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【コラム】布袋寅泰、音楽で世界を繋ぐ珠玉の作品集とキャリア40年を振り返る



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 日本を代表するロックミュージシャン、布袋寅泰がコラボレーション・アルバム『Soul to Soul』をリリースした。本作は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延する時代に向けた1枚であり、世界中のアーティストが参加していることでも話題だ。

 世界7か国の表現者であるブルーイ / Incognito(イギリス)、ズッケロ(イタリア)、ネイト・スミス(アメリカ)、カロジェロ、マルク・ラヴォワーヌ(フランス)、カルリーニョス・ブラウン(ブラジル)、ヤン・クン(中国)、そして、日本からは吉井和哉やGLIM SPANKY、コブクロ、氷川きよしなどが集結。コロナ禍において国境を越えるリモートでのセッションによって生み出された、音楽で世界を繋ぐ珠玉の作品集となった。


 2021年、アーティスト活動40周年イヤーを迎えた布袋寅泰。そのキャリアは、1981年にロックバンドBOØWYのギタリストとしてパンク / ニューウェーブシーンからスタートした。80年代を駆け抜け、それまでカウンターカルチャーだった日本産ロックを一躍メジャー化し、その勢いはとどまることを知らず、1987年にリリースしたラストアルバム『PSYCHOPATH』では、同タイミングで発売されたマイケル・ジャクソンの世界的ヒットアルバム『バッド』を抑え、国内チャート1位を記録した逸話を持つ。世界的なマイケル・ジャクソン全盛期において、稀有な現象となったのだ。

 バンド解散後、布袋は全編英語詞で自ら歌唱する新境地を開拓したソロ・プロジェクト“GUITARHYTHM”シリーズを始動。1996年には、マイケル・ケイメンからの誘いを受け【アトランタオリンピック】閉会式セレモニーで圧巻のギタープレイを繰り広げた。

 世界は布袋を目撃した。

 その後、2003年にはクエンティン・タランティーノからのオファーによって実現した映画『キル・ビル』の挿入曲「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」の大ヒットなど、世界への扉を次々に開いていった。

 これまで、日本はもちろんヨーロッパやアメリカなど世界各地でライブを行ってきた布袋。しかし、コロナ禍の現在、リアルでのライブ活動がままならなくなってしまったロックシーン。そんななか、新たな挑戦となるのが2020年11月25日にリリースしたコラボレーション・アルバム『Soul to Soul』だ。直接での対面はせず、国を越えてオンラインでのセッションから生み出された新たなチャレンジによる作品集なのである。テクノロジーの進化が縁を紡いだ、万博状態といえる多様な面子が賑やかで華々しい。

 注目は、Incognito All Starsによる最新オリジナル・ナンバー「Find A Way」だろう。詞曲をIncognitoのブルーイと布袋がコライトし、ブルーイがプロデュースを担当したナンバー。ビートが疾走するグルーヴィーかつハードボイルドなサウンドは鳥肌ものだ。ボーカルで、布袋はもちろん、日本からソウルフルなシンガーソングライターのさかいゆう、歌姫の福原みほが参加しているのも新鮮であり、彩りを添えてくれる。結果、離れた距離を感じさせない、希望の光を与えてくれる宝物のようなポップソングへと仕上がった。


 イタリアを代表するレジェンド・アーティスト、ズッケロの参加もニュースと言えるだろう。お互いのライブや作品に参加し合う仲の2人が生み出した「Lotus Flower」について、布袋は「オールドスタイルだと言われても構わない。私はズッケロの感情と魂を剥き出しにしたシャウトが大好きだ。彼の歌に触発されて最高のギターソロを弾くことができた。この曲は2人で生み出した奇跡だ。」とコメントを寄せている。


 壮大な世界観を醸し出す極限までにメロウな魂の交流。ズッケロも参加したミュージックビデオからも、その凄みは伝わってくるだろう。


 さらに、布袋が世界で知られるきっかけとなった映画『キル・ビル』の挿入曲「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」が本作には2バージョンで収録されている。

 八面六臂の大活躍で現代ジャズシーンを牽引するドラマー、ネイト・スミスによるタイトなドラムをフィーチャーしたフューチャージャズを感じさせる「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY (Solid Groove)」では、布袋は自宅でアコースティックギターを手にせつなさを紡いだ。中毒性の高い、何度もリピートしたくなるナンバーである。


 カルリーニョス・ブラウンが参加した「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY (Battle Samba)」では、熱狂的な高速サンバ・ビートと四つ打ちによるグルーヴがめくるめくバトルを繰り広げていく。これまで「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」は、世界中で野球、バスケ、サッカー、格闘技などスポーツ中継などでSEやBGM起用される機会が多かったが、スポーティヴな本バージョンの完成によって、より起用頻度があがるのではないだろうか。


 カロジェロ、マルク・ラヴォワーヌによる「Live On」では、耳に優しい暖かみあるコードにのせてポエトリー調の低音ボイスが響く。ポップセンス輝く、宝箱から宝石が輝きながら飛び散っていくかのようなキャッチーな世界観がまばゆい。

 中国から参加したヤン・クンとは、布袋らしい鮮やかなロックンロールを取り入れたアッパーチューン「BoomBoomBoom」によって爆裂セッション。時折「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」をサンプリング風味にマッシュアップするなど、遊び心いっぱいのパワフルな展開で元気を与えてくれる。

 日本からも、夢のような驚異のコラボレーションが実現したことも書き記しておきたい。ロックスター、THE YELLOW MONKEYのボーカリスト吉井和哉が参加した「Dangerous」だ。お互いがリスペクトする今は亡きデヴィッド・ボウイのビートチューンを彷彿とさせるグラマラスなナンバーとなっている。言うなれば日本が誇る史上最高峰に“危険な”ロックナンバーの誕生だ。他にも、GLIM SPANKY、コブクロ、氷川きよしなど日本を代表するロック&ポップスターが参加し、布袋とともに驚きとギャップを持ってオリジナル新曲をクリエイトしている。まさにコラボレーションの醍醐味だ。


 2021年、布袋寅泰は日本を代表する老舗ライブハウス、新宿LOFTのステージに初めて立ってから40周年を迎えた。記念すべき40周年イヤー、そのキックオフは2021年1月30日、31日に無観客で開催する日本武道館公演からスタートする。ニューノーマルな時代、オンラインライブによって世界を繋ぐ試みに注目をしたい。

 1月30日=“Memories”をテーマとした初日【HOTEI 40th ANNIVERSARY Live“Message from Budokan”~とどけ。Day 1 (Memories)~】は、ギタリストとして主な楽曲やプロデュースを手がけたBOØWYやCOMPLEX時代を軸にセルフカバーで展開。


 1月31日“Adventures”をテーマにした2日目【HOTEI 40th ANNIVERSARY Live“Message from Budokan”~とどけ。Day 2 (Adventures)~】は、ソロになってから今に至るまでの長い道のりを表現するセットリストになるという。


 2021年、いまだ視界の悪い曇りがかった世の中ではあるが、音楽とは人と人とを繋げてくれる存在だ。音楽を通じて、雲間から差す光のように希望を与えてくれるのが布袋によるロックンロールドリームなのかもしれない。悔しくも今回、感染対策を考慮して無観客での配信ライブとなった記念すべき日本武道館公演。40年という奇跡のヒストリーを2日間で振り返る究極の2 DAYS。布袋寅泰の勇姿を目撃したい。

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