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<インタビュー>村上佳佑 リスナー全員そして自身を鼓舞するメッセージ曲「Alright」リリース



村上圭佑インタビュー

 伝説のアカペラ・コーラスグループ「A-Z」(アズ)のメンバーとして注目され、その後ソロとして活躍する村上佳佑は、R&Bやブルースなどをルーツに持ち、透明感のあるファルセットから力強い低音まで、さまざまな声色を駆使し、日々の心の移ろいを丁寧に表現しているシンガーソングライターだ。2022年最初の作品となる楽曲「Alright」は、松室政哉がアレンジに参加。ゴスペル風な広がりのあるサウンドで、新しい一歩を踏み出そうとする人すべてにエールを送る、ポジティヴなメッセージ・ソングに仕上がった。

――ソロ初作品となるミニ・アルバム『まもりたい』のリリースから、もうすぐ5年が経過しますね。

村上佳佑:2022年6月で5年を迎えることになります。当初の1、2年は環境に慣れることに必死で、巡ってくるチャンスに応えるだけで精いっぱいでした。でも2019年くらいから、「こんなことができたらいいな」という活動のヴィジョンが自分のなかで見えてきたというか。自分が何のために歌っているのかが、わかってきたんです。ちょうどその頃から新型コロナの影響が出てきて、いろんな計画が思い通りに進まなくなりましたが、空いた時間を利用して、自分のやりたいことに没頭できたというか。自分が歌いたいことを曲として表現できるスキルを磨くことができました。今後、飛躍するにあたってのいい準備期間を与えてくれましたね。

――この2年間は、ソーシャルメディアを駆使したライヴ配信を積極的に行ってきた印象がしましたが。

村上:ライヴも楽曲のリリースも思うようにできない状況でも活動を続けたいと試行錯誤するなかで、配信をやろうと思いました。アーカイブとして残った映像を見直すことによって、自分の声とも向き合うことができましたし、いい経験になりましたね。

――またリスナーの方々との絆も深まったのでは?

村上:よりパーソナルな部分をみなさんにお伝えしたことで、繋がりも深くなったような気がしています。

――また、2021年は3か月連続で楽曲を配信リリースされました。

村上:昨年配信リリースした楽曲は、2~3年前くらいからストックしてあったもので、ようやくみなさんの耳に届く機会が与えられた感じで、今回の新曲「Alright」も以前からあったものに歌詞をつけて完成したものです。ただ、どの楽曲も自分が自信を持って聴いていただきたい完成度の高い楽曲であることに変わりはないですね。

――今回の「Alright」はどういうきっかけで生まれた楽曲なのですか?

村上:天気や気分がいい瞬間に、ギターを持っていると鼻歌混じりでメロディーが思い浮かぶことが多くて、この曲もそういう状況から生まれたものです。僕は思想的なルーツはないんですけど、ゴスペル音楽を聴くのが昔から好きで。開放感や人生を謳歌した気分を感じながらも、世界と繋がれるような広いサウンドに心を奪われています。そういった影響を表現しようと思って制作した楽曲ですね。

――確かに、青空のような爽快さを感じる仕上がりになっています。

村上:おそらくこの楽曲を作っていたのはステイホームに入ったばかりの頃で、気分が塞ぎ込んでいた時期。その気分をなんとか打破して、自分を鼓舞させるようなものを作りたいという「願い」がこもった1曲になっています。


――この楽曲は松室政哉さんがアレンジャーとして参加されていますね。

村上:以前にも松室さんとは楽曲制作をしているのですが、同世代かつシンガーソングライターでもあるなど共通項も多く、さらに好きな音楽のポイントも似ているので、気心が知れた仲なんです。だから制作自体はスムーズに進みましたね。

――松室さんとはどんなやりとりを?

村上:まず参考にする楽曲をいくつか用意して、その雰囲気を取り入れながら、自分のイメージに摺り寄せて音作りをしていくんですけど、この楽曲は完成までのスピードが速かったです。2~3日で自分のイメージ通りのものができたので、完成した瞬間にテンション上がりましたね(笑)。

――先ほどもおっしゃられたようにゴスペルのほか、アコースティック・ギターなど、生音の質感を大切に表現されているアレンジですよね。

村上:人間臭さを感じるアレンジになっていますよね。

――歌詞に関してはいかがですか? 自分の未来は自分で切り拓くというメッセージを感じましたが。

村上:一人暮らしを始めたばかりの大学生の頃と今とでは、確実に見える景色や物事に対する思いが異なっている。以前は、何か嫌なことが起こったら、本当は自分の力不足が原因だったにもかかわらず、周囲のせいにしていました。でも、最近は誰かのせいにしないで、自分で自分の道を切り拓いていく、運命を導き出せるのは自分しかいないんだという思いが強くなってきました。また、人に優しくすることが、周囲をハッピーにし、巡り巡って自分にそれが戻ってくる。そんな普段から心に留めている思いを表現した歌詞です。自分にとっては筋の通った応援歌になったと思いますね。

――村上さんは英語が堪能ということもあり、日本語だけにこだわらない歌詞が多い印象です。ただこの楽曲に関しては、日本語を大切に表現されている気がしました。

村上:実は曲を作るにあたり、あんまり英語や日本語のこだわりはなくて。メロディーがどの言語を欲しているのかを考えた結果、生まれたフレーズを表現しているだけです。今回は日本語に合うメロディーが多かったので、そうなっただけですね。

――歌詞よりもメロディー優先?

村上:先にメロディーが浮かぶことがほとんどですね。また、メロディーを考える時間が一番充実した気分になります。実は、自分でどうしても詞を書かなくてはいけないとは思っていなくて、メロディーに合うものを作ってくださる方がいらっしゃればお任せしてもいいのかなって。今は理想に合う言葉を自分で作ることが最善だと思っているので、そうしているだけです。

――村上さんは言葉にこめたメッセージではなく、「声」そのものからリスナーに何かを伝えたいというお気持ちが強いのでしょうか?

村上:自分が影響を受けたヴォーカリストは、みんな声に特徴があるので、そういう存在になりたいんです。だから「声」が前提になっていますね。

――「Alright」でも、低音からファルセットまで表現力豊かなヴォーカルを披露されています。青空の下で力強い一歩を踏み出しているような。

村上:先ほども述べたように、この2年は自分の声とも向き合う時間になりました。ライヴ配信などを通じて、自分の声を聴き直して、アスリートのようにミリ単位で調整しながら、「こうしたら、こういう声を出せる」とか、テクニックを磨くことができたのです。それを踏まえて、自分が今表現できる声を惜しみなく表現しようと思いました。だから以前よりも説得力のあるヴォーカルになったのかもしれませんね。

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人生の片隅にちょっといて
何かの瞬間に力になれるような存在になれたら

――この楽曲のミュージック・ビデオも完成しました。なかなか一歩を踏み出すことができない3人の登場人物を優しく見つめ、勇気を与えるような存在を村上さんは演じていらっしゃいます。

村上:リリースがちょうど新学期、新年度の始まりにあたるので、環境が変わる方、そうしたい方を優しく見守るような妖精のような役割で、新たな一歩を踏み出すお手伝いをするという内容になりました。

――村上さん自身も、新生活を迎えた頃の気持ちが蘇ってきましたか?

村上:実は2022年に入ってから、一人暮らしを始めた大学1年生の頃のようなワクワクした感覚が蘇ってきたんです。今がとてもワクワクしている状態。その表情を映像からも感じ取ってもらえるのではないでしょうか。

――ミュージック・ビデオの世界観同様、楽曲からもこれから新しい生活が待ち受けている人へのメッセージを聞き取ることができました。この楽曲が、リスナーにどう響いてもらいたいですか?

村上:自分はカーク・フランクリンの2019年の発表曲「Love Theory」を朝の目覚めに聴くと、驚くくらいテンションが上がるんです(笑)。(「Alright」が)新生活を迎えた方々の応援歌になってくれたら嬉しい気持ちはもちろんあるのですが、「Love Theory」と同じ効果を、リスナーのみなさんにもたらすことができたら、楽曲が報われるのかなって思います。人生の片隅にちょっといて、何かの瞬間に力になれるような存在になれたら。


――また、ライヴでも盛り上がりそうな仕上がりです。

村上:そうですね。状況が良くなって、みなさんと一緒にまた歌えたらなって思います。

――今回の「Alright」を完成させたことで、次に繋がるヴィジョンは見つかりましたか?

村上:現在は自由に音楽を発信・配信できる状況なので、より自分らしいものを作っていけたらと思っています。今回の「Alright」は自分の中にあるJ-POPのエッセンスを多く表現していますが、次は違う角度で自分の伝えたい音楽を追求してもいいのかなって。今は、いろんな角度から自分の作りたい音楽を発信しつつ、いずれはそれらをバランスよく配合させ、多くの方に楽しんでもらえるような、自分だけしか表現できない楽曲を残すことができたらと思っています。

――今後は編曲など、楽曲制作全般に関わりたい思いはありますか?

村上:ゆくゆくはアレンジも自分でするのかもしれないし、興味はあるのですが、できれば歌うことに集中したいですね。いい歌を残すためなら、いろんな方々の力を拝借したいと思っています。

――また、現在は以前から交流の深いクリス・ハートさんの全国ツアーに帯同されているそうですね。

村上:クリスさんとのステージは常に楽しくて、あっという間に時間が過ぎてしまう。このツアーを通じて次の楽曲に対する創作意欲がますます高まっていきそうな気がしていますね。

――村上さんは海外在住経験もおありです。今後は世界展開も視野に入れていますか?

村上:もちろん、海外での活動にも興味があります。ライヴ配信をしていると、各国からメッセージも多く届きますから、今後はそこも視野に入れた活動もしなくてはと考えているところですね。

――ワールドツアーも実現するかもしれないですね。

村上:やりたいですね! 特に東南アジア地域の方からリクエストが届くので、実現させたいところです。

――また、村上さんは【第63回日本レコード大賞】を獲得した5人組ダンス&ヴォーカルグループ「Da-iCE」の大野雄大さんと交流もあるそうで。

村上:大野雄大さんとは、TV番組の共演をきっかけに交流が続いていて、大賞を獲得した直後にはSNSを通じてお祝いのメッセージを送りました。翌日には返信が届いていて、多忙なのに律儀な方だなって。

――大野さんとコラボ曲を制作できたら良いですね。

村上:2017年に「二人だけの愛」で共演させていただいたんですけど、またコラボレーションできたら嬉しいですね。


――今後の活動予定を教えてください。

村上:東京では何度か公演をさせていただいているのですが、地方にはまわれていない状況。これからは、なかなか会いに行けなかったみなさんとも交流を重ねる機会を増やしていきたいです。

――いろんな夢が膨らみますね。

村上:本当に今は何もかもが楽しみなんです。これまでさまざまな経験を積み重ねて、ようやくその境地に辿り着けた感じですね。いろんなことに挑戦していけたら。

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