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SQUARE ENIX JAZZ –FINAL FANTASY VII インタビュー



se インタビュー

 言わずと知れた不朽の名作ゲーム、『ファイナルファンタジー VII』。その中から厳選された人気楽曲が、“ゲーム音楽×本格JAZZ”を謳う「SQUARE ENIX JAZZ」シリーズでリリースされ、ビルボードライブでの公演開催が決定した。そこで今回は『ファイナルファンタジーVII』ディレクター北瀬佳範氏、本アルバムアレンジャーの中川英二郎氏、川村竜氏を迎えてのインタビューをお届けする。

アレンジをする瞬間というのはアドリブをしているのとあまり変わらないので、それがやっぱり面白いですね

−−まずこの企画を聞いた時の感想をお聞かせください。

北瀬:『ファイナルファンタジー(以下、FF)』を植松さんと一緒に作っていく中で、音楽の色々な可能性というのは凄く感じていました。今回ジャズという話を聞いて「こんな可能性もあるんだ」と『FF』の懐の深さも感じたので、いい機会だなとは思いましたね。

−−アレンジャーのお二人は最初にお話を頂いた時はどういう感想を持ったのでしょうか。

中川:そうですね。スクウェア・エニックスの作品を使ったジャズのアルバムを作るという話が上がったのはもう四年ぐらい前ですかね?今回で三作目になるのですが、今回は特に『FFVII』に特化した楽曲だけで作るということで、今までより曲が絞られているところがあり、似たような感じにならないようにしなくちゃいけないというのは結構気を付けました。2020年、『FFVII』を盛り上げていく中で、僕らの言語であるジャズの言葉で一緒に参加できて嬉しい、なんていう風には思いました。

川村:僕もお話を第一弾でもらった時に「やります!やります!」って言ったんです。二つ返事でした。二つ返事って本当に二つ言うんだなって思いましたね。

一同:(笑)

川村:やっぱりどの作品もずっとやっていたゲームだったので、こうやってお話いただけるっていうのは嬉しかったですね。凄くやりがいのある作品でした、三作品とも。

−−『FFVII』がジャズアレンジでどうなるのか、と皆さんワクワクしていると思います。アルバムの仕上がりはいかがでしょうか?

北瀬:自分が聴く前に思っていたイメージと聴いた後のイメージで近いものと、逆にギャップによって驚きがあるものがあって楽しかったです。「片翼の天使(M11)」は比較的、原曲に近いアレンジというか、最初の音を聞いた時の印象は「あ、こうなるんだ」と。逆に「J-E-N-O-V-A」(M09)は、原曲と全然雰囲気違うんですけど、確かに「J-E-N-O-V-A」だな、みたいな、ね。

−−アレンジは二人で担当されていますが、選曲の理由などはあるのでしょうか?

川村:僕、『FFVII』が凄く好きだったので英二郎さんにお願いして「これやりたいです」って担当させてもらいましたね。「片翼の天使」とか、「エアリスのテーマ(M03)」は、ある意味自分のゲーム好き目線としては、アンタッチャブルなものだから「これはアレンジしてくれるなよ」っていう楽曲でもある訳じゃないですか。だけど、逆に選んだのはやっぱそういうスリルを味わいたかったんでしょうね(笑)。本当に楽しくやらせてもらいました。

「片翼の天使」のイントロの部分は特に原曲に近づけた形でやっています。そこからの展開でどんどんジャズ色を強めていくようなアレンジをしているので、そこはある意味、裏切らないでおこうという部分ですね。「エアリス」もそうです。逆に「J-E-N-O-V-A」はちょっと裏切っても許されるだろうというアレンジのアイデアが浮かんだので、そうさせてもらいました。

−−中川さんはいかがですか?

中川:僕の場合は竜さんほどゲームをやっていなかったので、どちらかというと曲として聞いて、その中からどうやってジャズに落とし込めるかなというのを考えました。その曲のメロディーの良さなどをピックアップして、そこからアレンジを膨らませていくっていうことが多かったですね。

−−アルバムを聴かせていただいて、一つのテーマをアドリブでどんどん展開させていくというジャズのスタイルは、短いテーマをずっとループさせるゲーム音楽と相性がよいと感じました。アレンジ上で、大変だったり、特にこだわった部分はありますでしょうか?

中川:「ケット・シーのテーマ(M06)」は元々ちょっとスイングジャズの様な曲なのですが、実はこれが一番最後に残ってしまったアレンジです。「ジャズをジャズにする」というのが一番難題でしたね。どこまで何をしていいかわからず、そのままストレートに行こうかと思っていたのですけど、本当に前日ぐらいにぽっと思いついたリズムでレコーディングして、全く違うファンキーなものになりました。

アレンジをする瞬間というのはアドリブをしているのとあまり変わらないので、それがやっぱり面白いですね。『FFVII』の曲はメロディーがキャッチーなものが多かったのでアレンジしていく中でそれをどうやって殺さない状態でカッコよくするかというのを、気をつけながらやっていました。


▲1/22 On Sale「SQUARE ENIX JAZZ -FINAL FANTASY VII-」PV

川村:英二郎さんと同じで、メロディの重要性というものを大事にしています。ちょっと変えてしまうだけでやっぱり『FFVII』が好きな人にとっては「これ違うんだよね」となってしまうので、そこは凄く気をつけましたね。あと逆にこれはゲームやっていた自分だからわかる部分かもしれないのですが、メロディーじゃない部分、例えばドラムパターンとかベースライン、途中に入ってくるシンセの音を覚えていたりもするじゃないですか。もしどういう場面で使われていたかがわからずアレンジした場合には、もしかしたら省いてしまっていた部分もあるかもしれないですよね。そこは「分かっていますよ」という立場でやれたので、そこも楽しく『FFVII』好きの「遊び」を入れられた感じになっています。

−−『FFVII』はリアルタイムでやっていましたか?

川村:やっていました。中1の頃ですね。セフィロスみたいな大人になりたかったですけどね……ちょっとかけ離れちゃいました。残念ながらこんな感じですね。

一同:(笑)

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原曲を愛している方にも、原曲を知らない方にも、それぞれの楽しみ方ができるような作品にできていると思います。

−−レコーディングの雰囲気はどうでした?

川村:まぁこんな感じです(笑)

一同:(笑)

川村:ジャズのレコーディングに関しては、テイクを重ねるごとに欲が出てきちゃうことが多くて、それがいい方向に行かないことが多いです。最初のテイクはやっぱり一番素直な音楽になっていますね。

中川:そうだね。

川村:これはアレンジャー目線というよりはプレイヤー目線なんですけど、サウンドチェックの時点で収録しておいてっていうのを言うようにしていますね。

−−いいのが録れちゃうから?

川村:やっぱりそうなんですよね。

−−同じベースラインを三回弾いたら死ぬ、というベーシストもいますね。

川村:そうですね。医者に止められているので(笑)

−−プレイヤー目線でこの曲難しかったなという曲はありますか?

川村:やっぱり「片翼の天使」はさっき言った「ここは省いても」というところがないですよね。1曲で組曲みたいに作られているじゃないですか。どこもみんな覚えているし、印象的だしっていうのを詰め込んでいるので、プレイヤー目線で見ても結構技量を必要とする感じになっていますね。ライブはどうしようという感じです。

北瀬:じゃあライブの時は音源とまたちょっと違った形で聴けるのですか?

中川:どうしてもそうなってくるとは思います。編成はほぼ変わらずやる予定ですが、ちょっとずつ変わってくると思いますね。ライブは前回やった時にお客さんが「どう聴いていいか分からない」ということがあるみたいなので、ジャズのライブハウスでの楽しみ方を最初に話すとリラックスしてくれるっていうことが分かりました。

川村:拍手とか歓声をいただいて喜ばないミュージシャンはいないよね。

中川:是非お願いしたい。

川村:喜ばない人はミュージシャンを辞めちゃったほうがいい(笑)

北瀬:ゲーム制作者からして見ると、そこがうらやましいですね。当たり前なのですが、ゲーム制作は「一発テイクでOK」みたいなことはなくて、地道に積み上げて、完成したそのときはお客さんが目の前にはいない。ですので、ライブで直接お客さんとやり取りしている仕事って非常に憧れがあります。ゲームのリリース後も実際にゲームで遊んでいる姿もそんなに見えるわけではないし、羨ましいですね。

−−ちなみに東京と大阪のライブでお客さんの違いとかってありますか?

川村:やっぱり地域ごとにとか、国ごとによってカラーありますね。

中川:ありますね。大阪の人たちの方が絶対盛り上がるのかというとそうでもなかったり。

川村:MCは大阪の方が緊張しますね。

一同:(笑)

中川:東京の人間が乗り込んでいくには、アウェー感が半端ないなって。

川村:笑い起こさないと許してくれそうにない(笑)

−−ライブのセットリストは基本的には一緒になるのでしょうか?

中川:実は、ライブだけでしか聴けない曲も用意しようかと話しています。順番はもちろん変わるし、CDに収録された曲以外にも曲が入ると思うので、東京と大阪でも変わったりする可能性はありますね。それが、ライブに来るお客さんの楽しみにもなるかなと。

−−キャラクターのテーマソングも収録されています。川村さんは特にキャラクターをご存知なので、やっぱり意識するところはありますか?

川村:かなり意識しています。例えば「エアリスのテーマ」とかは、冒頭のメロディーにみんな思い入れがあると思うので、かなり原曲に忠実な感じで作りつつも、「エアリスのもう一つの可能性」みたいなところを楽曲の中で表現できたらなと思いました。イントロの部分が終わって中間部分をがらりと変えた、「もう一つのエアリス」という感じで聴いてもらえたなと思いますね。

−−北瀬さんに、ゲーム制作の中での音楽について伺ってみたいと思います。

北瀬:『FFVII』は23年前になるのですけれども、その時と今のゲーム制作とではやっぱり音楽の意味も結構変わってきています。先程、ゲームはカチッと作って、ライブや音楽を演奏される方はアドリブというか、振れ幅が大きく色んな味が出せると思うという話をしたのですが、ゲームでもプレイヤーの介在によって音楽が遷移して、アドリブのように変わっていくような技術を導入していかなきゃという時代ですね。戦いのないシーンで歩いている時は穏やかな曲、モンスターが出てきたら緊迫した曲と昔はパキっと別の曲に切り替えたんですけど、自然とリズムが遷移してくみたいな作り方には変わってきています。 『FFVII リメイク』では、そういう音楽の仕組みについては二十年前と作り方がガラッと変わったので、そのライブ感への憧れみたいなものがゲーム制作にも少しずつちゃんと取り入れられていく感じですね。

−−最後はゲームの最中にアドリブし始めたりする時代が……

北瀬:そうですね。AI的な技術でそういう可能性もあるかもしれないですよね。

−−なんかちょっとダメージを食らったら、ダメージを食らったっぽいソロになるみたいな…(笑)

北瀬:現在はそこまで進化してないですけど、前作とは考え方が違いますね。より密にできるようになっています。

−−2020年の『FFVII』はリメイクを中心に、このライブやアルバムも含め壮大なお祭りのような印象を受けます。リアルタイムのファン世代の川村さんとしてはいかがですか?


▲FINAL FANTASY VII REMAKE for E3 2019

川村:そうですね。恐らくリメイクが発売されたら音信不通になると思うので、このコンサートが僕を見られる最後の機会だと。

一同:(笑)

−−川村さんがいなくなったら、中川さんどうしましょう。

中川:大丈夫ですよ、いくらでも変わりは(笑)

一同:(笑)

中川:冗談です。やっぱり、僕にとってのゲームの生き字引というか、ゲームの音楽をよく知っている片腕が無くなるのは困ります(笑)

−−やっぱり川村さんに「この曲ってどういう事なの」みたいなことは聞かれますか?

中川:聞きます聞きます。街の風景とか、どういうキャラって言うのは写真で見ることができるのですけど、やっぱりゲームの情報はそれだけじゃないので。「この人はどういう人なのか」と聞いたりしています。

川村:その時間がなければもう一、二時間は早くレコーディングが終わったかも(笑)

−−最後にお客さんへのメッセージをいただけますでしょうか。

川村:アルバムについては、『FFVII』の色というのは崩さないながらも、僕と英二郎さんそれぞれの色を足せているアレンジになっていて、原曲を愛している方にも、原曲を知らない方にも、それぞれの楽しみ方ができるような作品にできていると思います。ライブは生物ですので、お客さんの熱気に当てられて、アルバムにはパッケージングしきれなかった熱量が出てくると思うので、そういうものを体験しに来ていただけたら嬉しいなと思います。

中川:レコーディングを通していつも思うのは、特にジャズの音楽ではやりたいことの中でも本当に一部しかできないんですよね。じゃあどうしたらいいのかというと、アレンジで聞かせるというのがアルバムでは凄く大事な部分になります。今回はメロディーを大切にしながら崩しすぎずに、うまくアルバムとしてまとまったのではないかなと思います。ジャズのアルバムと言っても今作は実はフュージョンやロックの音楽にも近くなっていますので多分、今の若い世代が普段聴いている音楽とも親和性の高いアルバムになっていると思います。是非ジャズファンじゃない人にも聴いてもらいたいですね。

ライブは本当に一期一会のお客さんと一緒に作ることが大事で、お客さんの声援が僕らのエネルギーになっています。その往復によってどんどん大きな絵のようになりますので、ぜひ足を運んでいただいて『FFVII』の世界をジャズで聴いて頂ければと思います。

北瀬:今、全部言われてしまったのですが(笑)、ジャズという曲にもう既に親しみのある方はもちろん楽しめるCDになっていると思いますし、いわゆるゲームのファンでまだジャズに親しみがない方も、『FF』という入口から入っていくと楽しめる曲たちになっています。ぜひCDやライブで聴いていただきたいと思います。ライブに行って生の熱量を持ったまま、ゲームの発売を迎えていただければ非常にありがたいと思いますので、是非アルバムの楽曲やライブを楽しみにしていただければと思っています。

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