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2016/03/01

ストリート、ブレイクダンスとコンテンポラリーダンスの融合を魅せたイマ・イドゥオセー、DAZZLE

 ヒップホップを作品創作のベースとしながらも、そのダンススタイルやテクニックを超えて、世界的に活躍する2組の振付家による注目作を上演。フィンランドからイマ・イドゥオセー、日本からはDAZZLEがパフォーマンスを披露した。

 フィンランドから来日したイマ・イドゥオセーは、3度フィンランドのブレイクダンス・チャンピオンとなったダンサー。今回上演したデビュー作品の『This is The Title』は、2012年ヘルシンキで初演し絶賛されて以来、パリ、ストックホルム、オスロ、トリノ、ナントなどで上演。2016年いっぱいまで世界ツアーが決定している話題作だ。

 真っ白な床と、なにもない空間。静寂の中しなやかに訓練された肉体が、重力を感じさせずに動いていくのを、観客は息を詰めて見守る。それはまるで真っ白いキャンバスに体で描かれる軌跡を追うような作業だ。いつからか耳に聞こえてきた「音」。まるでランダムなように聞こえてくる「なにかの」音のタイミングに合わせ、ライトがフロアに描き出すボーダー、グラデーション、そして急激な一瞬の暗転。即興的な中に綿密なプログラミングを感じる、二度目を見たくなるパフォーマンスだった。

 ダンスカンパニーDAZZLEは、ストリートダンスとコンテンポラリーダンスを融合させたダンススタイルで、ダンスコンテストでの受賞多数。写真家奥山由之氏とのコラボ作品「Where is the light?」や、坂東玉三郎氏演出「バラーレ」映像によるテキストやナレーションで物語性の強い作品を上演するなど、ジャンルを超えた作品が注目を集めている。

 新作初演の作品「キメラ CHIMERA」は、人間の「異形性」に注目し、その性質が他者との関係性の中で揺れ動く危うさ、もろさ、悲しさを表現したものだという。濃厚なタンゴの調べと薄暗い空間に、机と椅子というシンプルな舞台で、印象的な「赤」のダンサーが、中心にも見える一人の「黒」と入れ替わり立ち替わりすれ違い、関わる。後半、全員がそれぞれに「違う」黒い衣装に変化し共に踊る様は「ラクリモーサ」の音楽と共に、文字通り異形の涙を感じさせた。

 「若手振付家の発掘と育成」「コンテンポラリーダンスの普及」を目指して、1996年にスタートした「横浜ダンスコレクション」。21年目を迎える節目の年である今年も、新しいダンスを存分に堪能出来る4週間となった。来年の動向も注目される。text by yokano / photo by 塚田洋一

◎公演概要
『This is the Title』
振付・出演:イマ・イドゥオセー
照明デザイナー:ヤニ=マッティ・サロ
音響デザイナー:カスペリ・ライネ

『CHIMERA』
ディレクター:長谷川 達也
振付:DAZZLE
出演:長谷川 達也、宮川 一彦、金田 健宏、荒井 信治、飯塚 浩一郎、南雲 篤史、高田 秀文、三宅 一輝
照明:矢鍋 智子
More info:
http://www.yokohama-dance-collection-r.jp/jp/

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