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イル・ヴォーロ『MUSICA~愛する人よ』発売記念特集



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 イタリアの若きオペラトリオ、イル・ヴォーロが、結成10周年を記念した約4年ぶりとなるオリジナル・アルバム『MUSICA~愛する人よ』を2019年4月24日にリリース。美しい歌声とメンバーそれぞれの輝く個性が魅力的な彼らは、グループとして不可逆的に融合し、絶妙なテノールの世界を生み出している。世界45都市を廻ったワールドツアーを経て、2017年11月に行われた初来日公演はソールドアウト。その来日時にはメディアに多数出演し、一気に知名度を上げた。そんな彼らが新作を引っ提げて5月に横浜・東京・大阪で来日公演が決定。新作『MUSICA~愛する人よ』に収録されている楽曲解説とともに、彼らの魅力と10年もの音楽キャリアの軌跡を今一度ここでおさらいしよう。

結成10年のキャリアを辿る

 イル・ヴォーロとはイタリア語で“飛ぶ”という意味。「世界に飛躍していく」というイメージからこのトリオ名になったが、彼らの歌声もまたその名のとおり、まっすぐ天に向けて響いていくような清々しい気持ち良さがある。それが大きな魅力だろう。

 メンバーは、バリトンのジャンルカ・ジノーブレ、テノールのイニャツィオ・ボスケットとピエロ・バローネの3人。平均年齢24歳の若さながら、結成10年のキャリアを誇る。まず本国で2010年11月にデビューし、1stアルバム『イル・ヴォーロ』が称賛の声と共に大ヒットすると、翌年には早くも世界デビューを果たしている。瑞々しい感性の若さと圧倒的な歌唱力が高く評価されて、プラシド・ドミンゴやバーブラ・ストライサンドら大物スターと次々に共演し、ローマ法王の前で歌を披露したこともある。



 その他にもクインシー・ジョーンズの目に留まり、2010年にハイチ地震救済のために企画された大型チャリティ・シングル「ウィ・アー・ザ・ワールド25 フォー・ハイチ」に参加。新人ながらセリーヌ・ディオン、レディー・ガガ、ボノといったスターの名前とイル・ヴォーロが並ぶなど、チャンスも多く与えられてきた。



▲「ウィ・アー・ザ・ワールド25 フォー・ハイチ」

 メンバーのジャンルカ、イニャツィオ、ピエロは、ともにイタリア生まれではあるけれど、アブルッツォ、ボローニャ、シチリアと出身地がそれぞれ異なり、幼い頃からの仲間とか、音楽学校の友達というわけではない。その出会いは、今の時代ならではで、ソロ歌手志望だった3人が応募したイタリアのTV局RAIのオーディション番組『ティ・ラジオ・ウナ・カンツォーネ』が運命の舞台となった。14歳と15歳の歌がめちゃくちゃうまい少年3人を見た番組プロデューサーが、「三大テノールのようなユニットを作ってはどうか」と提案したことで、イル・ヴォーロは結成されて、番組でカンツォーネの名曲「オー・ソレ・ミオ」が披露された。

 そのパフォーマンスをイタリア音楽界の大物プロデューサーであり、作曲家、シンガーでもあるトニー・レニスが見ていたことで、彼らのデビューはたちまちに決まった。当時レニスは、彼ら3人の印象を「最初はフェイクかと思ったよ。3人の子供、14歳と15歳がまるで45歳のテノール歌手のように歌うんだからね」と語っている。その驚きと同時に、レニスにはイタリアの秘宝に出会った、という喜びがあったに違いない。彼はすぐに行動に移し、グラミー賞に輝いたこともあるヒット・メーカー、ウンベルト・ガティカをプロデューサーに起用して、1stアルバム『イル・ヴォーロ』のレコーディングをロンドンのアビーロード・スタジオで始めた。アルバムには「オー・ソレ・ミオ」をはじめ、「デボラのテーマ」や「スマイル」といった、彼らのナチュラルで、情感豊かなヴォーカルを生かす名曲が選ばれた。



▲「オー・ソレ・ミオ」(O Sole Mio)


▲『イル・ヴォーロ』

 そのジャケットには歌とのギャップに、レニスの「フェイクかと思った」という言葉に共感できるような笑顔が愛らしい男の子3人が映っていた。今ではすっかりイケメンに成長したイニャツィオも、「マンマの手料理が美味しいのね」と思わず言ってしまうようなぽっちゃりとした14歳の男の子だった。

 そして、レニスが45歳のテノール歌手と評した歌は、正式な声楽の教育で熟成されたものではなかった。全員が子供の頃から歌が大好きで、地元のフェスティバルや教会の聖歌隊などで歌ってきた経験が豊富にある。そのなかでピエロは、彼の才能を誰よりも早く見出した祖父のサポートを得て、ピアノのレッスンを受けたり、祖父がシチリア語で書いた歌を歌ってきたりした。

 3人の素直で、ピュアな響きのヴォーカルの魅力は、特定の先生のもとで歌のレッスンを積むことなく、自由に、自然に歌ってきたからこそのもの。幼すぎる年齢で不適切なレッスンを受けると、良くないクセがついたり、テクニックに偏ったりすることもある。イル・ヴォーロの場合は、デビューが決まってからプロとして必要なヴォーカルのトレーニングを始めて、レッスンは今も続けている。そのレッスンの質の高さを示すのが、冒頭で書いた清々しい気持ち良さだ。テクニックや知識をひけらかすことなく、歌のストーリー、エモーションを丁寧に伝えようとしていることがどの歌からも伝わってくる。これが彼らの大いなる魅力になっている。

 ジャンルとしてはクラシカル・クロスオーヴァーに分類される音楽で、彼ら自身は、ポップとクラシックを融合した自分達の音楽を“オペラティック・ポップ”と呼んでいるが、このジャンルの傾向のひとつとして多言語で歌うことある。彼らもイタリア語以外に英語やスペイン語でも歌っている。

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 そんなイル・ヴォーロの約4年ぶりとなる新作『MUSICA~愛する人よ』がリリースされた。彼らにとって4枚目のアルバムは、オリジナル楽曲「愛する人よ」から始まり、11曲中8曲がカヴァーで、日本盤ボーナストラックを1曲収録している。その選曲にひとつの特長が見られる。彼らは、コンサートで三大テノールのパヴァロッティの十八番だった「誰も寝てはならぬ」などを歌い、喝采を浴びているけれど、アルバムではオペラの歌曲は選ばず、イタリアを中心にラテン諸国で愛されているポップソングを取り上げている。では、ここで、それら収録曲を言語ごとに分けて簡単にご紹介していきたい。

イタリア語のオリジナル楽曲

1.「愛する人よ」
2.「君のすぐ傍に」
5.「君がいいというまで」



▲「愛する人よ」(Musica che resta)

イタリア語のカヴァー曲

4.「そう言うけれど」
意外性のある選曲のひとつ。オリジナルは、UKの人気グループ、ブルーが英語で歌い、全英4位になったヒット曲「ブリーズ・イージー」で、それをイタリア語でセルフカヴァーした「そう言うけれど」は、イタリアで1位のヒットとなっている。


8.「瞳はるかに」
哀愁が薫る歌は、1969年にシンガー・ソングライターのセルジュ・エンドーリゴがサンレモ音楽祭で披露して、2位になった楽曲。


10.「静けさの声」
アンドレア・ボチェッリが故郷トスカーナでのライヴで取り上げた曲は、1968年のサンレモ音楽祭で入賞した曲。オリジナルは、トニー・デル・モナコがアメリカの人気シンガー、ディオンヌ・ワーウィックと共演したデュエット曲だった。


11.「素晴らしき君」
1995年にイタリアで1位になったヒット曲。オリジナルは、1976年から活躍するベテランのロック・シンガー、ジャンナ・ナンニーニ。


英語のカヴァー曲

3.「アリヴェデルチ・ローマ」
原曲はトレビの泉を舞台にした外国人観光客との短い恋を描いたイタリア語の歌だったが、それをイタリア系アメリカ人の俳優&歌手のマリオ・ランツァが映画『Seven Hills Of Roma(原題)』のサントラのために英語で歌ったことで人気となり、ペリー・コモやディーン・マーティンらが歌うようになった。


6.「ピープル」
2012年にバーブラ・ストライサンドの全米ツアーに同行し、オープニングアクトを務めたことで、全米での知名度をさらに高めることになった。そのバーブラが1964年に出演したブロードウェイ・ミュージカル『ファニー・ガール』の劇中歌になる。


9.「僕の恋人でいて欲しい」
1950年に全米公開された映画『ニューオリンズの美女』の劇中で、主演のマリオ・ランツァが共演した女優でソプラノ歌手のキャスリン・クレイソンとデュエットした曲。


スペイン語のカヴァー曲

7.「忘却の船」
アルゼンチンのシンガー・ソングライター、ディノ・ラモスが書いた曲をメキスコのスター、ホセ・ホセが歌い、1970年にヒットした曲になる。


 カヴァーの選曲を見て、イル・ヴォーロもまたマリオ・ランツァをリスペクトしているのかなと思いつつ、50年代、60年代の名曲が多く選ばれていることがわかる。この時代にカンツォーネの名曲がたくさん生まれたこともあるけれど、彼らが取り上げることで、懐かしいと思う世代もあるだろうけれど、一方で、若い世代に名曲を聴いてもらえるチャンス、継承という点でも大きな意味があると思う。また、日本盤ボーナストラックの「ノッテ・ステラータ(星降る夜)」は、フィギュアスケートの羽生結弦選手が2016年から2シーズン連続でエキシビションに起用した楽曲を今回新たにレコーディング。新録音ヴァージョンを収録している。アレンジも懲りすぎることなく、基本的にソロで歌いつなぎ、3人の声が重なり合うドラマティックなハーモニーでクライマックスを迎える。そのシンプルを貫くスタンスにも親近感が持てる。

 クラシカル・クロスオーヴァーのジャンルの特長として、多言語で歌うことで、アルバム全体を豊かにしたり、語感の変化を楽しめたりする。イル・ヴォーロもこのようにイタリア語、英語、スペイン語で歌っているわけだけれど、彼らの音楽を聴いて感じるのは、イタリア語がいかにメロディーと響きあう音楽的な言語かということだ。ネイティヴなイタリア語がイル・ヴォーロの強みでもあると思う。

 さて、イル・ヴォーロは、新作『MUSICA~愛する人よ』のリリースに伴い、2度目の単独による来日公演を果たすことになっている。東京、横浜、大阪で全5公演を予定。世界中を感動させているヴォーカル、ハーモニーをぜひライヴでご堪能いただきたい。



▲IL VOLO ビデオメッセージ

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