死に物狂いでこの曲をいろんな人に聴いてもらえる努力を

▲シカゴプードル「タカラモノ」家族愛篇　MUSIC CLIP

－－前回のインタビューは“シカゴプードルはもっと評価されていい、売れていい”をテーマにお送りし、辻本さんの「結局、評価される為には良い音楽を作るのが一番の近道だろう」という結論に落ち着いたんですが、今もその姿勢に変わりはなく？

花沢耕太（vo,piano）：全く変わりないです。

－－辻本さんは変わらずKARAファンで？

辻本健司（b）：そうですね！ ニューシングルがすごく楽しみです（笑）っていう話は置いておいて！ ベストアルバムを出して、10年以上やってきた自分たちの音楽を振り返ることができて。それを踏まえてのリスタートとして『3.0』っていうオリジナルアルバムを制作したんですけど、歌とピアノとドラムとベース、シカゴプードルの基本の部分だけでも成り立つような音楽。それが理想的なのかなと思って、歌詞を作る上でもメロディーが一番生かせるものを考えたりして創ったんです。そういった部分での変化はあったと思いますね。

－－とにかく良い音楽を創る。その純度を高めていく姿勢が、今確実に本格的なブレイクへの扉を開こうとしています。「タカラモノ」（家族愛 篇）のPVが1か月で42万再生突破。この状況にはどんなことを感じていますか？

花沢耕太：シカゴプードルを全く知らなかった人が、あのPVをきっかけに「タカラモノ」と出逢って、良い評価もたくさん頂けて、素直に嬉しかったですね。ようやく「たくさんの人がシカゴプードル聴いてくれてるんや」っていう。

－－その実感は今までで一番大きい？

花沢耕太：そうですね。ライブとかでも、例えば40才ぐらいの男性がひとりで観に来てくれて「タカラモノ」を口ずさんでたり、この曲からシカゴプードルのファンになってくれたんだなっていう人が目に見えて増えているので、結構手応えを感じていますね。

山口教仁：ひとつのきっかけは“メガネのタナカ”さんが創業100周年ということで、そのイメージソングとして創ることになった曲だったんですけど、ひとつの縁がこうやって広がっていって、結果的にはいろんな人に聴いてもらえて、こうしてシングルカットする運びになって……すごく良い縁だったなって思いますね。今の時代、なかなか既発のアルバムからシングルカットってないんで、本当に長く歌っていきたいなって。

辻本健司：山口が歌詞書いて、花沢が歌入れしたものを聴いたときから、個人的にも大好きな曲だったんで、いろんな人の耳に届いて、さらにたくさんの人のもとへ届けられるチャンスをもらえたっていうのは、素直に嬉しいです。このチャンスは逃したくないんで、死に物狂いでこの曲をいろんな人に聴いてもらえる努力をしたいなと思ってます。

－－元々は今年4月リリースのアルバム『3.0』収録曲でしたが、どんな想いや背景があって生まれた曲なんでしょう？

花沢耕太：曲自体は一昨年ぐらいからあったもので。メガネのタナカさんからイメージソングのお話を頂いてから山口が歌詞を書いたんですけど。

山口教仁：お話を頂いたのは去年の春頃かな？ 「家族をテーマに書いてほしい」と言われたんですけど、家族とひとえに言ってもいろんな捉え方があるじゃないですか。でも僕らが等身大で歌えるメッセージってなんだろうなって思ったとき、こういう歌詞になったんです。

－－では、山口さんから誰かへの個人的なプロポーズソングではない？

山口教仁：そうではないんですけど、まぁそういう面もある。

－－どっちなんですか（笑）？

山口教仁：いろんな世代の人が聴いても何かしら引っ掛かってほしいなと思いまして、例えば年輩のご夫婦が聴いたときに若い頃を思い出したり、逆に付き合いたてのカップルが聴いたら「こういう夫婦になりたいな」って思ったり、そういう幅広い人たちに向けた家族愛、大切な人への愛を描ければなと。ここまで大きいテーマで歌詞を書いたことはなかったんで、すごく良いきっかけをもらえたなと思ってますね。

－－紛う事なき愛の歌、共に生きていく人へのメッセージとなっていますが、どうしてこのような歌詞が生み出せたんだと思います？

山口教仁：いろんな人から言われるんですけど、とりあえず「自分をさらけ出さなアカンぞ」みたいな。照れてもアカンし。やっぱりそれぐらいじゃないと人には伝わらないんでね。この1,2年はそういう歌詞が書けるようになってきて、ちょっと格好付けていた部分とか取っ払って、より自分の想いを自分の言葉で……っていう方向に向かってますね。

ド突き合いのケンカしているところを！

▲シカゴプードル「タカラモノ」Wedding篇　MUSIC CLIP

－－かつて小学校2年生にシカゴプードルの良さを「懐かしいところかな」と言われたこともありましたが（笑）、「タカラモノ」は真骨頂ですよね。シカゴプードルの良さが凝縮されている。自分ではどう思いますか？

花沢耕太：そうですね。この曲はいろんな種類のメロディーがあって。Aメロ、Bメロ、サビ、Dメロ、Eメロ、Fメロぐらいまであるんですけど、そういうバラードを創るっていうのは挑戦で、サビ頭を自分の一番気持ち良い声が出るところに持ってきたり、いろんなことを考えましたね。結果、たくさんの人に反応してもらえる曲になったんじゃないかと。

－－また、そんなザッツ・シカゴプードルと言える楽曲を広めるきっかけとなっているPV。その内容にはどんな印象や感想を？

花沢耕太：衝撃的でした。今回、シングルリリースすることになって、新たにWedding篇を作ってもらったんですけど、僕ら的にはこっちのイメージだったんで。家族愛 篇に関しては「まさか、こう来るとは！」っていう感じでしたね。

山口教仁：最初に絵コンテもらった時点で驚いたんですけど、驚きながらも「これは良いものが出来るんじゃないか」とは思っていて。それで実際に出来上がったものを観て、視点は違うんですけど、家族愛 篇もWedding篇も想っているものは一緒なのかなって。

辻本健司：家族愛 篇、曲が途中で止まってドラマだけになるシーンがあるじゃないですか。ああいう演出もシカゴプードルのPVでは初めてだったんで、すごく引き込まれたし、役者さんの本当に素晴らしい演技も見せてもらったんで、とても感謝しています。

－－こんな恋愛、結婚生活を自分もしたいと思う？

花沢耕太：理想的ですよね。まぁそこに辿り着くまでいろんな事があると思うんですけど、僕も最後まで奥さんと幸せに添い遂げたい人なので、家族愛 篇のPVとイメージはすごくリンクしました。

辻本健司：すごく深いというか、純粋というか、ああいう恋愛……もはや恋愛ではないですね。愛。それには憧れますね。

－－最後の瞬間に「楽しかった、幸せでした。愛してます、ありがとう」って言われる、もしくは言える自分であれるかですよね。

辻本健司：そうですよねー。僕、娘さんがお母さんと重なって「ありがとう」って言うシーンがすごく好きなんですけど、ああいうお父さんでありたいなって思いました。

山口教仁：花沢も言ってましたけど、いろんなことがあるじゃないですか。一緒にいたら。そりゃ腹立つこともね、もちろんありますし。でも最後に「ありがとう」って言える関係ではありたいですよね。

－－あのPVを制作するにあたって監督とは何かお話されたんですか？

花沢耕太：監督さんがまずこの曲をすごく気に入ってくれていて「良い曲だから、何とか世に広めたいので頑張ります」と言ってくれたんです。実際、撮影とかすごく頑張ってくれていたみたいで、そういう想いが僕らにも伝わったし、完成したものにこれだけ反響があったということは、そこに監督さんの想いがすごく乗っていた証だと思うんですよね。1ヶ月で42万回以上も再生された訳ですから。そこに「タカラモノ」の可能性みたいなものをすごく感じました。

－－Wedding篇にはどんな印象を持たれていますか？

花沢耕太：僕らが想い描いた通りのPV。すごく幸せな映像ですよね。「タカラモノ」をリリースしてから友達の結婚式とかで、弾き語りで歌う機会が増えているんですけど、やっぱりウェディングにはピッタリ合うんですよ。

－－ちなみに自分が監督だったら、どんな「タカラモノ」のPVを作ってみたいですか？

辻本健司：子供の恋愛みたいな。

－－『小さな恋のメロディ』的な？

辻本健司：そういうやつが良いんじゃないですかね？

花沢耕太：俺は逆かな？ おじいちゃん、おばあちゃん。ケンカしているところとか回想しつつ、今はふたりで縁側に座っている感じ。

山口教仁：ケンカシーンは入れたいですよね。今のところないので……ド突き合いのケンカしているところを！

－－どの歌詞のくだりで入れます？

一同：（笑）

花沢耕太：ド突き合いって。

辻本健司：せめて口ゲンカにしようよ。

山口教仁：まぁド突き合いはともかく（笑）、いろんなケンカもありつつ、でも最後まで添い遂げる。そういう世界観のPVも見てみたいですよね。

もう賭けには出てるんですよ。そこに向かって今何をするべきか

▲シカゴプードル「君の笑顔がなによりも好きだった」MUSIC CLIP

－－それもぜひ見てみたいですが、今回はストレートに良い楽曲が良いPVに恵まれ、世に広まっていく。シカゴプードルとして理想的な流れが生まれましたよね？

辻本健司：そうですね。この1曲が僕らの分岐点になることは間違いないなと思ってますね。今回、ダブルAサイドシングルでリリースするのですが、もう1曲のほうも『名探偵コナン』のタイアップが付いてますし、やっぱりここからどんどんどんどん広げていかなきゃいけないなって。そういう決意の一枚になっていると感じてます。

－－たしかに畳み掛け感は出ていると思いますが、『名探偵コナン』エンディングテーマ「君の笑顔がなによりも好きだった」は、どんな想いや背景があって生まれた曲なんでしょう？

花沢耕太：夏の終わりから秋全般にかけて『名探偵コナン』で流れるので、そのシーズン特有の切なさをメロディーにしていて。あと、歴代のテーマ曲を聴いてみても、一番合ってるのって和テイストが入ってるものだったので、切なさと和を融合させて創りました。

－－先日、13年前に通い同棲していた恋人の写真が見つかり、その後日にこの曲を聴いたら狂おしい気分になりました。

一同：（笑）

－－見つかってから毎晩見ちゃうんですよ。完全にこの曲のせいだなと思って。

山口教仁：男ってそういう部分あるんですよね（笑）。

－－で、PVもそんな感じの内容になってて。

花沢耕太：曲の世界観がそのまま出てますよね。陰と陽がすごくハッキリしてて、より切なくなっていくっていう。

－－そんな聴き手の心を揺さぶるニューシングル『タカラモノ / 君の笑顔がなによりも好きだった』ですが、どんな風に世に響いていってほしい？

花沢耕太：今回はタイアップやコラボレーションに恵まれた部分はあるんですけど、やっぱり僕らは直接伝えに行ってナンボみたいなところもあるので、実際に歌いに行く。全国行脚したいなと思ってます。フリースペースでもどんどん歌っていきたいし、やっぱりコナンは誰でも知ってますからね。そのエンディングテーマということで振り返ってくれる人はたくさんいると思うので、とことん歌い尽くしたいなと思います。

－－このタイミングに懸けると？

花沢耕太：そうですね。先も見据えての動きなんですけど、ホールツアーとか、このシングル次第では手の届くところにあると、リアルに感じているので。辻本くんが言ったように、死に物狂いでこの曲を伝えていきたい。で、できれば年内にアルバムを出せたらベストかなって。

－－このまま売れまくったらどうしましょう？ 途端に大物ぶりますか？

山口教仁：いや、ないですよ（笑）。

辻本健司：調子に乗っていきましょうか？

－－個人的には、辻本さんあたりが変貌しそうな気がします。シャネルのメガネとか買いそう。

一同：（爆笑）

－－まぁそれは冗談として、叶えたい夢とかありますか？

花沢耕太：夢というか、もう具体的に来年のスケジュールとか決め込んでいたりするので、もう賭けには出てるんですよ。そこに向かって今何をするべきかという段階。だから自ら行脚してね、いろんなところで名前を広めていく。

山口教仁：シングルって発売週だけで消費されてしまう。そんな時代ですけど、今年いっぱいかけて『タカラモノ / 君の笑顔がなによりも好きだった』は広めていこうと思ってます。もちろん、新しい曲を創ることも怠らず。

辻本健司：シカゴプードルを日本中に知ってもらえるチャンスだと思うし、知ってもらえたら好きになってくれる人はいっぱいいると思うんで。なので、今は老体に鞭打って……

花沢耕太：老体って言うほどの歳じゃないだろ（笑）。

辻本健司：間違えた。馬車馬のごとく！……合ってますかね？

－－いや、合ってるかは分かりませんけど（笑）。

辻本健司：とにかく走り回りたいと思ってます！