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ダイアン・バーチ来日記念インタビュー&『バイブル・ベルト』プレイリスト

Diane Birch インタビュー

 まもなくデビュー10周年を迎えるダイアン・バーチが、デビュー・アルバムにして金字塔となった『バイブル・ベルト』を中心に披露する来日公演を東阪のビルボードライブにて開催する。今回、改めて自身のキャリアとデビュー作を振り返ってもらうメールインタビューを実施。『バイブル・ベルト』に対する当時の想いや葛藤、10年間の心境の変化などを飾らない言葉で答えてくれた。また、『バイブル・ベルト』に影響を与えた/制作当時に聞いていた5曲と、来日公演前に事前に聞いておくべき5曲を本人が選曲。こちらも合わせて楽しんでもらいたい。そして、10年間で洗練さと円熟味を増した彼女がいま、『バイブル・ベルト』をどのように表現するのか、是非ともライブに足を運んで見てほしいと思う。

制限をかけていたのは周りじゃなくて自分だった

−−デビュー・アルバム『バイブル・ベルト』をリリースしてから、もうすぐ10周年ですね。ご自身のキャリアを振り返ってみていかがですか?

ダイアン・バーチ(以下ダイアン):もう10年も経つなんて、信じられない。まるで昨日のことのように一瞬だったけれど、ずいぶん成長した気がするわ。10年前の自分に、今の私が知っていることを教えてあげられたら、彼女の人生はもっとスムーズに行くはずなのにな。でも、やっぱり多少は困難も経験しないとって思う自分もいるわ。

−−『Live From Daryl's House』(ダリル・ホールが自身のお気に入りのミュージシャンを自宅に招き、ジャム・セッションする音楽番組)に出演されたときの映像は、今でもすごく印象に残っているのですが、デビューしたばかりだったんですね。改めて思い返してみて、ダリル・ホールとの共演はいかがでしたか?

ダイアン:あのパフォーマンスは本当に最高だった。セッションしながら音楽が持つマジックを肌で感じるという特別な経験をしたわ。幸せの波が押し寄せてくるような、そんな魔法よ。彼とは自然とフィーリングが合う感じがして、まるで彼とは長い付き合いであるかのように思えた。瞬時に親密になれる感覚が、2人には流れているんだと、彼が気づいてくれたからかもしれないわね。とても面白かったのは、カメラマンが集合写真を撮ろうとした時に、ダリルと私が鏡の前で髪の毛を盛りはじめたこと。言葉にはしなかったけど、「ああ、あなたも同じことするのね」ってニヤケちゃった!ハハ!


▲"Nothing But A Miracle"- Diane Birch, Daryl Hall

−−デビュー当時すでにキャロル・キングやアレサ・フランクリンなど、名だたるアーティストと比較されていたことは名誉でもあり葛藤もあったと思います。自分自身との向き合い方もこの10年で変化していきましたか?

ダイアン:今も昔も名誉に感じてはいるけれど、当時の私は誰かじゃなく、私の音楽として認められることに固執していて、キャリア初期に、そういうカテゴリーに入れてもらえたことへの喜びや感謝をじっくりと感じることができないほどストレスに感じていたの。ある一種のスタイルで判断されることが、自分の芸術的な表現の仕方を制限してしまっているんじゃないかと感じちゃって。こうあるべきとか、こうするべきといった圧力があまりにも大きすぎていたから。でも、制限をかけていたのは周りじゃなくて自分だったってことに気が付いたわ。

−−以前『NOUS』のインタビューに答えていた際に、「『バイブル・ベルト』はたくさんの曲の中からキャロル・キングを彷彿とさせるイメージをつけやすい曲を選んだ作品集だった」と仰っていました。それがフラストレーションになっていたとも。このアルバムが多くの人に届いたことで、あなたを取り巻く環境はどのように変わっていったのでしょうか?

ダイアン:前の質問で答えたように、評価が高いほど、自分の器量を制限しているように感じていたの。レコード会社と契約を交わした時、もっとダークで、多種多様な楽曲候補があったんだけど、その中から、彼らがあるマーケティングプランに一番合うと思って選んだ10曲が『バイブル・ベルト』として発売されたの。別に彼らを責めるつもりは毛頭ないし、アルバムの出来も悪いとは思っていない。どの曲も参加してくれたプレイヤーも最高だもの。ただ、あのアルバムに関して言うと、ミキシングは聴くに堪えないもので、絶妙なニュアンスとミュージシャンたちの魔法を台無しにしてしまっているような気がする。でも、そんなこととは関係なく、多くの人が私の曲を聴いてくれて、最終的に、その楽曲たちが、まだリスナーの心の中で生きているのよね。

−−デビューからの10年で様々な作品リリースやライブを行ってきましたよね。発表した当時と比べて『バイブル・ベルト』は今のあなたにとってどんな作品ですか?

ダイアン:本音を言うと、当時は『バイブル・ベルト』が嫌いだったの。ミキシングされた完成品が私の頭の中で聴いていた作風と正反対だったから、本当にがっかりだったのよ。これらの曲を受け入れて、そして品質の良さをしっかりと認識するまでに相当な時間がかかった。この10年は反抗心を持って過ごしてきたわけだけど、数年前からは、だんだんと作品を愛せるようになってきた。それにあの作品に関わってくれた素晴らしいプレイヤー達との共演は、これ以上の喜びは感じられないような、かけがえの無い経験だし、なんて素晴らしいことをしたんだろうと改めて実感するようになってきた。次回作は『バイブル・ベルト』を愛してくれたファンを喜ばせるようなアルバムになると思うわ☺

−−これまで世界各地の様々な場所に拠点を置かれていますよね。生活する場所や現地での過ごし方は音楽の制作にどんな影響を与えていますか?

ダイアン:世界中を旅しながら、その土地のミュージック・カルチャーを知れるのが大好きなの。私を取り巻く環境にインスパイアを与えてくれて、結果的にそれが音楽にも影響を与えるの。

−−あなたの書く歌詞も大好きです。10年間で様々な経験をされたと思いますが、ご自身の書く言葉も変わってきましたか?

ダイアン:前よりも、もっと心に響く言葉を使っているように思えるわ。これまでは自分宛の質問をたくさん曲の中で書いてきたけれど、今の私が書くものは、それらへの答えが詰まっているわ。

−−2月に「The End」のミュージック・ビデオが公開されました。お父様の故郷を訪れていましたが、旅に行く前と後とで心境の変化はありましたか?

ダイアン:とても素晴らしい経験になったし、Meshakai ( Wolf、ダイアン・バーチと長年組んでいる映像アーティスト)がパーソナルな部分をきちんと映像化してくれたことに感謝しているわ。父の遺灰をどうにか特別なやり方で撒きたいとずっと考えていて、父は人生の半分をあの山々に囲まれながら過ごしていたこともあったから、まさに最適の場所だと思った。大人になってから家族抜きで南アフリカに行っていなかったから、これまでと違う状況の中、あの地に立っていることはすごく強烈だった。頂上に立って、これまで自分がしてきたことや胸の痛み、失ったもの、希望や夢を抱きながら、新しい人生の幕開けとともに、父、過去、そして過去の自分を解き放ったの。


▲Diane Birch - The End (Official Video)

−−今このタイミングで『バイブル・ベルト』を中心としたライブを行うことにしたのはなぜですか?

ダイアン:日本でこのアルバムの人気があることは知っているし、このアルバムの単独ツアー以来、収録曲の多くをライブで演奏していなかったから、日本のファンのみんなに、クールな一服を味わってもらえるいい機会なんじゃないかなと思ったのよ。

−−今回のライブの構想などがあれば、教えて頂けますか?

ダイアン:ドラムにヤング・ガン・シルヴァー・フォックスのショーン・リー、ベースにデイヴ・ページがバックに付いてくれて、これまでよりも親密感が増したライブセットになることに、すごくワクワクしているわ。私はピアノと、フェンダー・ローズを弾く予定よ。今の私らしくプレイすること、そして私が成長した部分と成熟ぶりを表現できることも嬉しい部分ね。

−−ここ最近聴いている音楽は何でしょうか?

ダイアン:YouTubeでちょっと変わったいろんな種類のビデオを何時間もループ再生して聴いてるわ。あとショパンも。最近はジョニ・ミッチェルの後期の作品やジョナサン・リッチマンの作品にもハマっていて、ジャンルがごちゃ混ぜなんだけど、ブライアン・フェリー、リッキー・リー・ジョーンズ、アンリ・テキシェの『Amir』、ニック・ハキムの『グリーン・ツインズ』、ギル・スコット・ヘロン、笠井紀美子の『バタフライ』、あとはデヴィッド・リンチの曲だったら何でも聴いているわ。

−−10年という節目を迎えますが、今後あなたが挑戦してみたいことはありますか?

ダイアン:ギター、ドラム、ベースにもっと挑戦したいわ☺

−−公演楽しみにしています。ありがとうございました!

ダイアン:私も来日をすごく楽しみにしているわ、ありがとう!


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『バイブル・ベルト』に影響を与えた/制作当時に聞いていた5曲

01. Todd Rundgren - Can We Still Be Friends?

 ピアノの音色が、私が奏でたい音はこうなんだと一言で教えてくれる。

02. The Modern Lovers - Girlfriend

 もともとピアノのバラードだった「リワインド」のリアレンジの大きなインスピレーションとなった楽曲。ちょっと伝統的な、みすぼらしいロックンロール的な要素を加えたくなったの。

03. David Axelrod - The Edge

 『バイブル・ベルト』制作時に、この曲もアルバムもよく聞いていたわ。リズムセクションが奏でる妙技と呼べるグルーブに乗せて、ハイレベルなメロディックな複雑さと不協和音、哀愁が展開されている。

04. Feist - Let It Die

 この曲を聴いて『バイブル・ベルト』の曲を書くためのインスピレーションが湧いたことを今でも覚えているわ。モダン調にアレンジしていたときに、ソングライティングの参考にしたツールボックスのようなもの。「ファイアー・エスケイプ」のメロディーのインスピレーションとなった曲よ。

05. The Carpenters - Rainy Days and Mondays

 胸をキュッと締め付けるような歌声をいとも簡単に出してしまうカレンにとっても刺激を受けたわ。

来日公演前に事前に聞いておくべき5曲

01. Fire Escape from "Bible Belt"

02. Fools from "Bible Belt"

03. Nothing But a Miracle from "Bible Belt"

04. Magic View from "Bible Belt"

05. Ariel from "Bible Belt"

Billboard JAPANのApple Musicプレイリストはこちらから>>>

ダイアン・バーチ「バイブル・ベルト」

バイブル・ベルト

2009/08/05 RELEASE
TOCP-66901 ¥ 2,263(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.ファイヤー・エスケイプ
  2. 02.ヴァレンティノ
  3. 03.フールズ
  4. 04.ナッシング・バット・ア・ミラクル
  5. 05.リワインド
  6. 06.ライズ・アップ
  7. 07.フォトグラフ
  8. 08.ドント・ウェイト・アップ
  9. 09.ミラー・ミラー
  10. 10.アリエル
  11. 11.チュー・チュー
  12. 12.フォーギヴネス
  13. 13.マジック・ビュー
  14. 14.エヴリー・ナウ・アンド・アゲイン (日本盤ボーナス・トラック)
  15. 15.チープ・アス・ラヴ (日本盤ボーナス・トラック)

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