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2017/07/22

「初めて人のために制作した」と語る、いつまでも浸っていたくなるラナ・デル・レイ最新作『ラスト・フォー・ライフ』(Album Review)

 米ニューヨーク生まれの32歳。容姿端麗、完璧過ぎる経歴をもつ、モデル兼シンガーソングライターの、ラナ・デル・レイ。

 現在までに、4枚のオリジナル・アルバムをリリースしていて、2012年リリースのセカンド・アルバム『ボーン・トゥ・ダイ』から、3作連続で全米・全英アルバム両チャートでTOP3入りを果たしている。アルバムのクオリティも高く、特に2015年リリースの前作『ハネムーン』の完成度の高さには息を呑むばかりだった。

 その『ハネムーン』に続くおよそ2年ぶりの新作『ラスト・フォー・ライフ』は、前4作を超える素晴らしいアルバムに仕上がった。本作について、「初めて人のために制作した」とラナ自身が語っている。

 プロデュースは、前3作で共作したリック・ノーウェルズが担当。リックは、ラナの他にもマドンナやアデル、シーアなど、トップ・アーティストの作品を手掛けている。その他、世界的大ヒットを記録している、エド・シーランの新作『÷(ディバイド)』を手掛けたベニー・ブランコや、ドレイクやリアーナなどのプロデュースで知られるボーイワンダー、ブルーノ・マーズの「ロックド・アウト・オブ・ヘブン」をNo.1に導いた、エミール・ヘイニーなどが参加している。

 2月にリリースされた先行シングル「ラヴ」で幕を開ける本作は、この曲の幻想的な雰囲気を引き継いだ楽曲で構成されている。

 セカンド・シングルの「ラスト・フォー・ライフ」は、デュエット・パートナーにザ・ウィークエンドを招いた、オルタナティブR&B。人気ラッパー、エイサップ・ロッキーが参加した、トラップ調の「サマー・バマー」と「グルーピー・ラヴ」 の2曲や、「チェリー」、「ホワイト・マスタング」など、黒い要素を感じさせるドリーム・ポップ~トリップ・ホップに、いつまでも浸っていたくなる。

 ブラック・ミュージック以外だと、ロック・バンド「フリートウッド・マック」のメンバー、スティーヴィー・ニックス 参加の「ビューティフル・ピープル・ビューティフル・プロブレムズ」や、故ジョン・レノンの息子、ショーン・オノ・レノンと歌った「トゥモロウ・ネヴァー・ケイム」がある。どちらも、どこか懐かしさを感じさせる、70年代風のクラシカルなナンバーで、ジャケット・アートのイメージぴったりだ。

 ラナの透明感あるボーカルが活かされた、「ゴッド・ブレス・アメリカ – アンド・オール・ザ・ビューティフル・ウィメン・イン・イット」や「ビーチズ」といった、クリスチャン・ソングもすばらしい。ラストは、レクイエムのような美しくもダークな「ヘロイン」~「ゲット・フリー」で、アルバムを締めくくる。

 全16曲、72分と大ボリュームながらも、何度もリプレイしたくなる中毒性のある『ラスト・フォー・ライフ』。ラナのキャリアの中でも、重要な1枚となるだろう。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
『ラスト・フォー・ライフ』
ラナ・デル・レイ
2017/7/21 RELEASE

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