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2013/09/18

もしもロックンロールが足りないのなら…。斉藤和義vsNICO Touches the Wallsのロックに攻める熱い競演

 《LIVE FOR THE NEXT》と銘打たれたこのライブシリーズは、ミュージック・ステーションを標榜する5つのFMラジオ局の連合体、JFL(Japan FM League)の結成20周年を記念してのもの。JFL加盟の5局(北海道・FM NORTH WAVE/東京・J-WAVE/名古屋ZIP-FM/大阪・FM802/福岡・cross fm)のそれぞれの所在都市で、9/5から9/17にかけて全5回が開催される。
 メインアクトは、JFLと同じく今年でデビュー20周年を迎えた斉藤和義。JFL20周年アニバーサリーソングとして「カーラジオ」を書き下ろした縁もある。その斉藤和義が、5公演それぞれで別々のアーティストを迎えて繰り広げる《LIVE FOR THE NEXT》。ここ大阪のZepp NambaではNICO Touches the Wallsとの競演が実現した。
 ラジオ局プロデュースによるイベントにふさわしく、ジングルにつづいてFM802のDJ(加藤真樹子)が登場してイベントの主旨を説明。そして先攻として呼び込まれたのは、FM802で担当番組を持っていたこともあるNICO Touches The Walls。

 オープニングはヘヴィーなブルースロック「damaged goods~紫煙鎮魂歌~」、そしてモータウンビートのダンスナンバー「ストロベリーガール」。春に発表した最新アルバム『Shout to the Walls!』からの曲をつづけてスタートした。
 ボーカル&ギター光村龍哉の「ホールツアーや野外フェスが続いていたのでライブハウスは久しぶり」「ロックに攻めるのでよろしく」というMCにひときわ大きな歓声で応える客席。そこへバスドラのキック音がつづく。合わせて打ち鳴らされる手拍子に、「ぶっ飛ぶ用意は出来てるか?」「裏拍で!」と煽り、さらに興奮を高めて定番曲「THE BUNGY」へ。
 あるいは、やはり最新アルバムからの1曲「チェインリアクション」のなかでは、シェイカー、カスタネット、ヴィブラスラップ(カァーッという共鳴音を出すL字型をした打楽器)などをメンバーそれぞれが持ち、その残響をループさせていくというタイトルにひっかけた遊びも。一方で、"歌"が映えるポップチューン「バイシクル」「夏の大三角形」や、この夏リリースしたばかりのニューシングル「ニワカ雨ニモ負ケズ」を披露。

 ラストの「手をたたけ」では、ブレイク部分のあとの歌唱をオーディエンスに任せて盛り上げるなど、入念なコール&レスポンスで最後まで会場の熱を引っ張ってみせた。バランスの取れた配球といった印象のセットリストで、自分たちの音楽の幅を見せたステージだったように思う。

 替わって、後攻として登場したのが斉藤和義。このイベントの日程がまだつづいているため詳細な曲目については控える。だがひとことでいうなら、〈ロックンロール〉ということに尽きると思う。前述のJFL20周年記念曲「カーラジオ」で歌っている「ロックンロールが足りないのかな」という懐疑に、自ら応えてみせるかのような内容だった。

 シンプルに、〈やりたいのはこれだけ〉という世界。あるいは〈これしかできないんだ、悪いけど。へへへ〉という不敵な態度。40代も後半にさしかかり、"人生の残り時間"というカウンター表示が--視野の遠くではあるけれど、うっすらと--見え始めた今、かえって定まる思いというものがあるのかもしれない。
 そんな思いが引き寄せたか、この鉄壁の布陣となってもう2年近くになろうかというバンドは、ギター・辻村豪文、ドラムス・玉田豊夢、ベース・隅倉弘至、ギター・藤井謙二という顔ぶれ。斉藤を入れてトリプルギターとなるこの編成がバチッと決まっている。彼らが出すドライな轟音に、斉藤の湿り気を帯びた声が乗ると実に色気があるのだ。

 ステージは、踊れる新曲「Always」も含めた本篇を終え、アンコールの場面に。「じゃあ、そんなにあることじゃないんで」と言って、NICO Touches the Wallsの面々をステージに呼び込む斉藤。前日に光村が誕生日を迎え、「これでメンバー全員が28歳になった」という彼ら(斉藤からみれば、ほぼ20歳年下)に、得意の下ネタがらみの質問をぶつける。NICOの4人が困りながらも逃げずに答えてくれたのを見届けると、「なに言ってんの? キミたち」とハズす。
 場内が笑いに包まれたところを、斉藤が構えたギターから馴染みのあるリフのワンフレーズが発せられた。と思ったら、一度止めてもう一度、さらに激しいストロークで。響き渡るギターリフに、会場の声は歓喜に変わった。

 そう、最後の曲「歩いて帰ろう」をNICO Touches the Walls、そして観客とともに歌い、この日のライブは幕を下ろした。自分たちの可能性を試そうと、いろんなタイプの楽曲にトライしている若いバンドと、脇目もふらずにロックンロールを演りつづけるギター弾きのシンガー。巧まずしていい組合せの競演になったと思う。

Text:大内幹男
Photo:渡邉一生

◎ライブ情報
【JFL 20th ANNIVERSARY LIVE FOR THE NEXT】
9月9日(月)@Zepp Namba OSAKA
出演:斉藤和義/NICO Touches the Walls

◎オンエア情報
【JFL 20th ANNIVERSARY SPECIAL Music Unlimited FOR THE NEXT】
9月23日(月) 19:00~20:48
DJ:加藤真樹子/吉村昌広
各地方で開催された、斉藤和義 vs HY/レキシ/THE BAWDIES/NICO Touches the Walls/山崎まさよしのライブ音源を独占オンエア!

◎JFL 20th ANNIVERSARY FOR THE NEXTオフィシャルサイト
http://www.jfl.fm/index.html

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