2025/03/08 18:00
ニュー・オーダーの8年ぶりとなる単独来日公演が、2月25日に大阪・ZEPP NAMBAにて、2月27日に東京・有明アリーナにて開催された。本稿では、サポートDJにマーク・リーダー、スペシャル・ゲストに電気グルーヴを迎え、贅沢なエレクトロニック・サウンドに包まれた東京公演をレポートする。
70~80年代のポスト・パンクやニュー・ウェイヴを代表するバンドとして時代を駆け抜け、今もなお活動を続けるニュー・オーダー。ふんだんに取り入れられた電子音とロックでメロディアスなバンドサウンドをミックスさせたスタイルは、数多のリスナー、音楽シーンに多大な影響を与え続けてきた。前身のバンドであるジョイ・ディヴィジョンも含めて、歴史に名を刻む彼らの貴重なパフォーマンスを観るべく、当日は多くのファンが有明アリーナに集った。
彼らの本公演がスタートする前に、まずはマーク・リーダーによる華麗なDJプレイが披露された。電気グルーヴ「虹」のリミックスが放たれるなど、ダンサンブルなサウンドが会場を一気に温めていく。続いて、そのバトンを受け取るかのようにステージに現れた電気グルーヴ。ユニット結成のきっかけともなったニュー・オーダーを後に控え、「人間大統領」「Shangri-La」「モノノケダンス」などの名曲を次々に披露していく。そして、石野卓球が「40年前の高校生の時、こんな日が来ると思わなかったぜ!最高だぜ!」という歓喜のセリフを言い放ち、ニュー・オーダーが曲名の由来となっている楽曲「N.O.」へ。メモリアルなシーンを経て、観衆のテンションはすでに高揚を見せている。彼らはメインとなるニュー・オーダーに向けて、最高の流れを紡いでくれたのだった。
期待感が高まる中、ついにニュー・オーダーがステージに登場。歓声が鳴り響き、前身のバンド=ジョイ・ディヴィジョンの「Transmission」でスタートを切った。同曲はポスト・パンク的でシンプルなサウンドを纏った、後世に語り継がれてきた伝説的ナンバーだ。連続的に弾かれるベースとスピード感溢れるドラムに体が揺れ始める。23歳で命を絶った亡きボーカリスト、イアン・カーティスのパフォーマンス映像を誰しもが思い浮かべながら、彼らの演奏を集中して聴き入っていた。続いて、ロック色の強めなギターが印象的な「Crystal」、バンド初期の名曲「Ceremony」「Age of Consent」を立て続けに披露。空間は完全に彼らの世界観に覆われ、観衆はそれに引き込まれていく。軽快なサウンドの中から何となく感じるメランコリックな雰囲気が、彼らの魅力の1つだとあらためて思う。ボーカル=バーナード・サムナーのどこか物憂げで特徴的な声、前面に押し出たベース、度々重なり合うストリングスシンセなど、様々な要素の融合が化学反応を起こし、独特な世界観を構築しているのかもしれない。
比較的ロック色の強いナンバーが演奏された序盤を経て、壮大なスケール感のシンセサイザーの旋律が特徴的な「Your Silent Face」が奏でられる。1983年リリースの名盤『Power,Corruption & Lies(邦題:権力の美学)』に収録されている同曲からは、時代の雰囲気を纏った陶酔感溢れるサウンドを存分に感じることができた。続いて、バーナードのMCを挟み、「State of the Nation」へ。1985年に日本のスタジオでデモ録音された楽曲で、なんと約38年ぶりにライブで演奏された(25日の大阪公演でも演奏)。ファンにとって、本公演におけるメモリアルなハイライトシーンとなったに違いない。そして、スリリングかつダンサンブルな同曲はまさにライブに適していた。その後もさらにエレクトロニックな楽曲が続いていく。「Be a Rebel」「Sub-Culture」の後に繰り出されたのは、代表曲の1つ「Bizarre Love Triangle」だ。キャッチ―で煌びやかなシンセサイザーの音色が重なっていき、もう身体を動かさずしては聴いていられない。次々に降り注ぐ電子音。すでに会場全体がマンチェスター・ムーブメントさながらのダンスフロアと化していた。
とどまることの知らない熱気と多幸感。ライブはいよいよクライマックスへと差し掛かる。往年の人気曲「True Faith」の演奏が終わると、間髪入れずにドラムマシンによるキックの音が鳴り響く。彼らを代表する歴史的名曲「Blue Monday」だ。エレクトロニックやサンプリングといった音楽カルチャーに限らず、多方面に影響を与えたであろう同曲。聴くことを待ち望んだオーディエンスはリズムにノリ始め、何度も大きな歓声が巻き起こる。いつまでも感じていたい享楽的でリズミカルなサウンド。オーディエンス全員が、生で「Blue Monday」を聴くことができた嬉しさを噛み締めたことだろう。盛り上がりが最高潮を迎える中、最後は「Temptation」を披露。怒涛のように名曲を繰り出し、バンドはステージを後にした。しかし、会場の鳴り止まないアンコールに応え、彼らは再びステージにカムバック。ジョイ・ディヴィジョン時代の「Atmosphere」、そして「Love Will Tear Us Apart」を届けてくれた。
新旧問わず、数多くのナンバーを繰り広げてくれたニュー・オーダー。彼らの輝かしいキャリアを通じて生み出されてきた楽曲の数々に、老若男女が浸り、そして踊っていた。彼らの魅力は何なのかを考えてみると、当時のシーンのパイオニア的存在であることやポップで革新的なサウンド面はもちろんのこと、バックボーンも含めて、唯一無二の世界観を表現していることかもしれない。そして、彼らは変わることなく、今も確かな存在として人々を魅了し続けている。
Text by Yutaro Takahashi
Photo by Warren Jackson
◎公演情報
【ニュー・オーダー来日公演】
2025年2月27日(木)東京・有明アリーナ
スペシャル・ゲスト : 電気グルーヴ
サポートDJ : マーク・リーダー
<セットリスト>
1.Transmission
2.Crystal
3.Ceremony
4.Age of Consent
5.Isolation
6.Krafty
7.Your Silent Face
8.State of the Nation
9.Be a Rebel
10.Sub-Culture
11.Bizarre Love Triangle
12.Vanishing Point
13.Plastic
14.True Faith
15.Blue Monday
16.Temptation
(Encore)
17.Atmosphere
18.Love Will Tear Us Apart
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