Billboard JAPAN


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Go Global, Get What's Real. vol. 2~2023年のグローバルヒットを深掘り



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 Billboard JAPANでは2023年9月より、世界200か国以上の主要デジタル・プラットフォームにおける定額課金型(サブスクリプション)と広告支援型の公式ストリーミング、ダウンロードにそれぞれ比重をつけて算出し、日本を除外(exclude)して日本の楽曲のみをランク付けしたチャート“Global Japan Songs excl. Japan”、同データを用いて各国でヒットしている日本の楽曲を抽出した“Japan Songs”を発表しています。

 本稿のランキングは2022年11月25日~2022年12月1日を1週目とし、2023年11月17日~11月23日の52週まで、名寄せした各週上位50,000曲から日本の楽曲を抽出し52週分の累計ポイントを用いて生成しました。(Text: 礒崎誠二)


“Global Japan Songs excl. Japan” and “Japan Songs” of 2023

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※各国順位は100位まで表示しています。

 2023年の年間チャートは、このような結果になりました。チャートインしている楽曲と、各国のランキングを比較すると、以下のような特徴が見られます。

・USに、もしくはインドやブラジルといったユーザー数の多い国で上位を獲得している。

・新曲は、先にアジア圏で上位を獲得することが多い。

・カタログ楽曲はヨーロッパ、アフリカ、北南米での順位が高く、長くポイントを維持して年間で上位にチャートインする傾向が高い。


“Global Japan Artists excl. Japan” and “Japan Artists” of 2023

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※各国順位は100位まで表示しています。

 前の楽曲ランキングの全順位から、それぞれの楽曲をアーティスト名で名寄せしたのがこのアーティストランキングです。 こちらも、以下のような特徴が見られました。

・タイ/シンガポール/韓国/USで上位を獲得すると、グローバルでも上位にチャートインする可能性が高い

・上記傾向と異なるアーティストはグローバルヒットしたカタログ楽曲を多くリリースしている。

・カタログ楽曲はヨーロッパ、アフリカ、北南米での順位が高く、長くポイントを維持して年間で上位にチャートインする傾向が高い。

 この2つのランキングから、アジア圏とUSでのヒットがアーティストや楽曲を浸透させていく鍵となることが分かります。


グローバルでの日本楽曲進出の可能性はあるか?

本データによるグローバル上位5万曲におけるポイントシェアは

日本楽曲は0.1%、韓国楽曲は0.9%、US楽曲は54.7%

本データによる各国上位5万曲における日本楽曲のポイントシェアは

韓国では3.4%、タイでは1.3%、シンガポールでは1.3%、USでは0.1%

同じく韓国楽曲のシェアは

韓国では67.6%、タイでは7.4%、シンガポールでは6.2%、USでは0.3%

同じくUS楽曲のシェアは

韓国では19.5%、タイでは34.7%、シンガポールでは53.5%、USでは73.7%

22年11月25日以降にリリースされた日本楽曲をすべて新譜として、そのポイント占有率は

グローバルでは21.4%、韓国では18.1%、USでは21.5%

同条件での新譜の上位10位におけるポイント占有率は

グローバルでは31.0%、韓国では22.2%、USでは31.4%


JAPAN Hot 100における、各国の楽曲のシェアは?

日本の楽曲 82%
韓国の楽曲 10%
アメリカの楽曲 4%
イギリスの楽曲 2%
その他の楽曲 2%
※2023年JAPAN Hot 100年間チャート上位2000曲より算出


「Bling-Bang-Bang-Born」グローバル/国別ポイントとJAPAN Hot 100総合ポイント比較からわかること

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 現在世界を席巻しているCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」のグローバルポイント(棒グラフ)とJAPAN Hot 100総合ポイント(折れ線)を比較しました。本楽曲は、まず1月初週にUSで火が点いたことで、グローバルでの快進撃がスタートしました。一方、JAPAN Hot 100では1月17日に総合24位2500ポイントで100位圏内に初登場。グローバルでのヒットを受けて、日本でもヒットを果たしています。このように、グローバルヒットするチャンスをつかみうる楽曲は今後も日本で生まれていき、それらのグローバルでのポイントはなかなか落ちにくい傾向を鑑みると、今後も日本楽曲のグローバルのシェアは拡大する傾向にあると言えるでしょう。


アーティストや楽曲の可能性がグローバルの評価軸を必要とする時代へ

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 ここでは、アーティストや楽曲の可能性の評価軸の変遷を、グラフィックで表しています(もちろん細かな誤差はアーティストごとにありますがご了承下さい)。 CDセールスのみの評価軸から、様々なサービスの浸透を受けてユーザーのアクティビティが変容し、明らかに藤井風「死ぬのがいいわ」とYOASOBI「アイドル」のグローバルヒットがグローバルへの門を開きました。

 今まで述べてきたように、既にグローバルで浸透している豊富なカタログ楽曲に加え、グローバルヒットの可能性を持つ新曲が日本楽曲のシェアを広げうる可能性があります。そして、それらがJAPAN Hot 100に逆輸入されヒットチャートを賑わせていく新しい時代に突入したのが2024年となるでしょう。


2023 Global Data Digest

CONTENTS
❶年間グローバルソング全順位エクセル(アニメタイアップ情報付き)
❷年間グローバルソング全ポイントエクセル
❸年間アーティスト全順位エクセル
❹年間アーティスト全ポイントエクセル
❺年間メーカーシェア
①各国別ポイント占有率
②各国1位を100%としたときのポイント比率
③各国別新譜占有率
④ソングTOP20国別占有率
⑤アーティストTOP20国別占有率
⑥メーカー国別占有率
⑦直近5ヶ月(9月~2月)におけるTOP10楽曲週別総合/各地域推移
⑧「Bling-Bang-Bang-Born」「唱」「SPECIALZ」のグローバル/国別ポイントとJP 総合ポイントアクション比較
⑨直近5ヶ月における各国別新譜占有率推移
⑩直近5ヶ月における男性・女性ボーカル・インスト・その他占有率推移

上記一式:150,000円+TAX

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