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2020/10/30

B・アイリッシュ/J・ロペス/J・ティンバーレイクなど、ホワイトハウスの公共広告キャンペーンから思想を理由に除外

 2020年11月3日に行われる米大統領選挙を前に、ドナルド・トランプ米大統領を後押しする目的で計画された2億5,000万ドル(約260億円)の公衆衛生キャンペーン広告案が断念されていたことが分かった。選挙まであと数週間にまで迫った段階で、全米における新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない状況を受け、“絶望を打ち倒し、希望をインスパイアする”ことがこの広告キャンペーンの意図だったが、トランプ政権の政府高官(連邦保健福祉省広報官補佐マイケル・カプート)が“党利党略的な政治的意思”を押し通そうとしていた証拠となる書類を民主党下院議員団が入手したと米紙ワシントン・ポストが伝えている。

 税金で賄うこのキャンペーンを進めるにあたり、トランプ政権やその政策に批判的な多くのアーティストが名指しで除外されていた。結果、検討された247名の内、たった10名しか認められず、この中から3名が実際にパンデミックに関するインタビューに応じたものの、10月1日の時点で全員が同意を撤回した。この公共広告は現在、連邦保健福祉省で再検討されている。

 議員団が入手した書類には、アーティストが除外された理由として、トランプ政権を批判したことがある、バラク・オバマ前大統領を支持していた、LGBTQの権利/同性婚を支持する、などが含まれていた。

 ワシントン・ポストは、除外されたアーティストの名前を全員分は記載していないが、ビリー・アイリッシュ、ジェニファー・ロペス、ジャスティン・ティンバーレイク、マルーン5のアダム・レヴィーン、クリスティーナ・アギレラなど、ほとんどが大物アーティストばかりだ。

 アイリッシュの場合は、“トランプ支持者ではない”上に政権に批判的な発言をしていることがその理由とされ、ロペスは2月の【NFLスーパーボウル】ハーフタイム・ショーにおいて政権の移民政策に批判的な演出をしたことが理由だ。

 また、ティンバーレイクは“オバマ支持を公言し、同性婚を支持している”、レヴィーンは“オバマを応援し、同性愛者の権利向上のために闘っているリベラルな民主党支持者”、アギレラは“オバマ支持の民主党支持者で同性愛者の権利向上を支援するリベラル”が除外理由だ。

 ほかにも俳優のジョニー・デップ(“リベラル左派と同調しているようだ”)、ジャック・ブラック(“典型的なハリウッド・リベラルとして知られる”)、映画監督のジャド・アパトー(“トランプが大統領候補になるには知的能力が足りないと考えている”)、トランプ政権に批判的なコメディアンのジョージ・ロペスらが除外された。

 一方で容認された有名人は、俳優のデニス・クエイド、ゴスペル歌手のシーシー・ワイナンズ、マーク・アンソニー、ビリー・レイ・サイラス、ミランダ・ランバート、ガース・ブルックス、エンリケ・イグレシアス、ユダヤ教超正統派(ハシド派)シンガーのシュレム・レマー(Shulem Lemmer)、テレビ・ドクターのMehmet Oz(Dr. Oz)、元NBA選手ドウェイン・ウェイドだ。この中からどの3人がインタビューに応じたのかは明らかにされていない。

 また、ビヨンセ、アリアナ・グランデ、レディー・ガガ、エミネム、アギレラ、デップ、ジェニファー・ローレンス、ブラッド・ピット、カーディ・Bなどのアーティストが、“スーパースプレッダー”層を狙えるとして検討されていたことが民主党議員団が入手した書類に記載されていたが、政府が何を根拠にこのような決断に至ったのかは分かっていない。

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