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<インタビュー>ソロ活動50周年の高中正義、「今はとにかく楽しい」と語る理由

Interview & Text:栗本斉
動画の総再生数は数百万回、そして日本だけでなく海外でも大ウケ! 今時の若いミュージシャンのことではない。誰あろう、50年以上のキャリアを誇るスーパーギタリスト、高中正義のことである。
2026年3月に3都市ビルボードライブ・ツアー、その直後には自身初のワールドツアーの開催を控える彼に、音楽活動の現在地と、変わらない意識や目標について、じっくりと話を聞いた。
※この記事は、2025年2月発行のフリーペーパー『bbl MAGAZINE vol.215 3月号』内の特集を転載しております。
シティポップ・リバイバルの延長線上のようにジャパニーズ・フュージョンも再注目されているが、その象徴のひとりであることは間違いない。2025年3月に初のロサンゼルス公演を行い、2日間5000人のキャパが即完売という大きな話題もあった。しかし、本人のスタンスはいたってマイペースだ。
「どうやって知って、どこから集まってきたんだろうってくらいたくさん観に来てくれてびっくりしました。本当にうれしいですね。72歳なのでそろそろフェードアウトしてもいい歳なのに、そう簡単にできなくなっちゃった(笑)。だから“忙しそうですね”ってよく言われるんだけど、ツアーも週末だけだったりするので、それ以外は自宅で練習したり、お酒を飲んだり(笑)。昔のフォーク歌手なんて年間300本ライブをやったりしていたから、そう思うと楽ですよ」
高中正義は言わずもがな、日本のロック草創期から活動し、音楽シーンと併走しながら活動してきた。成毛滋、つのだ☆ひろとのフライド・エッグに始まり、日本のロック史に燦然と輝くサディスティック・ミカ・バンドのギタリストとして脚光を浴び、1976年からソロ活動をスタート。一躍、日本を代表するギタリストとなった。
「最初のアルバム『SEYCHELLES』(1976年)を作った時にアメリカでも発売したいと相談したことがあったんです。でも“アメリカで売るにはちょっと弱いんじゃないか”なんて言われてしまってね。それで2枚目の『TAKANAKA』(1977年)はもっとウケるようにと思って<マンボNo.5>のカバーを入れて工夫したんだけれど、それでも実現できなかった。それが今、これらのアルバムを含む初期の作品が海外で人気だって言うんだから、本当に不思議です」
確かに日本では、CMに使用された人気曲「BLUE LAGOON」を含む5枚目のアルバム『JOLLY JIVE』(1979年)あたりから、幅広い音楽ファンに聴かれるようになったという印象があるだろう。歴史的と言っていいコンセプトアルバムの大作『虹伝説 THE RAINBOW GOBLINS』(1981年)や、こちらもCMタイアップとなった「渚・モデラート」(1985年)といった代表作を生み出し続けながら、現在に至るまで精力的に活動を続けてきた。50年以上にわたってマイペースに音楽を続けてきたからこそ、ここ数年の海外事情には誰よりも高中本人が驚いている。
「海外での演奏経験は多少あるんですよ。ミカ・バンドではロキシー・ミュージックと一緒にイギリス国内のツアーを回ったし、バブルの頃だったかと思うんだけど、台湾や東南アジアでもコンサートを行いました。でも、もうずいぶんと昔のことですよね。それが、昨年のロサンゼルス公演は現地の人たちがたくさん来てくれて、しかも20代が中心。歓声もすごく大きいんですよ。アイドルのコンサートか、っていうくらい(笑)。だからそれに応えるように、自分もつい盛り上がってしまいました。昔からの僕のファンも、この映像を観てびっくりしたんでしょうね。だから最近は日本のツアーでもどんどん歓声が大きくなってきています。“LAに負けるか!” ってことなんでしょうかね(笑)」
ロサンゼルス公演の大成功を、世界が放っておくことはない。この3月から4月にかけて、大規模なワールドツアーが決定している。ロンドン、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、そして再びロサンゼルス、さらには、オーストラリアのシドニーとメルボルン、ニュージーランドのオークランドと、1か月にわたり世界中を飛び回る予定だ。しかも、どの都市もかなり大きなキャパの会場であるにもかかわらず、そのほとんどがソールドアウトという状況は、数年前には想像もつかなかったこと。その海外の好状況と共鳴するかのように、国内のコンサートでも若いファンや女性の観客が増えているという。
「海外に限らず国内でもここ何年かでどんどん盛り上がっているように感じるので、きっと僕にとって今は最大のモテ期なんだと思っています(笑)。どういう曲をやればウケるんだろうとか、ちゃんと理解してもらえるんだろうかとか、不安なこともあったんですけれど、ロサンゼルスでのコンサートでは自分がやってきたことが間違っていなかったと実感できたんです。“これで正解なんだな”と。あと、“モテ期きちゃった、やべえ!” という気持ちが混じりあって(笑)、今はとにかく楽しいですね」
今年はソロ活動50周年という節目の年ではあるが、とくに気負っていることはないという。「僕くらいの歳になると、毎年何かしらの周年にあたるので、そういったことはスタッフに任せています」と、あくまでも決まっているツアーを着実にこなしていくばかり。今後の目標を聞いても「健康で演奏し続けられること」と笑う。
「でも、しっかりとお客さんに届けることは意識していますよ。僕は毎回コンサートを録音して聴き直すんです。この曲の演奏はこうかなとか、音のバランスをもうちょっとこうしたほうがいいかなとか、改善すべきことはメンバーやスタッフにも、きちんと伝えて改善していきます。細かいことにこだわるのは自己満足かもしれないけれど、それが好きだから続けてこられたというのもありますよね」
大規模なワールドツアーを行う一方で、趣向の違うビルボードライブ公演も3月に控えている。ホールコンサートとは違う空間でのライブということもあり、高中本人もホールコンサートとはまた違う思い入れがあるという。
「客席が近いから、顔のシワがバレちゃうんだけどね(笑)。でも、ステージを降りてお客さんの隣に座って弾いてみたり、オリジナルのカクテルを考案して楽しんでもらったり、ビルボードライブは密なコミュニケーションができる面白さがあるんです。以前オーストラリアのギター少年からライブを観るために日本に行くと手紙をもらい、実際にお父さんとビルボードライブ大阪に来てくれました。彼のギターにサインしたり、一緒に写真を撮ったり。そんなことが実現できる雰囲気もビルボードライブの良さですね」
公演情報
【高中正義】
2026年3月4日(水)-5日(木)
神奈川・ビルボードライブ横浜
1st stage open 16:30 start 17:30
2nd stage open 19:30 start 20:30
公演詳細>>
2026年3月10日(火)-11日(水)
大阪・ビルボードライブ大阪
1st stage open 16:30 start 17:30
2nd stage open 19:30 start 20:30
公演詳細>>
2026年3月17日(火)-18日(水)
東京・ビルボードライブ東京
1st stage open 16:30 start 17:30
2nd stage open 19:30 start 20:30
公演詳細>>
【City Pop Waves: Masayoshi Takanaka SUPER TAKANAKA WORLD LIVE 2026 presented by Live Nation】
2026年3月31日(火)-4月1日(水)
London / O2 Academy Brixton
2026年4月4日(土)-5日(日)
New York / Brooklyn Paramount
2026年4月7日(火)
Chicago / Byline Bank Aragon Ballroom
2026年4月9日(木)
San Francisco / The Masonic
2026年4月12日(日)-13日(月)
Los Angeles / Hollywood Palladium
2026年4月23日(木)
Sydney / Hordern Pavilion
2026年4月24日(金)
Sydney / Darling Harbour Theatre
2026年4月26日(日)-27日(月)
Melbourne / Forum Melbourne
2026年4月29日(水)
Auckland / Town Hall
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