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トロピックス 来日記念特集

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 イングランド南部の港町サザンプトンの出身で、現在はロンドンに居を構えるクリストファー・ウォードによるソロ・プロジェクト=トロピックス。2011年のアルバム『Parodia Flare』でトロ・イ・モワやウォッシュド・アウトと比較される鮮烈なデビューを飾り、いまやポスト・ジェイムス・ブレイクの最右翼とも見なされるようになった気鋭のシンガー・ソングライター/プロデューサーである。先日には米国LAの注目レーベル<イノベイティブ・レジャー(Innovative Leisure)>から新作アルバム『ラプチャー』をリリース。また、今年3月にはいま英国で最も勢いに乗るバンドの一つであるグラス・アニマルとの帯同ツアーを行うなどロック・ファンからも熱い注目を集めつつ、マシーンドラムらクラブ系のアーティストも信頼を寄せるという注目の逸材だ。

 今回は、そのトロピックスと彼の作品の魅力を、彼が所属する<イノベイティブ・レジャー>のことも合わせて密にご紹介したい。4月に行われる来日公演の予習に。まだ迷っているという方もぜひ参考に読んで楽しんで頂きたい。

 タワレコ&HMVからの推薦コメントも到着!

サザンプトン大学に通い芸術学部でデジタル・ミュージックを学ぶ学生だった

Soft Vision
▲ 「Soft Vision」 (MV)

 現在27歳のクリストファー・ウォードがトロピックスとして、最初のブレイクポイントとなった『Soft Vision E.P.』をリリースしたのは2010年、彼が22歳の時だ。リリース元になったのは英国のクラブ系老舗レーベル<プラネット・ミュー(Planet Mu)>。その時すでにリトル・ドラゴンのリミックスが話題になるなど、アーティストとしての認知が広がりつつあるなかリリースされた同作は、当時サザンプトン大学に通い芸術学部でデジタル・ミュージックを学ぶ学生だった彼が、サンプリングを使って作り貯めたデモを中心とした小品であり、トロピックスの現在の作風に比べると、よりビート中心の、よりフロア向けの作品でもあった。

「Mouves」
▲ 「Mouves」 MV

 翌2011年に、同じく<プラネット・ミュー>からリリースした『Parodia Flare』は、サンプリング中心だったEPから、マルチ奏者であるトロピックス自身の歌と演奏と活かしたスタイルに一段移行した内容となった。同作は当時隆盛を極めていたチルウェイブ・ムーブメントと呼応するものとして評価され、トロ・イ・モワやウォッシュド・アウトの作品に通じる南国的でサイケデリックなテクスチャーを持ったサウンドによって、<プラネット・ミュー>の新境地をも告げるものとして多くのメディアやリスナーに歓迎された。

 その後、目指すべき方向性の違いから<プラネット・ミュー>を離れたトロピックスが、3年越しで完成させた新作が、今年、米国LAの新興レーベル<イノベイティブ・レジャー>からリリースされた『ラプチャー』である。

ポップで洒脱なセンスを備えたアーティストが多数所属するレーベル

 ここ数年、音楽ファンの間ではすっかり名前の定着した感のあるインディ・レーベル、<イノベイティブ・レジャー>。現在の所属アーティストは、ライ、バッドバッドノットグッド、ノサッジ・シングス、ハンニ・エル・カティーブ、クラシックス、ニック・ウォーターハウスなど。マッドリブ擁するインディ・ヒップホップ・レーベル<ストーンズ・スロー(Stones Throw)>で働いていたジェイミー・ストロングとネイト・ネルソンによって2010年に設立され、R&Bやヒップホップからロックまで、ジャンルは多様ながら、ポップで洒脱なセンスを備えたアーティストが多数所属するレーベルとしていま注目を集める存在だ。

 同レーベルは、サウンド面だけでなく、スケーター的なポップなデザイン感覚の表れたアートワークの数々にも定評があり、どのアーティストの作品にも一貫したレーベル独自のセンスが感じられる点で信頼に値するレーベルの一つとも言える。

BBNG
▲ BADBADNOTGOOD『III』 (Audio)

 所属アーティストもみな良質。かつ、ライやバッドバッドノットグッドを筆頭に、各ジャンルのトレンドセッター的なポジションを占めるバンドやアーティストを擁しているというのもニクいところだ。そんな大注目のインディ・レーベルがサインした最も新しいタレントの一人が本稿の主役であるトロピックスということになる。

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神経質な天才というより、近所に住んでる優しいお兄さん風

Open
▲ Rhye「Open」(MV)

 もともとはサンプリングを使った創作に親しみ、クラブ寄りのフィールドに出自を持つトロピックスだが、新作『ラプチャー』から聴こえる彼の音楽の魅力は、マルチ奏者である自身の生演奏を活かしたエディット感覚と、ライブでは鍵盤を爪弾きながら披露される彼自身の歌にある。その点で、ポスト・ジェイムス・ブレイク、あるいはポスト・ライというような声が聞かれるのも当然だろう。

 一方で、その両者との違いはと言えば、一つには彼自身の歌のキャラクターにあるように思う。ジェームス・ブレイクにせよ、ライにせよ、その歌を形容するときに使われる頻出ワードと言えば、“神秘的”や“幻想的”といった類の、要は人間離れした魅力をアピールするものだろう。そして確かに、『Parodia Flare』までにトロピックスの歌にはやはり同じような魅力が聴き取れる。

 だが、新作『ラプチャー』には、それとは違うトロピックスの魅力が聴こえる。あえて乱暴に言えば、トロピックスの歌は両者に比べてとても“普通っぽい”。ジェイムス・ブレイクやライにあるような、良く言えば神秘的な、悪く言えば思わせぶりなところが『ラプチャー』には希薄で、その代わり、彼の歌には真っ直ぐに良い歌を届けようという屈託のなさが備わっている。知らぬ間に思わず口ずさんでいそうな、ポップで人間味あふれる魅力が彼の歌の武器でもあるのだ。そう考えると、この映像に映る彼も、神経質な天才というより、近所に住んでる優しいお兄さん風に見えてこないだろうか?

 さらにトロピックスの屈託のなさを象徴しているのが、先日公開された英<NYLON>の企画

 自身によるリトル・ドラゴンのカヴァーをきっかけに「好きなカヴァー・ソングを10個挙げろ」というお題の筆頭に、よりによってジェイムス・ブレイクによるファイストの「Limit To Your Love」カヴァーを挙げるという衒いの無さ。もちろん同カヴァーが破格に素晴らしいことは言うまでもないが、もし仮に彼がひねくれ者だったら、普通そこはチョイスしないだろう。

 付け加えれば「自分と彼はスタイルが全然違うのだ」というトロピックス自身の自然な認識の表れでもあるだろう。誰よりもよくそのことが分かっているからこそのチョイスなのだ。(他にもグリズリー・ベアやホセ・ゴンザレスなど有名どころを躊躇なく挙げているところにも彼の目指す地点が透けているようで好感が持てる。)

偉大なるジャズ・レジェンド、マックス・ローチからの影響

 もう一つ、『ラプチャー』から聴こえてくるトロピックス独自の魅力はビートだ。ジェームス・ブレイクにダブステップのビートが、ライにヒップホップ/R&Bのビートがあったように、トロピックスにはジャズのビートという武器がある。『Parodia Flare』以降、より生演奏に重点を置いたスタイルに移行してきた彼は、サポート・ドラムのイアン・マクラフリンをはじめバンドでの演奏を自身のライブや作品に取り入れている。歌と同時に、その成果が最も端的に出ているのがビートの面だろう。レーベルの資料にも、偉大なるジャズ・レジェンド、マックス・ローチからの影響が挙げられているが、実際にアルバム表題曲である「ラプチャー」あたりの16ビートのノリを活かした、しなやかなドラム・サウンドを聴くと、その生演奏を活かしたサウンドの魅力に気づくに違いない。

 ドラムだけでなく、他にも『ラプチャー』には生演奏/バンド演奏の感覚を活かしたサウンドの魅力を感じる瞬間は多い。それはやはりサポート・メンバーを迎えた形でて演奏を重ねてきた成果だろう。その成果を携えて行われる今回の来日公演で、彼らが実際にどのようなステージを繰り広げるのか。あるいは今も成長中の彼らのこと、もしかすると、こちらの高過ぎる期待をも遥かに超える成長したパフォーマンスを繰り広げるかも知れない、と思うと今から楽しみで仕方ない。

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写真

早くも2015年最重要作が登場!! ポスト・ジェイムス・ブレイク
最有力候補、TROPICSが放つ夢幻のサウンドスケープ!!

 2011 年のデビューアルバムでその非凡な才能を見せつけ、ベースミュージックからあらゆるシーンに派生し注目を集めたTROPICS が超待望のセカンドアルバムを完成! Rhye やBADBADNOTGOOD 等の話題作を輩出してきた目下注目度No.1 レーベル:Innovative Leisure からリリース!デビューアルバムはUS 産チルウェーヴとは一味違ったカラフルな叙情感溢れる傑作でしたが、本作はポスト・ダブステップから、バレアリック、シューゲイザー、アンビエント、そしてソウル等様々な要素を混合しエレクトロニカ・ソウルの新境地を見事に開拓した革新作!ギター、シンセ、ピアノ、キーボード、管楽器などが巧みに演出するまどろむ様な憂鬱感と清涼感に包まれたサウンドと甘く叙情的なメロディラインとヴォーカルが織り成す奇跡!様々な楽器の音色を活かした緻密な音作り、そしてリスナーをどこまでも夢幻世界へと導いていく恍惚として麻薬的なサウンドと世界観...早くも2015 年最高傑作アルバムと断言!

「Rapture」
▲ 「Rapture」 MV

 今後、日本はもとより世界的大ブレイクも確実な才能を体感するまたとないチャンスであり、おそらく今後のキャリアの中でも「伝説」となるであろうライヴに、早くも興奮がおさまらない!

―タワーレコード新宿店


「Home & Consonance」
▲ 「Home & Consonance」 MV

 ひたすら内奥に沈んでいく酩酊感、それがある種、伝統的にUKアンダーグラウンドが指向しているレイドバック感だとすると、JAMES BLAKE以降、つまりヒップホップやレゲエ(ダブ)ではないR&B、ソウルの言霊にレイドバック感を見出したサウンドは、ある一つの革新をもたらした。そしてそれは世界レベルで拡散し、さらにその叙情性を増している。01年デビューの時点で非凡な才を見せつけていた、UKのマルチ・インストルメンタリスト、トロピックスaka クリス・ウォーのInnovative Leisureからリリースとなる2ndアルバムは、ソウルとプログレッシヴ、ミニマルとメロウが同居する、ハイブリッドなレイドバックサウンドが敷き詰められた。憂鬱感と清涼感、ともすると相反するあらゆる揺らぎが、絶妙な静寂と均衡ををもたらす、、それは現代に生まれるべくして生まれた、まさに珠玉の“恍惚サウンド”と言えるのではないか。 

―HMV商品本部

Tropics「Parodia Flare」

Parodia Flare

2011/09/15 RELEASE
MBIP-5503 ¥ 2,075(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Navajo
  2. 02.Mouves
  3. 03.Parodia Flare
  4. 04.Going Back
  5. 05.Wear Out
  6. 06.Celebrate
  7. 07.Figures
  8. 08.Telassar
  9. 09.Playgrounds
  10. 10.After Visiting
  11. 11.Sapphire
  12. 12.On The Move
  13. 13.Mouves (Keep Shelly In Athens Remix) (ボーナストラック)
  14. 14.Mouves (Falty DL Remix) (ボーナストラック)

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