Billboard JAPAN


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<インタビュー>Roselia、2年ぶりアニサマの意気込み語る 注目は“2次元と3次元が交差するパフォーマンス”



 アニメやゲーム、声優によるリアル・ライブまでを展開するメディアミックス・プロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』から生まれたバンド、Roseliaが2年ぶりに【Animelo Summer Live(アニサマ)】に帰ってくる。

 2017年のシングル・デビューから僅か4か月後、世界最大のアニソン・フェスとして知られるアニサマ初出演を果たしたRoselia。それから2年間、着実に楽曲リリースやライブ・パフォーマンスを重ね、今やアニメ/ゲームの派生バンドの枠に留まらない存在感を放つ彼女たちが、再びさいたまスーパーアリーナのステージに立つ。二人のメンバー・チェンジを経て、2018年に新体制で再出発、今年2月には日本武道館ワンマンを開催、そして今夏、今の自分たちの集大成だという最新シングル『FIRE BIRD』をリリースしたのち、富士急ハイランド・コニファーフォレストでの野外ライブ2daysを敢行するなど、現時点で脂が乗りまくっている状態のRoseliaが、今年15周年という節目を迎えるアニサマでどんなステージを繰り広げるのか。

 見どころは、バンドリ!特有の“次元が交差するパフォーマンス”だ。2次元のキャラクターと3次元の声優、その狭間の葛藤といかに向き合い、ライブ・パフォーマンスに昇華させるのか。Billboard JAPANでは、アニサマのオフィシャル・パンフレット用の撮影のため、某所スタジオに集まったメンバーにインタビューを実施。アニサマに向けた想いや意気込みはもちろん、成長していく『BanG Dream!(バンドリ!)』というコンテンツと彼女たちの歩みについて、話を訊いた。

メンバー:
Vo.湊 友希那(CAST:相羽あいな)
Gt.氷川 紗夜(CAST:工藤晴香)
Ba.今井 リサ(CAST:中島由貴)
Dr.宇田川 あこ(CAST:櫻川めぐ)
Key.白金燐子(CAST:志崎樺音)

感じたことをそのまま表現しちゃってもいいのかなって

――『BanG Dream!(バンドリ!)』というプロジェクト全体の動きを見ても、地上波の音楽番組やライブ・イベントへの出演など、アニメやゲームの世界を飛び出して活躍する場面が増えてきましたよね。Roseliaとしては2017年4月に1stシングル『BLACK SHOUT』がリリースとなり、現時点でデビューから2年以上が経ったわけですが、やはり活動の場がどんどん広がってきた実感はありますか?

相羽あいな:ありますね。そういうメディア出演がきっかけになって、最近はアニメやゲームにあまり馴染みがない方もライブに足を運んでくださるようになりました。

櫻川めぐ:テレビを通して知ってくださった方々の中には、「普通のバンドじゃなくて声優がやっているバンドなんだ」って興味を持ってくださった方が多いのかなって思います。

――どういった時に「リスナー層が広がっているな」と実感することが多いですか?

中島由貴:地元の友だちから連絡をもらった時にすごく実感しましたね。学生の時は全然アニメやゲームの話をしなかった子から、それこそテレビ出演後とかに突然連絡がくるんですよ。「テレビ見たよ!」とか「これから応援していくね!」みたいな。最近すごく多いです。

櫻川めぐ:親戚が増えました!

――それはよく聞くやつですね(笑)。

工藤晴香:あと、バンドリ!ってYouTubeの公式チャンネルでライブ映像をたくさん公開しているんですけど、例えば別のガールズ・バンドの動画を見ていたら、“あなたへのおすすめ”っていう欄に私たちのライブ映像が出てくるようになるみたいで。アニメ、ゲーム関連に詳しくない方がそこでRoseliaを知って興味を持つ、みたいなことも多いみたいです。

志崎樺音:私は音楽系の大学に通っていたんですけど、みんな“音楽が好き”っていう共通点はあって、アニメやゲームの音楽にあまり触れたことがない子からも「すごい」とか「かっこいい」とか、お褒めの言葉を貰えてすごく嬉しかったですね。同級生から先輩後輩まで。

――同じくバンドリ!発のPoppin'PartyがSILENT SIRENとコラボして、5月にはメットライフドームでの対バンも開催されました。Roseliaのみなさんもゲスト・アクトとして出演されていましたが、いかがでしたか?

相羽あいな:改めてバンドってイイなって感じたライブでした。3組それぞれにカラーがあって、楽曲の雰囲気や世界観も違うし、お客さんの反応もそれぞれで違って。それは対バン形式だからこそ感じることができた違いだし、ジャンルに捕らわれないバンド音楽ならではの魅力かなって思いますね。

櫻川めぐ:Roseliaが出演したのは1日目だったんですけど、私たちは同じバンドリ!出身のRAISE A SUILENがゲスト出演した2日目のライブも見させていただいたんです。やっぱり全バンド違って、それぞれの良さを感じた分、私たち自身の強みを再確認できたライブでもありました。



▲【公式】Roselia「BRAVE JEWEL」ライブFull映像【Poppin'Party×SILENT SIREN 「NO GIRL NO CRY」DAY1】


――再確認した“Roseliaの強み”というと?

相羽あいな:“あいな”さんが……あ、SILENT SIRENのベースのあいにゃんさんが…

中島由貴:自分のこと“あいなさん”って言ったのかと思った(笑)。

相羽あいな:(笑)。SILENT SIRENのあいにゃんさんが「存在感がすごくて、かっこよかった!」って連絡をくださって。“かっこよさ”と“存在感”ってRoseliaがずっと大切にしてきたことだったので、そこを評価していただけたことはすごく嬉しかったです。Roseliaって作品内では“実力派バンド”っていう立ち位置にいるバンドなので、やっぱり絶対的な存在感っていうのは大事な要素なんですよ。

――逆に対バン相手から学ぶこともあったり?

工藤晴香:私たちは普段キャラクターを演じていて、ライブでもキャラクターとして演奏をして、キャラクターとしてMCをしているんですけど、当然サイサイさんの場合はそうではなく、メンバーのみなさん本人がステージに立っているわけじゃないですか。だからなのか、すごく自由というか。私たちも「そういうやり方あったな!」って気づく部分も多くて。「メガネの人―!」ってコール&レスポンスしたり(笑)。

相羽あいな:私たちの場合は「男子ー! 女子ー!」とかだしね。

工藤晴香:ただ曲を演奏してMCをするのではなくて、例えばバスドラを鳴らしながら「いくよー!」って煽りながら曲に入ったり。曲と曲の繋ぎ目の演出をしっかり考えているんだなって、自分たちとしては新鮮な発見でした。

櫻川めぐ:決して難しいことをしているわけではなく、シンプルなんだけどかっこいい。だからこそ「もっと勉強しなきゃな」って改めて思いました。

相羽あいな:ワンマンと対バンとで魅せ方の違いがあるんだなって感じましたね。対バンの場合は初めましての方もいらっしゃるので、そういう方に対してどうやってアピールするべきなのか。そういうことを私たちはまだまだ知らないなって実感しました。

――先ほどおっしゃっていた“キャラクターとして”という在り方に対して、みなさんはこれまでどのように向き合ってきたのでしょう?“キャラクターとしての自分”と“生身の自分”はどのように棲み分けているのですか?

工藤晴香:基本的にはずっと“キャラクターとしての自分”でやってはいるんですけど、やっぱり滲み出てくるんですよね。「キャラとして演奏に集中しなきゃ! でも抑えられない! うぅ…」ってなって、結局ちょっと自分が出てきちゃう。アニメやゲームでアフレコする時は“100%キャラクター”なんですけど、ライブだとどうしても…。

相羽あいな:長いとね。数曲なら大丈夫なんですけど。

櫻川めぐ:いや出てますよ…?

工藤晴香:それもライブの楽しみになってきたかなとは思いますけどね。ファンのみなさんもきっと気づいていて、むしろ「これがライブだ!」って喜んでいただけてたりもするのかなって、ポジティブに考えてます。

櫻川めぐ:たしかにライブをやってみて初めて感じたことなので、それもお客さんのみなさんと作り上げてきた文化なのかな。

中島由貴:「自分はこういう風にやりたいな。でも(今井)リサはどうなのかな?」って疑問が一瞬頭をよぎることはあるけど、実際にその場で演奏しているのは自分だし、アニメのライブ・シーンと現実のライブは尺も雰囲気も違うから、「もしかしたらリサもこんな風にテンション上がるかもしれない!」って自分なりに納得して、感じたことをそのまま表現しちゃってもいいのかなって私は思います。「これも新たな一面じゃない? どう?」って。

――自分とキャラクターが次元を超えて混ざり合う瞬間も、ライブという非日常ならではの魅力かもしれないですね。

中島由貴:もちろんキャラクターとしての演奏を意識し続けてはいるんですけど、その意識が薄れている瞬間って、ある意味なりきっているからこそだと思うので、それはプラスに考えてます。

志崎樺音:私は演奏よりキャラMCのほうが大変です。すごく緊張する。

相羽あいな:でもその姿が(白金)燐子らしいというか。だから、その緊張がなくなった時こそ燐子じゃなくなってる可能性が…。

工藤晴香:それも新たな一面だよね。


「FIRE BIRD」はすべてがスゴい

――7月24日には9thシングル『FIRE BIRD』がリリースされます。(※現在はリリース済み)

櫻川めぐ:9枚目なのぉ!?

中島由貴:9? 9か! 前回8枚目のシングルって言ってた?

――あまり実感が沸いてなさそうですが…。まずは手応えを教えてください。

相羽あいな:表題曲の「FIRE BIRD」はアニメ『BanG Dream! 2nd Season』の最終話で流れた曲なんですけど、もうすべてがスゴいよね。今の集大成というか、“ザ・Roselia”みたいな。

櫻川めぐ:語彙力…

相羽あいな:いや、下手な言葉で言い表したくないというか。いつも曲を書いてくださっている上松範康(ElementsGarden)さんが、今回は作曲だけじゃなくて初めて作詞もしてくださったんですけど、今までのRoseliaの歩みを踏まえて歌詞を書いてくださったそうで。

櫻川めぐ:そのRoseliaというのも、アニメやゲームの中で活動しているRoseliaであり、私たち声優のRoseliaでもあるんです。それを不死鳥に例えて表現してくださいました。

――楽曲に関してはいかがでしょう?

相羽あいな:みんなそれぞれのパートの難易度が高いです。ヴォーカルも最高音の記録更新しましたし。各楽器に集中して聴いていただくと、本当にレベルが上がったなって分かっていただけると思います。

――展開の激しさではカップリングの「Ringing Bloom」も負けてませんが、こちらは志崎さんが一部メイン・ヴォーカルを担うパートがあります。バンド加入後、こうして音源として歌声を収録するのは初めてですよね?

志崎樺音:初めてですね。キャラクターとして歌うこと自体、私は初挑戦だったので。

櫻川めぐ:また新たなパワーがRoseliaに加わったなって思いますね。ソロ・パートはもちろん、コーラスでものんちゃんの声が入ることで響きが一つ変わりますし、味が深まったというか。

相羽あいな:厚みが増すよね。



▲【試聴動画】Roselia 9th Single「FIRE BIRD」


――9枚のシングルをリリースしてきたこの2年間、ミュージシャンとして成長するため、みなさんはどんなことを心掛けてきましたか? Roseliaの音楽にはメタルの要素が散りばめられていて、それだけに高い演奏技術や様式美への理解が求められる場面も多かったかと思いますが。

工藤晴香:ひたすらセッションを重ねること。あとは焼肉に行くことですね。

――焼肉。

相羽あいな:焼肉は大事ですね。やっぱりバンドって、コミュニケーションがしっかりと取れないとダメだなって思います。ご飯に行くこともできないほどみんなが忙しかった時期もあったんですけど、その時期にリハで鳴らしていた音と、みんなで頻繁にご飯に行くようになった時期の音は全然違う。

中島由貴:(笑)。

工藤晴香:「(忙しくて)夜に集まれないんだったら、昼間に集まればいいんじゃない?」って話になって、リハ前にランチに行ったんですよ。そしたら、その後のリハめっちゃ良かったんですよ!

櫻川めぐ:そう! ランチしている時は世間話しかしないのに。

相羽あいな:それだけで「こんなに変わるんだ!」って感じるほど良くなるし、やっぱり精神論ってバカにできないなって思いますね。メットライフドームの時も「終わったらBBQしよ」って話ばっかりしてましたからね。


成長したRoseliaの姿をアニサマに見てもらいたい

――そして8月末には【Animelo Summer Live 2019 -STORY-】が控えています。アニサマは2017年の初出演以来、2年ぶり2度目となりますが、相羽さん、工藤さん、櫻川さんは当時を振り返ってみていかがですか?

相羽あいな:とにかく景色がすごくて…。果てしなかったですね。「これが3万人か!」みたいな。あと何がスゴいって、やっぱりお客さんの熱量。私はその日、別作品のグループとして先にステージに立っていたんですけど、その後にRoseliaとして出ていった時、なんというか全部が変わっていたんですよ。3万人のお客さんのノリが一気に変わると、景色も温度も何もかもが変わる。

工藤晴香:実際ステージから火が出てたしね。「アツいアツいアツいアツい」って。

――Blu-ray特典のバックヤード映像にも映されていましたが、パフォーマンスを終えた櫻川さんの“出し切った感”も印象的でした。

櫻川めぐ:最近はようやくペース配分できるようになったんですけど、あの時は「初っ端から120%でやるぞ!」っていう意識が強すぎて。そんな感じだからペース配分どころじゃなく、もう気迫だけでドラムを叩き続けました!

――そのペース配分に関してはあれ以降、ずっと課題として向き合ってきたことでもありますか?

櫻川めぐ:翌日以降も当然のようにお仕事があるわけで、声優としての自分とも向き合うきっかけになりましたし、毎回あんな状態になってしまったら周りの方々に迷惑をかけてしまうと思ったので、「これは変えていかなきゃ」って思った瞬間ではありました。ただそれと同時に、大人になってもああやって力を出し切ることができるのって、私はすごくありがたいことだとも思うんです。Roseliaとバンドリ!っていうコンテンツがもっともっと上を目指していくためには、そういう感謝を持ちつつ、学べることは学び続けていくことが必要だなって。

――では、Roseliaとしてすでにアニサマを経験している三人から、未経験の中島さん、志崎さんに何かアドバイスがあれば。

中島由貴:ください。

工藤晴香:ゆっきーは見に行ったこともあるだろうから知ってると思うけど、本当に会場が大きいし、お客さんから見た私たちは豆粒だから、めっちゃ大きく、大袈裟に動いたほうがいいよね。

相羽あいな:それは本当にそう。あと、RoseliaのTシャツを着てくれてるファンの方がいたら見ちゃうじゃん? そこで目が合った時、そのファンの方、めっちゃイイ顔してくれるから。

櫻川めぐ:そりゃそうだ!

相羽あいな:単独ライブは基本的にRoseliaのファンの方しかいないじゃないですか。でもフェスは色んなアーティストさんのファンの方がいるわけで、その中でピンポイントで目が合った時の喜びってやっぱりあるんですよ。「あ、Roselia好きなんですね?」「そうです。僕、Roselia好きなんです」みたいな(笑)。

――心の会話が交わされるわけですね。

櫻川めぐ:じゃあ私から超イイことを教えてあげよう!「私たちは宇宙で一番かっこいい」って私たち自身が思ってステージに立つ! あとはぶちアガっていけば全部が大丈夫!

相羽あいな:120%には気をつけてね。

櫻川めぐ:はい。

中島由貴:さいたまスーパーアリーナに関しては、私は別作品のライブで立ったことがあるんですけど、やっぱりアニサマみたいな大きなフェスではまた違った景色が見れるとは思うので、それが楽しみだなって思います。あと、テンションがぶちアガりすぎないように…。

櫻川めぐ:(笑)。

中島由貴:私もついついアガっちゃうタイプだし、お祭りならではの「イエーイ!」みたいなテンションってあるじゃないですか。そこは自分でうまくコントロールできるように気をつけたいと思います(笑)。

――櫻川さんと中島さんのリズム・セクション特有の呼吸ってあるのでしょうか? やり取りを見ていると、中島さんがある種のストッパー的な立ち位置だったりするのかなって。

中島由貴:めぐちぃからは「始まる前に注意して」とは言われているので、そこは声がけしたりしてます。本番中は…

櫻川めぐ:本番中に関してはむしろ「私を見てくれ」って感じです。やっぱり目が合うとコミュニケーションが取れるし、そこでお互いにテンションが共有されるので、それをグルーヴに変えるようにはしてます。

――それでは最後に、今年のアニサマに向けた意気込みをお聞かせください。

工藤晴香:声優がキャラクターとしてライブする、っていうのがこのプロジェクトの面白さなので、もちろんキャラクターを重ねて見ていただく楽しみ方もありますし、私たち“3D Roselia”の魅力も堪能していただきたいですね。キャラの再現部分と私たち自身のアイデア部分がどっちもあるはずなので、そういったところにも注目してほしいです。

櫻川めぐ:前回のアニサマ初出演はバンドとして初めてステージに立ってから半年後だったので、それから2年が経った今こそ、成長したRoseliaの姿をアニサマに見てもらいたいです。

中島由貴:色々なアーティストのファンの方がいて、私たちとしてもチャンスの場なのかなって思っているので、今出せる全力を出し切って、それがみんなの心に刺さってくれたら嬉しいです。見どころ的には……見れば分かる! とにかく見てくれって気持ちです!

志崎樺音:私は初めてのアニサマなのですごく緊張しますが、これが「Roseliaだ!」っていうものを見せることができればなって思います。あとは楽しみたいです。

相羽あいな:そうだね! 絶対に宇宙一かっこいいので、Roseliaを知らなかった方にも「やばい。もうファン」って思ってもらえるように存在感をアピールしていきたいです。

工藤晴香:そう。ステージに立ってる10分間は宇宙一!

写真



Interview by Takuto Ueda

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