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TAEYO 1st EP『ORANGE』インタビュー「自分なりの表現するときに、共感を呼ぶことが必要だと思う」



2015年、SoundCloudにアップした初音源が反響を呼び、活動をスタート。2019年には、初のフルアルバム『HOWL OF YOUNGTIMZ』をリリースし、HIPHOPシーン外にも頭角を現し始めたラッパー=Taeyoung Boyが、TAEYO(タイヨウ)に改名し、今夏メジャーデビューを果たす。ラップを始めるまでの経緯や、Tohji、StarRo、Chaki Zuluら周囲のアーティストからの影響、そして、7月15日にリリースするメジャー1st EP『ORANGE』について、以前からTAEYOと親交があるライター渡辺志保が話を訊いた。

作品を出すごとに、その作品が自分の自信になっていってる

――メジャーデビュー、おめでとうございます。最初、ニュースを見たときにびっくりしました。

TAEYO:そうですか? 俺は、すると思ってましたけど(笑)。

――TAEYOさんは、もともと音楽に囲まれた環境で育ったんですか?

TAEYO:そうですね。家ではTVが点いていなくて、朝起きてから夜寝るまでずっとJ-WAVEが流れていたんです。TVを点けるのは、サッカーを観る時くらいで。

――それはご両親の趣味で?

TAEYO:そうです。みんな、音楽が好きでしたね。

――当時聴いた音楽で、今も印象に残っているアーティストは?

TAEYO:ローリン・ヒルとワイヨリカ。ワイヨリカはお母さんが好きで、すごく聴かされていました。あとはブラック・アイド・ピーズですかね。

――楽器を習うこともあった?

TAEYO:幼稚園の頃から、ピアノを習っていました。親がキムタクが好きで、キムタクがドラマでピアノを弾いていたらしいんですよ。

――それは『ロングバケーション』ですね、おそらく(笑)

TAEYO:剣道もやってたんですけど、それもキムタクの影響らしくて。今も音感はあるし、楽譜も読もうと思えば読めるので、それはピアノのおかげかなって思います。

――最初にラップに興味を持ち始めたきっかけは何だったのでしょう?

TAEYO:きっかけは、世の中のメディアにラップが出始めたタイミングですね。俺はあまりTV番組は見てなくて、逆にダンスとかスケボーをやっていたんです。そのうち、Fla$hBackSの存在を知って、「すげえな、ヤバい。同年代でもこんなにイケてる音楽をやってるヤツがいるんだ。俺も出来そうだな」と思ったんですよ。その時、日本のラッパーは他にQNくんしか知らなくて、あと、先輩にSEEDAの「GREEN」を貸してもらって結構クラったんです。歌詞カードを見ながら「やば!」と思って。そのあたりから、だんだんQNくんのライブを見に行くようになって、話すようにもなった。そこで、ラップを始めたんです。最初はQNくんからトラックをもらって「いい感じじゃん」ってアドバイスももらいながら。あと、DJ JAMくんとも連絡を取って、スタジオを紹介してくれたり助けてくれたりして、めちゃめちゃお世話になりました。

▲Fla$hBackS「Fla$hBackS」

――ラップをスタートして、音源をネットに上げ始めた時の手応えはどうでしたか?

TAEYO:別にないですね。最初は友達とかが「いい感じじゃん」って言ってくれるくらいで、意外とみんな気に入ってくれてるんだな、みたいな。でも、「これで行けるわ!」って感じじゃなかったです。

――逆に、「これで行ける!」って手応えを確信したのはいつ頃?

TAEYO:「Fault」のMVを出して、その後、プロデューサーのDroitteとアルバム『SWEAR』を出したタイミングですね。その時、ずっとやってたアパレルの仕事も辞めて、「俺、もうこれで行けるわ」って感じたんです。

▲Taeyoungboy & Droittte「Fault」

――それ、まだ2年半くらい前の出来事ですよね。すごいスピード感でここまで来たようにも感じます。アルバムも三枚リリースしているし。

TAEYO:全然早くないですよ。俺はまだ、具体的な数字を持っていないんです。JP The WavyとかWILYWNKAみたいに、どこを何万人埋めたとか、どの曲が何百万回再生されたとか、そういう数字。自分の手応えしかない状態なんです。ただ、作品を出すごとに、その作品が自分の自信になっていってる感じはあります。

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ヒップホップ好きの1000人に向かってやってるわけじゃない

――『SWEAR』をリリースした頃から、既に大きなビジョンがあった?

TAEYO:特に明言はしてなかったですけど、メジャーにいくっていうこと、「自分はそういうところに行くべきだ」みたいなことは、ずっとどこかで考えていましたね。でも、ちゃんと意識し始めたのは、次のアルバム『HOWL OF YOUNGTIMZ』を出した時期くらいです。

――2年くらい前にTAEYOさんのライブを観たときに、既にステージ上から放たれるカリスマ性みたいなものが備わっていて、とっても驚いたんです。

TAEYO:ライブに関しては、そろそろ別のステップに行かなきゃなと思っています。最初、観てもらった時――『SWEAR』を出した後くらいはすごくいいライブが出来ていたんです。今も、(コロナ・ウイルスによる)自粛期間に入る直前までライブをやっていて、自分のパフォーマンスは緩やかにクオリティが上がっていったと思うんですけど、それだけじゃダメだなって思うようになって。他のアーティストを見ていると、ライブに対しての熱量はまだ全然足りねえなって思います。Tohjiのライブとか普通に観にいくんですけど、すっげえいいライブするから、結構クラいますよね。そう言うところ、めっちゃ大事だなと思うんです。これからはライブで戦っていかなきゃと思うし、マジで力を入れたいです。

▲2019年7月に行われたリリースパーティーの様子

――今回からPONY CANYONと契約してメジャーデビューということになりますが、それに先駆けて、以前より向井太一やStarRo、Friday Night Plansらが所属するMIYA TERRACEがマネジメント面でのサポートをしていましたよね。

TAEYO:『GIRL』ってEPの時からですね。StarRoさんに関しては、サンクラに上げている曲とかも大好きだったから、最初に会った時は本当に感動して。一緒に曲を作ってみたら、お父さんやお兄さんみたいな感じがあって、飲んだ時もいろんな話をしてくれるんです。俺のこともすげえ褒めてくれる。音楽面っていうよりも、一流のアーティストとそういう風に一緒にいられる環境がすごく嬉しくて、事務所で一緒の仲間になれて良かったですね。Friday Night Plansも普通の友達みたいな感じですけど、彼女もめちゃくちゃすごいアーティスト。一緒に「Ain’t Nothing」という楽曲や「WHITE」という楽曲も制作しています。

▲Taeyoung Boy「Ain't nothing (feat. Friday Night Plans)」

――ちなみに、今回のメジャーデビューにあたって改名した理由は?

TAEYO:最初、“Taeyoung”にしようと思っていて。でも“Taeyoung”は使えないらしくて、「どうする?」ってときに、TAEYO (タイヨウ)が出てきた。Taeyoungの最初の綴りも取ってるし、タイヨウって本名なんで、しっくり来たんです。

――アーティスト名を変えて、心機一転という感じはある?

TAEYO:はい。イチからというか、ゼロからっていう気持ちですね。もちろん、今まで作って来た作品はあるけど。でもメジャーに行くって、そういうことだなと思ってます。

――今回、楽曲制作における心境の変化などはありましたか?

TAEYO:まずは、リリックを変えようっていうことを意識しましたね。アングラなリリックや言い回し……例えば、なにを言っているのか分からない歌詞はもうやめようと思って。もっと(歌詞を)伝わりやすくすることが、レベルアップすることだと思っていたんです。簡単で伝わりやすい歌詞って、ちょっとダサく聞こえてしまうことがあるかもしれないですけど、そこを恐れずに、伝わりやすくする工夫をするという点を一番意識しました。

――EP全体を一足先に聴かせてもらったんですが、曲を聴くと、前より情景が浮かびやすくなったと感じたんです。それは歌詞を噛み砕いて表現しているからかな、と思って。

TAEYO:自分としては、いわゆるボースティング(注:特に自分にまつわる事柄を自慢すること)とかはもういいかなって思ったんです。ラッパーの良さって、そういうところにもあると思うんですけど、少なくとも、今、このタイミングでメジャーに行ってまでやる必要はないかなって。

――それって、結構な大きな意識改革ですよね。

TAEYO:自分なりのアートを表現するときに、共感を呼ぶことが必要だと思うんです。それを考えたときに、自分が言いたいことや身近なところだけを切り取ってやり続けても、意味ないなと思って。それで何かが変わるとしても、少ししか変わらない。俺は別にヒップホップ好きの1000人に向かってやってるわけじゃないので。

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「今とは真逆の弱さも書いていかなきゃいけない」

――EP『ORANGE』を二周くらい聴いて、その後に『HOWL OF YOUNGTIMZ』を聴き直してしまったくらいなんです。「これ、同じラッパーの作品だよね?」と思って。それくらい、ガラッと変わったように感じた。

TAEYO:それだけ変わると、葛藤もあるじゃないですか。でも、そこを切り崩してくれたのはChakiさん(注:プロデューサーのChaki Zulu)ですね。Chakiさんは、マジで先生。俺はこれまで、音楽制作なんかで落ち込むこととかはなかったんですけど、「Let me down」を作るときに、結構迷っちゃった時があって。メジャーデビューする人なら誰もが経験することだと思うんですけど。

――自分の殻に閉じこもりすぎちゃった、みたいなことですか?

TAEYO:迷っているうちに、まわりの実はポジティブな意見とかも自分のすべてを否定されている気分になってしまって。それで、「もう、何なんだよ」くらいの気持ちになって、「Let me down」も途中でやりたくなくなっちゃったんです。でも、そんな時にChakiさんがこれからの人生で大事なこととか、プレイヤーとしてのスタンスとかを腹割ってすげえ話してくれて。そこから「やっぱりやらせて下さい」と言って、スタジオに入って「Let me down」を一からやり直したんです。

――メジャーデビューにあたって、気が付かないうちに迷いやジレンマがあった?

TAEYO:やっぱり、今までの俺が見ていたビジョンがすげえ狭くて。例えばライブに関しても、まだクラブでやる姿をイメージしていたし、今、一緒にやってる同い年のラッパー達から何て言われるんだろうとか、そういうことをすごく気にしていたんです。でも、Chakiさんから「それは違うよ」って言ってもらって。「そんなプライドいらない」って。確かに、俺はもっと別の世界を目指すためにメジャーデビューするのに、そこを気にしてたら何もできないじゃんと思って。Chakiさんは俺の気持ちを分かってくれているので、振り切り方を提案してくれたんです。歌詞に関しても、「今とは真逆の弱さも書いていかなきゃいけない、それくらいじゃないと共感は呼べない」っていうこと言ってくれて。

▲TAEYO「Let me down(Prod. Chaki Zulu)」

――今回は他にも、これまでにSEEDAやKREVA、AKLOらを手掛けてきたヒップホップ・シーンの名プロデューサーであるBACHLOGICも参加していますよね。

TAEYO:BL(注:BACHLOGIC)さんとChakiさん、楽曲制作の方法は似ているところもあって、物凄いプロデューサー二人は共通しているところもあるんだなって思いましたね。BLさんのアドバイスの仕方も、音楽的教養がすごくあって、導き方が本当に的確なんです。名だたるラッパーとたくさんやってるだけあるなと思いました。

――今、TAEYOとして叶えたいヴィジョンや夢はありますか?

TAEYO:フェスに出たいって言う気持ちがあって、『ORANGE』はそれを想定して作ったんです。野外でパンパンに人が入っていて、夕方くらいにみんなで合唱できたらめっちゃいいなと思ってます。それは絶対、野外のでかいステージでやりたいです。ただ、こういうご時世になっちゃったんで、いつ実現できるかわからないですけど。それと、音楽以外の仕事もめっちゃしたいです。俺、映画に出たいんですよ。言っていれば叶うかなと思って、ずっと言ってます。叶えたいですね。

TAEYO「ORANGE」

ORANGE

2020/07/15 RELEASE
PCCA-4959 ¥ 1,650(税込)

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Disc01
  1. 01.Intro
  2. 02.Let me down
  3. 03.All I have
  4. 04.Calm
  5. 05.ORANGE
  6. 06.Alright

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