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2015/09/25

Album Review:チャーチズ『Every Open Eye』 インディー・ポップ/ダンスのど真ん中を引き受ける快心作

 2013年に『The Bones of What You Believe』でアルバム・デビューを果たしたグラスゴー出身のエレクトロ・ポップ・トリオ=チャーチズ(それ以前には日本独自企画のEPも発表されており、当初から注目度は高かった)は、UKチャートで最高9位、Billboard 200でも12位と上々のセールスをマークしてキャリアを歩み始めた。紅一点・ローレンのキュートなルックスと瑞々しい歌声、そしてステージでは驚くほどダイナミックかつダンサブルな音像を描き出し、ライヴ・シーンにおいても瞬く間に引っ張りだこの人気グループとなった。

 そんなチャーチズが、デビュー作からちょうど2年ぶりとなるニュー・アルバム『Every Open Eye』をリリースした。順調なキャリアから滲み出る自信と、ステージでのダイナミズムが、音源にも落とし込まれた力作である。太いシンセ・フレーズごと大きくうねるサウンドの中から、しなやかさを増したローレンの歌声がしっかりと届けられ、インディー・ポップ/インディー・ダンスのど真ん中を引き受けてゆく姿はなんとも頼もしい。

 20代のローレンに焦点を当ててみると、チャーチズは華やかなシンデレラ・ストーリーを生きているバンドのように思えるかも知れないが、彼女をバンド活動に誘った男性メンバー2人の、縁の下の力持ち的な貢献度の高さや戦略性も見逃せない。エアーエオグラムのギタリストとして既に世界的に認知されていた最年長メンバーのイアン、そしてチャーチズ楽曲の重要なアクセントとなる男性リード・ヴォーカル曲で実力を発揮するマーティン。彼らはそれぞれがミュージシャンとして経験を積み、プロデューサーとしての資質をも兼ね備えている。マーティンは新作においても「High Enough To Carry You Over」という印象深いヴォーカル曲を担当しているし、前作に引き続き彼らの所有スタジオでDIYスピリットを思う存分発揮する作風は、自由な表現活動を裏付けるものでもあるだろう。

 3人の快調ぶりは歌詞にも表れており、先行シングルの「Leave A Trace」からして、その心象はポジティヴかつ意欲的だ。アップテンポで華麗に宙空を舞うような「Make Them Gold」では共闘の歌がバンドの姿と重なるようだし、「Playing Dead」では苦悩を振り払おうとするような断固たる意志が立ち込めている。若いエネルギーと熟練者の知恵が合致し、理想を追い求めるチャーチズの3人は、少しずつだが確実に、世界の色彩を塗り替えているのだ。

[Text:小池宏和]

◎リリース情報
『エヴリ・オープン・アイ』
チャーチズ
2015/9/25 RELEASE
iTunes:http://apple.co/1R1Q6Hx
※国内盤はボーナストラック4曲、ライナーノーツ、歌詞対訳付

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