奏してみたら、これがすごく良くて。アルバム収録曲の時系列は3年間ぐらいに跨っていて、古いものは2019年に作った曲だったりする。その後、2020年にはコロナ禍が始まって、少し落ち着いてきたかと思えば、今度は戦争が起こったりして。なので、この『Cipher』は、いろんな時代に跨ったドキュメントみたいなアルバムなんです。そんな作品をまとめるリード曲がどんなものであるべきか、しばらく思いつかなかったんですけど、そんなときにビルボードライブで演奏した「Cipher」が、音楽的にも歌詞的にもお客さんの反応的にもすごくガシッとハマるものがあって。まず最初に東京公演をやったときにその手応えがあって、大阪公演に向けて前乗りしたときに、ホテルの一室にメンバーで集まって、この「Cipher」を今のfhánaとしてリクリエイトして、アルバムの表題曲にしようということを話し合ったんです。歌詞についても一部アップデートして、タイトルに"時代"という意味でもある"."(ピリオド)を付けて「Cipher.」として新録しました。


――そういう意味でもメモリアルなタイミングだったんですね。では、秋のビルボードライブ公演はどのようなステージになりそうでしょうか?

佐藤:アルバムのツアーはその作品の世界観を再現するのが主目的で、テーマ的にも時代背景的にも今作はシリアスだったので、ライブの雰囲気もわりと重ためだったんですよ。今回のビルボードライブ公演はそこから解き放たれて、より純粋に音楽を楽しむライブにしたいなと思っています。楽しいfhánaが帰ってきた、みたいな(笑)。セットリストも新旧入り混じって、最近やっていなかった初期の曲も積極的に演奏したいなと思いますね。


――最後に、先日8月21日にデビュー9周年を迎えたfhánaとして、10周年に向けた活動の意気込みをお聞かせください。

佐藤:バンドとしてはどんどん変化していかなきゃいけないと思っていて。『Cipher』は原点回帰がひとつのテーマだったんですけど、次の2023年以降はもっと自分たちを刷新していくというか、作る音楽にしてもライブのパフォーマンスにしても、新しいものにしていきたい。そうやって変わっていくfhánaを見てもらいたいし、応援してもらえたら嬉しいです。一方で、何でもかんでも変わればいいというわけでもなくて、例えばfhánaの曲の根底にある物語性だったり、ふぁなみりーのみんなとの関係性だったり、ずっと大事にしていきたい部分もある。みんなも普段は別々の生活、それぞれの物語を送っているけど、ライブという場で合流して、気持ちを共有して、また自分たちの生活に帰っていく。そういうサイクルはずっと続けていきたいです。そのなかで、変化していきながらもお互いに支え合っていきたいなと思います。


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