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新山詩織×佐藤タイジ(シアターブルック)対談

新山詩織 『Don’t Cry』 インタビュー

新山詩織×佐藤タイジ(シアターブルック)対談インタビュー

 音楽を通して“不自由さ”を訴えている新山詩織。2ndシングル『Don't Cry』でもそのスタンスが変わることはないが、今作の2曲目にはシアターブルック「ありったけの愛」のカバーが収録された。しかもシアターブルックとのセッションという形で。
 Billboard JAPAN.comでは、新山詩織の“今のリアル”についてインタビューしつつ、長年にわたって“自由”をメッセージし続ける佐藤タイジ(vo,g)との対談を実現。キャリアもスタイルも違う、性質も相反する2人が出逢ってしまったその意味を記録する。

新山詩織『Don't Cry』ソロインタビュー
「友達の前とかでも堂々としていられるようになった」

--4月17日に1stシングル『ゆれるユレル』をリリース。実際にメジャーデビューしてみて、どんなことを感じたりしていますか?

新山詩織:デビュー前、何もかもが初めてのことだったので、ひとつひとつ何とかやりこなしていこうと必死だったんですけど、初めて人の前で演奏することになってから、音楽を新鮮に楽しめるようになっていって。

--翌18日 渋谷WWWでのデビューイベントには、どんな印象や感想を?

新山詩織:音楽やってる自分をずっと見せたかった友達とか、あんまり喋ったことのない友達とか、たくさん来るって事前に聞いていて。今までその子たちの前でギター持って歌ってる姿を一度も見せたことがなかったので、遂に、やっと、今までずっと出したかった自分を見せられる日が来たんだ……っていうのが、何よりも強い気持ちとしてあって。ライブ本番前、口では「緊張する」って言ってるけど、すごく興奮している自分もいて、いざステージに立って、最初の「だからさ」のときには手が微かに震えてはいたんですけど……でも、2曲目3曲目あたりにはそんなのもどっかに消えて、完全に振り切って思いっきりできたので、何かずっとあったものが飛んでいったような。

--飛んでいった?

新山詩織:抑えていたものが。気持ち良かったのを覚えてます。恥ずかしさは全くなくて、心配とか不安とかもライブやってる最中は一切なくて。フタをひとつ開けたような……今までよりちょっと、友達の前とかでも堂々としていられるようになった。

--新山さんのライブを観た、友達の反応はどんなものだったの?

新山詩織:学校に行くのが……その一瞬だけはちょっと怖かったんですけど。

--そのライブ終わった後に学校へ行くのが?

新山詩織:はい。でも普通だった。

--(笑)

新山詩織:「ちゃんと分かってくれたんだ」って思いました。だから私も普通にしていようって。

--普通にできるって、ただそれだけでも意味深いですよね。前回のインタビューで話してくれた時期から考えると。ちなみにデビューして“とうとう始まってしまった感”はある?

新山詩織:4月17日を過ぎてからいろんなことが一気に進んでいって「私はこの先どうなっていくんだろう?」っていう不安もあって。今は夏フェスも決まってて、ずっと自分が本当に憧れていた場所へ行けることになったり、すごく楽しみはあるんですけど……本音を言うと、難しい心境でもある。

--そっか。デビュー前、新山さんは「自分の曲が全国に届けられると思うと……どんな風に聴かれるんだろうと思うんですけど、でもちょっと安心してる部分もあって。やっぱり自分の音楽に共感してくれる人はいると思うから、しっかり耳に届くといいな」と語っていたんですが、そこの共感とは、デビューしたことによって出逢えた?

新山詩織:ラジオとかでメッセージをたくさん頂いて、「私の話を聞いてほしいんですけど」って書いてくる人もいて、その内容を読んでいると、中学のときの自分同様に友達と些細なことで上手くいかなくて悩んでいたりして。そういうメッセージを読ませてもらったら、ハッキリ言葉にするのは難しいんですけど……共通点というか、同じようなことにみんな引っ掛かっていたりしてるのかなって。だから共感の声がすごく届いてます。

--その声を聞いて、自分と同じ境遇の人がいると知って、自分の中で変化している部分って何かあったりしますか?

新山詩織:前はひとりだけで考えて、自分の中だけで何でも解決して。だけど今は自分の歌をうたうことで、直接会ったことのない人たちが「同じ気持ちだ」ってメッセージをくれて、最初はすごく不思議な気持ちにもなったんですけど、やっとそうなれたんだなって。ずっとそうしたかったように、いろんな人と少しでも繋がることができたのかなと思って、すごく嬉しかったです。

--そんな新山詩織の2ndシングルがリリースされます。映画『絶叫学級』の主題歌となっている「Don't Cry」、この曲はそもそもどんな想いや背景があって生まれた曲なんでしょう?

新山詩織:元々は親友に対して書いていた曲だったんですけど、制作過程で映画『絶叫学級』のお話を頂いて、台本と完成前の映像を見させてもらったら、その中の世界が自分と似たような環境で。学校というものに通っていて、人間関係に翻弄されて……そういう面では自分とすごくリンクしていたんです。誰かと話しているときに、本当にポロッとなんとなく言ったことが、次の日の教室の雰囲気を悪くしていたり、自分の立場や位置、世界を一変してしまったりする。それをこの曲のテーマにしようと思って。

--そのテーマって、昔の新山詩織そのものだったりする?

新山詩織:…………今でもある。Bメロの「日常茶飯事 嫌になる」というのは、今でも入り交じってくる気持ちですし、表には出していないけど、どうしようもなく存在する気持ち。

--そうした曲を発信することで、聴き手にどう響けばいいなと思ってます?

新山詩織:歌詞だけ読んでると、あんまり明るくなれないと思うんですけど、タイトルは「Don't Cry」って言ってて、音はすごく爽やかで明るいから、聴いてくれた人の中にスゥーッと入っていってくれたらなって。そこで何を感じるかはその人次第。でも完全にこういう気持ちの人がいて「こんな生活から今すぐ抜け出したい」って動き出すきっかけになれたら、すごく嬉しい。

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    「女子高生のシンガーソングライターが「ありったけの愛」」
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新山詩織×佐藤タイジ(シアターブルック)対談
「女子高生のシンガーソングライターが「ありったけの愛」」

--2ndシングル『Don't Cry』には、佐藤タイジ(シアターブルック)さんとのセッションカバー「ありったけの愛」が収録されています。

新山詩織:元々フェスに憧れはあったんですけど、限りあるお小遣いではあまり行くことができないので、フェスの出演アーティスト一覧を見て楽しんでいたんです。で、ギターセッションとか、みんなで参加するステージのところに佐藤タイジさんの名前が大体並んでいて。

--たしかに大体並んでます。

佐藤タイジ:います(笑)。

新山詩織:気になったので調べてみたら、最初に出てきた曲が「ありったけの愛」で。で、今回のセッションカバー候補について話しているときに、佐藤タイジさんの名前が出たので「ありったけの愛」をカバーしたいと思い、ご一緒させて頂きたいとお願いしました。

--女子高生のシンガーソングライターから「「ありったけの愛」を一緒に歌いたい」。前代未聞のオファーだったと思うんですけど。

佐藤タイジ:17歳って聞いて「えぇ?」って。そりゃ狼狽えるよね。「17歳で可能なんだろうか?」「一緒にやるのはいいが、果たしてどうなんだろう?」って。まぁでも実際に会ってみたら「とりあえず自分でギター弾いて歌いたいんだな」と。で、結局キー合わせみたいなところから入っていったら「あれ? 筋、悪くないじゃん。そうかそうか」と思って。ただ、それがもうレコーディングの2日前ぐらいだったので、「練習してきなさい」みたいな(笑)。

--今の女子高生がシアターブルック聴いてハマるって、相当ファンキーなエピソードですよね。

佐藤タイジ:そうだよね。まぁでも音楽好きなら、結局そうなのかなって。好きだったら聴くし、掘っていっちゃうもんね。まだまだ格好良い先輩いっぱいいるから、どんどん掘っていってほしいし。新山からしたらほとんど先輩だけど(笑)。

--実際に会ってみてどんなことを感じました?

新山詩織:ライブの映像を観ていたときは「すごくクールな人なのかな?」って思っていたんですけど……。で……

佐藤タイジ:ええよ、おもろいオッサンでええよ。

新山詩織:(笑)。すごく会ってみたかったけど、ちゃんと話せるかどうかすごく不安で。でもキー合わせのときに実際お会いしたら、タイジさんの方から話し出してくれて。すごく明るくて楽しくて、とてもファンキーでロックな人だなって思いました。

--新山詩織の佇まいや醸し出してるムード。繊細で臆病だけど、歌い出すとガムシャラな感じって、ちょっと末恐ろしいと個人的には思っているんですが、タイジさんからするとどうですか?

佐藤タイジ:まだライブを観てないからね。でも沼澤(尚)さん(シアターブルック/dr)とか中條(卓)さん(シアターブルック/b)とかと一緒にレコーディングしたんだけど、新山が「もう一回やりたいです!」って言うんだよね。それが可愛いんだけど、沼澤さんとか中條さんは「もう録れてるから大丈夫だよ」みたいな(笑)。でも「もう一回やりたいです!」って良いよね。

新山詩織:出来るだけ必死に練習してきて、ちゃんと合わせて演奏できたのがすごく嬉しかったので。

佐藤タイジ:めちゃウマやん、あいつら。

--実際、世界レベルですからね。シアターブルックはいろんなアーティストと音を鳴らしてきましたけど、新山さんほど……

佐藤タイジ:ここまで若い子とは初めてです(笑)。17歳は初めて。ほとんど娘。孫と言ってもおかしくない……

--(笑)。その娘と「ありったけの愛」をレコーディングしてみていかがでした?

佐藤タイジ:楽しかったよ。オリジナルはDマイナーの曲なんだけど、今回はGマイナーでやって。ギターで弾くと結構ポジション変わるじゃん。だから景色も変わるわけ。で、沼澤さん、中條さんとジャムっていって、良いリフが出てきたので「これでやればいいね」と。で、そのまま録っていっちゃった。

新山詩織:周りの人が……ドラムもベースもギターも本当に凄い人たちなんだと思って。ふと平常心に戻ったとき、自分がここにいるリアリティがなくて。

一同:(笑)

--でもこれは現実です。これきっかけでタイジさんのライブの最前列が女子高生でいっぱいになることも考えられる訳ですよ。

佐藤タイジ:……凄いね(笑)! でもこういうことはたくさんあった方がいいよね。大事。俺も得るものがあるのよ。この世代のこの感じ方は……みたいなことを知る。特に新山の場合はオリジナリティが高いし。同じ今という時代を生きているんだけど、やっぱり違うやん。見え方が。新山からの視点って、俺にとってはすごく新鮮な視点なんだよね。それを知るのは、経験あるミュージシャンにとっても刺激になるから。

--ちなみにタイジさんの中で「ありったけの愛」ってどんな存在になってるんでしょう?

佐藤タイジ:この歌に完全に育てられてるというか、引っ張られてるよね。THE SOLAR BUDOKANなんて「ありったけの愛」があったからアイデアとして出てきた訳だし。自分の作った曲に救われたり、導かれたりすることってあるんだよね。だから音楽っておもろいよな。

--新山さんが今歌っている曲も、10年後、武道館でみんなと歌っているかもしれない。

佐藤タイジ:全然あり得るよ。

新山詩織:これから先、大人になって。今の曲をどういう風に想って歌っているんだろう? 想像もつかない。

--そこで聞きたいんですけど、当時「ありったけの愛」はどんな想いや背景があって生まれた曲なのか。

佐藤タイジ:えーっとね、住んでいたアパートの近くに公園があったのよ。そこに立派な桜の木が植えてあったのね。ある日、その公園が取り壊されることになるんやけど、まず桜の木を切り倒してるわけ。それを「勿体ない、毎年キレイに咲いてるのに」って眺めてて。しかもその公園は農地になるわけ。「え? 農地にするんだったら桜切らなくてよかったじゃん」ってとても理不尽を感じたんだよ。で、明け方。そういうことがありながらも朝陽がバーッと上ってきて。そこで生まれたのが「ありったけの愛」。

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    「好き勝手やった方が良いよ。17歳、完全に自由ですから」
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新山詩織×佐藤タイジ(シアターブルック)対談
「好き勝手やった方が良いよ。17歳、完全に自由ですから」

--その「ありったけの愛」、こんなにも長く多く歌い続けると思ってました?

佐藤タイジ:それはない。20歳下が歌うなんて予想だにしてない!

一同:(笑)

佐藤タイジ:ぶったまげるよね!

--新山さんはこの「ありったけの愛」にどんな印象を持っていますか?

新山詩織:初めて聴いたときは、単純に格好良いなと思っていたんですけど、いざ自分が歌うことになったら、今まで歌ったことがないリズムだったりして。どうやったらこの曲を上手く歌えるか、ずっと考えていたんです。でも最終的には、変に重く捉えず、自分らしく歌ってみようと思って。そしたらすごく新しい雰囲気の「ありったけの愛」が出来て。

佐藤タイジ:「おそらく新山はこういう感じが好きなんだろうな。それをウチがやるとこうなるんだよね」みたいな感じで探ってたんだけど、Gマイナーでエレキってなると、自ずとああいう形になるんだよね。で、20分ぐらいジャムったら「こういう感じかもね」みたいな。新山も全然弾けてるから。だから次はギターソロを弾いてほしいって思って。

--おぉー!

佐藤タイジ:ギターソロ、意外と女子は弾いてないから、先にやっちゃった方がいい。まだ17歳だし、別にいいじゃん。恥ずかしげもなくやっていいんだよ。まだ可愛いって言われる年代なんだから。

--で、そのまま弾き続ければ、20代後半ぐらいには……

佐藤タイジ:凄いことになってると思う!

--女性版佐藤タイジ。

佐藤タイジ:ちゃんと歌はうたって、ギターソロは自由。一番楽しいコース。

新山詩織:やってみたいです。

--今回の件もそうですし、100%ソーラー武道館然り、Rabbit然り、以前にも増してタイジさんが幅広くいろんなアーティストと絡んでいってるのは何故なんでしょう?

佐藤タイジ:そこに意思があるとすれば、やっぱり3.11って巨大なインパクトがあったっていうことだと思うよ。それは全世代に等しく揺れた訳やん。地面だけじゃなくて人間性とか人間関係とかも揺れた。それで俺は役割を感じたんだと思う。もはや自分のことだけではない訳やんか。若い子にも分かってほしいことはたくさんあるし。だから今こうやって新山世代とジャムセッションできてるとか、すごく意味があることだと思う。

--若い世代に対して何かしたかった?

佐藤タイジ:俺って人懐っこいやん。先輩とも後輩とも仲良いのよね。考えよりも性質でこうなってるところもあると思うんだけど、新山と話していたら、クラスでCDを買う子が新山しかいねぇと。「そうなのぉ!?」みたいな、そういう衝撃的な話が出てくる訳やん。それって若い世代だけの話じゃなく、音楽を生業にしている人すべてのテーマになるんだよね。「それでいいのか?」っていう。俺ら世代と新山世代が一緒にジャムセッションしていることが、結局はその先を見ようとする力になる。

--たしかにすごく意味があることだと思います。そこで聞きたいんですが、タイジさん的に新山詩織にはどんなアーティスト、ミュージシャンになっていってほしいですか?

佐藤タイジ:えー! そんなの好き勝手にしなはれ。

--なんとなくそう答える気がしました(笑)。

佐藤タイジ:好き勝手やった方が良いよ。17歳、自由ですから。完全に自由ですから。「おかしいんじゃないの!? 新山ちゃん」って言われるぐらいまで行ってほしいよね。「凄いな、こいつ。こんなことになっちゃったのかぁ!」みたいな感じ、良いじゃん。

--頭、モジャモジャになってたり?

佐藤タイジ:いや、見た目じゃなくて(笑)! 作品とかパフォーマンス!

新山詩織:……金髪になってたらどうしよう?

佐藤タイジ:(笑)。それぐらい全然OK!

--それにしても音楽を通して不自由さを訴えている新山詩織が、自由をメッセージし続ける佐藤タイジに、しかも「ありったけの愛」に惹かれたというのは面白いですね。

新山詩織:自分で言葉を書き出すと、どんなにポジティブに書こうとしても自然とネガティブな方の言葉になっていって。でも自分が惹かれたり、すごく好きになる音楽は、完全に前に進んでいっているようなものなんです。なんでそうなるのかは自分でも分からないんですけど。

佐藤タイジ:出てきちゃうもんには抗えないから。

--それを吐き出すのもまた自由ですからね。タイジさんとまた何かできる機会があったら、どんなことをやってみたいですか?

新山詩織:ギターソロを練習して……

佐藤タイジ:ツインギターのソロやろうか。バカみたいに(笑)。

--いやいや、めちゃめちゃ観たいですよ、それ。

新山詩織:いつか一緒にステージに立って、一緒にギターを弾けたらいいなってすごく思うけど、でもまだいろんなことをやってからじゃないと。とにかく今は練習して、出来る限りのことはやっていきたい。

佐藤タイジ:そうや、ベストを目指すんや! やっぱりギターソロだよね。歌とか、もう歌っときゃいいんだよ。

一同:(笑)

佐藤タイジ:言いたいこと歌ってればいいよ。

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    「女子の、そういうところが一番めんどくさいです(笑)」
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新山詩織 『Don’t Cry』 インタビュー

松岡茉優×新山詩織『絶叫学級』対談

 映画『絶叫学級』全国ロードショーを記念し、絵莉花役の松岡茉優、主題歌「Don't Cry」を歌う新山詩織の対談を公開!

女子の、そういうところが一番めんどくさいです(笑)

--お二人は今日が初対面だそうですが、お互いの第一印象はいかがでしょうか?

新山詩織:映像で観させていただいていたんですが、本当にそのままで。中身からすごくかわいい人なんだなあ、と思いました。

松岡茉優:ありがとうございます。私はPVなどで拝見していたんですけど、目力が強いなあ、と思っていて。……なんか、かわいいっす!(笑)。

--女子校を舞台に描かれたホラー映画『絶叫学級』に、松岡茉優さんは主人公・加奈(川口春奈)の親友で、いじめを受ける絵莉花役で出演されていますね。

松岡茉優:元々原作がすごい人気だとは知っていましたし、妹が原作のファンだったんです。台本を読んでいて、もちろんホラー的に怖い部分もあるんですけど、何より人間の心がすごく繊細に描かれている人間ドラマだと感じました。人が変わっていってしまう様子が、私としてはすごく怖かったですね。

--撮影現場の雰囲気はどのような感じだったのですか? 

松岡茉優:一番のクライマックスを撮影した場所が、すごく居心地が悪い場所だったんです。美術の方のヨゴシ(※わざと汚す技法)がすごくて、空気が淀んで感じられるほどだったんですね。いじめられるシーンはその前から口をきかないし、あんまり賑やかに笑い合った記憶がないです(笑)。でも、川口さんがイメージよりもずっとお茶目な方で、よくふざけてくれました。ズーンと沈んでいると、トントンと肩を叩かれて、ふっと振り向くと変顔していたり(笑)。すごくいろいろと元気付けてくれました。

新山詩織:いじめたり、いじめられたりするシーンはどういう心境で演じていらっしゃるんだろうな?というのがずっとすごく気になっていました。

松岡茉優:イライラしてますね!(笑)。髪の毛を引っ張られるシーンでは、「もう、痛いな、ホントに!」と思っていたし、ガスバーナーを使ったシーンでは本当に火を出していて、顔の反面を火傷する覚悟はしていました。「(火が)近い、近い!」とずっとハラハラしてました。

新山詩織:ああ、あの「あんたが燃える!」という、絵莉花が思いっきりやられるシーンは、一番印象に残っているかもしれません。

松岡茉優:みんな背が高くて、かわいいからこそ、余計に怖かったです(笑)。

新山詩織:映像でも、「背が高いんだろうなあ」と思いながら観ていました。

松岡茉優:そう、大きいんです。新山さんは小柄ですもんね? 身長は何センチですか?

新山詩織:156、7ぐらいです。

松岡茉優:あ、そうしたら怖いと感じたと思いますよ!

--主題歌の「Don't Cry」は新山さんによる書き下ろし。作品のどこに焦点を当てて作って行ったんですか?

新山詩織:この曲は元々作っていたものがあって、最初はタイトルが「ベストフレンド」というものだったんです。でも、映画のお話をいただいてから、まずは台本と、出来上がる前の映像をいただいて、歌詞も全部変えて書いて行きました。最初に映像を観た時、一番に思ったのは、“その時に言ったささいなひと言で、状況が一変しちゃうことがあるんじゃないかな?”ということ。それをキーワードにして歌詞は全部書いていきました。自分も学校で、友達とトイレに行ったりした時、「もうすぐで授業が始まっちゃうから、ちゃんと戻って間に合わないとなあ」と思っていても、友達は、「ま、大丈夫じゃない?」という感じの子だとしたら、「私、先に行くから」と言ったら、たぶんそこで一気に嫌な方に行っちゃうんだろうなあ……と思って。本当に些細なこと過ぎるかもしれないんですけども。

松岡茉優:それ、すっごい分かります! 女の子ってそうですよね。女の子だけじゃないかもしれないですけども、いつもは無意識の中で我慢してたことを少し言っちゃっただけで、今まで一生懸命に保っていた何かが、「ああ、なくなっちゃった」っていう。そういうことがありますよね、学校生活って。

新山詩織:女子の、そういうところが一番めんどくさいです(笑)。

松岡茉優:そう、めんどくさいですよね(笑)。「一緒にトイレ行こう」というのも、まあ、言ったらめんどくさいですからね。

--松岡茉優さんの演じる絵莉花は、絵を描くのが好きで、自分の世界を持っている女の子ですよね。演じるにあたって、ご自分との共通点も感じましたか? 

松岡茉優:私はお芝居が好きでこの職業をやらせていただいていて。私の中に“お芝居が好き”という気持ちの液体が入っている、譬えるなら、筒のようなものがあるんですね。絵莉花を演じる時は、その筒ごと“私は絵が好き”“加奈が好き”に入れ替えて、私がお芝居好きな分だけエリカちゃんには絵を好きになってもらっていました。でもねえ……画力が伴わないんですよ! それは苦しかったです(笑)。以前、新山さんのインタビュー映像を拝見して、「私は絶対音楽が好きだから」とおっしゃっていたんですね。拝見したのは映画を撮った後だったんですけど、目がもうキラキラしてて、心からのすごく強い言葉だな、と思って。あの感じが劇場で出せてたらいいのになあ、と思っていました。音楽、お好きなんですもんね?

新山詩織:ありがとうございます。音楽は大好きです。

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  2. 中学の時に新山さんの歌に出会っていたら
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中学の時に新山さんの歌に出会っていたら

松岡茉優:その言葉の組み合わせが素敵で、すごく、心から出てる言葉だと感じたんです。音楽の魅力ってなんですか? あ、難しいですね。私も「芝居の何が好きなんですか?」と言われたら、「いやいやいや……」となっちゃうから(笑)。

新山詩織:(笑)。音楽は……たぶん自分の中では、一番、自分自身を出せるものだと思います。一番解放されてるのかも、って思いますね。

松岡茉優:ああ、なるほど。そう言えば、監督から、「絵莉花が絵を描いてる時は一番楽しく、一番幸せな時間だから」という指導を受けました。自分がようやく休める場所、というか、そんな感じがしましたね。新山さんもそれに近いですか?

新山詩織:はい、近いです。

松岡茉優:いつから音楽に触れていたんですか?

新山詩織:父がもともと音楽が好きで、やっていて。自分がギターを始めたのが中1の頃なんですけど、部活に入ってから初めてギターを触って、そこから一気にバンドに目覚めた、という感じです。

松岡茉優:(おもむろに、新山の手を触って)あ、やっぱり爪切ってる! 私、実は先一昨年にギターを買ったんですよ。

新山詩織:あ、そうなんですか?

松岡茉優:はい。買ったんですけど、(ギターのフレットを)押さえても押さえても、うまく音が出なくて。やっぱり爪を切らなきゃダメですよね?(笑)。今私のギターはホコリを被ってて、かわいそうなことになってます。触ってないんですよね…。

新山詩織:是非触って下さい(笑)。

松岡茉優:触ります!(笑)。

--新山さんのデビュー曲「ゆれるユレル」が、主人公の加奈がピンチに陥るカラオケ店のシーンで流れるのを聴いて、どう感じましたか?

松岡茉優:リハーサルの時には、「ゆれるユレル」というタイトルだけ聞いたんですけど、当時はまだリリースされていなかったので、「あれ、そんな曲あったかな? 昔の曲を使うのかな?」と思っていたんですね。そうしたら最新曲で、しかもリアルな世代の方の音楽で。だから、いい意味で思っていたのと違いました。加奈ちゃんの複雑な、痛いぐらいの気持ちがそのままリアルに歌として流れて来たので、「あ、これはただのカラオケシーンじゃなかったんだ!」と気付いて、すごくびっくりしました。

新山詩織:すごく印象的なシーンでしたよね。私は、自分自身のことがすごく嫌で仕方なかった時期が中学の時だったんですけど、そんな風に“嫌だ”と思ってることなんて周りの人は知らないし、クラスでは一人の生徒として普通に過ごしていたんですね。はっきりしたものは何も分からないんだけど、“何かすごく変わりたいけど、何も変われない”という自分のことをずっと考えていて。高校に入ってから歌詞を書く時に、「あの時に思ってたこと、誰にも言えなかったことを、嘘なく、もう全部書いちゃおう」と思って。サビの<変わりたいよ 変われない>というところから歌詞を書いて行ったんです。

--その気持ちは、“なかったこと”にはできなかったんですね。曲という形で表現しないと乗り越えられない、というか。

新山詩織:高校に入ったら、中学は終わったからもう違う、「新しい自分でまた明るく行こう!」と思っていたんですけど、やっぱり無理に明るくしようと思うと、逆にまた暗くなって来て……。中学の時のモヤモヤしたものがずっと残ってたからだと思うんですけど、曲を書き終えてレコーディングで思い切り歌ったら、少しすっきりした気持ちもありました。

松岡茉優:中学の時は私も、すごく面倒な「自分」と過ごしてました。だから、中学の時に新山さんの歌に出会っていたら、何かちょっと違ったのかな?と思って。高校になると、それぞれ自分の個性というか、芯みたいなものが出来上がって来てるじゃないですか? だからそこまでブレることはないと思うんですけど、中学ってまだフニフニだから、あっちに行ったりこっちに行ったりしてますよね。

新山詩織:うん、そうですね。

松岡茉優:この『絶叫学級』は、原作が中学生の女の子に大人気ということで。新山さんの曲を、『絶叫学級』を好きな女の子たちに聴いてもらえるのはすごく、絶対に素敵なことだと思っているんです。私はもう学生生活が終わっちゃってるんですけど、今聴く子たちは、今が“変われる時”だと思うので。まあ、もちろん無理に変わることはないんですけど、何かが変わるはずなので、すごく素敵な組み合わせだなって改めて思っています。

新山詩織:ありがとうございます。“大人には見えない世界”みたいなものが、この映画には絶対すごくたくさん入っていると思うんです。生徒だけの中での人間関係の真実と、先生たちが見ている生徒の今の関係とは全く違うと思うので、大人の方にも何かが届くといいなと思いますし、年齢を問わず観てもらえるとうれしいです。

松岡茉優:あ~もう、新山さんが私より年上だったらよかったのに! 今後新山さんが20歳になった時、私はもう21歳なわけですよね。“20歳の、20歳だからこその歌”を新山さんが書く時、私はもう去年のことを振り返らないといけないんですよね。今、「生まれて来る年を間違えた!」と思っています(笑)。

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新山詩織「Don’t Cry」

Don’t Cry

2013/07/10 RELEASE
JBCZ-6002 ¥ 1,080(税込)

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Disc01
  1. 01.Don’t Cry
  2. 02.ありったけの愛
  3. 03.Don’t Cry -instrumental-
ファインダーの向こう
新山詩織「ファインダーの向こう」
2016/11/30
[CD]
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ファインダーの向こう
新山詩織「ファインダーの向こう」
2016/11/30
[CD]
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ファインダーの向こう
新山詩織「ファインダーの向こう」
2016/11/30
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あたしはあたしのままで/恋の中
新山詩織「あたしはあたしのままで/恋の中」
2016/06/29
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あたしはあたしのままで/恋の中
新山詩織「あたしはあたしのままで/恋の中」
2016/06/29
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隣の行方
新山詩織「隣の行方」
2016/02/10
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隣の行方
新山詩織「隣の行方」
2016/02/10
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隣の行方
新山詩織「隣の行方」
2016/02/10
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LOVE CHANGES THE WORLD
シアターブルック「LOVE CHANGES THE WORLD」
2015/07/29
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新山詩織「ハローグッバイ」
2015/06/17
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新山詩織「ハローグッバイ」
2015/06/17
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ありがとう
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2015/03/18
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ありがとう
新山詩織「ありがとう」
2015/03/18
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ありがとう
新山詩織「ありがとう」
2015/03/18
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絶対
新山詩織「絶対」
2014/12/03
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しおり
新山詩織「しおり」
2014/03/26
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しおり
新山詩織「しおり」
2014/03/26
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しおり
新山詩織「しおり」
2014/03/26
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今 ここにいる
新山詩織「今 ここにいる」
2014/02/12
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今 ここにいる
新山詩織「今 ここにいる」
2014/02/12
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ひとりごと
新山詩織「ひとりごと」
2013/11/13
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Don’t Cry
新山詩織「Don’t Cry」
2013/07/10
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ゆれるユレル
新山詩織「ゆれるユレル」
2013/04/17
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最近の革命
シアターブルック「最近の革命」
2012/12/12
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最近の革命
シアターブルック「最近の革命」
2012/12/12
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最近の革命
シアターブルック「最近の革命」
2012/12/12
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intention
シアターブルック「intention」
2010/06/09
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スペシャル/ザ・ベスト・オブ・シアターブルック
シアターブルック「スペシャル/ザ・ベスト・オブ・シアターブルック」
2000/02/23
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ありったけの愛
シアターブルック「ありったけの愛」
2000/02/02
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涙の海
シアターブルック「涙の海」
1999/05/21
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VIRACOCHA
シアターブルック「VIRACOCHA」
1999/02/20
[CD]
¥3,059(税込)
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ノックしつづける男
シアターブルック「ノックしつづける男」
1999/01/21
[CD]
¥1,020(税込)
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SOUL DIVER
シアターブルック「SOUL DIVER」
1998/06/20
[CD]
¥1,223(税込)
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Typhoon Shelter
シアターブルック「Typhoon Shelter」
1997/12/12
[CD]
¥1,835(税込)
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トロポポ-ズ
シアターブルック「トロポポ-ズ」
1997/10/22
[CD]
¥3,059(税込)
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TALISMAN(タリスマン)
シアターブルック「TALISMAN(タリスマン)」
1996/06/24
[CD]
¥2,854(税込)
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