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2025/04/08 13:15

<インタビュー>リュウ・レン(劉恋)が語る、“あなた”から“わたし”へ変わることと椎名林檎への憧れ【Billboard China HER VOICE】

 ビルボード・チャイナによる、女性ミュージシャンたちがその世界観や、音楽を通して自分の内面をどう表現しているかを語る独占インタビュー・シリーズ【HER VOICE】。記念すべき初回は、30歳以上の女性アーティストにフォーカスしたオーディション番組『Sisters Who Make Waves』で注目を浴びたシンガーソングライター、リュウ・レン(劉恋)のインタビューをお届けする。

 「舞踏会の終わりにも、あなたはまだそこにいるだろう」

 これはリュウ・レンが2021年の誕生日に発表した楽曲「Be Present(在場)」の冒頭の一節であり、彼女の歩みを象徴する言葉だ。27歳のとき、彼女は「自分の存在を確かめる」ため、そして「自己価値や存在感に対する不安に向き合う」ために、誕生日ソングを作り始めたという。

 当時の彼女は、「パーティーが終わってもなお、そばにいてくれる“あなた”」を願っていた。しかし年月が経つにつれ、“永遠”を望んでいた彼女は成長し、自らの視点を持つようになり、やがて「パーティーの観察者」へと変化していったのだ。

 自分自身を象徴するサウンドバイトを一つ選ぶとしたら? と尋ねられたとき、彼女はすぐに「“舞踏会の終わりにも、あなたはまだそこにいるだろう”という歌詞があります。でも今は、“あなた”を“わたし”に変えたいと思っています」と答えた。


――「女性でよかった」と実感する瞬間があれば、それはどんなときですか?

ほとんどいつもそう感じています。だから特定の瞬間を挙げるのは難しいですね。それはずっと続く感覚のようです。

――もし歴史上の女性ミュージシャンと話せたら、誰と話してみたいですか? どのようなことを聞きたいですか?

椎名林檎さんです。正直に言うと、何を話したらいいのかわからないかもしれません。深く尊敬している人に会うと、言葉が出なくなってしまうことってありますよね。以前リンキン・パークにインタビューしたときもそうでした。事前に質問を用意していなければ、言葉を見つけるのに苦労したと思います。

椎名さんの創作プロセスにとても興味があります。もちろん、そうした部分をすべてを会話で理解することはできないと分かっていますが。それでも、彼女が直面してきた困難や、創作の壁をどう乗り越えてきたか、どのように長年にわたって芸術的なエネルギーを保ち続けているのかを知りたいです。

また、彼女の普段の生活、たとえば自由時間に何をしているのか、友人とどんな話をするのかなども垣間見てみたいです。そうすることで、彼女の人間らしさも感じられると思います。

――最新アルバムの中で、おすすめしたい曲やショート・フィルムを1つ挙げるとしたら? その理由も教えてください。

本当にたくさんあって迷いますが、1つ選ぶとしたら「Split(有糸分裂)」という楽曲とそのショート・フィルムをおすすめします。視覚障害の女性が、何年も経ってから自分を人身売買した父親と再会するという、心を打つ内容です。物語としても完成度が高く、深く感動させられます。

この曲は、自分自身の経験をもとにしています。自己否定や失敗を知る人が、再び立ち上がり、逆境の中で咲いていく姿を描いています。元気や勇気が欲しいときに、ぜひ聴いてほしい一曲ですね。


Interview & Text:Billboard China
Photo:Courtesy of Liu Lian/Billboard China