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2021/09/24

現インディシーン最高のストーリーテラー、アンディ・シャウフが新作『Wilds』発表

 現代インディシーン最高のストーリーテラーの一人、アンディ・シャウフ(Andy Shauf)がニューアルバム『ワイルズ(Wilds)』の配信を開始した。11月5日にはボーナストラックを追加収録した日本盤CDもリリースされる。

「才能あるシンガーソングライター。また、それ以上に、優れたストーリーテラーでもある」~NPR Music

 アルバム『Wilds』は、高い評価を得た前作『The Neon Skyline』(2020年)の制作過程でレコーディングされた約50曲の中から9曲を集めた作品。収録曲はほぼ無濾過の状態で収録されており、執筆していた当時のシャウフの心境をより明らかにしている。『The Neon Skyline』の関連作品として解釈することができ、運命的な恋人たちの関係をさまざまな角度で再現している。

 すべての楽器を演奏するシャウフは、その場でアレンジを考え、最も初期の状態の曲をトロントのスタジオで「小さなテープマシン」に収録。シャウフが『The Neon Skyline』の物語の中心をバーでの一夜に置くというアイデアに嫌気がさしていた時期に、緊密に書き上げられレコーディングされたものだ。

 シャウフは作家としての行き詰まりを追い払うため“ジュディ”という女性をテーマにした曲を書き、別のコンセプトで実験を始めた。最終的には当初の計画に戻ることにしたが、このクリエイティブな試みが『The Neon Skyline』を生み出すベースとなった。

 概念的なストーリー展開から解き放たれたシャウフが書いた曲は、いかに個人的な感情を持っているかがわかる。先行公開された「Jaywalker」はゆったりとしたバラードで、自分がどこに向かっているのか分からず道を渡った人物が、曲の終わりには病院でひとり目を覚まし、車を運転する夢を見たジュディが一体何が起こったのかわからないと話す。つまりは、人生を彷徨う迷子の経験(「Hanging around town never looked on you」)、周囲からは見えないほどよくある低レベルの鬱(「All of your friends started wondering why/ You were choking back tears at an easy goodbye」)、そして良くも悪くも予期せぬときに人生が横やりを入れてくることといった内容だ。

 アルバム『Wilds』は、『The Neon Skyline』が繰り広げられるバーのバー・スツールが、もう一回転しさらに賢く、少し明確になっただけでなく、シャウフ自身のアーティスティックな物語の独立した章となっている。楽曲が持つ有機的な性格により、それらの曲が語る物語は、慎重に編集されたページ上の言葉や、金色の泡に輝く頼りない記憶の靄を通してではなく、その瞬間に経験した人生により忠実であるように感じられる。


◎リリース情報
アルバム『ワイルズ/Wilds』
STCD-0002 2750円(TAX in.)
Track list
1. ジュディ(ワイルズ) / Judy (Wilds) 2. スパニッシュ・オン・ザ・ビーチ/ Spanish On The Beach
3. ジェイウォーカー/ Jaywalker
4. コール/ Call
5. テレヴィジョン・ブルー/ Television Blue
6. グリーン・グラス/ Green Glass
7. ウィックト・アンド・ワイルド/ Wicked and Wild
8. ビリーヴ・ミー/ Believe Me
9. ジェレミーズ・ウェディング(ワイルド)/ Jeremy’s Wedding (Wilds)
10, サタン/ Satan (日本盤ボーナス・トラック)