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2020/02/06

<イベントレポート>ソニーミュージック主催オーディション『ONE in a Billion』第1シーズンついに完結 最終審査を勝ち抜いたのは…

 ソニーミュージックが立ち上げたオーディション・ブランド『ONE in a Billion』。その第1シーズンが2019年秋にスタートし、様々な形態の審査を経て、ついに2020年2月5日、グランプリを決定する最終審査を迎えた。

 今回のオーディションではテーマに“声”を掲げ、男性ヴォーカリストを対象としてエントリーを募集。約4,000人からの応募が集まった。また、オーディションの様子は、リアリティ・ショーとしてYouTubeにて配信され、視聴者も審査員として参加できる仕組みが設けられた。そうして歌唱力審査、LIVE審査、MV審査、合宿審査を経て最終審査まで進んだのは計4人。ここで見事グランプリを受賞した1名が、2020年春にソニーミュージックからデビューすることになる。

 最終審査の会場はZepp DiverCity TOKYO。多くのヒット・アーティストたちが熱演を繰り広げてきた聖地であり、デビュー前の新人にとっては憧れの舞台の一つだろう。そういった背景もあってか、独特な緊張感が会場を満たす中、ステージには『ONE in a Billion』番組公式MCのガーリィレコードチャンネル、そして公式アンバサダーを務めるスカイピースが登場。オーディションの過程を見守ってきたスカイピースは、「素人とは思えないほど皆さん上手だったし、その集大成として4人がここで発表する歌声が楽しみ」と期待に胸を膨らませた。また、ゲスト審査員として招かれた清水翔太は、「デビューしていないアーティストと会う機会は少ない。いい意味での粗さとかも含めて楽しみにしてます」とコメント

 ついに審査がスタートし、トップバッターとして登場したのは、関西を中心に路上ライブを行う木下優真。ギターをかき鳴らしながら力強い歌声をじっくりと聴かせた「ないない」に続き、「今夜、ここで」ではマイクを手に取り、軽快なサウンドに身を委ねるような、伸びやかな歌唱を披露した。長きにわたって鎬を削り合ったライバルたちへの想いを語ったあとは、音楽を続けていくことの葛藤を感じる中で書いたというミディアム・バラード「阪急電車」を披露。パフォーマンスを終えた木下に対し、清水は「言葉がすごく素直に聞こえてくる。シンガー・ソングライターにとっては一番大事なことかも。そのメッセージを誰かのために歌えるようになったらもっといい」と評価しつつ、鼓舞の言葉を贈った。

 2番手は、合宿審査を1位で通過したMASAZAYN。音楽活動歴わずか8か月だというダークホースである彼は、アヴィーチー「SOS feat. アロー・ブラック」のカバーで勢いよくキックオフ。MCでは饒舌な語り口で会場から笑いを誘ったかと思えば、ネット上で見かけたというネガティブな意見をネタにするなど、新人とは思えない胆力でもオーディエンスを驚かせた。また、2曲目にはMrs. GREEN APPLE「春愁」を披露し、意外な選曲で振れ幅をアピール。ラストは満を持してオリジナル・ソングをアコギで弾き語り、堂々たるステージングで自身の出番を締めくくった。

 続いて登場したのは、4人の中で最年少にあたる成山俊太郎だ。音楽の専門学校で学ぶ彼は、なんとこの日が初ライブだというが、1曲目「カコソラミライ」を演奏し出すや否や、スイッチが切り替わったかのように纏う空気も一変。フレーズごとに全く異なる声色を繰り出し、シンガーとしてのポテンシャルを覗かせる。最後は合宿審査の課題曲でもあった清水の「花束のかわりにメロディーを」を一節歌い、オーディションのために作ってきたという「夜とグラス」で締めくくり。こちらも新人らしからぬ、情緒的な歌声で会場を魅了した成山のパフォーマンスについて、審査員も「揺るぎない自分の表現、音楽性がある」と評した一方、清水は「リスペクトや感謝が感じられた。若いからこそそれが見えてうれしかった」と音楽に対する姿勢を評価した。

 そしてトリを飾ったのは、すでに1,000人を動員する全国ツアーも開催している三浦風雅。彼の武器は何と言ってもその甘い歌声なのだが、1曲目に「レイニーブルー」をチョイスするあたり、そこに大きな自信を持っていることも窺える。続く「Make a Story」はオリジナル・ソングで、丁寧な言葉のデリバリーが印象的。また、オーディエンスを巻き込み、会場全体でステージを作り上げようとする意志も強く感じられた。ラストの「Start again」まで、開けたポップ・センスが一貫して滲んでおり、そんな彼のパフォーマンスに審査員は、「紛うことなきメジャー感」と太鼓判を押した一方、「キャリアが浅いからこその粗さは出してもいい」と今後の成長にも期待を寄せた。

 4者4様のステージが繰り広げられた今回の最終審査。まず発表されたのは、特別に用意されたスカイピース賞だ。受賞者には山野楽器30万円分が贈られる。そんなスカイピース賞を見事受け取ったのは、MASAZAYNだった。目録を受け取ったMASAZAYNは、「せっかく選んでいただいたので、いいギターを買おうと思います」と早くも使い道を宣言したのだった。

 そして最終審査結果の発表へ。約4,000人のエントリーが集まった本オーディション、その激戦を勝ち抜き、栄えあるグランプリを受賞したのは、三浦風雅だ。応援のため会場にかけつけたファンからは歓声が上がり、天井からは無数の紙吹雪が降り注ぐ中、三浦自身は「3人がスゴすぎてだいぶ食らっていたんですけど…」と戸惑いつつ、「グランプリに恥じないよう頑張っていきたい」と今後の活動に向けて意気込んだ。

 結果発表前、ゲスト審査員の清水は総評として、「デビューはゴールではなくスタート。そこから茨の道が待っている。グランプリを受賞できなかった人も含めて、音楽の道を進むのであれば腹を括って頑張ってほしい」とプロの目線から激励の言葉を語っていた。この日、第2シーズンの開催も予告されたが、『ONE in a Billion』の展開はもちろん、第1シーズンに参加した全応募者の今後の活躍にも期待したい。