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2019/02/01

デッドマウス、Netflix『ポーラー 狙われた暗殺者』インタビュー ~監督との意外なエピソード/影響を受けた日本のアニメを語る

 ヴィクター・サントス原作の大人気グラフィックノベル『Polar』シリーズを実写化したサスペンスアクション大作『ポーラー 狙われた暗殺者』が、現在Netflixで好評配信中だ。かつての雇い主から命を狙われる暗殺者ダンカンが、冷徹無比の若手ヒットマンたちを相手に究極のバトルに挑んでいく。今回、本作の音楽を手掛けた人気DJ・デッドマウスがBillboard JAPANのインタビューに応え、ヨナス・アカーランド監督とのユニークなエピソードや、初めて劇伴を担当するにあたって挑戦した点、そして影響を受けた映画や日本のアニメなどを語ってくれた。

――今回、初めて映画のスコアを手掛けられましたが、手応えはいかがでしたか?
デッドマウス:すごく楽しかったし、自分が想像していたよりもストレスが少なかったな。

――どういうストレスを感じると思っていましたか?
デッドマウス:俺みたいな初めて映画音楽を手掛ける人間に制作陣はどれだけの仕事を期待しているのか不安だったんだけど、ヨナスと初めて話した時に「普通に音楽を作ってくれればいいから」って言われて、少し楽になったね。

――監督から直接オファーを受けたそうですが、詳しい経緯を聞かせて下さい。
デッドマウス:ヨナスが俺のエージェントに依頼したんだ。彼が北欧のブラックメタル・バンド出身だって知ってたし、俺の音楽をそこまで好きでもなかったはずなのに、「なんで俺に?」て不思議だった。俺がエレクトロニック・ミュージック以外もやっていることを結構評価してくれたらしい。声をかけてくれて嬉しかったよ。

――元々映画のスコアを書くことには興味がありましたか?
デッドマウス:もちろんあったよ。ダーレン・アロノフスキー監督の『π』や『レクイエム・フォー・ドリーム』がすごい好きなんだ。『The Thin Blue Line』を観てフィリップ・グラスを知って、彼のことをめちゃくちゃ調べたりもした。ダーレンの作品の音楽をよく手掛けるクリント・マンセルの音楽にも惹かれて、ああいう音楽を作りたいって思ってた。

――これらの作品が今作の制作にどんな影響を与えたと思いますか?
デッドマウス:クリントはダーレンの作品で、登場するキャラクターごとに曲を使い分けたり、ストーリーに音楽を合わせたりする手法を長い時間をかけて築いていった。俺はいろんな映画を観て、キャラクターや場所ごとに音楽を変えていく知識を蓄えていったよ。

――ちなみに、映画をよく観ますか?
デッドマウス:普通の人よりも観てると思うけど、毎日ではないな。

――(笑)。劇中音楽の大まかな流れは監督と相談して考えたのでしょうか?
デッドマウス:それほど綿密なやり取りもなく、曲を提出して大体1~2回でOKが出た。彼に言われたことをやるっていう感じではなくて、すごく俺に対して寛大な感じだった。喧嘩もなかったよ(笑)。

――監督と相性も良かったんですね。
デッドマウス:そうだね。また一緒に仕事ができたらいいなと思うくらい最高の関係が築けたよ。

――監督とのやり取りの中で、一番印象に残ったことは何でしょうか?
デッドマウス:何個かあるんだけど、一番笑えたのはエンディングの話。ヨナスがラストシーンにピンク・フロイドの「タイム」を仮で埋め込んだものと一緒に「こんな感じの曲を書いてくれる?」ってメールしてきたんだ。「そんなの100年かかるわ!」って言ったよ(笑)。それって「最高傑作を書いてくれ!」って言われてるようなものじゃん。もしそんな曲が書けたら、映画に提供せず、自分の作品に入れるよね(笑)。結局、自分なりに書いたものに彼も満足してくれたから良かったよ。唯一アーティスト名を出されたのはピンク・フロイドだけだったな。結構自由に作らせてくれて、もしかしたらヨナスが期待してた曲とは違ったかもしれないけど、彼は全面的に俺をサポートしてくれたよ。

――映画の冒頭でアース・ウィンド&ファイアの「セプテンバー」が使われていますが、あれは監督の希望ですか?
デッドマウス:そうだよ。元々病院のシーンから始まるはずだったんだけど、急遽ジョニー・ノックスビルの出演が決まって、最後の最後にあのシーンが撮影されたんだ。「セプテンバー」に合わせてヨナスがシーンを組んでいって、ヘリコプターが登場するシーンで歌詞が出たりして、あの曲とがっちり合ったシーンになったんだよね。

――なるほど。殺し屋達の殺人シーンでは楽しい雰囲気の既存曲が使われる一方で、あなたが作った曲はドローンのような暗い雰囲気の曲が多かったような気がします。それはあえて対比を見せるためでしょうか?
デッドマウス:暴力があるシーンとないシーンは、全く異なる世界観があるから、当然区別が必要だと思う。なかなか興味深いと思ったのは、俺が大好きな日本のアニメ映画の『メトロポリス』のラストで建物が大爆発するシーンがあるんだけど、当然のように超盛り上がる壮大な音楽がかかると思いきや、レイ・チャールズの「愛さずにいられない」がかかるんだ。それを観た時に「うわっ、この曲を選ぶんだ!」と思って、逆に印象的だった。今作ではやっていないんだけど、そういった暴力的なシーンで想定されるイケイケでガンガンな音楽をあえて使わないのもいいなと思ったんだ。

――暴力的なシーンを音楽でどう見せるのかもとても重要なんですね。
デッドマウス:今回、自分が下した決断の中で一番良かったと思っているのが、長い廊下でダンカンが敵を倒していくシーン。映画のハイライトであるこのシーンの音楽をどうするか考えた時に、「逆に音楽ナシでもいいんじゃない?」って思ったんだ。銃とパンチの音でしっかり見せたほうが、インパクトがあると思ったんだよ。それをヨナスに言ったら、「え、音楽ナシ?」って驚かれたんだけど、最終的に納得してくれた。この判断は本当に良かったって思っているよ。

インタビュー:Mika Fuchii
通訳:伴野由里子


◎作品情報
Netflixオリジナル映画『ポーラー 狙われた暗殺者』独占配信中
出演:マッツ・ミケルセン、ヴァネッサ・ハジェンズほか

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