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G・ラヴ 4年ぶりの来日公演も決定したサーフ・ミュージック第一人者の最新インタビューをお届け



G.Loveインタビュー

 サーフ・ミュージック・シーンを牽引するG・ラヴが、ソロ名義としては4作目となる最新アルバム『ザ・ジュース』を発表した。ヒップホップとブルースを融合させた新しいスタイルを確立し、その独特のスタイルで我が道を行くG・ラヴの新作には、ギタープレイに定評がある新旧ギタリストが参加。ここでは、4月に4年ぶりの来日公演も決定した彼の簡単なバイオグラフィーとロングインタビューをお届けする。

 ギャレット・ダットンことG・ラヴは、ジェフリー・クレメンズ、ジム・プレスコットと組んだバンド、G・ラヴ&スペシャル・ソースとして1994年にデビュー。昨年にデビュー25周年という節目を迎えたが、そのデビュー作は今聴いても色褪せることのない傑作だ。同作は古い歴史をもつジャズ/リズム&ブルースの老舗レーベル<OKeh Records>よりリリースされたが、そのブルージーなサウンドとヒップホップを掛けあわせた新しいスタイルは「ラグ・モップ」と呼ばれ、両ジャンルのリスナーの心を掴んだ。2004年に発表した6thアルバム『ハッスル』は、ジャック・ジョンソンのレーベル<Brushfire Records>からリリース。ジャック・ジョンソンとG・ラヴの関係は1999年の4thアルバム『フィラデルフォニック』から始まり、同作に収録されるジャックが作曲した「ロデオ・クラウンズ」は高い人気を集め、この曲をきっかけにジャックの名が世に知られることとなる。その後ジャックは2ndアルバム『オン・アンド・オン』(2003年)が米ビルボード・アルバム・チャートで最高3位、3rdアルバム『イン・ビトウィーン・ドリームス』(2005年)が同チャートで最高2位を獲得し、当時の音楽シーンを席巻。ちょうどその時期に<Brushfire Records>に移籍し作品を発表したG・ラヴ&スペシャル・ソースは、ジャックとともにサーフ・ミュージック・シーンを牽引する第一人者として、新たなファン層を獲得していった。

 G・ラヴの4thソロ・アルバム『ザ・ジュース』は、アメリカン・ルーツ・ミュージックのマスターで【グラミー賞】を4度受賞したケブ・モとの共作だ。レコーディングは全てナッシュビルで行われ、自らのルーツに戻るかのように、どこか肩の力が抜けたサウンドがアルバム中に染みわたっている。出だしを飾るタイトル・トラックの「ザ・ジュース」には、弱冠23歳の若き天才ギタリスト、マーカス・キングが参加。次ページに掲載するインタビュー内で語っているが、この曲でG・ラヴはトランプ政権に向けた抗議を歌っており、リスナーの賛同を得るようなコーラスワークは世界中のライブやフェスで大合唱を招きそうだ(配信中の本曲のライブ・ヴァージョンを聞けば、実際のその様子がわかる)。


 ルーズベルト・コーリアーが参加する「ソウル・B・キュー」は、バーベキューを文字ったタイトルから想像できるように、気の置けない仲間も初めての人も全員ウェルカムなお気楽ホームパーティー・ソングで、ケブ・モをフィーチャーした「ゴー・クレイジー」は、かなりファンキーで踊らずにはいられない。<クレイジーに生きなきゃおかしくなっちゃう>と歌うこの曲で、G・ラヴは、もしかしたら、差別と混沌に溢れるこのご時世、全てを真剣に受け入れていては先に自分自身がやられてしまうと、警鐘しているのかもしれない。次ページでは、彼がアルバム・リリース前に行った日本向けのインタビューをお届け。アルバム制作の裏側をじっくり語ってもらった。


Text: Mariko Ikitake

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革命を代表するのは常にアーティストの仕事だと僕は思ってきた

――ソロ名義の新作『ザ・ジュース』の完成おめでとうございます。リリースを待っている間は、どんな気分でしたか?

G・ラヴ:アメリカでは、これまでアルバムから3曲リリースしたんだ。他の国はどうだか知らないけど、みんなとても気に入ってくれていると思う。僕はレコードをたくさん出してきたから、反応の度合いからみんなの気に入り具合がわかるんだけど、今回はとっても気に入ってくれているんじゃないかな。僕は素晴らしいエナジーをたくさん感じているし、インタビューだって多い。このアルバムは僕にとってすごく重要なんだ。曲にすごく思い入れがあるし、曲をプレイするのが大好きだから。
 実は、タイトル・トラックの「ザ・ジュース」はドナルド・トランプとその政権に対するプロテスト・ソングなんだ。そして、彼に反対するよりさらに重要なのは、これが僕たちの国、そして世界中の愛と結束のメッセージだということ。そして、環境を保護すること、女性の権利のため、参政権のため、そして貧しい人々や移民のために戦っている人々を力づけることなんだ。この曲には目的があるんだって僕はすごく感じている。だから僕の今のライブで最も重要なのは、この曲を歌うことなんだ。僕に目的を与えてくれる気がする。他の曲もそうだけど、特にこれがそうなんだ。僕にとってとっても大切な曲で、長い間歌い続けて行くことになると思う。僕も今作の曲に力づけられているよ。


――今回のアルバムは「ザ・ジュース」をはじめ、この世界をより良いものにしようというメッセージが込められていますが、現在の世界に危機意識があるということですよね? 普段、どんな時に危機を感じるのでしょうか?

G・ラヴ:1つには、僕はニュースを見るのが好きだということ。見ていて、そんなことが起こっているなんて信じられないよ。そんなことをする連中がいるなんてさ。この国を見ていると、人種差別がさらに横行しているのがわかる。この国は、1つになってこの世界をより良いところにしたいと思っている人々と、単に心が狭くて昔のように閉鎖的な人々に分かれているのがわかるよ。ある意味、今、この国を見ていると怖い。僕たちは本当に用心しないといけない。邪悪なことが起ころうとしているんだから。「右翼は銃で戦おうとするし、左翼は枕を持って戦おうとする」ということわざがある。だから、率先して率直な意見を述べて、自分が信じているもののために立ち向かうべきだと思うんだ。自分では立ち向かえない人達のために立ち向かうんだよ。だから、使命があるという気が僕はしている。今、アーティストとして、僕の友達の多くはどっち側も怒らせるようなことを何も言いたがらない。コンサートのチケットが売れなくなるのが嫌で、インスタグラムやフェイスブックのフォロワー数を減らしたくないからだ。だから、正しいことのために立ち向かう勇気がないんだよ。でも、革命を代表するのは常にアーティストの仕事だと僕は思ってきた。今回の場合は、正しい道から逸れないようにすることだな。価値とか、寛容とか、科学とか、男女平等とか。今、アーティストとしてそういったことにさらに力を入れるのはとても大事なことだと思う。
 さっきも言ったけど、「ザ・ジュース」を歌う時、僕は愛と結束のメッセージを広めてみんなを1つにするためにここにいるのであって、みんなをバラバラにするためにここにいるんじゃない。そういったことをネットのオンラインで話し出すと、「僕はあんたの音楽が聞きたいのであって、あんたの政治観なんて聞きたくないんだから、黙って歌えよ!」とか「あんたはエンターテイナーなんだから、政治についてなんて語るもんじゃない」って言われる。僕をフォローしてくれなくたっていいし、僕のライブに行きたくないんだったら来なきゃいい。僕は自分のキャリアを通じてずっとこういったことを書いて歌ってきたから、僕はこれを支持している。そろそろ、どっち側につくか決めて戦うことだね。

――でも、そういう真摯なメッセージを込めながら、同時にパーティーやセックスについても歌っているバランス感覚がすごく良いですね。

G・ラヴ:そうだね。それも言えてる。だから、このアルバムには2つの面があるんだ。1つは僕たちが住んでいるこの世界に対する僕の気持ちを扱っていて、もう1つは僕たちの家庭生活のとてもパーソナルな部分を扱っている。とても良いことだ。いろんなことがあったんだもの。僕は今年結婚したし。

――おめでとうございます。

G・ラヴ:ありがとう。それから、都会から田舎の海辺に引っ越した。3歳の子供がいて、もうすぐ赤ん坊が生まれる。僕のプライベートはとても充実しているから、それもこのアルバムで祝いたかったんだ。「シーズ・ザ・ロック」っていう曲は妻のために書いたし、「ディギィン・ルーツ」はうちの絵を描こうとしている。庭とか、犬とか、リンゴの木とか。僕のプライベートは幸せでいっぱいで、それがアルバムにも出ているんだ。「ソウル・B・キュー」は、友だちとパーティーすることについてだし。というわけで、そう、意識したパーティーだな(笑)。


――話を「ザ・ジュース」に戻しますが、キャット・スティーヴンスの「Peace Train」を引き合いに出されていますが、なぜでしょうか? 何かメッセージと関係があるのでしょうか?

G・ラヴ:あれはヒップホップのヴァースだろう? ヒップホップのヴァースを書く時は……ヒップホップですらないな。何かを説明するような場合だ。<Just like Cat Stevens, we ride a peace train(キャット・スティーヴンスのように、僕たちはピース・トレイン(平和の汽車)に乗る)>というくだりになっている。別のミュージシャンであるキャット・スティーヴンスを引き合いに出したんだ。彼もまた活動家で、特にこの曲「Peace Train」では平和や愛の価値を評価している。次は、<Or maybe we should be real(もしくは現実的にならないといけないのかもしれない)>と言っているけど、これはサイプレス・ヒルのラッパー、B-リアルを引き合いに出しているんだ。<Let us be real, you must be insane in your brain(現実的になろう、おまえの頭はおかしい)>と僕は言っているけど、これはサイプレス・ヒルの曲(「インセイン・イン・ザ・ブレイン」)の歌詞なんだよ。僕は、ドナルド・トランプのことを言っているんだ。というわけで、ここでは僕がリスペクトしているメッセージを発信しているアーティストをほのめかしているのさ。

――今回は自主レーベル<Philadelphonic Records>からのリリースですが、<Brushfire Records>を離れ、新たに自分のレーベルを立ち上げたのは、なぜでしょうか?

G・ラヴ:<Brushfire Records>では、ジャック・ジョンソンとそのチームのエメット・マロイとジョシュ・ニコトラとで決めたことがあって、ジャック以外のアーティストのレコードを扱うことをしばらくやめることにしたんだ。同時に、僕たちも自らの道を歩みたかったんだよ。かいつまんで言うと、僕たちの友情、そしてビジネス面での友情は全く損なわれていない。みんな仲のいい友達だし、音楽の友達なんだ。でも、彼らの後押しを得て、僕たちは自身のレーベルを持つという長年の夢を叶えることが出来た。それにぶっちゃけ、いまどきの音楽ビジネスは、レコードなんてもう誰も買わないから、金を儲けることが難しくなっている。だから、ビジネス面でもこれは僕たちにとって賢明な策だった。このほうが、ビジネス面でももっと成功すると思うからね。クリエイティヴな面では、僕は<Brushfire>にとても満足していた。素晴らしいファミリーだから、彼らからのサポートは今後も受けることになるよ。

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「俺の望むようなことが、おまえに出来るかな?」

――『ザ・ジュース』はケブ・モによるプロデュースおよびコラボレーションも話題の1つですが、20年ぶりに一緒にツアーしたことがきっかけだったそうですね。デビュー後、あなたがオルタナ・ロックのファンからも歓迎された一方で、ケブ・モはどちらかと言うと、オーセンティックと言うか、コンテンポラリーなブルースのシーンで活躍してきました。そのせいか、デビュー当時、ツアーして以来、あなたとケブ・モの活動が交わることはなかったと思うのですが、その間、彼の活躍を、どんなふうに見ていたのでしょうか?

G・ラヴ:ケブとは長年の付き合いなんだ。僕たちは一緒に契約を結んだから、最初の頃は2人とも一緒に曲を書いていた。それから20年間は何もなかったけど、一緒にツアーすることになって、そこから、「デュオ・アルバムを作らないか?」って話になったんだけど、彼は「ちょうどタジ・マハールのアルバムを手掛けたから、俺がプロデュースをやるよ」と言った。彼のキャリアは面白いんだ。彼は徐々にキャリアの勢いを増して行った。ブルースの世界で彼は大御所で、指折りのブルース・パフォーマーだ。【グラミー賞】も獲りまくっているしさ(笑)! 彼のキャリアの歩みを見ているとすごいものがある。そして、仕事に対する彼のモラルは信じられない。音楽ビジネスで彼が密かに組んでいる陣営にもインスパイアされる。彼らはすごくよくオーガナイズされていて、すごく順調に行っている。だから僕は、音楽、そして音楽ビジネスについて彼から多くを学んだよ。彼のことをすごくリスペクトしている。

――彼がプロデュースすることがわかった時、彼とアルバムを作ることが自分の音楽に何をもたらすと期待していましたか? そして、今回、彼がもたらしたものの中で一番大きかったのは何でしょうか?

G・ラヴ:ぶっちゃけ、プロデューサーとしてのケブ・モに何を期待したら良いのかわからなかったけど、僕はチャンスに賭けてみたかった。そして僕が得たものは、僕が望んでいたことを遙かに超えていた。ケブ・モは、僕がこれまで会った中で最も勤勉な男のうちの1人だ。仕事に対する彼のモラル、緻密さ、思慮深さには信じられないものがある。
 プロセスについてちょっと話そう。そもそも、ケブが「おまえの曲をいくつかプロデュースさせてくれよ。おまえが俺との仕事を気に入るかどうか、見てみようじゃないか」って感じで始まったんだ。彼から「一番偽りのない5曲を送ってくれ」と言われて、僕は「それっておかしいな。僕は自分の曲を全部偽りがないと思って書いているから、どれにも思い入れがある。どれも僕が書きたいと思っているものなんだから」と言った。そうしたら彼は「わかった」と言って、僕はちょうど取り組んでいた曲の中からケブ・モと一緒にやるのにふさわしい曲を送った。それから1週間が経過した。それからまた1週間が経過した。彼から連絡が一向になかったから、こっちから連絡した。「ケブ、曲を聴いてくれたかい?」って僕が訊いたら、彼は「聴いたよ」と言って、僕が「感想は?」って訊いたら、「おまえはソングライターと一緒にやるべきだ」と言われた。「クソっ」と思ったけど、知っての通り、僕はこれを長くやってきたし、改善の余地があるんだったらそれもいいかなと思った。そもそも、彼と一緒にやりたかったのはそれが理由だったから、「わかった。提案は?」と僕が言ったら、彼は「ナッシュビルに来い。ソングライターを紹介してやるから」と言った。
 それで僕はナッシュビルに行った。そして初日にもう1人のソングライターのゲイリー・ニコルソンと一緒にやってみた。「何についての曲をやりたい?」と彼に訊かれて、僕が「スマホに曲のアイディアがたくさん入っているんだ」と言ったら、彼は「じゃあ、それを聴いてみよう」ってなった。「ここにクールなのがある。『フィックス・ユア・フェイス』は笑いさえすればいいんだ」と僕が言うと、彼が「気に入ったよ。ケブ・モも気に入るんじゃないかな」と言ってくれて、2人でその曲を書いた。そして翌日、それをケブ・モに聴かせに行った。彼はその曲をさらに良くしてくれた。
 僕たちが書いた曲の中には、彼が気に入ったものもあれば、変えたいと思ったものもあった。歌詞に関しても、彼がこれでいいと思ったものと、これはブルースじゃないと思ったものがあった。彼はブルースに関してとても具体的かつ確かなものを持っていて、「その言葉はブルースじゃ使えない」、「そのコードはブルースじゃ使えない」、「こういう風にするんだ。でないとブルースじゃないから」とか言う。そうやって調整して行ったんだ。
 それから、ヴォーカルに取り組んだ。歌詞が解決して、ケブ・モの満足の行く歌詞になって、全ての言葉が完璧になると、「じゃあ、今度はヴォーカルをやろう。歌ってくれ」ということになった。<Fix your face, baby>って僕が歌うとケブが、「違う! こうだよ! <Fix your face, baby>」って言って、「わかった、もう一度やってみるよ」って言って、また<Fix your face, baby>って歌うと、「違う、こうだ!」とまた言われる。これが延々と続いたんだ、毎日午前3時くらいまでね。「なんてこった、僕は2人の年寄りと一緒にいて、彼らは70歳なのに、午前3時までレコーディングしている! どうなってるんだ?」って思ったね。
 翌日僕が行くと、「おいG、俺はおまえがここで仕事をしているのを見たいんだからな」って言われたよ(笑)。彼は僕を試していたんだな。僕がどれだけ彼と一緒に仕事をしたがっていて、プロデューサーとしての彼がアーティストに求めるものに僕が頑張って応えられるかどうかを試したんだよ。僕がどれだけこれをやりたがっていて、どれだけ大切に思っているかを知りたかったんだろうな。もしかすると、これは日本の昔のサムライがやっていたことに似ているのかもしれない。彼は僕にこれが出来るかどうか、僕を試そうとしていたんだ。彼は僕のセンセイだったんだよ。


――そしてあなたは合格したんですね。

G・ラヴ:そう、あの晩の後は、お互いのことがわかるようになったんだ。でもレコーディングが進むにつれ、そのことでイラつくことがあった。これは僕だけじゃなくて、アルバムを作るためにやってきたどのミュージシャンに対しても、ケブはチャレンジしていた。「俺の望むようなことが、おまえに出来るかな?」って感じでさ。それに対していい反応が出来る人間もいれば、腹を立てる人間もいる。僕はたまに、「おい、僕らしいこともやらせてくれよ。僕ならではのことをやらせてくれ。今、僕の中にあるこの感情を出し切ったら、また元に戻すから」って言った。彼は、あらゆるフレーズを彼の思い通りにやらせたがった。そしてそれは、僕が自然にやるやり方とは違うことがよくあった。だから、絶えず学習するプロセスだったよ。

――レコーディングはケブ・モが集めたミュージシャンと行われたんですよね?

G・ラヴ:そうだよ。

――スペシャル・ソースとは違うグルーヴが感じられたと思うのですが、彼らとの演奏はいかがでしたか?

G・ラヴ:実は、このアルバムはヒップホップ・アルバムみたいに作られたんだ。ビートを作って、それからギター・パートをきっちり決めて、進行も決めて、それから生ドラムを録って、ベースをかぶせて、他の楽器を加えて行った。だから、G・ラヴ&スペシャル・ソースのほとんどのアルバムでやっているような、ライブ・パフォーマンスじゃなくて、スタジオ・アルバムだったんだ。そういった意味では、ケブが連れて来たミュージシャンにインスパイアはされたけど、スタジオで一緒にジャムしながら何テイクもやったわけではなかったんだよ。そこが、これまで僕がやって来たやり方とは違っていた。

――また、レコーディングにはマーカス・キングをはじめ、多くの豪華ゲストが参加していますが、どんな理由で、どんなふうに声をかけたのでしょうか?

G・ラヴ:ケブ・モと僕で最初にコラボレーションした時、僕としては若いコンテンポラリー・ブルース・ミュージシャンを思い描いていた。僕と同世代か、もっと若い連中をね。ロバート・ランドルフは友達であり仲間だ。年の頃も近い。ルーズベルト・コーリアーも同じで、友達であり仲間なんだよ。若手は2人で、今、大成功を収めているマーカス・キングと、それからハワイ出身の無名のブルースマン、ロン・アーティス・ザ・セカンド。まず何よりも、スタジオに来れるか、もしくはやる時間のある人でないとダメだよね。でも、僕たちがやって欲しいと思った人は、ほぼ全員参加出来たんじゃないかな。すごくうまく行ったんだ。スペシャル・ゲストはみんな、収録した曲のレベルを上げてくれて、エキサイティングだったよ。
 コラボレーションっていいことだと思うんだ。特に僕みたいに長年やっているアーティストだと、別のアーティストとコラボレーションによる相互交流はみんなのキャリアのためになると思う。僕はコラボレーションが好きだよ。僕にとってはとても大切なことなんだ。

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ずっとついて来てくれた日本ファンのみんなにありがとうと言いたい

――日本盤にはボーナス・トラックとして、ブルース・トラヴェラーのメンバーと共演した「ゴー・クレイジー」のライブ音源が収録されますが、この豪華な共演はどんな経緯で実現したのでしょうか?

G・ラヴ:あれはクールだったな。ブルース・トラヴェラーのジョン・ポッパーは史上最高のハーモニカ奏者の1人で、初期の頃から僕を手伝ってくれた。いつだって、いい兄貴だったんだ。この間の夏、僕たちは彼らとmoe.と一緒にツアーした。そこでコラボレーションするセットがあって、ミュージシャン全員が一緒にジャムったんだ。彼らはザ・ローリング・ストーンズやレッド・ツェッペリンといったクラシック・ロックンロール・ソングのカヴァーをよくやっていたけど、「オリジナル曲をやってみる気はあるかな? 『ゴー・クレイジー』っていうラップがあるんだけど」って僕が言ったんだ。ジャムるだけだから簡単だと思ってやってみたら、ライブでやるのがすごく楽しかったんだよ。オーディエンスを2つに分けて、一方が<If I don’t go crazy>って言うと、もう一方が<I will lose my mind>って歌う(笑)。結局、これはコラボレーション・セットで一番ウケたし、ミュージシャンも楽しんでプレイしたと思う。だから、Sony Japanに「ボーナス・トラックが何曲か欲しいんだけど」って言われた時は嬉しかったね。「あるよ!」って(笑)。

――さて、4年ぶりの来日公演が4月に決まりました。これまで何度も日本には来てくれていますが、あなたにとって日本の印象はどんなものでしょうか?

G・ラヴ:いろんな理由で、G・ラヴ&スペシャル・ソースにとってはすごくスペシャルなところなんだ。Sony Musicとの関係については、いくら語っても語り尽くせないほどだよ。Sony Musicは僕の全キャリアで僕に寄り添ってくれた。1994年から僕のアルバムを出してきた。アメリカでは2001年にSonyとの契約が終わったけど、Sony Japanは僕たちとの関係を続けてくれた。他の国のSonyが僕たちのもとから去って行った後も、Sony Japanはずっと僕と共にいてくれた。あと、プロモーターのSMASHも、いい時も悪い時もずっと僕たちと共にいて、僕たちをコンスタントに日本に呼んでツアーさせてくれた。SMASHと仕事を始めたのは、確か1998年か1999年だったと思うけど、彼らはずっと僕たちと共にいる。だから、素晴らしい関係にあるんだ。
 あと、日本には忠実な文化があると思うし、それがファン・ベースにも表われている。僕たちの音楽を大好きで僕たちを最初にサポートしてくれたファンが、繰り返し戻って来てくれていることを僕は知っている。オーディエンスに知った顔がたくさんいるから。彼らは、何度もやって来てショーを見て、音楽に参加して僕たちがやっていることをずっとサポートしてくれている。
 そういったことはとても大切だし、和食は僕のお気に入りの食べ物だから、日本に行くとそれが食べられる。ラーメンもあるし、寿司もあるし、刺身もある。ご当地名物も含め、ありとあらゆる和食が食べられる。ウナギとか。ウナギってどこが有名なんだっけ?

――浜松ですかね。

G・ラヴ:ハママツ? 京都は何で有名なんだっけ?

――豆腐ですかね。

G・ラヴ:トウフ? あと、大阪はソウルフードだよね?

――お好み焼きとか?

G・ラヴ:そう、オコノミヤキ。3歳になるうちのルイスだって日本語が言えるんだよ。(ルイスに向かって)満腹って日本語で何て言うんだっけ?

ルイス:オナカイッパイ。

G・ラヴ:今の、聞こえた?

――ええ、聞こえました(笑)。

G・ラヴ:オナカイッパイ! だからさ、僕たちは日本の文化が大好きなんだ。だから僕は、日本に行くのが大好きなんだよ。そして最後に言いたいのは、アメリカ人である僕がヨーロッパに行ってもアメリカとそんなには違わないってこと。でも初めて日本に行った時は、アメリカとはものすごく違っていた! 「これって、すごくクールだな!」って思ったよ。文化を体験するだけで素晴らしかった。

――来日公演では『ザ・ジュース』からも曲を披露してくれると思うのですが、スペシャル・ソースとしての演奏ということで、アルバムとはまたちょっと違う感じになりそうですね。

G・ラヴ:もちろん! 良きにつけ悪しきにつけ、僕はアルバムを作る時はアルバムで、それをライブでやるとまた別の存在になる。だから、個人的にはどうレコーディングされていようが、あんまり関係ないんだ。バッキング・ヴォーカルが入っていようが、ピアノが入っていようが、ライブでは僕は自分の曲をトリオかアコースティックでやりたいんだよ。ツアーではもちろん、昔のヒット曲もやるし、新しいヒット曲もやるさ! そうすることによって、昔の曲も生きてくる。そして、スペシャル・ソースが独自の形で曲を解釈するよ。ジムとジェフが曲をどう解釈するか、楽しみにしているんだ。僕は曲に対して彼ら独自の解釈をしてもらいたい。

――最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

G・ラヴ:日本に行って、僕のオナカをイッパイにする、愛を込めてね! 日本に行って愛を感じたいんだ。そして、日本の美しい文化をまた体験したいし、僕たちのユニークな音楽を届けたい。そして、ずっとついて来てくれた日本ファンのみんなにありがとうと言いたい。みんな、このニュー・アルバムを絶対気に入ると思うな。このアルバムには、僕たちの素晴らしい曲のエナジーとパフォーマンスとヴァイブとスタイルが詰まっているからね!

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