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<インタビュー>Reol×ツミキが語る、コライトの経緯とそこにあった共鳴

インタビューバナー

 Reolが2022年の第一弾シングルとしてリリースした「赤裸裸」は、扇情的でパワフルなロックチューンで、Reolの楽曲には珍しい、歪みのギターが鳴りまくるトラックに新機軸を感じたリスナーも多いはず。Reolが抱えるクリエイターとしての性のようなものを、歌詞とサウンドとでストレートに表現したこの「赤裸裸」には、120%の濃度で“Reol”というアーティストの矜持と哲学が溢れ返っている。

 その最高にReol自身を表現したこの楽曲が、ボカロP/シンガーソングライターとして人気を誇るツミキとのコラボレーションによって制作されたという事実にもまた興味をそそられた。トラックメイクやサウンドアレンジはともかく、Reolが自身の楽曲の“歌詞”を他のアーティストに委ねることはこれまで一度もなかったのだ。Reolが常にその言葉の端々まで大切に紡いでいるリリックを、今回初タッグとなったツミキが手掛けたということ。そこには何か必然的な理由があるはずだ。

 今回はその「赤裸裸」が制作された経緯、背景について、Reolとツミキに対談形式でインタビューを行った。そこに見えてきたのは音楽家としての共鳴はもちろん、人間性の部分で感じ合う二人が“共感覚的”とまで表現した強いシンパシーだった。 (Interview & Text:杉浦美恵 / Photo:Shintaro Oki(fort))

“共感覚的”につながった二人

――Reolさんとツミキさんはいつから親交があったんですか?

Reol:最初は……2020年くらいかな? YOASOBIのAyaseに「オレの仲間を紹介するぜ」的なノリで、突然みんながいるところに呼ばれて、そこにツミキくんがいたんです。syudouとかもいたんだけど、奥のほうで寡黙に微笑んでいたツミキくんに私は興味をそそられて(笑)。その日に初めていろいろ話してみて、音楽のルーツが近いことを知って。普段、インターネットのシーンで活動している子と音楽ルーツの話をしても、あまり被らないことのほうが多いんですけど、ツミキくんとは好きなアルバムの話で盛り上がれるのが面白くて。それで仲良くなった感じです。だから、アーティストとしてというより、まず友人として仲良くなったのが先ですね

――ちなみに二人の共通のフェイバリットとは?

ツミキ:もうドンピシャで椎名林檎さん。

Reol:どのアルバムが好きか、どの曲が好きかという話とかを延々としたあと、そのときはまだツミキくんはNOMELON NOLEMONを結成する前だったけど、たしか翌日にボカロのアルバムをマスタリングすると言っていて、自分たちの音楽の話もしたよね。

ツミキ:そうそう。いろいろ悩んでる時期だったので。先輩であるReolさんにいろいろ相談しながら、Reolさんの悩みも聞いたりして。

Reol:アーティストとしてどうなっていきたいか、何をしていきたいかとか。これまでやってきたことと、その結果、その後どう思ったかみたいなこととか。お互いの話を聞いて、すごくフィールしたと思える日でした。





――ツミキさんはReolというアーティストの音楽について、それまでどう感じていましたか?

ツミキ:会う前はどちらかというとシステマチックな、いい音楽を作るために合理的に近道を追求するタイプというか、そういう思想の方やと思ってたんです。でも、実際にお会いしてみたら全然そんなことなくて。そういう部分もあるけど、どちらかというと体温を感じるというか、肉体的に音楽を追求している感じがしました。で、改めて音楽を聴いてみたら、それがすごくよくわかって。その人間味みたいなところに最初はギャップを感じて興味深かったです。

――Reolさんは?

Reol:私はそれこそAyaseに紹介されたあと、家に帰ってめっちゃ聴いたんですよ。それで、けっこう自分とは音楽性は違うんですけど、言葉数の多いところとか、情報量をガッと集約して入れてくるところとか、いろんな引き出しを1曲のなかで見せたがるところとか、似ている部分を感じたんですよね。あと、世の中にすごく発破をかけてくるところとか(笑)。温厚な人柄だと思っていたので「あれ? なんかすごい尖ってる。今日会ったメンツの中で一番尖ってる」と思いました。そこがすごい好印象でしたね。

ツミキ:そうなんだ(笑)。

Reol:数年前の自分みたいだなって(笑)。物事を俯瞰で見ているところとかもすごく似ている感じがする。

ツミキ:たしかにそれは感じました。話していても、両者ともに言語化できない部分で共感覚的にわかりあえるというか。言葉になってない部分さえもなんとなく理解できるみたいなことが、出会ったときからずっとあって。だから、今回の制作もかなりスムーズに進んだのかなと。

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パワーフレーズに溢れた歌詞

――「赤裸裸」は2022年、Reolの第一発目の楽曲でした。このタイミングでツミキさんとコライトで楽曲制作しようと思ったのは?

Reol:自分よりも少し下の世代と何かしてみたかったというのがひとつ。そのなかで自分が一緒にやる意味のある人、どこか自分を投影できる人とやりたいなっていうのがありました。で、ツミキくんとは同じルーツを持っているけど、音楽的発露の仕方は全然違っていて、ツミキくんはがっつりバンドサウンドを通ってきているし、私はその時期はヒップホップとかに傾倒していたから、それが邂逅したらどうなるのかなっていう興味もあって。それと、これまで自分の楽曲のなかでギターが出てくることってほぼなかったんですけど、やっぱりこの鋭いエレキギターをかき鳴らしてほしいというのが最初のオーダーで。

ツミキ:ギターのイントロはわりと時間をかけて作りました。イントロの一発目から掴むのを意識しながら。でも、どうしてもやりたいことが多くなってしまって、どこに集約するかという議論には時間がかかったかもしれないです。

Reol:同じものを聴いて育ってきたけれど、自分たちはどういう曲を一発目にやるべきかって。だから、デモが四つに分裂したり。ツミキくんに一つ渡すと二つになって返ってくるみたいな(笑)。途中でどれかに絞ろうということになって、それが「赤裸裸」のベースになったんだよね。

ツミキ:他のアーティストとのコライトという形態自体、自分は初めてのことだったので、うまくいくかなっていう不安もなくはなかったんですけど、実際に制作が始まってみたら全然滞りなく進みましたね。僕が伝えたことがそのまま音になって返ってきて、僕も伝えられたことを反映して返すという、そのやりとりがとても自然な感じで。どこも無理せずストレスなく作れたから、やっぱり共感覚がすごい強いんだなと思いました。近いところでわかりあえるっていう。





――やはり最初は少し不安もあったんですね。

ツミキ:不安というか、自分もReolさんもすごいエゴイストだと思うので(笑)。それがぶつかり合う摩擦で素晴らしいものができるのか、もしくは全然ダメにしてしまうのか。そのどっちかだと思っていたけれど、それが前者の、素晴らしいものにできるという確信がどこかで得られたんですよね。

Reol:うん。あと、やっぱり言霊の持つ力。今回、Aメロの歌詞とかはツミキくんが書いてくれたんだけど、受け取ったときに「うわ、すごいセリフを言わせるなぁ」って思った(笑)。<びびって何も言えないだけだろう>って歌詞とか、なんか脚本をもらったような感覚で。“見世物小屋”というテーマが最初にあったからだとは思うんだけど。でも、レコーディングですごい燃えたよね(笑)。

ツミキ:アスリートみたいなレコーディングだったもんね(笑)。

Reol:2分半で終わっちゃうから、とにかく集中して歌った。速いし高いし(笑)。


Reol - '赤裸裸 / NAKED' Music Video


――歌詞はパワーフレーズのオンパレードで。でも、Reolさんがリリックを他のアーティストに委ねるのって……。

Reol:ないです。初めてです。やっぱり精神性が離れている人だったら絶対嫌だし、そもそも私は自分の思ったことは自分の声で言うべきだと思ってるんですよ。というか、そういうアーティストに私は心を揺さぶられてきたから、自分もそういうアーティストでありたいと思っているので。でも、ツミキくんだったら脳が一緒というか、「ん?」って疑問に思う部分が似ていると思った。だから、今回のテーマだったら、ツミキくんの言葉を私が歌っても、本質から離れた感じにはならないんじゃないかなと。で、「ちょっと試しに書いてみてよ」って言ったら、それがめちゃめちゃよくて。これもう私が書いたってことにしたいくらい(笑)。

ツミキ:なんでやねん(笑)。

Reol:(笑)。でもたぶん、Reolのフィールドだからツミキくんも言える言葉なんだろうなと思うんだよね。

ツミキ:うん。それはありますね。

Reol:ずっと自意識を歌っている曲なんだけどね(笑)。




――<何回やりなおしたってきっと これ以外なんかありえないわ>というところはパワーフレーズ中のパワーフレーズだと思いました。

Reol:誰でも過去を悔いることがあると思うんですよ。でも、もうこの性格なんだから「自分はこれしか選べなかったでしょ?」と思う。だからもうしょうがない(笑)。活動していると外野にとやかく言われることもあるけど、それは音楽でごはんを食べさせていただいていることの副作用みたいなものだし、やっぱり過去に立ち返って何かを選択し直せるとしても、絶対こっちしか選ばないのだろうと思うんですよね。だし、それを肯定しなきゃやってらんない。「じゃあ、ここまでの人生は全部蛇足だったってことですか?」ってなっちゃう。それは人生への冒涜だと思うから。何をやったっていいじゃないですか。死ぬまでの尺が与えられて、どんなふうに、どこに熱を注いで、どこに山を作ったって自由。たぶんいろんな人が後悔を抱えていると思うし、それは大事なことでもあるんだけど、それに囚われてほしくないなと思って書いたフレーズでした。

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戦友であり仲間

――「赤裸裸」はReolさんの2022年の活動のブースターになるような楽曲だったと思います。

Reol:そうですね。2022年、1曲目にこれをやったら、あとはもう何をやってもいいだろうっていう(笑)。

――リスナーにも驚きを持って受け入れられましたね。

Reol:ツミキくんとやること自体も「え?」みたいな感じでしたよね。特に二人の交友関係を表に見せてはいなかったので。

ツミキ:友達もびっくりしてたもん(笑)。

Reol:そうそう。全然誰にも言ってなかったしね。Ayaseにも曲ができてから報告したくらいだし。「ありがとう」って(笑)。

――リリース前にワンマンツアー【激情アラート】で1曲目に披露したというのも、この曲に対する自信だなと思ったんですよ。

Reol:この曲を作った意図が、それこそリスナーを驚かせたかったというか、さっきツミキくんも言ってたけど「なにこれ?」って物議を醸したかったからなんですよ。なので、ライブの1曲目にはもってこいだなって。

ツミキ:そのライブ、観に行かせていただいたんですけど、1曲目にイントロが流れたとき、やっぱり一瞬「知らん曲やんな?」って空気になったけど、サビではちゃんとみんなの体が揺れていて。その光景自体にも「赤裸裸」ができあがったことの感慨があって感動しました。


Reol - 赤裸裸[Live at 激情アラート Tokyo]



――ツミキさんとしては今回のコライト、どういった刺激や気づきがありましたか?

ツミキ:やっぱり共通する部分が多いなかで、自分のいいところも嫌なところも見えてきて。自分の思想は間違ってなかったんだなと思えたり。Reolさんはそういう戦友であり、ちゃんと仲間でいられる、そういう初めての友達なんで。そういう関係でこれからもいたいなと思っています。

Reol:やっぱ「赤裸裸」はすごくいい曲だし、それだけじゃなくて、次の展望が見える曲にもなったんだよね。デモが分裂し始めたときから、お互い一緒にやってみたいことがすごくたくさんあるんだなと思って。だから、ツミキくんと他の楽曲を作るとしたらこういう曲を作りたいなっていうのが、すでに私のなかに何個もある。それはすごくいいこと。まだまだ足りないって感じです。

ツミキ:ありがとうございます。また一緒に何かやりたいですね。




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