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2019/07/03

<ライブレポート>KOTORI主催のイベント【TORI ROCK FESTIVAL】が開催 KOTORIだから出来た“奇跡の萌芽“

 ロックバンドのKOTORIが主催するサーキットイベント【TORI ROCK FESTIVAL 2019】を、東京・下北沢のライブハウス4会場にて6月23日に開催した。

 ソールドアウトとなった今回のイベント。2月1日にKOTORIのライブツアー【KOTORI DREAM MATCH 2019】の最終公演が行われた恵比寿のLIQUIDROOMは満員となっており、勢いが加速していることは疑いようがないだろう。本イベントはKOTORIが主催でないと集結しないメンツが集まっており、1日限りの今回のイベントが特別なものになることは、初めからわかっていたような熱気であった。

 【TORI ROCK FESTIVAL 2019】はCLUB Que、SHELTER、Daisy Bar、GARDENの4会場で行われたが、本ライブレポートではGARDENで行われたライブをレポートする。

 この日のトップバッターとして登場したのは3ピースロックバンドfam。スタートから会場は満員状態、爽やかな音色とともにオーディエンスの手も上がる。孟正(Vo.Gt)はKOTORIと対バンするのが初めてと語り、KOTORI、そしてボーカルの横山に感謝した。その後「glare」では透き通ったハイトーンボイスをエモーショナルなメロディに乗せ熱唱し、ラストにライブチューン「only dreaming calm days」をチョイスするとフロアをしっかりと温め次のバンドにバトンを渡した。

 2組目のFILTERはSEで手を広げステージにあがると、豊方亮太(Vo.Gt)が「伝説の一日にしようぜ!」とオーディエンスを焚きつけ、「Symphony of hope」を演奏、疾走感のあるキラキラとしたサウンドを放った。毎年行なっている自主企画にKOTORIを誘っていることなども話し「歳とか何も気にしないで、目の前のスピーカーから鳴ってる音楽だけを頼りに皆で遊びましょう!」と呼びかけた。「Funtimes」では曲中KOTORIの横山が乱入し、カウントを任されると大盛り上がりとなる場面もあった。

 続くPELICAN FANCLUBは、ギターのハウリング音を合図に1曲目「Night Diver」をかき鳴らす。カミヤマリョウタツ(Ba)が合間合間でオーディエンスを煽るとそれに応えるように力強く拳が上がった。「ハイネ」のイントロが流れるとわっという声も上がりゆらゆらとしたサウンドに体を揺らすと、続くMCでは、鳥という部分で通ずることから「バンド名で呼ばれたと思ってます」とエンドウアンリ(Vo,Gt)が笑いを誘った。新曲「ベートーヴェンのホワイトノイズ」を軽やかに披露すると、「記憶について」を感情をあらわにするように叫ぶように歌い上げた。

 4組目にはpaioniaが登場。静かにゆっくりと演奏が進んでいくにつれ、次第にステージ、オーディエンス共に熱を帯び、大きく体を揺らす観客も多く見られた。メンバーは今回初出演となった慣れない下北沢GARDENに戸惑いをこぼしながらもフロアを和ませ、一転演奏が始まるとオーディエンスをpaioniaの世界観へと引きずり込んでいった。続くMCでは9/1に新代田FEVERでワンマンライブが行われることもしっかりと告知すると、「跡形」を轟々としたサウンドでプレイし、潔くステージを降りた。

 5組目に登場したのはリーガルリリー。久しぶりのライブとのことだったが、疾走感あふれるメロディーと、観客を立ち止まらせるようなゆっくりとしたメロディーが交互に組み合わせられ、リーガルリリーの空気がGARDENに出来上がっていった。その後、たかはしほのか(Vo,Gt)はMCで「KOTORIとは4年前から友達で…、あっちも友達だと思ってくれたら嬉しいです。でも友達ですよね。さすがにこれで顔見知りだったら悲しい…」と恥ずかし気にコメントし、会場に和やかな雰囲気が流れた。そして「ぶらんこ」「蛍狩り」へ。太陽が沈みにかかる夕方5時台独特の感傷的な感情が満ちた空間となった。

 リーガルリリーの次には、横山が敬愛するバンドでもあるbachoが登場。「From 関西!From 姫路!俺たちが!bacho!」と叫び、いきなり最高潮のテンションの中「これでいいのだ」で幕を開けた。観客は歌いたいように歌い、動きたいように体を動かし、全身でbachoの音を浴びる。ノンストップで繰り広げられるbachoの怒涛のライブパフォーマンスに観客は行き遅れることなく呼応し、「最高新記憶」では観客みんなで歌う場面も。最後の2分で披露した「NENASHIGUSA」では、横山と観客の一人がステージに上がり、みんなで熱唱。大肯定という言葉がふさわしいアクトとなった。

 続いて、4月28日にavex/cutting edge内にプライベートレーベルの設立を発表したtricotが登場。つんざかれたギターの音が響き渡り、「爆裂パニエさん」では太いベースが会場にうねりをもたらした。MCで中嶋イッキュウ(Vo,Gt)は「みなさんいけますか?KOTORI次出てきますけど、準備できてますか?ちょっと次の曲で確認させてください。かかってこいやー!」と張り叫び、「99.974℃」へ。盛り上がりきっていた観客をさらに盛り上げ、中嶋が懸念していた観客のKOTORIへの準備態勢は整った。

 そしてパンパンに膨れ上がった会場の最後にはもちろん、本イベントの主催であるKOTORIが登場。横山が「衝撃は止まらない!」と声を上げ、「ファーストインパクト」からスタート。6曲目の「トーキョーナイトダイブ」まで、観客は高鳴る鼓動と共に、内からこみ上げる思いが溢れんばかりの雰囲気であった。その後、横山は「好きなことを好きと言っていたら、こんなことが出来ました。マジ最高」と思いに浸った様子で述べ、会場には大きな拍手が沸いた。さらに「今年のフェスで一番良いメンツなんじゃないですか。今よりもさらにパワーアップして、どんどんデカくしていこうと思うんですけど、どうですか?」と続けると、会場からは「最高!」という声が至る所から湧き出てきた。そして後半は「神を超えたらOver the Rainbow、まずは赤から」と述べ、まず「RED」を披露した。もうすぐ終わる本イベント。その寂しさを隠すように、または打ち破るように、またはうまく付き合うように、会場全体が12曲目の「kaze」まで突き進んでいった。

 アンコールが始まる前、KOTORIから発表があった。それは、10月9日にセカンド・フルアルバムをリリースすること、そしてツアー【REVIVAL TOUR】を開催することだった。そのツアーの最終公演は2020年1月10日にマイナビBLITZ赤坂で行われることが知らされると、会場には大きな歓声が沸いた。そして「6月」を披露したのち、新曲を披露。最後にはもう一度「kaze」を披露し、とどまることなくKOTORIのステージは終了し、涙を浮かべる観客も見受けられた。

 本イベントは冒頭で述べた通り、KOTORIが主催したイベントである。フェスがある意味乱立しているとも言われている日本の現状において、アーティスト主導で行うフェスも増えてきており、この現象は一見、飽和気味のフェスの数をさらに増やすだけに見えるかもしれない。しかし、アーティストとその仲間たちで、規模の大小はあれども、一つの軸を貫き通したイベントを行うことは、いわゆる大型フェスとは違う新たな魅力を醸し出すだろう。そしてその軸は、誰かの計算や枠組みとは全く別次元で機能するだろう。bachoの北畑欽也(Vo, G)が、本イベントで披露した「萌芽」の中で、「誰かに用意されたフェスが嫌だから、今日はKOTORIが目指した奇跡の萌芽」と叫んだように。


Text by Akihiro Ota, 服部 友希子
Photo by Masanori Fujikawa


◎公演情報
【TORI ROCK FESTIVAL 2019】
2019年6月23日(日)
東京・GARDEN、CLUB Que、SHELTER、Daisy Bar

≪セットリスト(GARDEN)≫
<fam>
1. recall
2. past of mine
3. glare
4. view
5. changes here
6. peace and some serenity
7. only dreaming calm days

<FILTER>
1. Symphony of hope
2. Rio!
3. Brad pitt
4. To My Joy
5. Funtimes
6. Pray Tonight
7. Last Dance

<PELICAN FANCLUB>
1. Night Diver
2. Telepath Telepath
3. ハイネ
4. 花束
5. ベートーヴェンのホワイトノイズ
6. ノン・メリー
7. 記憶について

<paionia>
1. 帰るところ
2. bed
3. 小さな掌
4. サニーハイフレット
5. 正直者はすぐに死ぬ
6. 跡形

<リーガルリリー>
1. the tokyo tower
2. リッケンバッカー
3. スターノイズ
4. ぶらんこ
5. 蛍狩り

<bacho>
1. これでいいのだ
2. 落葉
3. 萌芽
4. ビコーズ
5. 決意の歌
6. 最高新記憶
7. NENASHIGUSA(残り2分で)

<tricot>
1. ブームに乗って
2. 18,19
3. TOKYO VAMPIRE HOTEL
4. 爆裂パニエさん
5. 99.974℃
6. メロンソーダ

<KOTORI>
1. ファーストインパクト
2. Blue
3. 高鳴る胸に鐘をならせ
4. 19歳
5. 1995
6. トーキョーナイトダイブ
7. RED
8. 素晴らしい世界
9. EVERGREEN
10. ジャズマスター
11. 羽
12. kaze
-Encore-
13. 6月
14. 新曲
15. kaze

◎リリース情報
アルバム『タイトル未定』
2019/10/9 RELEASE

◎ツアー情報
【REVIVAL TOUR】
2019年10月20日(日) 埼玉・越谷EASYGOINGS
2019年10月22日(火・祝) 宮城・仙台MACANA
2019年10月23日(水) 岩手・盛岡Club Change
2019年10月25日(金) 北海道・札幌BESSIE HALL
2019年10月31日(木) 東京都・下北沢Daisy Bar
2019年11月4日(月・振休) 静岡・UMBER
2019年11月5日(火) 京都・KYOTO MUSE
2019年11月6日(水) 広島・SECOND CRUTCH
2019年11月8日(金) 福岡・LIVEHOUSE CB 11月9日(土) 鹿児島県 鹿児島SR HALL
2019年11月10日(日) 宮崎・SR BOX
2019年11月13日(水) 栃木・HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2
2019年11月14日(木) 福島・郡山PEAK ACTION
2019年11月15日(金) 新潟・GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2019年11月24日(日) 千葉・LOOK
2019年11月29日(金) 神奈川・F.A.D Yokohama
2019年12月5日(木) 兵庫・神戸太陽と虎
2019年12月6日(金) 岡山・CRAZYMAMA 2nd Room
2019年12月7日(土) 香川・高松TOONICE

FINAL SERIES
2020年1月4日(土) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
2020年1月5日(日) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO

TOUR FINAL ONEMAN LIVE
2020年1月10日(金) 東京・マイナビBLITZ赤坂

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