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<コラム>まもなく放送、韓国発の歌姫発掘オーディション『トロット・ガールズ・ジャパン』の決勝に進んだ9人とは?



コラム

Text:田中久勝
(c)トロット・ガールズ・ジャパン製作委員会

 韓国発の歌姫発掘オーディション番組『トロット・ガールズ・ジャパン』が2024年12月に日本に上陸し、盛り上がりを見せている。『トロット・ガールズ・ジャパン』は、韓国で絶大な人気を誇る音楽ジャンル「トロット」、日本でいう昭和歌謡など懐メロに近いジャンルで、オーディション出場者達は昭和から平成にかけての名曲を歌い、新たな日本の歌姫を発掘する国内初のオーディション番組だ。

 出場者の年齢は12歳から50歳までと幅広く、韓国からも現役トロット歌手やアイドルなど5名が参加するなど、様々なキャリアや経験を持つ“強者”54組57名が事前審査を通過し予選に参加。本選一次審査35組→本選二次審査26人→本選三次審査20人と激しいバトルが繰り広げられ準決勝に進む14人が決定。いよいよ佳境を迎え、ここからさらに決勝ステージに進む5組が選ばれる。

 彼女達をあらゆる角度からジャッジする審査員は、審査委員長を務める松崎しげる(準決勝は欠席)をはじめ、日本の歌謡界を牽引してきた名編曲家・船山基紀、プロデューサーの鎌田俊哉、昭和の名曲をブラッシュアップする人気DJ・Night Tempo、トロットシリーズの仕掛け人の韓国のトップ・プロデューサー、ソ・ヘジン、遼河はるひ、浅香唯、安藤裕子など、錚々たるメンバーが参加。司会はお笑いコンビEXITが務める。


 採点は、審査員(審査員長代理の船山基紀のみ40点満点、ほか1人20点満点)と一般審査員(1人1点)が担当。点数の高い上位5人が決勝戦に進出することができる。優勝者には賞金1,000万円(+追加賞金)が授与される。

 毎年春と夏に甲子園球場で繰り広げられる高校野球も、ベスト8の戦いが最も面白いという野球ファンが多いが、このオーディションも14人が戦う準決勝も素晴らしいパフォーマンスで高得点を叩き出す出場者が続出し、熱量が高い回になった。

 準決勝のステージは「レジェンド歌手の名曲を歌い継ぐ」がテーマで、美空ひばり、越路吹雪、テレサ・テン、山口百恵の名曲14曲が課題曲として選ばれ、出場者が希望曲を選択し、希望が被ったら抽選になる。それぞれのスタイルで歌い、個人戦で競った。

 10代の若い出場者が、レジェンド達の難易度が高い歌をどう表現するかにも注目が集まった。後援会は1,800人という注目のスーパー高校生・東亜樹は、テレサ・テン「別れの予感」を歌い180点を記録。広島の女子高生・住田愛子は「恋愛経験がないから困ってるんです」と、歌の世界にどこまで入り込めるか不安を口にしながら、山口百恵「愛染橋」を情感豊かな歌で歌いあげ、審査員ほぼ全員が満点をつける198点で暫定1位につけた。「16歳でここまで歌詞の世界を読み込むのはすごい。決勝でもう一回歌を聴きたいと思った」と審査員もその歌に脱帽していた。

 同じく、人一倍涙もろい広島の女子高生シンガー・ソングライター寿里も、山口百恵「いい日旅立ち」を審査員から「うらやましい声。表現力と世界観もすごい」と絶賛される歌声で187点と、歌のうまさはもちろんそれぞれが圧倒的な表現力でハイレベルな争いになった。

 病気と闘う父にステージで歌う晴れ姿を見せたいと、強い思いで出場し勝ち残ったnatsucoは越路吹雪「愛の賛歌」を、まるでミュージカルのように感情を全面に出し熱唱。審査員長代理の船山が「感激した」と評価し183点、ガールズグループ解散後、歌手になる道を模索してきたアルトボイスが魅力の福田未来は、越路吹雪の「サン・トワ・マミー」を歌うも自身も「二次、三次と比べると自分的には点数が低いステージだった」と語るように176点と伸びなかった。

 二次で一度脱落するも繰り上げ合格しこのステージに立った韓国のキム・テヒは、脱落した4人の韓国人出場者の分も、と力が入る。テレサ・テン「愛人」を伸びやかな声で歌い174点。しかし言葉の違いを乗り越え、歌の世界にしっかり入り歌う姿は、審査員も評価していた。

 このオーディションを象徴する一人、「歌は心」をモットーに 歌い続けて30年の歌心りえは、美空ひばり「一本の鉛筆」を柔らかくそして凛とした歌で表現。「新しい時代の『一本の鉛筆』が見えた」と絶賛され、185点を出した。美しい高音が武器の下北姫菜はこの番組のテーマソングにもなっている、美空ひばりの「川の流れのように」を歌い、183点と続いた。注目の2組は共に高得点だ。


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 高校卒業後、歌の修行のため単身韓国に渡り練習生として5年間鍛え、現在は料亭の女将として働きながらオーディションを受け続けるMAKOTOは、山口百恵「イミテーション・ゴールド」を妖艶かつパワフルに歌う。本人も「楽しかった」と満足のいくできで185点。

 審査員の得点により暫定のトップ5が決定しており、ここに一般審査員70人の票が加わり“真”のランキングが決まる。1位に輝いたのは住田愛子。準決勝ステージのMVPも獲得し「ここまでの努力が皆さんに伝わっていたことが嬉しい」と喜びを爆発させた。2位はMAKOTO。名前を呼ばれると「ヨッシャ!」と思わず声が出て「次はてっぺんを獲りたい」と気合が入る。3位はnatsuco。「この場にはいない一緒に頑張ってきた仲間の分も精一杯頑張る」と喜びの表情を見せた。4位は歌心りえ、そして最後に名前を呼ばれたのは5位下北姫菜だった。

 5名の決勝進出が決まったが、決勝出場は8枠。残りの3枠を敗者復活審査で、2枠はアピール力や将来性など様々な観点から審査員が合議で、1枠は一般審査員が決める。ここでドラマが待っていた。福田未来の名前が呼ばれると、涙が止まらない。「納得のいかないパフォーマンスだったので、決勝に行きたいけどここで落ちても仕方ないと、自分に言い聞かせていた」と半分諦めていた中での復活劇。

 福田はボーイッシュなガールズグループ「THE HOOPERS」のメンバーとしてデビューしたが、26歳の時にグループが解散。アイドルを卒業し、歌手になる道を模索しながらも苦戦続きで、29歳という節目に最後のチャンスという気持ちでこのオーディションに臨んでいた。二次審査で尾崎紀世彦の「さよならをもう一度」を歌い絶賛された、クールさ、妖艶さ、そして深みを感じるアルトボイスで頂点を目指す。

 審査員合議残り1枠は寿里が復活した。そして一般審査員が選んだ最後の一人は東亜樹だった。「今日は、これ以上は出せないというパフォーマンスができ、悔いがない歌を歌えたと思っていたので(例え落ちても納得したけど)復活させていただけて嬉しいです」とほっとした様子だった。

 これで決勝進出メンバーが揃ったが、さらに視聴者の応援投票による決勝進出者が発表され、松永実優が大復活だ。彼女は本選二次で脱落していたが、視聴者からの熱烈な“アンコール”により決勝進出が決まった。松永は幼い頃から祖父と一緒に昭和歌謡や演歌を聴いて育ち、ミュージカルや 舞台にも出演し、音大在学中からアイドルとして4年間活動してきた。しかし昨年6月歌謡歌手になるためにアイドルを卒業し、アルバイトをしながらボイトレやレッスンに励んでいる。実力派の元アイドルが下克上を起こすことができるのか、注目だ。

 そしてドラマはまだまだ終わらない。5位で決勝進出を果たした下北姫菜が、諸事情により決勝を辞退。敗者復活投票で東に次ぐ2位だったキム・ソヒが繰り上げ合格した。


 過酷なオーディションを勝ち抜いた9人が、決勝のステージで人生を賭けて歌う。この模様は2月23日(金)18時からWOWOWとABEMAで同時生中継され、トロットビーナスが誕生する瞬間を目撃することができる。またスペシャルライブ【TROT GIRLS JAPAN 2024】が、3月17日(日)に東京・LINE CUBE SHIBUYAで行われる。トロットビーナスはもちろん、オーディションで輝きを放ったシンガー達が、新しい感性で歌う昭和・平成歌謡を堪能したい。



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