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エディ・スリマンも注目する<バーガー・レコーズ>から登場した新星!REXX 初来日インタビュー

REXX インタビュー

 米カリフォルニアのオレンジ・カウンティを中心に活動する現在21歳のシンガーソングライターREXX。ザ・ガーデンのメンバーとともに組んでいたMHVのフロントマンからソロに転身し、REXX名義でこれまでに4枚のアルバムを発表。ここ日本でも最新作『アイ・リアリー・トライド・トゥ・セイヴ・ザ・デイ』がリリースされたばかりだ。
 そんな彼が所属する<バーガー・レコーズ>は、主にカセットや7インチでリリースを行うことで知られる西海岸を代表する人気インディ・レーベルで、カリフォルニアのフラートンに店舗も構えている。これまでに数々の個性的なアーティストを輩出し、ウィーザー、ジェニー・ルイス、サーストン・ムーア&ベックによるコラボ作などもカセットで発表している。そのユニークで、DIY精神溢れるスピリットに、サンローランのクリエイティブ・ディレクターを担うエディ・スリマンも魅了されている。
 その<バーガー・レコーズ>が、2015年2月渋谷And Aにポップアップ・ストアをオープンした際に、オーナーの1人ショーンとともに来日し、オープニング・レセプションでライブを披露したREXX。モデル経験ゼロだったにも関わらず、サンローランのランウェイに登場するなど、ファッション界隈からも注目を集める若き才能に、その生い立ちや最新作について訊いた。 

収録する曲をちゃんと品定めして、
もう少し時間をかけて作品を作ることを心がけてる

MHV @ Burger Records
▲ 「MHV @ Burger Records」

??まずは、音楽との出会いについて教えてください。

REXX:お父さんがドラマーで、ドラムの先生でもあるんだ。で、叔父の影響でギターを弾き始めた。当時、彼のことをすっごくクールだと思ってて、憧れてたから。初めてギターを買ってもらったのが、多分6歳のクリスマスだったから、音楽を始めたのはかなり早かったね。今までで一番最高のクリスマス・プレゼントさ。

??初めて書いた曲って、憶えてますか?

REXX:う~ん。あ、高校生の時に初めてバンドとして書いた曲は、なんとなく憶えてる。でも、くだらない曲ばっかりだったよ、内容は身内しかわからないネタが多かったね(笑)。その時に所属していたのがMHVっていう3ピースのパンク・バンドで、僕はヴォーカルとギターを担当していた。この頃に本格的に曲作りを始めたんだ。

??当時聴いていたのもパンクとかが多かったんですか?

REXX:そうだね。ミニットメン、サッカリン・トラストとか、南カリフォルニアを拠点に活動していた変ったパンク・ロック・バンドをよく聴いてたな。

??バーガー・レコーズと契約することになったのは?

REXX:MHVとして、バーガー・レコーズでインストアをやったことがきっかけ。たしか、2010年ぐらい。その時にショーンやリーたちと知り合って、「バーガー・レコーズからカセットがリリースできたら最高だよね」なんて話してたら実現したんだ!それから、何かある度に彼らに相談してる。すごく、いい関係が築けてるよ。

??ソロ・アーティストとして活動しようと思ったきっかけは?

REXX:これまで、ずっと1人でベッドルームで曲を作ってはいたけど、特にそれをどうするわけでもなく、ただ書いて終わっていたんだ。MHVの他のメンバーが新たにバンドを始めた時、僕も何かやろうと思って、これまで書き溜めてきた曲をリリースすることにした。そしてREXXとしての活動をスタートすることになったんだ。

??まだ20歳なのに、既に4枚もアルバムをリリースしているなんて、ある意味スゴイですよね(笑)。

REXX:アハハ、ありがとう(笑)。僕は、一日の大半を曲作りに費やしているから、最初の頃はいくつか曲が完成したら、すぐにアルバムとしてリリースしていたんだ。けれど今は、収録する曲をちゃんと品定めして、もう少し時間をかけて作品を作ることを心がけてる。だって、最初の3枚のアルバムは、1年半の間にリリースしてるから、普通に考えてクレイジーなスパンだよね(笑)。

??そして最新作『アイ・リアリー・トライド・トゥ・セイヴ・ザ・デイ』が、晴れて日本でもリリースされましたね。CDでアルバムがリリースされるのも今回初めてなんですよね?

REXX:うん、すごくエキサイティングだよ!初めて来日して、日本のレーベルの関係者にも会えたけど、みんな、すごくイケてるね。そう、これまでカセットとデジタルのみのリリースだったから、初めてCDになってワクワクしてるんだ。今日タワー・レコードに行ったんだけど、自分のCDが棚に並べてあったのは、生まれて初めてだったから、とてもクールでシュールな体験だった。

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よりコラボレーションの要素が強まる

When I Sleep
▲ 「When I Sleep」 (Audio)

??では、このアルバムの制作プロセスについて教えてください。

REXX:僕の場合、曲作りとレコーディングのプロセスはほぼ同時に進めていく。たとえば、ギター・リフが思い浮かんだとしたら、それをそのままレコーディングして、トラッキングをして、その上にドラムの音をのせて、曲が形になるまでレイヤーするんだ。今回は、僕がすべての楽器を担当してるからね。

??前作ではバンドと一緒にレコーディングしていましたが、また1人に戻ったんですね。

REXX:そう。他の人と曲を作るのは、まだちょっと苦手でね…(笑)。ライブではバンドと一緒に演奏するから、完成した曲の演奏方法を僕がみんなに教える感じ。今のメンバーはみんな友達だから、仲良くやってるよ。これまでもバンド・メンバーは常に流動的だったから、その時に参加できる人と出来ない人で、入れ替わっていくんだ。色々な人と曲を書くのも楽しいから、少し恋しいと思う部分もあるんだけど、こういうやり方の利点というのは…自分が気に入ったバージョンがあるとして、その通りに教えれば、ライブの時も自分が気に入ったバージョンで演奏されるというのが分かること。でも、次回作はバンドと一緒に曲作りからやろうと思っているから、よりコラボレーションの要素が強まるんじゃないかな。

??サウンドの面では、どういったものに影響されましたか?

REXX:70年代後半~80年代前半のニューウェーヴやパンクだね。ディーヴォ、XTC、ザ・キュアーの1stアルバムとかには僕自身大きな影響を受けているし、テンポが早い、ちょっとポップで、パンクなナンバーをプレイするのが好きなんだ。後は、シンセ・ポップも。

??一番好きなディーヴォのアルバムは?

REXX:『頽廃的美学論』 (Q:Are We Not Men? A:We Are DEVO!)かな。

??まさに名盤ですよね。

REXX:だよね!あ~、でも『欲望心理学』(Freedom of Choice)も捨てがたいな(笑)…、だってあのアルバムには「Gates of Steel」が収録されているから。最強のアンセムだよね!

Flower Shops and Vada Pop
▲ 「Flower Shops and Vada Pop」 (Not Punk Session)

??(笑)。今日はソロでの演奏ですが、普段のライブのセットアップはどんな感じですか?

REXX:普段は、僕と、リード・ギタリスト、ベーシスト、ドラマーの4人編成で、今シンセ/キーボード・プレーヤーを探しているところなんだ。案外いないんだよ。

??そうなんですか?

REXX:僕もそうだけど、LAってギタリストばかりで、あまりキーボードを弾く人がいないんだ。自分でやろうと思えば、生でも弾けるだろうけど、キーボードは僕にとって第2の楽器だから、歌って、ギターとキーボードを弾いて、ってなると、ちょっと自信がないな…。でも、普段ライブで演奏する時は、緊張することはないよ。もう長年人前で演奏してきてるし。まぁ、すごく大きな会場だと、また別の話だけど(笑)。

 これまで演奏した中で一番大きな会場は、LAのThe Smellってとこかな。あそこでは、満員の観客を前に何度か演奏しているね。後は、Constellation Roomでクラフト・スペルズの前座をした時かな。あれは、すごくいいショーだったね。客層も合ってたと思うし。

??南カリフォルニアのライブ・シーンは、LAと少し違うのですか?

REXX:やっぱり、シーンが賑やかなのはLAだよね。僕の地元のオレンジ・カウンティは、The ObservatoryやConstellation Roomとかしかライブ会場がないから、ハウス・パーティーのように誰かの家でライブをしたり、バーガー・レコーズでの演奏が中心となっているね。僕らがライブをやるのは比較的LAが多くて、そういう時はパンクやガレージ・ロック系のバンドのラインアップだね。それに、新しいバンドも次々と出てきてる。

??中でも、特に気に入ってるバンドいますか?

REXX:The Hollowsっていう、すごくいいバンドがいるよ。あ、バンド名を変更してるから、今はSlow Hollowsになってるんだ。メンバーは全員16歳ぐらいなんだけど、とにかくライブがぶっ飛んでる。彼らは、サーフ・ポップっぽい感じだね。後は、Wide Streetsっていう、ちょっと変ったプログレ・インディー・バンド。彼らは僕と同年代ぐらいかな。この2バンドが、今僕が気に入ってるLA出身のバンドだよ。

??レコード・ストアでおススメはありますか?

REXX:バーガー・レコーズはもちろん、LAだとエコー・パークにあるロリポップ・レコーズ(lolipop records)とか、パーマネント・レコーズ(Permanent Records)は大好きだよ。でも、LAまで行くのはちょっと遠いから、僕自身がよく通ってるのはバーガー・レコーズだね。

??今後、LAへ引っ越したいとは思わない?

REXX:う~ん(笑)。僕は、オレンジ・カウンティで生まれ育ったんだけど、LAに比べるとみんなユルイ感じなんだ。だから、LAの人々がせかせかしてるのを見ると、僕もなんだか焦っちゃって嫌なんだよね。後、車のクラクション音とか、すごく騒がしいし。だから、静かな住宅地っぽいオレンジ・カウンティの方が性に合うんだ。ビーチから20分ぐらいのところに住んでるから、夏はお父さんとサーフィンをしに行ったりするのが好きだね。

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一番の目標は、みんなの印象に残るようなアルバムを作ること

Yume
▲ 「Yume」

??既に、新曲を作り始めているのですか?

REXX:曲は、常に作っているよ。ライターズ・ブロックに陥らなければね(笑)。

??そういう時は、どうやって解消してるんですか?

REXX:そのまま突き進む(笑)!じゃないと、何も有意義なことをしてないって気がしちゃうから。今のところ、曲は書いているけど、すぐにアルバムを作ろうとは考えてはいないよ。

??曲作りをするお気に入りの場所ってありますか?

REXX:おばあちゃんの家の地下室。変ってるでしょ(笑)。一時期、おばあちゃんの家で暮らしていたことがあったんだけど、アンプやギターでどんなに大きな音をたてても、地下室だと怒られないから、重宝してたんだ。静かだしね。家でレコーディングすると、妹が家中を走り回ったりして、大変でね…。それに犬も飼ってて…多分アルバムをよく聴いたら、僕の犬の足音が聴こえると思うよ(笑)。

??因みに、犬種は?

REXX:ワイマラナーだよ。

??お~、じゃあ結構大きいですね。

REXX:今、すっごく楽しみなのが、僕もうちょっとで21歳の誕生日なんだけど、両親が子犬を買ってくれるみたいなんだ!話が逸れてゴメン、楽しみすぎて、ついつい(笑)。

??そう言えば、お父さんとは演奏しないのですか?

REXX:最近は、あまりしてないね。言われてみれば…、何でだろ。

??映画『セッション』のような鬼教師ではないんですよね…。

REXX:アハハ!まさか、あんな感じではないよ(笑)。でも、主にジャズを演奏してるから、その点は似てるけど。2人とも好きな音楽のスタイルが違うから、最近はジャムったりしてないけど、近々やりたいとは思うな。どちらかと言うと、叔父とはよく演奏するね。

Break and Bend
▲ 「Break and Bend」

??幼馴染のザ・ガーデンの2人もそうですが、REXXは、モデルとしても活動していますよね。

REXX:そう、ザ・ガーデンのライブを観に行った時に、サンローランの人にスカウトされたらしくて、誰かに僕のメールをアドレスを訊いて、数日後「パリに来ないか」ってメールを送ってきたんだ。パリコレのショーまで数日しかなくて、急だったから迷ったけど、こんなチャンスないと思って行くことを決意したんだ。その時は、4日間しか滞在できなかったけれど、2回目は何週間かいることができたから、観光したり、パリを満喫することができて、最高だったね。

 自分が携われるとは思っていなかった、まったく新しい分野だから、すごく楽しいし、興味深い。まさか、自分がモデルになるなんて…。やり続けたいと思うけど、やっぱり僕にとって音楽が最優先で、一番情熱を持って取り組んでいるのが音楽なんだ。

??では、アーティストとしての目標、野望があれば教えてください。

REXX:これからも曲を作り続け、ライブをやり続けることかな。目標はあるけど、有名なロックスターになりたいわけじゃないし、今の活動に満足してるよ。親友たちとライブをやって、友人や知り合いがライブを観に来てくれる。たまにだけど、海外に行くことができるし、今回のように東京にも来ることもできた。

 一番の目標は、みんなの印象に残るようなアルバムを作ることかな。僕は、ポップ・ミュージックやフック、アップビートな音楽が一番好きだけど、プログレやジャズなんかにも興味があるから、これから色々な音楽を探究していければいいな、と思っているよ。

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