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<インタビュー>CHEMISTRY、オーケストラコンサートに向けて “化学反応(CHEMISTRY)”の先にある、深い“響き”



 2021年に20周年を迎えたCHEMISTRYが、2004年に行なった【CHEMISTRY in SUNTORY HALL~響~】以来、18年ぶりのフルオーケストラコンサート【CHEMISTRY Premium Symphonic Concert 2022】を7月27日に東京・東京文化会館、8月7日に大阪・フェスティバルホールで開催する。久々のフルオーケストラとの共演に、「どうなるか想像がつかない分、今からワクワクしています」(堂珍)、「あの独特の緊張感を皆さんと一緒に楽しみたいと思います」(川畑)と語っている二人と、栗田博文指揮の東京フィルハーモニー交響楽団、大阪交響楽団、そしてピアノの渡辺シュンスケとの“化学反応(CHEMISTRY)”の先にある、深い“響き”が楽しめそうだ。二人にインタビューし、意気込みを聞いた。

デビュー3年目で経験したオーケストラ公演。「いつものライブとは全く違う世界」

――【CHEMISTRY Premium Symphonic Concert 2022】は、2004年に行なった『CHEMISTRY in SUNTORY HALL~響~』以来、18年ぶりのフルオーケストラコンサートになりますが、当時のことは覚えていらっしゃいますか?

川畑要:めちゃくちゃ覚えています。まだデビュー3年目で、色々なことが初めての経験ということが多い中で、まさかオーケストラと歌うということは考えてもいなかったので、ビックリしたことを覚えています。もちろん難しかったし、でもすごくいい経験になりました。どの音を聴きながら自分は歌うべきかとか、指揮者の方と呼吸を合わせることを意識しながら歌った記憶がすごく残っています。

堂珍嘉邦:イントロから全然違うので、歌の景色が全く変わって、そこにいつもの言葉とメロディがあるので、それをどういう風に自分のものにするかに重点を置いて歌った記憶があります。縦のテンポ=リズムもないし、あの時は指揮者の方が呼吸するタイミングを大きめにとっていただいたりして、タイミングを取っていました。テンポを時々見失ったりしながら、いつものライブとは全く違う世界でした。

▲川畑要

デビュー20周年を駆け抜けて。「様々な編成のライブと過去曲のリアレンジを」

――2021年に20周年を迎え、【CHEMISTRY 20th anniversary Tour】では、【第一章『The Way We Are 2021』】【第二章『CHEMI×CHEMI 2021』】【第三章『This is CHEMISTRY』】と、それぞれコンセプトを変えてライブを行なってきました。今回のクラシックコンサートは、その延長線上にある特別編という感じなのでしょうか?

川畑:アニバーサリーライブの延長線上といえばそうかもしれませんが、でもそこはあまり意識していなくて。去年から今年2月の武道館まで、とにかく歌いました(笑)。これまであまり歌ってこなかった曲もフィーチャーしたり、ずっと歌ってきている歌もアレンジを変えて楽しんだりしました。今回のコンサートも何百曲かある中で、どれをピックアップしてどう料理するのか、お客さんも絶対楽しみにしてくれていると思うし、僕達も楽しみです。そういう意味ではスペシャル感があるコンサートになります。

堂珍:確かにむちゃくちゃ歌ってる(笑)。でも去年から今年にかけて、色々な編成でライブをやらせていただいて、歌い手としては非常に恵まれていることで、その機会を今回もう1回、このタイミングでいただけるのは非常にありがたいです。2月に発売したベスト盤『The Best & More 2001~2022』ではmabanuaさん、関口シンゴさん、Shingo Suzukiさん、Michael Kanekoさん、Hiro-a-keyさん、Kan SanoさんをフィーチャーしてCHEMISTRYの代表曲をリメイクしました。曲達が生まれ変わって、そういう色々なことをやってきた中でいうと、その延長線上という捉え方もできるし、オーケストラコンサート自体18年ぶりなので、チャレンジともいえると思います。

川畑:確かに挑戦という言葉が一番近いかもしれません。今回、自分の成長というか、自分の歌がどれだけ変わったかを確認したいです。あの時の感覚はすごく覚えているので、あの難しさに自分がどう対応して歌えるのか、そこでどれだけ気持ちよく歌を奏でることができるのか。そういう意味で挑戦だし、緊張感をお客さんと一緒に楽しみたいです。今からとてもわくわくしています。

堂珍:2004年の時は余裕が全くなくて、でも今回はオーケストラとセッションしているような感じで歌いたいです。アニバーサリーライブでバンドスタイルのライブをやった時に、セッションが凄く楽しくて、その感覚が忘れられないので、今度はオーケストラとセッションするような感覚で楽しみたいです。

▲堂珍嘉邦

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60名の管弦楽との共演に高まる期待。「CHEMISTRYの楽曲がお客さんの心にどう映し出されるのか」

――CHEMISTRYの楽曲は割とストリングスが入ってるものも多くて、それがよりドラマティックに、煌びやかになりそうですね。セットリストが楽しみです。

川畑:今回は2004年の時に披露した歌も数曲歌うと思いますが、それも含めて全曲新しいアレンジで披露させていただきます。60人を超えるフルオーケストラが作り上げる音によってCHEMISTRYの楽曲がお客さんの心にどう映し出されるのか、楽しみです。

堂珍:最近のCHEMISTRYのライブではサックスが入って、いつもと違う空気が生まれましたが、今回はフルオーケストラで、ストリングスだけではなく、ハープやフルートも入ってくるので、曲が本当に煌びやかなると思います。クラシックスと銘打ってやるということは、オーケストラの一つひとつの楽器が持つ歴史が鳴らす音というか、音を一発聴いただけですごくドラマティックに感じたり、何かをイメージできたりすると思います。その中でCHEMISTRYの20年の活動の中から、オーケストラの皆さんと、わくわくコラボレーションできるような曲をピックアップして歌っていきたいです。「PIECES OF A DREAM」や「You Go Your Way」もいつもとは違う響き方で伝わると思いますが、まだ想像がつかないところもあります。お客さんには始まる前も始まってからも、わくわくして欲しいです。

▲「PIECES OF A DREAM feat. mabanua」

▲「You Go Your Way」

――オーケストラに加え、CHEMISTRYのライブではおなじみのピアノの渡辺シュンスケさんもクレジットされています。2004年の時は、ギターと歌だけ、ピアノと歌だけというスタイルもありましたが、今回もバンドだけのコーナーはありそうですか?

川畑:今回はオーケストラとのセッションをたっぷり楽しんでいただきます。(渡辺)シュンスケさんが参加してくださるのは心強いし、シュンスケさんのアプローチも毎回結構違って好きなので、それがプラスされるのでとても楽しみです。

――アニバーサリーツアーも、このコンサートもコロナ禍でのライブということで、お二人の中で、今までにない感情が芽生えたりしましたか?

川畑:マスク越しでも、お客さんの喜んでくれている表情はわかるし、思いも伝わってくるのですが、やっぱり早くマスクなしで、声も出せるようになって欲しいってずっと思いながらステージに立っていました。

堂珍:僕達は配信でライブを届けるということを、割と早めにやりましたが、そういった中で、曲のその歌詞の一部分が、今日はやけに響くとかというか、離れているからこそ届けられたかもしれないと思う瞬間がありました。でも配信ライブに限らず、昨今のライブではその感じは常にあって、「どうしてここでこの言葉がすごく強く飛びこんでくるんだろう」って思うことがあります。僕達も含めてみんなが何かしらの不安を抱えていると思います。世界的にも不穏な空気が流れていて、そういう空気を食らって、浴びて、そういった中での20周年だったので、ひとつひとつが結構、逆に味わい深いというか、そういう感覚になりました。

それぞれの思い。「20年やってきたことが本当に財産」「人との出会いが音楽に繋がる」

――これからのCHEMISTRYはどこを目指すのか教えて下さい。

川畑:20周年で過去曲をリメイクしたり、今まであまりスポットライトを当てこなかった曲も掘り起こして披露したり、過去を振り返って見つめることは十分やったので、次はやっぱり現在と未来を感じてもらえる新しい作品をまず作りたいです。そしてライブを重ねていって、色々なことにチャレンジしながらも、地に足がついた動きをCHEMISTRYではやっていきたいです。ソロでもどんどん新しい音楽を貪欲に追求していきたいです。

堂珍:すごくいい状態で20周年を迎えられて、先日対バンライブも行いましたが、そこでもすごくいい刺激をもらえたり、僕達の音楽を聴いて「初めてCD買いました」というお客さんのリアルな言葉が聞けたり、やっぱりこの20年やってきたことというのは本当に財産だと思えました。だからこそ、やっぱり楽しく歌っていたいし、それにはどうすればいいのかということを一番に色々と考えて、提示していきたいです。CHEMISTRYとして歌う、役者として演じる、全部が大事なので、欲を言えば365日毎日公演があればいいなって思います。それしかできないというか、他のことができないので。でも体調管理が大変そうですけど(笑)。

――アウトプットが続いた時、インプットするために何をしていますか?

堂珍:やっぱり人との出会いが大きいです。その人が音楽をやっていてもそうじゃなくても面白い人と出会うことで、何かやりたくなるし、結果的にそれが音楽に繋がるというのがベストです。

川畑:元々好きなこと、やりたいことは迷わずやる性格なので、音楽以外のこともたくさんやっているし、そういう時間が自分にとってインプットになっているのかもしれないですね。とにかく色々なことを楽しんでやっていきたいです。

エピローグ

 このインタビューからしばらくして、オーケストラアレンジを施された演奏予定曲を聴くことができた。もちろん二人の歌は入っていないが、「for…」はよりメロウになり、音を聴いているだけで胸に込み上げてくるものがある。それは「砂の扉」も同じだ。原曲もそうだが切なさがさらに広がっていくようだ。弦楽器はもちろん、管楽器が哀しさを伝えてくれる。「月夜」は男の“未練”部分がさらに薫り立ってくるようなオーケストラのアレンジで、ここに二人のハーモニーが重なると、どこまでドラマティックになるんだろうと想像してしまう。「almost in love」もフルオーケストラの雄大な音が、メロディの繊細なニュアンスを、より際立たせる。ここまでしか紹介することができないが、この曲達に二人の声が重なり、音と共鳴し、深い“響き”が生まれ、感動の波が客席を包み込んでいく――そんな想像の上をいく感動が生まれる一夜になる。

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