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2015/03/26

ピアノの巨人リヒテル生誕100年記念シリーズ、リヒテルに縁のある演奏家が次々と登場

 その演奏技術の高さや表現方法、そして謎に包まれたプライベートなどでピアノの巨人と称されるリヒテルの生誕100年を記念し、東京春音楽祭にて【リヒテルに捧ぐI(生誕100年記念)舞踏協奏曲≪オーバード≫~リヒテルが愛したプーランク&モーツァルト】が開催された。

 前半のプログラムは、リヒテルが愛したモーツァルトの作品の中から「ディベルティメントニ長調」、「ピアノ協奏曲 第17番」、「交響曲 第31番ニ長調 K.297「パリ」」の3曲が演奏された。ピアノは、ボロディン弦楽四重奏団創設者である父、ヴァレンチン・ベルリンスキーを通じて幼い頃からリヒテルと出逢い、共演した経験もあるリュドミラ・ベルリンスカヤ。晩年のリヒテルのようにメガネをかけ楽譜を見ながらピアノに向かい、一つ一つの音の粒が際立つような、快活な演奏を繰り広げた。

 休憩を挟み、後半はプーランク「ピアノと18の楽器のための舞踏協奏曲<オーバード>」。舞台の下手側にセンターを向くようにしてトウキョウ・モーツァルトプレイヤーズ、中央に指揮のヴァハン・マルディロシアンとピアノのベルリンスカヤ、そして上手にはパリの街角のような街灯が設置された。本作は、恋をすることを禁じられた純潔と貞節の女神ディア―ヌの苦悩を描いたストーリーで、リヒテルが再演を望むも叶わなかったという思い入れの強い作品だ。ベルリンスカヤによる力強いピアノ独奏のあと、黒いスーツに身を包んだドミトリー・アンティポフと、黒いドレス姿のヤロスラヴァ・ナグマノヴァが登場し、時折、時計を気にする素振りや仲睦まじい様子など、現代でも共感できるようなシーンを取り入れつつ、途切れることのない10の小曲を演じた。

 東京・春・音楽祭では、その他にもトリビュート公演として、リヒテルの代役を務めた経験もあるアレクサンドル・メルニコフや、リヒテルと数多く共演し公私ともに親交の深かったエリーザベト・レオンスカヤらも登場する。

◎公演概要【東京・春・音楽祭 −東京のオペラの森2015−】
期間:2015年3月13日(金)~ 4月12日(日)
会場:上野恩賜公園(東京)
東京文化会館、上野学園 石橋メモリアルホール、国立科学博物館、東京国立博物館、東京都美術館、国立西洋美術館、上野の森美術館/他

リヒテルに捧ぐ(生誕)100年シリーズI~IV

3月21日(土・祝)東京芸術大学奏楽堂
舞踏協奏曲≪オーバード≫~リヒテルが愛したプーランク&モーツァルト

3月28日(土) 東京文化会館 小ホール
エリーザベト・レオンスカヤ ピアノ・リサイタル~シューベルト、後期3代ピアノソナタ

3月29日(日)東京文化会館 小ホール
ショスタコーヴィチ―アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)I

4月2日(木) 東京文化会館小ホール
ボロディン弦楽四重奏団 with エリーザベト・レオンスカヤ(ピアノ)~リヒテルとともに奏でた音楽家たち
More info: http://www.tokyo-harusai.com/

photo (C)青柳聡

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