SKE48の形が変わっちゃうような気がした

－－春に体調不良で珠理奈さんが一時入院となりました。これまでW松井としてチームを牽引してきた一翼がいなくなるという事態を、玲奈さんはどのように受け止めていましたか？

松井玲奈：珠理奈が体調を崩してしまうことは初めてではなかったので、ちゃんとに待っていれば戻ってきてくれるかなって。心配はしていたんですけど、戻ってきた時にサポートしてあげられるような体制を作っておかなければいけないって、私も他のメンバーも思ってましたね。
一連の流れで見ていくと大きな出来事だったけど、今、珠理奈が元気に戻ってきてくれた。ピンチというよりは結束力が高まったと思っています。

－－流れという意味では、その直前に珠理奈さんがAKB48 チームKを兼任するという発表（※1）がありました。

松井玲奈：発表された直後は詳細が分からなかったので、みんなで頑張って作ってきたSKE48の形が変わっちゃうような気がして心配でした。みんながワーッと集まって珠理奈を囲んだあの時の様子は、SKE48の気持ちを本当に良く表していたと思うんです。

－－そんなSKE48は、今年の夏で結成4年を迎えます。

松井玲奈：凄くゆっくりだけど、前に進んでいっている気がします。多くの方に応援していただいて凄く嬉しいです。私たちも、パフォーマンスや気持ちの面でみなさんの応援に応えて行けるように頑張らないと、と思う気持ちが強いですね。

自分も含めてメンバー全員がもう一歩先に進めたら、SKE48がまたひとつ大きくなれる気がします。

－－また、近年ではGoogle＋を使った交流もあり、ファンとの距離間は変化しましたよね。

松井玲奈：私はそんなに大きくは変わってないように思っています。今までもコメントが付いているブログがありましたし。ただ、レスポンスは早いですね。色んな可能性を秘めたひとつの場所だと思います。

－－現在、玲奈さんは握手会でも絶大な人気を誇っています。そうした自覚も芽生えてきましたか？

松井玲奈：全然自覚ないんです（笑）。いつもファンの方が握手会の時に「凄い列だよ！ 大丈夫？」って言って下さるんですけど、パーテーションで仕切られた中にいるので、自分のも他の子の列も見たことがないんです。

いつも目の前に来てくれた人とお話しすることだけを考えているので、たくさんの方が来てくれているとは感じるんですけど、他と比べてどうこうっていうのはないですね。 ただ、来てくれた方に楽しんでもらえれば……と思っています。それはずっと変えずに続けていきたいと思います。

シャープペンの芯の上にボーリングの球

－－今年の1月に映画「DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る」が公開されましたが、あの映像に刻まれていた皆さんの姿。例えば西武ドーム公演の舞台裏での壮絶な状況などは、はっきりいって衝撃的でした。

松井玲奈：大変だなって思うんですけど、そういう場を何度も経験することで自然と慣れてくるんですよね。昔はコンサート1公演やるだけでもいっぱいいっぱいで、1か月かけてレッスンしてリハーサルしてってやってましたけど、今はお仕事の合間を縫いながらなので全員が集まれる機会も少ないですし。
……あと、昔みたいな凡ミスも減りました（笑）。その分、もっともっとって思う部分もあったり、この間のガイシホール公演みたいに規模が大きくなれば、新しいチャレンジも増えてきますよね。それに対応するのは大変だと思います。

－－玲奈さんって見かけによらず……というのもアレですが、もの凄く根性があるじゃないですか。

松井玲奈：ありがとうございます（笑）。でも私、器用な方じゃなくて、他のメンバーから見ると不真面目なメンバーだと思うんですよ。……リハーサルとか、もの凄く間違えるので（笑）。だからこそ本番では「ちゃんとやらなきゃ！」って思うんですけど、新しい環境にビクビクしちゃうんです。……だから今は絶妙なバランスの上にいるように思います（笑）。凄く変な表現ですけど、シャープペンの芯の上にボーリングの球が乗ってるような。

－－ギリギリじゃないですか（笑）。

松井玲奈：でも、自分はそれをつらいと思わないんですよ。むしろ楽しんでますね。たぶん、それがぽきんと折れた時、自分が次のステージに行く時だと思うんです。折れて球が落ちた下に、ひょっとしたら丈夫な土台が出来ているかもしれない。その状況になってみないと分からないし、ひとつひとつのお仕事に集中したいと思っているので、今の緊張感を楽しんでいきたいですね。

－－さて、次はリリースしたばかりのニューシングル『アイシテラブル！』についてですが、今作のタイトルは玲奈さんが直訴してこの言葉になったそうですが？

松井玲奈：違うんです（笑）。元々は“アイシテラブル”と“アイラブシテル”っていう2種類の候補の歌詞があって、最初は“アイラブシテル”に決まったんです。
でも、メンバーのみんなが「やっぱり“アイシテラブル”の方がいいね」、「耳に残る言葉だよね」って話してるのを聞いて、「このままだとみんながモヤモヤした気持ちを持ったままリリースすることになる！」って思ったんです。
だから勇気を出して秋元先生に「みんなは“アイシテラブル”の方が良いと思ってます」ってメールをしたら、先生から「それなら“アイシテラブル”でいいよ」ってお返事がきて、このタイトルに決まったんです。

－－先日、Google＋に検閲や時間規制が入るかもしれないという騒動が起きた時も、玲奈さんは時間規制についてコメントしていました。そうした声を出せるタイプなのでしょうか？

松井玲奈：何なんですかね？（笑） ただ、言わないと伝わらないことってたくさんあると思うんですよ。
私たちもファンの方に対して気付けないことがあって、お手紙だったり握手会だったりで教えてもらってハッとすることがある。近い距離でお話し合いをできるのが私たちの良い所でもあるので、その特性をもっと活かして良くしていきたいって気持ちがあって、……だから声を出すんじゃないかなって（笑）。

5期生がアツいんです！

－－『アイシテラブル！』は、夏のSKE48ならではな元気で爽やかな1曲になりましたね。

松井玲奈：私も爽やかで夏っぽい曲だと思っているので、聴いているとウキウキしてきますし、早く夏がきて欲しいなって。今回の歌詞はラブラブなカップルを歌う内容になっていて、そのアツアツさと夏の暑さがかかっているような気がして、歌っていて楽しくなります！

－－確かにこれまでSKE48が歌ってきた曲は、片想いや秘めた想い、これから告白に向かう気持ちなどを表した歌詞が多かったですよね。

松井玲奈：びっくりしましたね、初めて歌詞を読んだ時。最初は「……っていう妄想でした」ってオチで終わるのかなって考えちゃったくらいです（笑）。でも、ベタな感じがかわいくていいなって思います。ソフトクリームが溶けちゃうくらいイチャイチャしてるなんて……、「家でやってよ！」みたいな（笑）。

－－アッハッハッハッハ！ 厳しいですね！（笑）

松井玲奈：そういうのって見てるコッチが気になっちゃうじゃないですか!?（笑） でも、そういう歌詞が面白くて。振り付けもコミカルなので、踊っていて楽しいです。

－－ダンスといえば、今回はミュージックビデオの出来が素晴らしいですね！ 個人定には体育会系でガツガツ踊るSKE48が好きだったんですけど、今回は皆さんのかわいらしい魅力が全面に出ています。

松井玲奈：ありがとうございます！ 撮影も楽しかったです。でも、歌も振りも覚えたのがサイパンに行ってからだったので、時間がなくて大変でしたね。「どうしよう？ 集中しなきゃ！」って思うスリル感があって（笑）。

－－そして、今回は玲奈さん単独なので是非伺いたかったのですが、カップリングに収録の紅組『なんて銀河は明るいのだろう』。これはもう玲奈さんが主役と言っていいのでは!?

松井玲奈：最初と最後を観ると私が主役って思われるかもしれませんが、MV自体は全然そういう感じでもないので。凝ったセットだったので、それだけでもテンションが上がりました。映像もキレイでとにかく楽しかったですね。

－－結果、様々なSKE48の魅力が表出したシングルになりましたよね。

松井玲奈：今回の白組『あうんのキス』では柴田阿弥ちゃんがセンターポジションで頑張っているので、そういうパターンも面白いと思いますし、ファンの方も楽しいですよね、応援のしがいがあるだろうし。
センターになると意外な一面が見えることは絶対にあると思うし、メンバーの数だけ可能性があると思っているので、色んな可能性をシングルでも出していけたら、SKE48はもっとパワーアップできると思うんです。

－－そして6月にはAKB48の総選挙が控えています。今年は初めて、前田敦子さんが参加しない総選挙となる訳ですが、玲奈さんはどのような気持ちで臨もうと思いますか？

松井玲奈：4回目にもなると毎年恒例というか、学校の文化祭みたいに、楽しみたいという気持ちですね。皆さんの気持ちをしっかりと受け止めて、次に繋げることが一番大切だと思っています。

－－その投票権が封入されたAKB48のシングル『真夏のSounds good！』は、過去最多の36人が選抜に選ばれていることも特徴です。総選挙も含め、また大きな変化が始まっているのかな、と思うのですが。

松井玲奈：確かにSKE48も今、研究生がもの凄く頑張ってくれていて、「私たちももっと頑張らなきゃ」って思うんです。公演の中でも、研究生が良いパフォーマンスをしているんですよ！ 5期生がアツいんです！ 刺激をもらっうことも多いので、お互いに高めあっていける関係であったら良いなって思います。

－－では、最後にSKE48ではなく、あくまで松井玲奈としての目標を。

松井玲奈：わあ！（笑） そうですね……、今、私自身にも凄く大きな変化があるように思っているんです。その中で、応援して下さるファンの方々が感じる不安だったり期待だったり、そういうのも全部ひっくるめて「良かったね」って言ってもらえるように、一生懸命頑張っていきたいです。