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【特集】日米ビルボードを席巻!TOMORROW X TOGETHERの軌跡をたどる



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 2021年5月31日に世界リリースされたTOMORROW X TOGETHERの韓国2ndアルバム『The Chaos Chapter: FREEZE』が日米ビルボード・アルバム・チャートで輝かしい成果を収めた。韓国では昨年10月に発表したミニ・アルバム『minisode1 : Blue Hour』以来の新作になり、世界の襲撃に立ち向かう少年のストーリーをコンセプトにした、一回り成長した彼らの最新形に注目が集まっている。

 国内外で着々とファンを増やし続けているTOMORROW X TOGETHERの軌跡を、チャート・アクションとともに振り返ろう。

デビュー時からグローバルに活躍

 SOOBIN、YEONJUN、BEOMGYU、TAEHYUN、HUENINGKAIから成るTOMORROW X TOGETHERは、2019年3月にBTSが所属するHYBE(旧Big Hit Entertainment)からデビューした。当時のBTSと言えば、【第61回グラミー授賞式】に韓国人グループで初めてプレゼンターとして登壇したり、海外トーク番組に出演したり、全米ツアーを成功させたりと、世界的な活動が目立ちはじめていた時期で、TOMORROW X TOGETHERもBTSと同じ事務所所属としてデビュー前から注目を集めていた。

 グループ名には“それぞれ違う君と僕がひとつの夢で集まって共に明日を作って行く”という意味が込められ、グループの成長はメンバーの努力の賜物であるのと同時に、MOA(Moments of Alwaysness:ファンの愛称)あっての5人という、まさにニコイチの関係が大きなシナジーを生んでいる。


▲「9 and Three Quarters (Run Away)」


▲「Can't You See Me?」

 TOMORROW X TOGETHERは、デビューからわずか2か月後に全米5都市で開催された初海外ショーケースをソールドアウトさせ、海外メディアにも英語で出演するなど、キャリア初期からグローバルな活動をスタート。日本では、2019年8月27日に開催された【関西コレクション 2019 AUTUMN & WINTER】で初来日し、9月7日の【マイナビ presents 第29回 東京ガールズコレクション 2019 AUTUMN / WINTER】で披露した日本初パフォーマンスで会場を沸かせた。




▲Photos by Yuma Totsuka

 TOMORROW X TOGETHERが現在までに発表した作品は計8作品(韓国フル・アルバム2枚、韓国ミニ・アルバム3枚、日本アルバム2枚、日本フル・アルバム1枚)。韓国の音楽メインチャートであるGAONチャートで度々1位を獲得し、Billboard JAPAN総合アルバム・チャート“HOT Albums”では『STILL DREAMING』(2021年1月27日公開)、『The Chaos Chapter: FREEZE』(2021年6月16日公開)がともにトップに立っている。前者は初週セールス96,835枚、後者は韓国盤ながら初週75,699枚を売り上げるなど、国内ファンの支持率も高いことは確かだ。

 その流れはアメリカでも見られ、ユニット内訳96%を占める初動セールス39,000枚、そしてアルバム・ストリーミング週間再生数642万回を記録して、『The Chaos Chapter: FREEZE』はビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で初登場5位にチャートイン。これまでの最高位だった『minisode1 : Blue Hour』(2020年11月21日付チャートで25位)を大きく更新し、自身初のトップ5入りを果たしたのだ。この記録はデビュー3年目のK-POPグループの成績では歴代最高記録であり、今年に入って現在までK-POPアーティストのアルバムが“Billboard 200”で記録した最高順位でもある。アルバムやトラックの売上、ラジオオンエア、ストリーミング、SNSのバズを総合して形成するアーティスト・チャート“Artist 100”では、こちらも自己最高位となる6位に付くなど、好調なチャート・アクションを記録した。

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多彩なアーティストとコラボ

 ここからは『The Chaos Chapter: FREEZE』の収録曲にポイントを置いて解説しよう。今回は“カオス(混沌)”をコンセプトにした8曲が制作された。世界襲撃にフリーズしてしまう少年の物語だ。「The Dream Chapter」では友人に囲まれながらアイデンティティを見つけていく少年の成長を『The Dream Chapter : STAR』(2019)、『The Dream Chapter: MAGIC』(2019)、『The Dream Chapter: ETERNITY』(2020)の3作品を通して描いたが、「The Chaos Chapter」では、世界の襲撃により凍ってしまった少年が特別な存在と出会い、愛という感情を取り戻していく、という内容だ。


▲コンセプト・トレイラー

 今年5月にそのコンセプトを映像化したトレイラーが公開。モールで遊んでいた5人に突如ひょうが襲いかかり、氷を蹴ったり、逆回しでジャケットを着たり、凍ったエスカレーターを滑り落ちたりと、CGをふんだんに盛り込んだアクションと高度なダンスに圧倒されてしまう。抗えない自然の力に5人はしまいに凍ってしまうが、瞳の奥には人らしき姿が光り輝き、一筋の希望を残して、映像は終了。アルバムを通して聞くとその女性がリード曲「0X1=LOVESONG (I Know I Love You) feat. Seori」の“1”であり、「Magic」で少年に命を吹きこむ“魔法のタッチ”を差していることに気づく。

 メンバー全員が楽曲制作に参加している点もそうだが、国境やジャンルの壁が薄くなってきている今の音楽シーンに合わせて、TOMORROW X TOGETHERもダイバーシティ化を目指して、様々なアーティストとコラボレーションして、その音楽センスを磨き、限界を広げている点が、前作シリーズから彼らを大きく成長させたポイントだろう。新人アーティストのSeoriを迎えた「0X1=LOVESONG (I Know I Love You) feat. Seori」には、米シンガー・ソングライター/ラッパーのMod Sun(アヴリル・ラヴィーンと交際中でも話題)、ミーク・ミルの全米No.1アルバム『Championships』(2018)にも参加したロサンゼルスを拠点にするプロデューサーのNo Love For The Middle Child、そして事務所の先輩であるRM(BTS)がソングライティングに関わっている。K-POPでは珍しいロック色の強い楽曲で、BEOMGYUは「異なるジャンルを経験できるのは、アーティストとして楽しい。MOAに僕たちの成長した姿を見せることができて誇らしい気持ちでいる。」と『J-14 Magazine』のインタビューで語る。0か100、天国か地獄のどちらかしかないような厳しい世界で、底の見えない愛の穴に落ちてしまった少年が愛を懇願する究極のラブソングと筆者は読み取る。軽快なスタートダッシュと相反して歌詞は憂鬱で、<I know I love you>の激しいシャウトと、愛に溺れ死ぬ覚悟を持つ少年にとって唯一の救いと呼べそうなSeoriの優しいヴォーカルが美しく混ざり合う。0×1はゼロでしかないが、何もない世界で、少年をそんな空虚な世界でも生きたいと思わせる唯一の存在に愛をぶつける愛の歌だ。


 「0X1=LOVESONG (I Know I Love You) feat. Seori」に続いてリリースされた「Magic」では全編英語詞のディスコ・ポップに挑戦。メンバー曰く発音に気を付けながら、ライブでオーディエンスと一緒に手を叩くといった動作を念頭に振り付けもしたという。思えばTOMORROW X TOGETHERは【2020 Mnet ASIAN MUSIC AWARDS】でディスコをテーマにしたパフォーマンスを行っており、その時からすでにディスコモードに入っていたのだろう。


 そのほか、愛の痛みを歌ったオープニング・ナンバー「Anti-Romantic」、COVID-19後の世界を舞台に、ルールがない世界で暮らすことになったティーンエイジャーたちの戸惑いを題材にした「No Rules」、最年少メンバーのHUENINGKAIが初めてプロデュースしたという「Dear Sputnik」、少年の抗えない運命を隠喩的に描いた、中毒性の高いビートが印象的な「Frost」など、実にバラエティ豊かな8曲が揃っている。最後に余談ではあるが、TOMORROW X TOGETHERは韓国の放送局tvNでオンエア中で、10月にMnetで日本初放送が決まっているTVドラマ『ある日、私の家の玄関に滅亡が入ってきた(原題)』に「Love Sight」を提供。『The Chaos Chapter: FREEZE』の収録曲とは一味違うバラードで、こちらもTOMORROW X TOGETHERの魅力を味わえる一曲だ。

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