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SWEET LOVE SHOWER 2014 特集レポート

SLS2014

 今年開局25周年を迎えたスペースシャワーTVが主催する野外ライブイベント【SWEET LOVE SHOWER 2014】が、8月29~31日に山梨・山中湖交流プラザ きららにて開催。今年は開局25周年を記念して5年ぶりの3日間開催で、各日1万8000人、3日間で約5万5000人が来場し、豪華出演陣の熱演に酔いしれた。

DAY1. 8月29日

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 開局25周年という記念すべきこの年、快晴と言うには程遠い残念な天気だったが<LAKESIDE STAGE>のトップバッター、エレファントカシマシが“天晴”なパフォーマンスを披露。幕開けに相応しい「おはよう こんにちは」から名曲「今宵の月のように」に定番曲「ガストロンジャー」と全身全霊を山中湖に捧げる熱演にオーディエンスは魅了されていた。

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 <Mt.FUJI STAGE>には、今年フェスとゆうフェスに引っ張りだこのゲスの極み乙女。が登場。本ステージ出演後には全国ネットの生放送を控えている彼らであったが、お構いなしといった模様で、鉄板キラーチューンてんこ盛りのセットリストをフルパワーで披露し会場中を大熱狂させていた。

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 <FOREST STAGE>のSAKANAMONのステージには、Vo.藤森元生がスペースシャワーTVのドラマ『スリーピース~とあるクソバンドが自然消滅するまで~』で共演したKEYTALKのGt.小野武正が、同ドラマの主題歌でもある「君の○○を××したい」でゲストとして颯爽と登場。50小節あまりの焦げ付くようなギターソロを弾き倒し、会場を大いに沸かせてみせた。

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 この日は4年ぶりの出演となった9mm Parabellum Bulletや、3年連続出演のthe HIATUS、スペシャのアイコン的存在となってきたきゃりーぱみゅぱみゅなど夏フェスおなじみの顔ぶれも続々登場。この【SWEET LOVE SHOWER】の1番の魅力は、出演アーティストの豪華さはもちろん、その会場のコンパクトさと被りの少ないタイムテーブルだ。ステージ間の距離が近く、移動が楽だ。そして、近いと音が別ステージに干渉する為、自動的にパフォーマンスの時間は被らない。今年はフードコートが拡張され、導線が混雑する場面もあったが、正に地の利を活かしているのが体感できる。

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 初日の目玉のひとつとして、【SWEET LOVE SHOWER】初参加となる矢沢永吉が登場。今年出演した【SUMMER SONIC】に【ROCK IN JAPAN FESTIVAL】とすべて雨を降らせてきた彼。この日も残念ながら雨の中でのパフォーマンスとなった。この悪天候も楽しむべく“雨よ振れ”と「レイニー・ウェイ」を歌い、「止まらないHa~Ha」で山中湖にタオルを舞わせる。「あと2、3分で止むから」と語り1曲披露した後に本当に雨が止んでいた時は“YAZAWA”の力を目の当たりにし、鳥肌が立った。

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 そして、andymoriのラスト・ライブを目に焼き付けようと<LAKESIDE STAGE>のフィールドを埋め尽くしたオーディエンスの前に、彼らは静かに姿を現す。サウンドチェックから「ハッピーエンド」、「ボディランゲージ」を披露し、感極まり、涙を浮かべるオーディエンスが垣間見えるほど、極度の興奮と寂寥感のようなものがフィールド全体に渦巻いた。そんな雰囲気を幕開けの「グロリアス軽トラ」で、歌詞の一部を「山中湖」に変えて会場中を和ませる遊び心をみせたり、時折、確認し合うようにアイコンタクトを取りながら演奏する3人の姿に心揺さぶられる。MCでVo.小山田壮平がメンバーとオーディエンスに感謝を述べるシーンもあり、会場中を幸福感が包み込む。そこからはノンストップで新旧の名曲たちを織り交ぜたセットリストを感情のこもったプレイで繰り広げていく。開放感に満ちたサウンドスケープ、一糸乱れぬアンサンブル、絆の深さを感じさせる絶妙な3人のコーラス・ワーク、儚げでもあり、何故かとても頼もしいステージ上での立ち姿、その全てが至高のライブ空間を演出していった。

 アンコールでも、曲が終わると一呼吸おいて次の曲へ、と、軽快すぎるくらいに進んでいくステージに、刻一刻と最後の瞬間の訪れを感じざるを得ないオーディエンスであったが、それを後目に小山田は「寛、健二、もう1回ライブやろう!」と言い放ち、2人も「やろう!」、「いーよ!」と答えれば、フィールド中からどよめきと狂気にも似た歓声が沸き上がった。小山田はステージ上で喜びを爆発させたあと、「今日はいい夜でした。」と笑顔で呟き「それでも夜は星を連れて」を全オーディエンスに届けてくれた。そしてアンコールラストはデビュー作から「ベンガルトラとウィスキー」を鳴らし、全身全霊をもって奏でた全19曲とともに、解散延期発表とゆう感動と驚きのアクトで初日を盛大に締めくくった。

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DAY2. 8月30日

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 2日目はSiM、coldrainという、現在のラウドロックシーンを席巻する2組が、怒涛のサークルモッシュを巻き起こしド派手にスタートを飾った。さらに<LAKESIDE STAGE>、[Alexandros]のステージでは、初日はゲスの極み乙女。、2日目はindigo la Endとしてステージに立った川谷絵音が登場。Vo.川上洋平とともにBlurの名曲「Song 2」のカバーを熱唱するなど、【SWEET LOVE SHOWER】ならではのコラボレーションでオーディエンスの度肝を抜いた。

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 怒髪天、Dragon Ashらの男気溢れるステージや、自然との競演が抜群の相性と見せるくるりと、25周年を祝うべく豪華なラインナップがイベントを彩る。<FOREST STAGE>にもTHE ORAL CIGARETTES、Fear, and Loathing in Las Vegasと注目アーティストが並ぶ。

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 夕暮れの<LAKESIDE STAGE>には岡村靖幸が登場。11年にこの【SWEET LOVE SHOWER】で劇的な復活を果たし、今日まで精力的な活動で音楽ファンを喜ばせてきた彼。身軽なステップでステージ上を動き回り、ビートと観客を同期させるように踊る。ギターをかき鳴らす「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」から「だいすき」の流れは近年の充実っぷりを証明するものだった。

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 この日の<Mt.FUJI STAGE>の最後は、2年前【SWEET LOVE SHOWER】に初登場し、大自然と共鳴する圧巻のパフォーマンスを見せた山下達郎だ。今年は名作『BIG WAVE』の30周年記念盤をリリースし、ファンを喜ばせてくれた彼。開演直前のSEには収録曲「I LOVE YOU...」が流れ、メンバーと共にご本人が登場。1曲目も『BIG WAVE』から「THE THEME FROM BIG WAVE」を披露。イントロから大歓声が沸き起こり、会場の体感温度が上がる。「こんばんわ!山中湖!」と軽く挨拶した後、「涼しいのでアップテンポで温まる曲を」と「SPARKLE」「JUNGLE SWING」「ピンク・シャドウ」を続々披露。すると「全部アップテンポだとおじさんの身体が持ちませんので…」と自虐的に語り「僕らの夏の夢」へ。

 続いて「プラスティック・ラブ」に突入し、2年前の豪華共演が脳裏に蘇る。序盤を山下達郎が歌ったところで竹内まりやが登場。またしても嬉しいサプライズに会場は大歓声で応える。夫婦デュエットを終え「ちょっと得した気分でしょ?」と前回と同じコメントにブレない男、山下達郎を実感。疾走感溢れる「BOMBER」から「SILENT SCREAMER」をつなぎ、「恋のブギ・ウギ・トレイン」とバンドの演奏も最高潮に達した。「来年の夏も皆さんにとっていい季節でありますように。」とラストは「さよなら夏の日」で伸びやかな歌声を聴かせてくれた。

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 2日目のラストには、MAN WITH A MISSIONが登場。火柱が上がる「evils fall」での幕開けから、絶対的な存在感を魅せつけるように「distance」、「DANCE EVERYBODY」などキラーチューンを次々と投下。終盤には狼の仮面をつけたDragon AshのKjをゲストとしてステージに招き入れ「Smells Like Teen Spirit」をプレイし会場は熱狂。アンコールの「FLY AGAIN」ではメンバーが客席に乱入しフィールドの熱狂を煽り倒すなど、夏の最後の残り火が燃え盛ったかのような熱いアクトで2日目を締めくくった。

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DAY3. 8月31日

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 最終日も各ステージで多彩なアクトが展開。<LAKESIDE STAGE>では、THE BACK HORN、The Birthdayといった、我が道を突き進み続ける勇猛なロックバンドたちが、鬼気迫る白熱のライブでオーディエンスを圧倒。<Mt.FUJI STAGE>の高橋優は、新曲「BE RIGHT」を披露するなど、激情的にギターをかき鳴らす姿はオーディエンスの目線を独り占めにしていた。さらに、結成44年にして、【SWEET LOVE SHOWER】初登場となった憂歌団は、熟練された極上のブルース・サウンドをオーディエンスに届けてくれた。

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 そんな中、一際異彩を放っていたのは、<FOREST STAGE>のフレデリックだ。Vo./Gt.三原健司、Ba./Cho.三原康司の双子の兄弟を中心として結成された彼ら。オルタナティブなサウンドをベースにした深淵な世界観は、初見のオーディエンスに困惑を与えるほど衝撃的であったが、キャッチーでダンサブルなギターフレーズやユーモラスな歌詞、双子ならではの絶妙なコーラス・ワークが、ライブが進んでいくたびに徐々に癖になっていき、惹きこまれるようにオーディエンスも体を揺らしていく。終盤には「峠の幽霊」、「プロレスごっこのフラフープ」など、陶酔感がじわじわと沸いてくる、中毒性の強いリズミックなサウンドスケープがフィールド内に充満。ラストは、スペースシャワーTV 9月度の“Power Push!”にも選出された痛快なダンス・ナンバー「オドループ」を投下。終始、フレデリック流・ダンス・ワールドを展開し全オーディエンスを虜にしてみせた。

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 山中湖の湖畔に設置された絶景のロケーションを誇る<WATERFRONT STAGE>には、赤い公園が“かよわき乙女Ver.”とゆう名義のスペシャル・セットで登場。普段の彼女らとは一味違う趣のアコースティック・ライブを披露した。ラストには、9月24日リリースの2ndフルアルバム『猛烈リトミック』のリード・トラック「NOW ON AIR」をプレイ。同曲のプロデュースを担当した蔦谷好位置を招いた5人態勢で披露し、詰めかけたオーディエンスたちを魅了した。

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 日が沈み始め、クライマックスを迎えた【SWEET LOVE SHOWER】。<FOREST STAGE>には4年ぶりの登場となったLEGO BIG MORL、<Mt.FUJI STAGE>には永遠のロックンロール・ヒーロー・甲本ヒロト、真島昌利率いるザ・クロマニヨンズら錚々たるアーティストが圧巻のパフォーマンスで各ステージを締めくくっていく。そして<LAKESIDE STAGE>には、今年2月に約4年半ぶりに活動を再開した、大トリを務めるウルフルズが登場する。

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 登場と同時に、テンション高めのVo./Gt.トータス松本は、ライブ終了時まで終始繰り返されることとなった「せやな?」「せやせや!」のコール&レスポンスを会場中と繰り広げ「ガッツだぜ!!」でライブがスタートすれば、オーディエンスの合いの手もぴったり決まり、初っ端からステージ上と客席の親密感が凄まじい。続いて、降り続く雨などお構いなしに「SUN SUN SUN '95」を投下し、サビメロをオーディエンスに委ねてみせるなど、物凄い熱気を放ちながらステージは展開していく。MCでのメンバー一人一人を紹介していく温かなシーンを挟み、ラストには鉄板ナンバー「バンザイ~好きでよかった~」、「ええねん」をトータス松本が絶唱すれば、数万のオーディエンスが手を高々と掲げ、物凄いシンガロング応える壮観な光景が目の前に広がっていった。アンコールを催促するオーディエンスの万雷のクラップ・ハンズに応え、ステージに再び登場した彼らは「いい女」を全身全霊で披露し、大団円のフィナーレで締めくくった。

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