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2020/12/11

傳田真央「もう好きなことしかしません(笑)」既成概念からの脱却――音楽を1度辞めてからの復活インタビュー公開

 1999年「あなたとふたりで~Be with me all day long~」で鮮烈なデビューを果たして以来「たかが恋、されど恋」とラブソングを歌い続けてきた傳田真央。2018年、オールタイムベストアルバムとライブツアー【Eternal Voice Tour 2018】を区切りに活動休止していた彼女が、これまでのイメージを一新する新曲3部作「Plastic Eden」「Lonely論理」「Less is More」で復活した。

 90's~00'sの世界的R&Bムーヴメントのムードが、トラップなど2020年現在の欧米トレンドであるサウンドによって洗練された楽曲群は、洋楽志向の高い音楽リスナー中心に絶賛され、注目を集めている。20年に及ぶキャリアの中でブレイクとチャレンジを繰り返し、その果てにJ-POPの枠組みから完全に抜け出した今。2年半ぶりのインタビューで語ってもらった。

◎傳田真央@2020年復活&総括インタビュー

<活休の真相「辞めてしまう可能性……というか、1度辞めてみた」>

--初めてインタビューさせて頂いてから早20年。このタイミングで再びお話を伺えることを嬉しく思います。2018年の活動休止から2020年の復活に至るまでどんなストーリーがあったんでしょう?

傳田真央:2020年に入ってどこにも所属しないフリーのアーティストとして活動再開して、今は「もう好きなことしかしません(笑)」みたいな感じで楽しく音楽をやらせて頂いているんですけど、そこに至るまでのストーリーをお話ししますと、2018年のオールタイムベストアルバムとライブツアーを最後に「とにかく1回リセットしよう。ゼロになろう」と思ったんです。

--なんで「ゼロになろう」と思ったんですか?

傳田真央:アラサーで「オトナ女子」って言っていたんですけど、デビュー20周年やアラフォーになる未来が近づいてきて、自分の人生を逆算して「このあと、私はどういう音楽活動をしていきたいんだろうな?」とイメージしたときに何もヴィジョンが見えなくなっちゃったんですよね。当時の状況では。それで「1回、すべて手放してみよう」と思って、自分を長い期間支えて守ってくれていた事務所も卒業させて頂いて、イチ人間に戻ろうと思ったんです。そこから本当に純粋に「私はどんな音楽がやりたいんだろう?」の答えが湧いてくるまで……遊んでいました(笑)。

--でも、表現者を続けていく身としては、重要な期間ですよね。

傳田真央:過去のインタビューでも「アーティストとしての自我が芽生える前にデビューしちゃった」みたいなことを話したと思うんですけど、私は「歌手になりたくて上京します!」みたいな感覚がないままデビューして駆け抜けてきたので、その前に戻ってみたというか、子供返りしているみたいな感覚。なので、活動休止を決めた頃は、その先で何をするか考えてもいなくて、想像もできていなかったんです。

--ということは、そのまま音楽を辞めてしまった可能性もあった?

傳田真央:辞めてしまう可能性……というか、1度辞めてみた。だから「将来的にどう活動していくか」みたいなことをあの時点では深く語れなかったんです。

<本当の原点回帰「20年近くぶりにチェロを弾き始めたんです」>

--その辞めていた期間は、具体的にどんな日々を送っていたんですか?

傳田真央:ニートですよ、ニート(笑)。

--では、質問を変えます。どうやってニートから脱却したんですか(笑)?

傳田真央:最初は音楽も聴きたくない状態だったので、旅に出たりとか、人間活動というか、社会人としてでもなく、イチ人間としてのほほんと過ごして「心の平和を感じる」みたいな。何のプレッシャーもなく、何かを心配することもない時間。ただ、人はだんだん何かがしたくなってくるもので、それでも「曲を書きたい、歌詞を書きたい」とはまだ思えなかったので、それこそ20年近くぶりにチェロを弾き始めたんです。

--原点回帰ですね。元々クラシックの家の生まれですもんね。

傳田真央:本当の原点回帰。両親がクラシックをやっていたから、私も4才のときからチェロを弾いたりしていたんです。デビューしてからはクラシック音楽の勉強をする時間もなかったし、いつもネイルを長くしていたからチェロなんて弾けるわけもなく(笑)。たまにテレビでクラシックの番組とか観ると「ちょっと罪悪感」みたいな感じだったんですけど、「自分はシンガーになったから」と目を背けていたんです。でも、言葉のない音楽を自然と求めるようになって、久しぶりにチェロを弾いたらそれが癒しにもなって、子供の頃に使っていたエチュードの本でイチから勉強し直して、当時の先生が書き込んでくれた注意書きとかも読みながら……

--先生と譜面越しに20年ぶりの再会を果たしたんですね。

傳田真央:再会ですね、室星先生と(笑)。忘れていた子供の頃の自分も思い出していって、それから自然とクラシックを聴くようになっていきましたね。デビューして20年間、シンガー・傳田真央としてメジャーシーンで活動していく中で、よく分かんないなりに「メジャーアーティストはどうすべきなのか」とか「サポートしてくれる方もファンの方もいる中で、みんなの為にどう在るべきなのか」みたいなことをずっと考えてきたんだけど、そこに一生懸命だったゆえにどこかに忘れてきてしまったモノ。自分の素の部分というか、子供の頃にお菓子の缶の中にしまっていた宝物みたいなモノが「何かの拍子に出てくるといいな」と望んではいて。だから、言葉のあるラブソングと敢えて距離を取っていたんですけど、そこで自然と出逢って癒されたのがクラシック音楽だったんです。

--そこから再び自身の音楽作品を作るモードになるまでは、どんな変遷があったんですか?

傳田真央:そこから1年以上は自分の曲を作ったりはしなかったんですけど、絵を描いたりはしていました。急にリンゴでデッサンの修行をし始めて(笑)。音楽を作らなくなってもアートは好きだったから。そんなことをやっているうちにまた曲を作りたくなってきて、その1発目が復活第1弾の新曲「Plastic Eden」だったんです。まず曲のタイトルが浮かんできたんですけど……こんなに何も考えずに曲を書いたことはなかったです。

<リアルを求めている時代「自分の遊びを自信を持って始められた」>

--以前は、どんなことを考えながら作曲していたんでしょう?

傳田真央:めっちゃいろいろ考えてましたね。例えば「こういう人たちに届けたいから、こういうストーリーで書かなきゃ」とか。基本的に聴いてくれる人ありきで曲作りをスタートすることがマストだったんです。誰かの為の曲作りを一生懸命やってきたから「じゃあ、自分の為の曲はいつ作るんだ? いつ音楽で遊ぶんだ?」と思ったときに「今でしょ?」と(笑)。そっちにシフトできたのは時代の流れもあるかもしれなくて、昔みたいにがっちりアーティストイメージをブランディングしていって演出して見せるみたいなモノでは、リアリティを感じづらくなってきた。それは自分もそうだし、もっとリアルなモノをみんな求めている時代なんじゃないかなって。だから自分の遊びを自信を持って始められたんだと思います。

--クラシックや海外のR&Bをルーツに持つリスナーとしての自分と、J-POPシーンでデビューした傳田真央としてのルールには乖離している部分もあったと思うんです。そのルールを20年目にしてようやく壊せたってことですよね。

傳田真央:自分がいつの間にか作り出していたルールに縛られていってしまっていた。そういうところがずっとあったと思うんですけど、その鎖を断ち切ることが出来たのかなって。なので、活動休止していた2年間はこれからの音楽活動にとってすごく重要だったんですよね。

--傳田真央のブレイクポイントってR&Bブーム中だったデビュー当時と、着うたブーム中。その時代時代に世間に求められたラブソングがあって、それゆえにその型から抜け出すのは難しかったと思うんですよね。でも、その既成概念から脱したリアルな傳田真央がこんなにもクールでワールドスタンダードな音楽を打ち出せたというのは、すごく痛快なストーリーだなって。

傳田真央:そう思ってもらえたなら嬉しいです。他のアーティストさんに楽曲を書かせてもらったりもしていて、その影響もあったかもしれない。オーダーされる楽曲が洋楽志向の高いモノだったりもして、そうなってくると「自分の作品ではなんでそこをセーブしていたんだろう?」ってなるじゃないですか。で、最近は音楽もファッションも90'sや00'sのリバイバルブームが熱くて、私の青春時代に流行っていた質感の音をよく聴くようになって。例えば、ジャネット・ジャクソンとかシャーデーとかアリーヤが鳴らしていたR&Bの要素。そういうモノが私の新曲3部作にも取り入れられていて、それと同時に今USトップ20にチャートインしている楽曲はトラップ的な、ダークなヒップホップばっかりだったりするんですけど、その要素も融合されている。

<ゆくゆくはファンの皆さんと会える機会も作りたい>

--たしかに、90'sや00'sのR&Bムーヴメントのムードと、2020年現在のトレンドが交わっている印象は受けます。

傳田真央:あとは音楽以外の美術などのアート。そこからインスピレーションを受けた世界観が歌詞に反映されていたりする。それによって、自分が作り上げてきたラブソングの定義から外れることが出来たのもすごく大きいし、今はそもそも定義で書いていないんですよ。本当に自然に今こんな感じになっちゃっている。なので、今回の3部作が果たしてラブソングと言えるのかどうかも分からない(笑)。

--今後もこのペースで楽曲はリリースされていくんですか?

傳田真央:以前はオリンピックと同じペースでリリースしていたんですけど(笑)、今はいまだかつてないペースでリリースしていて。なんならもっとたくさん出したいぐらいなんですよ。今はどこかに所属していなくてもデジタルでリリースできちゃうので。それでも「CDが欲しい」と言ってくれる人たちが多いので、CDアルバムは作りたいなと思っています。ライブのあとのサイン会とかでファンの人とコミュニケーションが取れるのは、やっぱりCDを介してなんですよね。そこで直接感想を言ってもらえる嬉しさとか安心感ってあるから、音楽に伴うそういう時間も楽しみたい。なので、ゆくゆくはファンの皆さんと会える機会も作りたいと思っているので、そのときはぜひ会いに来てほしいです。

Interviewer:平賀哲雄

◎「Less is More」by 傳田真央
https://linkco.re/0aysbP5e

◎傳田真央 オフィシャルサイト
https://dendamao.com/

◎傳田真央 ツイッターアカウント
https://twitter.com/Denda_Mao

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