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2022/01/05 14:15

映画『クレッシェンド 音楽の架け橋』のモデルとなった紛争地のオーケストラの活動とは

 1月28日から公開される映画『クレッシェンド 音楽の架け橋』は、“世界で最も解決が難しい”とされる紛争で今この時も闘うパレスチナとイスラエルから、音楽家を夢見る若者たちを集めてオーケストラが結成される物語で、実在の管弦楽団へのインスパイアから生まれたという作品。和平コンサートが目前に迫った21日間の合宿で、激しく憎しみをぶつけ合う団員たちの対立と葛藤、恋と友情をクラシックの名曲が彩る。若者たちを導くマエストロを演じるのはペーター・シモニシェック。

 モデルとなった実在の楽団とは、現代クラシック音楽界を代表する巨匠指揮者ダニエル・バレンボイムと、彼の盟友の米文学者エドワード・サイードが、中東の障壁を打ち破ろうと1999年に設立した和平オーケストラだ。ゲーテの著作のタイトルから「ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団」と名付けられたその楽団には、2人の故郷であるイスラエルとパレスチナ、アラブ諸国から若き音楽家たちが集い、「共存への架け橋」を理念に、現在も世界中でツアーを行なうなど活動を続けている。バレンボイムは、現代音楽界で最高峰の指揮者・ピアニストであり、現在、ベルリン国立歌劇場音楽総監督も務める人物。昨年6月、約16年ぶりに来日ピアノリサイタルを行った際にはチケットが即完売となるほど、日本でも高い人気を誇っている。

 敵対する民族の若者たちが集まっていたこの楽団では、日中はオーケストラのリハーサル、夜にはワークショップやディスカッションを行なった。政治論争ではなく、音楽や文化について、できるだけ対話を促したいという想いがあったそうだ。プログラムの中では、対立するシリア人の少年とイスラエル人のチェロ奏者が隣り合わせになって譜面台を共有していたという。「彼らは同じ音を、同じ強弱で、同じボーイングで、同じ響きで、同じ表現で演奏しようとしていた。」「彼らはもうおたがいを前と同じように見ることができなかった。共通の体験を分け合ったからだ。これこそが出会いの大切さだと僕は思う」とバレンボイムはインタビューで語っている。(『バレンボイム/サイード 音楽と社会』みすず書房より)

 同作でもそのスピリットは受け継がれ、オーケストラの楽団員たちは、激しくぶつかり合いながらも、譜面台を共有し、さまざまなワークショップに取り組んでいく。劇中で楽団員を演じた者の中には、実際にウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団に所属する奏者もいたという。

 あわせて新場面写真も解禁。楽団員たちに熱心に指導する指揮者スポルクの姿や真剣な眼差しで演奏する若者たちの様子が捉えられている。


◎映画情報
『クレッシェンド 音楽の架け橋』
2022年1月28日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国公開
監督:ドロール・ザハヴィ
主演:ペーター・シモニシェック
上映時間:112分
配給:松竹

(C)CCC Filmkunst GmbH

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