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アカ・セカ・トリオ+ディエゴ・スキッシ・キンテート「エルマノス」

エルマノス

アカ・セカ・トリオ+ディエゴ・スキッシ・キンテート               

2014/07/23 RELEASE

Track List
革新的な2組による必然のコラボレーションで、ブエノスアイレスの“今”を知る

 アルゼンチン音楽を追いかけている熱心な音楽ファンにとっては、夢のような組み合わせではないだろうか。洗練されたコンテンポラリー・フォルクローレを追求するアカ・セカ・トリオと、タンゴとジャズと現代音楽を合体させるピアニストのディエゴ・スキッシ率いる五重奏団。この二組がひとつになって演奏したライヴの実況盤。ブエノスアイレスで今もっとも面白いといわれているライヴスポット、カフェ・ビニーロで収録されている。

 アカ・セカ・トリオは、文字通り3人組のグループ。天才的なソングライティング能力を持ち当代きっての美声といわれるヴォーカル&ギターのフアン・キンテーロ、ロックからジャズまで幅広い活動を行いソロでも傑作アルバムを発表しているキーボード奏者のアンドレス・ベエウサエルト、フォルクローレのリズムを武器に様々なプロジェクトに引っ張りだこのパーカッション奏者のマリアノ・カンテーロ。彼らはそれぞれ卓越した技術とセンスを持っており、一体となったときの洗練されたサウンドは、現代フォルクローレの象徴ともいえる。

 ディエゴ・スキッシ・キンテートは、リーダーのディエゴを筆頭に、モダンなタンゴを演奏するミュージシャンで固められたグループだ。編成としては非常にオーソドックスだし、実際にクラシカルなタンゴも題材として取り上げる。しかし、このアンサンブルで奏でられるサウンドは、タンゴをベースにしながらもジャズや現代音楽にも通じる自由度があり、タンゴ特有のノスタルジックな感覚は希薄。未来を見据えたタンゴ・サウンドといえるだろう。

 そういった革新的な2組の共演だけに、やはりキーワードは“コンテンポラリー”。お互いのレパートリーを中心に、フォルクローレやタンゴの名曲から、ウルグアイ・ロックの創始者といわれるエドゥアルド・マテオのカヴァーまで幅は広い。基本的にはヴォーカル・ナンバーが中心で、アカ・セカの揺るぎない世界観にディエゴの色が加わるというイメージが強い。しかし、スキャットを効果的に使った幽玄的な「ルイス・ペス」や、アストル・ピアソラを彷彿とさせるアグレッシヴなインスト「エル・アルマグロ」では、アカ・セカは脇役に徹している。ただ、いずれもお互いの自己主張を貫くことはなく、共通する美学をもとに音を紡ごうという意志が感じられ、大所帯であることを意識させない繊細さが面白い。

 ラストに向かうと、アカ・セカの十八番である「悪魔のウァイノ」が登場して一気に盛り上がるが、ディエゴたちが加わることで躍動感と哀愁度が原曲よりも大幅に増大。ラストの「祈り」で美しく締める頃には、彼らのコラボレーションが必然だったことに気付くだろう。お互いの持ち味を合わせることで、何倍もスケールアップしたという印象が残るからだ。ブエノスアイレスで今、何が起こっているのか?その答えを知りたいなら、ぜひ聴いておきたい一枚だ。(REVEIW:栗本 斉)

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