2026/03/07 17:00
昨年9月に2ndアルバム『fragile Report』をリリースしたNikoんによる【アウトストアで47 -東京FINAL-】が、2月15日に東京・渋谷WWWにてFallsheeps、神々のゴライコーズの2組を迎えて開催された。
【アウトストアで47 -東京FINAL-】は、『fragile Report』購入者が無料で入場でき、さらに家族や友人など1名まで同伴可能という前代未聞の47都道府県ツアー。10月15日の東京公演(下北沢SPREAD)を皮切りに始まった<関東/甲信シリーズ>は、10月31日の埼玉・熊谷MORTAR RECORDで早くも一区切りを迎え、その後は<東北><北海道><北陸><関西・東海>と、2025年内に30公演を敢行。年が明けた2026年には<四国><中国><九州>へと展開し、今回が<東京ファイナル&沖縄公演>のうちの東京公演。残すは沖縄のみとなっていた。
しかも彼らは、このツアーを含めて4本のツアーを並走させている。その凄まじい活動量は、本人たちいわく「周りも呆れて引くほど」。この日対バンしたメンバーからも、「もはやどのツアーなのかわからない」と言われる始末だ。しかし、その異常とも言えるライブ本数こそがNikoんの演奏力、表現力、そして何よりメンバーの体力と精神力を鍛え上げてきたのも事実だろう。今回のファイナル公演は、その進化をはっきりと示す場でもあった。
トップバッターは、神奈川県・横須賀出身のスリーピースバンド、Fallsheeps。川口淳太(Vo./Gt.)、Itsuki Kun(Dr.)、OSAM(Ba.)による息の合った爽やかなコーラスと、「静」と「動」を行き来するドラマティックなアンサンブルが光る「Skyquake」で幕を開ける。また「iai」では、川口がカミソリのように鋭いディストーションを高速でかき鳴らし、疾走感あふれるItsuki Kunのドラミング、そしてその隙間を縫うOSAMのファンキーなベースが絡み合い、予測不能な展開へ。川口のイノセントな歌声とセンチメンタルなメロディ、それとは裏腹のプログレッシヴで変態的とも言えるアレンジが1曲の中で渦巻く。その振れ幅こそがFallsheepsの個性だ。
「じゃあ、あと2曲くどい曲をやって終わります!」と川口が告げ、「こころをだいじに」「snowyyy-」を投下。オルタナ、ハードコア、ヘヴィロック、プログレッシヴが融合した唯一無二の大作で、強烈な爪痕を残してステージを後にした。
続く神々のゴライコーズも、グレート橋本(Vo./Dr.)、ガッツ aka こまけん(Ba.)、藤原忠(Gt.)によるスリーピース編成。実はNikoん、Fallsheeps、そして神々のゴライコーズの3組は、今年1月に長野・伊那GRAMHOUSEでも共演しており、現場で交差してきた関係性がある。その流れもあってか、「just city」ではNikoんからマナミオーガキ(Vo./ Ba.)がボーカルで参加。橋本の躍動感あふれるドラム、血を這うようにうねるこまけんのベース、ショートディレイを効かせた藤原のメタリックなギターが絡み合い、カオティックなサウンドスケープを描くなか、オーガキの伸びやかな歌声が鮮やかなコントラストを生む。
七色の照明が交錯する中で披露された異色のディスコチューン「I’m Junkie, My Funky」を経て、「レインボーロード」では和田地球(くぐり)がテナーサックスで参加。フリージャズとダブが融合したかのような音像は、ジョン・ゾーンやラウンジ・リザーズなどを想起させるサイケデリックな渦となって会場を包み込み、オーディエンスを一瞬で異世界へと連れ去る。そこから一転、〈たらったった~〉というスキャットを会場全体で共有した「らりたった」で場内はピースフルな一体感に包まれ、ラストは4つ打ちのキックが轟くダンスナンバー「hit his hip」。祝祭感と実験性が同居するステージで、フロアを熱狂のまま次の幕へと手渡した。
この日のトリを飾るのは、もちろんNikoん。幕開けは2ndアルバムの表題曲「fragile report」だ。オオスカ(Vo./Gt.)が奏でるオリエンタルなギターリフに導かれ、オーガキの雄大な歌声がゆらりと立ち上がる。そこへベースとドラムがじわじわと加わり、アンサンブルは次第に熱を帯びていく。気づけばエッジの効いたポストパンクへと姿を変え、フロアの体温をゆっくりと押し上げていった。
続く「bend」は、不穏なギターアルペジオと分厚いウォール・オブ・サウンドが交錯するドラマティックなナンバー。そこから「nai-わ」へと繋ぐ流れも見事だ。心地よいフロウを描くオーガキのボーカルと、空間を鋭く切り裂くオオスカのエレキギターが混じり合う。レコーディングにも参加したサポートドラムの東克幸と時折アイコンタクトを交わしながら、オオスカはステージの端から端まで軽やかにステップし、演奏にさらなる推進力を与えていく。
東がドラムパッドを叩き、柔らかなキックを鳴らす中でオオスカがボリューム奏法を駆使したのは「dried」。そこへオーガキの強烈なシンコペーション・ベースが加わり、バンドは一気に加速する。ギターの幽玄なアルペジオがサビで爆発し、カオティックな音像の中から突き抜けるのは、スモーキーでどこか泣き声にも似たオーガキの切実な声。その余韻を断ち切るようにキラーチューン「さまpake」へと雪崩れ込む。キャッチーなメロディを高らかに歌い上げるオーガキと、そこへ鋭く切り込むオオスカの痙攣するギター。その化学反応は何度体感しても鳥肌ものだ。
間髪入れず「グバマイ!!」へ。疾走するベースとザクザクとビートを刻むギターが生き急ぐように絡み合い、彼ら流のパンクロックが炸裂する。一瞬の静寂を挟み、怒涛のエンディングへ。自然発生的なシンガロングが巻き起こり、会場は再び強固な一体感に包まれた。さらに「とぅ~ばっど」の中盤では、FallsheepsのItsuki Kunが乱入。デスボイスでシャウトを叩きつけたかと思えば、今度はゲストラッパーの€NELが登場するという予測不能の展開へ。強靭なバンドサウンドを背に、アグレッシヴなフロウがフロアを切り裂いた。
続く「靴」は、トレモロのかかったオオスカのギターが印象的なリフを鳴らすイントロで早くも歓声が上がる。そこへオーガキの歪んだベースが滑り込み、東のブレイクビーツさながらのドラミングと絡み合いながら強烈なグルーヴを形成。そのうねりの上で、オーガキが切々とメロディを歌い上げていく。そして新曲「Tokey-Dokey」へ。「男女混成ボーカル」という一点を除けばなんの共通項のなさそうな、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインとバービーボーイズを混ぜ合わせたような、轟音とポップネス、退廃とユーモアが同居するこの中毒性の高いセンスは、まさにNikoんにしか鳴らせないものだ。
ラストは「(^。^)// ハイ」。大サビのスキャットをオーディエンス全員でシンガロングし、爆発的な多幸感が会場を満たす。混沌も衝動もすべてを抱え込んだまま、祝祭の熱気の中でライブは幕を下ろした。
なお、この日のライブ映像の一部は早くもYouTubeに公開されており、3月21日に渋谷Spotify O-EASTで開催される4本に及んだツアーすべての終着点となるワンマンライブでライブアルバムCDとして会場限定販売される。尋常ではない本数のライブをくぐり抜け、一回りも二回りもスケールを増したNikoんが、その集大成としてどんな景色を描くのか。答えはO-EASTのステージで明らかになるはずだ。
Text by 黒田隆憲
Photo by 稲垣ルリコ
◎Nikoん 公演情報
【アウトストアで47 -東京FINAL-】
2026年2月15日(日)東京・渋谷WWW
【hitomiとNikoん / LIVE TOUR 2026】
2026年3月4日(水)愛知・名古屋・RAD HALL
2026年3月10日(火)大阪・難波 Yogibo META VALLEY
2026年3月18日(水)東京・新代田 LIVE HOUSE FEVER
【fragile Report RELEASE TOUR】
2026年2月22日(日)新潟・GOLDEN PIGS BLACK
2026年2月23日(月祝)宮城・仙台 enn 2nd
2026年2月28日(土)広島・ALMIGHTY
2026年3月01日(日)香川・高松 TOONICE
2026年3月07日(土)北海道・札幌 SPiCE
2026年3月11日(水)愛知・名古屋 CLUB UPSET
2026年3月13日(金)福岡・Queblick
2026年3月15日(日)鹿児島・SR HALL
2026年3月20日(金祝)大阪・心斎橋 ANIMA
2026年3月21日(土)東京・渋谷 Spotify O-EAST
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