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2018/09/18 12:00

「今後はハートブレイクについての曲ばかりじゃなくなるよ(笑)」―1Dナイルやサム・スミスも魅了する新星、ルイス・キャパルディ初来日インタビュー&サイン入りポラプレゼント

 恋人との別れを歌った悲痛なラヴ・ソング「Bruises」でデビューし、レコード契約のないアーティストとしてSpotifyで2500万回再生を最速で達成したスコットランド出身の現在21歳のシンガーソングライター、ルイス・キャパルディ。2017年10月には、待望の 1st EP『ブルーム』を発表し、ワン・ダイレクションのナイル・ホーランやサム・スミスが自身のツアーのオープニング・アクトに抜擢するなど、ヨーロッパを中心にじわじわと人気が広がっている。

 今年7月には【FUJI ROCK FESTIVAL '18】で初来日を果たし、そのハスキーな歌声と渋いギタープレイで、大入りとなった<RED MARQUEE>を沸かせた。ここでは、歌い手として驚異的な表現力を持つこの若き新星の初来日インタビューをお届け。楽曲からは想像できない、やや自虐的でユーモラスなキャラもナイスな彼が、その生い立ち、特徴的なハスキー・ヴォイスの誕生秘話と気になるデビュー・アルバムについて話してくれた。

◎日本での初ライブを終えたばかりですが、まず感想を聞かせてください。
ルイス・キャパルディ:いいライブができたと思うよ。観に来てくれた人たちは、ものすごく礼儀が正しかったね。これは、昨日ポスト・マローンを観た時にも思ったよ。曲が終わる度に拍手が鳴って。日本に来る前にオーストラリアでライブをしたんだけど、彼らは曲の合間に色んなことを叫んだりするのが好きみたいで……。それはそれで楽しいけど、静かなのもクールだ。いいヴァイブだったよ。

◎ルイスの音楽はそこまでアップビートではないので、みんな聞き入っていた部分もあると思います。
ルイス:そうだね。ちゃんと聴いてくれているというのは、嬉しいね。曲に合わせて手拍手もしてくれていたし。

◎他のアーティストのライブを観る時間はありましたか?
ルイス:昨日、ポスト・マローンを観ただけだな。あと数時間後には東京に戻って、明日は1日オフがあるから色々見て回れたらと思ってる。台風が来てるんだよね?台風を経験するのは初めてだから、どんな感じなのか気になるね。でも元々僕あまり観光客ぽいことしないんだよね。よく仕事でロンドンに行くんだけど、バッキンガム宮殿とかビッグ・ベンとか一度も行ったことないんだ。いつも仕事場と泊っているところを行き来するだけ(笑)。バンドのメンバーは観光が好きだから、よく色々な場所に行ってるみたいだけど。

◎バンドの話が出たので…先ほどのライブを観て気になっていたのですが、キーボード/ベース、そしてパッド担当に加え、ルイスという不思議な3人編成でしたよね。
ルイス:イギリスで演奏する時は、5人編成のバンドで演奏しているけど、予算の問題で海外では編成を最小限にしているんだ。ライブの編成によって、演奏も変わってくるからチャレンジではあるね。昔は、ピアノまたはギター、そしてヴォーカルのみでパフォーマンスしていた。数か月間は、それでも良かったんだけど、次第に飽きちゃって。どの曲も同じに聴こえてくるから(笑)。曲がアップビートじゃなくても、グルーヴがあるから、それを表現するために他のメンバーも必要だった。まぁでも、今のところうまくいってて、ものすごいヘマをしたことはないよ。

あ、そうだ。今日演奏したステージのスタッフはとっても優秀で仕事が早くて驚かさせられたよ。馬鹿みたいな発言に聴こえるかもしれないけど、どのフェスもそうかと言ったらそうじゃないから。すごくしっかりしたスタッフで、サウンドも素晴らしくて、最高だったよ。

◎では少し遡って、ルイスの生い立ちについて訊きたいのですが、シンガーソングライターになりたいと思ったきっかけは?確か、お兄さんがバンドマンだったんですよね。
ルイス: そう。彼は15歳の時から音楽をやっていて、ずっとバンドマンだ。その影響で、僕は9歳の時に音楽を始めた。ライブをやり始めたのは11~12歳位なんだけど、本気でミュージシャンになりたいと思ったのは、14歳ぐらいの頃かな。その頃、パオロ・ヌティーニというスコットランド人歌手の大ファンだったんだけど、彼の2ndアルバム『サニーサイド・アップ』がとにかく素晴らしいと思って、ソングライターを志すようになったんだ。別に大スターになりたいとは思ってなかったよ。音楽を演奏して、お金がもらえればいいな、って。結婚式で演奏するようなバンドでも、音楽の先生でも構わなかった。まぁ、今からでもなる余地はいくらでもあるけどね(笑)。だから、日本でライブをやるなんて思ってみなかったし、今起こってることはおまけでしかないよ。

◎当時はどんな場所でライブをしていたんですか?
ルイス:地元のパブとかだよ。ブッキングは、バンドをやっていたこともあって、兄に頼んだ。僕がまだ11歳だということは内緒でね。そんなに若いとパブに入れないから。だから出番まで毎回トイレに隠れてたんだ。大体出番は一番最初だったから、時間になったらトイレから飛び出して、ステージに上がって演奏して、そのままパブを後にした。ステージに上がって曲を演奏し始めたら、つまみ出されないからね。とはいえ、毎回うまくいったわけではなくて、何度かつまみ出された経験はあるよ。

◎お兄さんのようにバンドで活動しようとは思わなかったのですか?
ルイス:過去に何度か所属していたよ。ソングライティングのいい練習になったと思う。一人で曲を書くと、どうしてもアコースティック調になってしまうから。インディー・ロックっぽいバンド、もう少しヘヴィーでラウドなバンドにいたんだ。今後、バンドに所属する可能性だってないとは言えない。でもやっとソロ活動が軌道に乗ってきたから、このまま続けてみようと思ってる。

◎ルイスのハスキーで渋いヴォーカルは、どのように生まれたのですか?幼い頃からこの声だったわけではないですよね?
ルイスまさか~(笑)。このしゃがれ声で歌いだしたのは、15歳の時にジョー・コッカーによるビートルズの「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」のカヴァーを聴いて、彼のようなハスキーなヴォーカルになりたいと思い立ってから。あぁいう風に歌おうと、一所懸命練習した。多分その過程で、やや声帯を損傷したような気がするけど。元々僕の声はとても澄んでいて、ストレートだったんだ。今ジョー・コッカーのような声か、と言ったらそうではないけど、やや近づいたとは思うんだ。

◎自分がなりたいアーティスト像みたいなものはあるんですか?
ルイス自分のことをアーティストと呼ぶなんて、すごく気が引ける。 僕はただ曲を書いているだけ。アーティストというと、なんだか……。

◎崇高な感じ?
ルイス:うん。まだ自分がなりたいソングライターからは程遠いな。今、作っている音楽は大好きで、自分が聴きたいと思えるものではあるけど。何歳になっても成長する余地があって、学ぶことがある。好きな音楽も変わっていくし、それに合わせて自分も変化し、前進したいと思っている。新しいサウンドや要素をレパートリーに加えながら。

◎気になるデビュー・アルバムの進捗はどんな感じですか?どれぐらい曲を書いたのですか?100曲以上とか?
ルイス: いや、もっとだよ。300曲以上書いてる。一応出来上がってはいるんだけど、もっといいものができるんじゃないか、ってすぐに思っちゃうタイプだから。レコード・レーベルに言わせれば完成してるんじゃないかな。でも、僕はまだだな、と思ってる。この後アメリカに飛ぶんだけど、ショーの合間にできるだけ色々な人と曲作りをする予定なんだ。リリースにはきっと間に合うと思うから、まだ何かが自分の中に残っていないか知りたいんだ。来年初頭にはリリースできると思うよ。

◎ルイスが書く曲は、主にハートブレイクを題材にしていますが、何かこだわりがあるのでしょうか?
ルイス:最近は、もう少しテーマを広げることを試みている。ミュージシャンとしての生活やその浮き沈みについてとか。僕はただ自分がその時に経験していることを書いているだけなんだ。だから今後はハートブレイクについての曲ばかりじゃなくなるよ(笑)。これはいいことだね。

この間、ジョエル・リトルとセレーナ・ゴメスの新曲に携わっているマイカ・プレムナスと一緒に書いた曲は、ある日は「自分が最高」って思うけど、それに伴い自信喪失する日もあるという感情の浮き沈みについてのもの。ロードの「ロイヤルズ」でここ10年間における最大のヒットの一つを放ったジョエルとセレーナ・ゴメスなどのビッグ・アーティストを手掛けてるマイカ、そしてまだ駆け出しの僕というキャリアにおいて全く異なるフェーズにいる3人とも、同じ経験をしたことがあって、その感情を共有できた。それが曲になったというのは、とても興味深くて、真新しい経験だった。

◎デビュー前は主に一人で曲作りをしていたと思いますが、近年ではほぼコライトですよね。
ルイス楽しんでるよ。昔は自分についての曲を書くのが好きじゃなかった。だから、その日に観た映画や友人、あとは自分で作り上げたストーリーについて書いていた。皮肉なことに、コライトをし始めてから自分について書くようになったんだ。ソングライターの人と部屋に入ると、まず「今、君の人生ではどんなことが起こっているの?」と問われる。

◎まるでセラピー・セッションのようですね。
ルイス:本当にそうなんだよ。30分前に初めて会った人に、紅茶を片手に、自分のことを話さなければならない。最初の何回かは、「え、ちょっと待って。そんな急に無理」と思ってたけど、彼らは巧みにそれを引き出していくんだ。特に、毎日違うアーティストと一緒に仕事をしているような売れっ子の人は、その人特有のユニークさを出したいから、それがうまいんだと思う。自分ながら、シームレスな移行ができてビックリしているんだ。苦労すると思っていたんだけど。

◎自分と歳が近いライターと仕事をする方が、書きやすいと感じますか?
ルイス:それは特にないかな。それより、自分のその日のムードに左右されることの方が多いね。数々の素晴らしいソングライターと仕事をするようになって、同じ部屋にいれるだけで光栄なのに、その日は気分が乗らなくて、何も提供できないこともあるんだ。歳は関係ないよ、だってみんな多少は同じを経験するからね。

◎アルバムのサウンド面において、目指している方向性などあれば教えてください。
ルイス:バラードやミッドテンポのものばかりにするのは嫌なんだ。とはいえ、リリースされて聴いた時に、バラードばっかりじゃん、と思われるかもしれないけど(笑)。曲をとにかく明確にしたかった。デリケートで、アコースティックな瞬間もあれば、ストリングス、シンセ、ベース、ギターを加えたプロダクションをフルに生かした瞬間もある、包括的な作品にしようと試みてる。制限なしで、何でもトライしたいと思っているんだ。

◎わかりました。今後の予定を分かる範囲で教えてください。
ルイス:夏のフェス・シーズンが終わったら、主にキャパ2,000人位の会場で、過去最大規模のUKとヨーロッパ・ツアーをやる予定なんだ。一日一日を着実に進むのみ。だって、来週どこに行くのか聞かれてもわからないぐらいだから(笑)。曲もちょこちょこ発表して、来年にはアルバムもリリースする予定だから、楽しみにしてるよ。すべてがうまくいくことを願うのみだね。

◎では最後にルイスの夏の1曲を教えてください。
ルイス:自分の曲でもいい?

◎構わないですよ。
ルイス:じゃあ、ルイス・キャパルディの「Tough」。それと、The 1975の「Love It If We Made It」。すごくいい曲だと思う。でも、それより僕の「Tough」を聴いてね(笑)!


◎プレゼント情報
抽選で2名様に取材時に撮影したルイス・キャパルディのサイン入りポラロイド写真をプレゼント
<応募方法>
01.Billboard JAPANの公式twitterアカウント(@Billboard_JAPAN)をフォロー 
02.インタビュー記事をRTで応募 
※応募締め切りは、9月27日(木)正午となります。
※当選者の方には、@Billboard_JAPANよりDMを送ります。当選時に同アカウントをフォローされていない場合、当選は無効となります。

<受付期間> 2018年9月18日(火)~27日(木)12:00

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