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アメリカン・フットボール 来日直前インタビュー



AFインタビュー

 アメリカン・フットボールの来日公演がいよいよ6月に開催される。オーウェンやカプン・ジャズでの活動でも知られるマイク・キンセラを中心に結成され、伝説的なエモ/ポスト・ロック・バンドとして今なお語り継がれるセルフタイトル作をリリースしたのが1999年。その後2014年に再結成を果たし、ここ日本でも2015年に再結成ライブを行った。そして昨年、17年ぶりとなる2度目のセルフタイトル新作アルバムをリリース。今回来日公演は、そんな再結成後初のアルバムを引っ提げての待望のジャパン・ツアーとなる。いま二度目の黄金期を迎えている“アメフト”の頭脳=マイク・キンセラに最新作はもちろん、前回のツアーのことや今回の来日ツアー、そして気になる次作についても話を聞いた。

「自分も観客の一人として、AFのショーを初めて目の当りにしているような感覚」

――そもそもアメリカン・フットボール(AF)の再結成は、どんなきっかけで実現したのですか?マイクがこれまでに所属していたキャップン・ジャズやアウルズは過去に再結成していますが、AFの再結成には15年の月日がかかりました。

マイク・キンセラ:あぁ、キャップン・ジャズやアウルズが再結成した時、インタビューとかで「アメリカン・フットボールは再結成しないの?」ってよく聞かれたけど、その時は「絶対しないよ」って言ってたしね。1stがリイシュー(15周年記念盤)されたことで、可能性が広がっていったんだ。ライブをやってほしいって、実際にいくつかオファーがあって…地元イリノイ州シャンペーンやNYとかから。それを聞いた時、いまだにオーディエンスがいるんだ、ってことに気づいたんだ。俺たち全員、そんなこと考えてもみなかったし、否定していた部分もあった。でも、実際にショーをやってみたら、キャップン・ジャズやアウルズが再結成した時みたいにすごく楽しかった。かなり時間も経ってるし、いまさら過去の栄光に浸ろうとかはさらさら思ってないよ(笑)。昔の曲をプレイすることで、いいフィーリングが得られたし、他のメンバーと久しぶりにハングアウトするのも楽しかったんだ。

――解散した時、いずれ再結成し、また一緒にプレイしたい、などの話はなかったんですか?

マイク:全くしなかったね。アルバムのレコーディングが終わったら、すぐさま解散して、お互い別の道を歩んだからね。スティーヴたち(ラモス&ホームズ)は、その後ザ・ギース(The Geese)として一緒に曲作りをしてるけど、ここ14~15年近く全然異なることをやってきてるよ。

――そして再結成して実際にショーをプレイした際、自分たちの同世代や20代後半~30代ぐらいの観客たちがシングアロングしている光景を見た時、どんな気持ちでしたか?

マイク:すごく可笑しかったね(笑)。

――自分が大学生の時に書いた曲ですしね。

マイク:当時活動してた時は、誰も俺たちのことなんて気に留めなかったし、観客数も…。しかもAFの曲って、穏やかでスロウで、一人で聴くために作られたような内省的な音楽だから、それをたくさんの観客の前で演奏したら、どうなるんだろうって思ってたんだ。すごくシュールではあったけど、楽しんでくれてるという手ごたえがあったから、俺たち自身も気分が高揚した。だから、ライブをやること、そして活動続けていくことに意味があるって思えたんだ。

――なるほど。ある意味、観客に自分自身を照らし合わせることは?

マイク:いい質問。答えはイエスだね。当時、何回かライブはやってるんだけど、満足がいくショーがやれたことって一度もないんだ。きちんとした機材を持ってなかったし、ベーシストもいなかった。今回ちゃんとショーを組み立てたことで、自分たちが思い描いていたようなライブが可能になった。それが実現した時、まるで自分も観客の一人として、AFのショーを初めて目の当りにしているような感覚になったね。



▲ 「Stay Home / The One With The Wurlitzer」Live At Webster Hall


――そんな中、新作を作ってみようと思うようになったのは?

マイク:再結成ツアーが始まって、1年ぐらい経ってからかな。その頃には、お互いとハングアウトしたい、一緒に音楽をプレイしたいっていう想いが、全員一致していた。日本でプレイした時も楽しかったし、NY、ロンドン公演も同じだ。だけど俺たちには持ち曲が12曲ぐらいしかない。どうやったら、これらの都市にまた行けるんだろうって考えた時に、新曲を書くほかに道はないって悟ったんだ。バンド活動を続けていく手段であったとともに、何か新たなことを表現したいという意欲もあった。実際に作ろうと決断してから、音源をネットでシェアし始めたら、だんだん盛り上がっていったんだ。昔のエッセンスを保ちつつも、何か違うものが作れるんじゃないか、って。

――その際に、AFというバンドのエトスや曲の定義について考えたと思うのですが、どんな答えが導き出され、作品が形になったのですか?

マイク:うん、もちろん考えたよ。再結成ライブ1発目からジェイソン・カップがサウンドマンとして携わってくれたから、彼にはエンジニアをやってもらおうと即座にオファーした。バンド以外の視点も必要だったしね。どんな風に俺たちの音楽がみんなに響いていて、どんな部分に共鳴しているのか知るために。AFというバンドを単純に言い表すと、マス・ロックぽくて、穏やかで、複雑なコード進行で…って、でもそんなバンドいくらでもいるし、大概は俺たちより上手いバンドだ(笑)。

今1stを作ってたとしたら、「曲が長すぎる」とか「俺の声が裏返りまくりだからこのテイクはボツにしよう」とか色々変更していた部分があったはずだ。そういう完璧じゃない部分から感じ取れるナイーヴさや誠実さに、リスナーが惹かれているのは理解してる。でも、もういい大人だし、そもそも再現できるものじゃない。だから俺たち自身どんなことに興味があって、どんな曲を書きたいかを考えたよ。15年以上経ってるから、もちろん当時とは好みも違うし、人としても成長している。それも反映させたかった。みんなが聴きたいと思ってくれる作品を今現在の自分たちのソングライティング技法で表現すること。これらの要素を上手くバランスすることを心掛けたんだ。



▲ 「I've Been So Lost For So Long」MV


――たとえば新作で言及している死も、1stで揶揄してものとは違いますしね。

マイク:あの当時は女の子と別れてマジ辛い=死みたいな感じだったけれど、今は子供がいるし、生命保険とかいろいろ考えることがある(笑)…死がずっとリアルで身近なものになったってことだな。

――17年ぶりの新作ということで、リリースが発表されるやいなや大きな話題となりましたが、そのハイプやバズがバンドに影響を及ぼしたりは?

マイク:これまでリリースした作品が、あれほど話題になったことってなかったから、すごくエキサイティングだな、って俺は思ってた。レーベルに音源を渡して、アートワークとかが完成してから、少し時間があった。で、やっとみんな聴いてもらえると思ってエキサイトしながら、一曲ずつ先行シングルをリリースしていったんだけど、ふたを開けてみたら俺のヴォーカルが昔と全然違うとか文句ばっかでさ(笑)。

――17年経ってるから、当たり前ですけどね…。

マイク:だよな。だから、早いうちにそういうことは気にしないって決めたんだ。むしろ、そう決めた時点でも遅すぎたんじゃないかと思うけど。きちんと新作のプロモーション・スケジュールやプランがある…そういうバンドに所属したことってなかったから、最初はクールだなと感じてたけど、良く考えてみたら、ハイプとかバズってるとか、そんなのどうでもいいや、って。

レコーディング中に関しては、多少のプレッシャーはあったかな。今回はきちんとしたプロジェクトだったし。でもレーベルからのプレッシャーは一切無かった。さっき話したように、今作りたいと思える曲を書いて、レコーディングできることに、ただただエキサイトしていたんだ。

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「繰り返しプレイしてきたことで、バンドとして、とてつもなく成長したんじゃないかな」

――アルバム・リリース後にいくつかショーを行っていますが、マイク的に観客の反応はどうですか?

マイク:クールだよ。俺が予想していた以上にいい反応が得られているんじゃないかな。個人的に最近行ったショーで特に気に入ってるのは、みんなが新曲をシングアロングしてくれること。なんていうか…今現在所属しているバンドにみんなが興味を持ってくれている、って感じがして。そこが俺にとってのショーの醍醐味だな。昔の曲をプレイしてると自分がカヴァー・バンドにいるようなんだ。その当時の自分が感じていることを表現していて、紛れもなく自分が書いた曲なんだけどね。

――ライブは2部構成になっていて、1部で新作をトラックリスト順に演奏していますよね。

マイク:UKでライブをする予定があったんだけど、その少し前に行ったばかりだったから、今度はもっと新曲をプレイしたいと思ったんだ。前回、過去の曲はすべて演奏してしまったから。で、Into It. Over It.のエヴァン(・ウェイス)がベースをプレイする予定で…。

――実は、ネイトの代わりにエヴァンがベースをプレイしたそのロンドンのショーに行きました。

マイク:え、そうだったんだ。そう、そのショーのためのリハをアルバムの曲順に進めたんだけど、そしたらエヴァンが「いっそのことこの順で演奏したらよくない?」って言い出して、そうすることにしたんだ。もしかしたら日本公演の時は変えるかもしれない。まだ確かじゃないけど。

――そういえば、あの時なぜネイトはいなかったんですか?

マイク:ちょうど子供が生まれる時で、渡英できなかったんだ。でも、今度の日本公演には来る予定だよ。

――サポート・メンバーが演奏していた木琴のニュアンスもライブならではで、世界観に絶妙にマッチしていました。

マイク:うんうん。彼も一緒に日本に来る予定なんだ。細やかさをプラスしてくれるから、一緒にプレイしてくれると、俺的にも何だかスペシャルな感じがするんだよね。いい仕事をしてくれるから、いないと恋しいんだ。

――新作の中からだと、どの曲をプレイするのが好きですか?

マイク:「Give Me The Gun」が、多分一番好きだな。意図したことが、最大限のポテンシャルに達してる曲だって感じるから。それにどれぐらい近い演奏ができたかは、その日によって違うけど(笑)。あとは「My Instincts Are The Enemy」は、個人的にグッとくるものがある。古い曲は死ぬほど演奏してるから、新しい曲はどれもプレイするのが楽しいよ。



▲ 「Give Me The Gun」Audio


▲ 「Never Meant」Live At Webster Hall


――では、古い曲だと…?

マイク:う~ん、やっぱり「Never Meant」かな。今か今かってみんな待ち望んでるだろ(笑)。一番最後に演奏するから、その日飲んだビールの量とか…その日のストレスとかが一気に発散される感覚があるし。

――2014年の再結成直後のライブと新作を引っさげたツアーを比べると、変わったなと感じることは?

マイク:バンドとして上達してること。再結成した当初は、“一緒に”演奏してるっていう一体感がそこまでなかった。でも今は普通に会話してる時も、楽器を通じて対話してる時も、お互いきちんとコミュニケーションが図れてるって感じる。演奏面においては、繰り返しプレイしてきたことで、バンドとして、とてつもなく成長したんじゃないかな(笑)。これはアルバムを作ってた時にも話してたことなんだ。「今度NYでプレイする時は、ただプレイするだけじゃなくて、みんなのために本当にいいショーができるんじゃないか」って。再結成した直後にNYでプレイした3ショーはすごく楽しかったけどね。俺たちにとって初めての晴れ舞台って感じで。

――めちゃめちゃ緊張したのでは?

マイク:もちろん。だって、今まであんな大きな会場でプレイしたことなかったのに、急に3夜連続でやることになったからビビったよ。日本でのショーも同じ。日本であの規模の会場(渋谷O-EAST)でやったのは初めてだった。オーウェンの公演も含めて。だから、今回はもうちょっと自信を持ってプレイできると思うよ。場数を踏んできてるし。

――とてもいいショーでしたよ。オープニングがネイト(Birthmark)で、次がブレイド、そしてAFという流れも素晴らしかったですし。

マイク:ネイトのライブはヤバかったよね!みんなで絶賛してたんだ。彼が最初に出てくれたことで、俺たちもリラックスできた部分があったし。



▲ 「Suit of Armor」Live At Rough Trade / Birthmark


――AFの2ndには、オーウェンの最新作『The King of Whys』との詞やソングライティングにおける共通点も見受けられますが、2つの作品がお互いフィードバックされる部分はありましたか?多分レコーディングも同じぐらいの時期に行っていたと思うのですが。

マイク:まさしく背中合わせでレコーディングされたんだ。オーウェン用に曲を書きつつ、AF用に曲をアレンジしたりしていて、その後オーウェンのレコーディングに入って、それが終わった2週間にはAFのレコーディングのためにスタジオ入りした。なかなかストレスが溜まるプロセスではあったね。大体の場合、どっちのプロジェクト用かっていうのは明白なんだ。オーウェンはより皮肉で図々しい感じで、AFはシリアスで思いやりがある感じだから。

とはいえ、ネタ切れ感は否めなかった(笑)。もうスタジオで作業できる最後の日だから、この曲で何が伝えたいのかいい加減決めなきゃいけないって具合の切羽詰まった状況の中で作業してた。2作とも、最後の最後になって詞を変えたりしたしね。変えたことによって、以前よりいいものになったかは正直謎だけど、その時にはこっちの方がしっくりくるって思ったんだ。もしまたアルバムを作ることになったら、同時にオーウェンのアルバムを作るのはやめとくよ(笑)。



▲ 「Settled Down」MV / Owen


――『The King of Whys』を制作したエイプリル・ベースでのS.キャリーとの作業はどうでしたか?これまでのオーウェンのアルバムの制作方法とは異なりますよね。

マイク:そうだね。普段は一人で曲を書いて、一人で作業してて、空いた時間に音楽を作ってる。子供たちが寝たから、少しスタジオに行って作業しよう。きっと疲れるだろうけど、やらなきゃって具合に。スケジュールを空けて、特定の場所に行って、時間をかけて作品を作ったのは今回が初めて。すごく充実してたし、最高に楽しめた。スタジオもアメイジングで、ショーン(S.キャリー)も最高。エンジニアを務めたザック・ハンセンに関しても、彼の手掛けた作品についてあまりよく知らなかったけれど、セッションの流れがつかめたら、すごくやりやすかったし、とてもエキサイティングだった。いい経験で、文句なしのレコーディング体験だった。また一緒にやりたいって、彼らに言ってもらえるといいな。

――彼らの音楽コミュニティがとてもタイトで刺激的だという話はよく聞きます。

マイク:「ここはフレンチ・ホルンを入れたらいいんじゃない」って話になったら、「じゃあ友達のアンディに連絡してみよう」ってぐあいで、翌日来てくれて演奏してくれたり、コラボレーションしやすいクリエイティヴな環境だった。一人でやってたら、どうにかしてシンセで同じ効果を持たせるか、新たなギターのトラックを重ねるか、って感じになるけど。あの界隈のアーティストたちは全員才能豊かで、本当にクールだよ。彼らと一緒に音楽が作れてすごくラッキーだね。

――シカゴのシーンにはない空気感?

マイク:う~ん。俺、あんまシカゴのシーンとは繋がりがないんだよね。ジョーン・オブ・アークでちょこちょこプレイしてた時は、まだ多少あったけど。彼らはシーンの一員で、仲間が多いから。俺は顔なじみはたくさんいるけど、子供ができてからちょっと遠ざかっているというか。でもシカゴのことは好きだし、誇りに思ってる。この都市のバンドはハードワーキングな連中ばかりだからさ。

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toeは「めちゃめちゃスゲー!」

――お兄さんのティムが中心となっているジョーン・オブ・アークは今年ニュー・アルバムをリリースしましたが、いくつかのミュージック・ビデオにマイクも出演していましたね。最近は定期的には参加していないようですが、一緒に演奏するのが恋しかったりは?

マイク:そうだね。昔は気分次第で加入したり、抜けたりできて、その時に参加してるメンバーによって作品の内容も変わっていたけど、ここ5~6年はメンバーが固定になってる。今の編成に加われたらいいな、とは思うね。アーティスト性が明確になってるし、現在のメンバーは個人的に好きな連中ばかりだから。最新作も素晴らしくて、制作プロセスもすごくクールなものだった。だからミュージック・ビデオで何曲か“口パク”できるだけでもラッキーだったな。



▲ 「This Must Be The Placenta」MV / Joan of Arc


――そういえばキャップン・ジャズがまた再結成するんですよね。なかなかアグレシッヴなプレイをしないといけないので、マイクにとってはちょっとしんどそうですが…。

マイク:へへ(笑)。いや~、歳とったから不可能に近いんだよ!とはいえ待ち遠しいよ。実際すごく楽しいしね。俺にとってAFやオーウェンとは全く異なる表現方法だから。あの頃みたいにドラムを可能な限りハードに叩きまくるのも悪くない。今回は全部で10ショーぐらいやる予定。それが今後5~6か月の間にちょこちょこある。でも、その以外にバンドとして何かやる予定は今のとこないな。新曲とか、そういう類のものはね。



▲ 「Cap'n Jazz @ Fun Fun Fun Fest」


――マイク&ティム・キンセラという名前やAFは、エモについて語る際に不可欠ですが、ジャンルの旗手的な存在になるとは予想してもみなかった?近年は特にジャンルの人気が再熱していますよね。

マイク:ノー。でも年を重ねるにつれて、なぜみんながこの音楽に惹かれるのかなんとなく理解できるようになった。俺たちがあの頃作っていた音楽には“若々しさ”があったような気がするんだ。それをレコーディングで捉えていた。同じような音楽を作っていたバンドも他にたくさんいたと思うけど、それをレコード化しなかった。それかリリースしたけれど、誰にも聴かれなかった。だから<Polyvinyl>と<Jade Tree>が世に出してくれたことには感謝してるよ。まさか、また“エモ”が流行るなんて思ってもみなかったし。

――リリースされてからずっとごく自然と口コミで広がっているのも稀ですよね。この頃の作品で同じような道を辿ったもので、パッと思いつくのはニュートラル・ミルク・ホテルの2ndぐらいです。

マイク:大学に行き始めて、新しい音楽を聴こう、発見しようとして辿りつくケースが多いと思うんだけど、あんなに昔に作ったのに今のキッズにも響いてる。自然と広がっていったことに関しては…俺をはじめ、メンバー全員、あの作品を売りたいとは思ってない。俺が15年前に所属してたクールなバンドの音源聴いてみろよ的な(笑)。そんなことからは遠く離れた場所に今はいる。こんな風に自然と広がっていったことには感謝してるし、今になっても曲をプレイするのも楽しい。もし誰も興味を持たなかったら、そのまま消えていっていたバンドだから。

――若いバンドから影響を受けた、と言われるのは、どんな気持ちですか?

マイク:すごく可笑しな感じ。かなり昔、日本でライブをやった時にtoeがサポートを務めてくれたことがあるんだけど、「このバンドめちゃめちゃスゲー!」って思ったんだよね。俺たちがやっていたような音楽をやっていて…まるでAFとアウルズを融合させたようだけど、アウルズほどアグレッシヴではなくて、はるかにテクニカルで。俺たちと似たようなことをやっているんだけど、もっとうまく成し遂げてる。そういうのを目の当たりにすると嬉しいよ。今やってるショーのサポート・バンドたちの多くは、自分たちと似た音楽を作っているけど、格段とうまいんだ。でも、それが自然のサイクルで、レベルが高いやつらが次々と出てくる。スポーツとかもそうだし、多分文学以外のどの分野もそうなんじゃないかな。



▲ 「Summer Ends」Live At Webster Hall


――最近のバンドは聴いたりしますか?

マイク:う~ん、ノーだな(笑)。聴いたらなんとなく誰か分かるぐらいの耳は持ってると思うけど、あんまり音楽は聴かないな。

――自分の子供たちが聴いているものはどうでしょう?

マイク:娘が8歳で、息子が5歳なんだけど、彼らはテイラー・スウィフトをよく聴いてるよ。でも、最近はハイムとか、もうちょっとクールな、インディー・ガール・バンドが好きになるように促してるね。

――聴く時は、昔聴いていたものが多いですか?

マイク:あぁ、俺的“クラシック”=鉄板なものだな。ジムでめちゃめちゃワークアウトしたいっていう衝動に1年に1度ぐらい駆られるんだけど、その時気分をアゲるために昔聴いてたライフタイムの曲とかを聴くんだよ。

――話が少し戻るのですが、AFが影響与えたバンドのひとつで、サポートも務めたことがあるTTNGがビザ関連で香港で拘束された件について聞きましたか?

マイク:聞いたよ!釈放されたけど、取り調べを受けるために来月また戻らなきゃいけないんだよね?

――そうみたいです。過去に同様の経験をしたことはありますか?ちなみに、中国でプレイしたことは?

マイク:中国というか、日本以外のアジアでプレイしたことないな。一度、UKに入国する時に必要な書類を持ってなくて…というか、なんの書類も持ってなくて、拘束されて、次の飛行機でシカゴに強制送還されたことはあるけど、ただそれだけ。逮捕されたり、また戻らなきゃいけないとか、一大事にはならなかった。

――本当に不運な出来事で、インディーで頑張っているバンドにとって、とても悩ましい現状です。

マイク:きっとすごく怖かっただろしね。俺が最初に読んだ記事には懲役に処されるかもって書いてあって、目を疑ったよ。彼らはオーガナイザーに従っただけで、現地の言葉は話せないし、会場のこともよく知らなかっただろうし、大丈夫だって言われたのを信じただけだから。他にできることなんてないじゃん。もし会場が政府に目を付けられていたのを知ってたら、絶対プレイしてなかっただろうし。

――渡航費や費用にあてられるクラウドファンディングもやっているので、多くの人に協力してあげてほしいですね。もうそろそろ時間なので…気になる新曲に取り掛かったりは?

マイク:曲は普段からなんとなく書いてるよ。AFに関してはメンバー間でアイディアを投げ始めたばかりで「クールなパートが思いついたから、気に入るかどうか聞いてみて」っていう程度で、オーウェンに関しては何枚かアルバムが作れるぐらいの曲があるんだけど、じっくりアレンジする必要がある。だから、レコーディングをする具体的な予定はないけど、もう少ししたら何かをレコーディングし始めれるかな、ってとこかな。



▲ 「Born to Lose」Live on Soundcheck


――では最後に、日本でのショーはどんなものになりますか?

マイク:さっき話題に上がったサポート・メンバーが来るのと…日本に行くといつも飲みすぎるから、控えめにして、願わくばいいショーをプレイしたいと思ってる(笑)。

――他に楽しみにしてることは?

マイク:BASSANOVAってとこでラーメンを食べること。一日に2回行くこともあるほど好きでね。

――何ラーメンがお気に入り?

マイク:そこのトムヤムラーメンがめちゃめちゃ美味いんだ。後は、飲みに行ったり、買い物したり、渋谷を散策したり、色々楽しみだよ。



▲「My Instincts Are The Enemy」 [OFFICIAL MUSIC VIDEO]


アメリカン・フットボール「アメリカン・フットボール」

アメリカン・フットボール

2016/10/21 RELEASE
HSE-3756 ¥ 2,739(税込)

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Disc01
  1. 01.where are we now?
  2. 02.my instincts are the enemy
  3. 03.home is where the haunt is
  4. 04.born to lose
  5. 05.i’ve been so lost for so long
  6. 06.give me the gun
  7. 07.i need a drink (or two or three)
  8. 08.desire gets in the way
  9. 09.everyone is dressed up
  10. 10.letters & packages (live in tokyo) (japan bonus tracks)
  11. 11.you know i should be leaving soon (live in tokyo) (japan bonus tracks)

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