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2018/10/11

カーディ・B&ポスト・マローン、来年開催の【グラミー賞】で<新人賞>候補にならず

 共にここ1年で大ブレイクを果たしたラッパーのカーディ・Bとポスト・マローンが、2019年の【第61回グラミー賞】で<最優秀新人賞>候補にならないことが明らかになった。

 カーディは、2018年の【第60回グラミー賞】で2部門にノミネートされたことが仇となった。【グラミー賞】は、変化し続ける音楽業界の実情に合わせる為、常に<最優秀新人賞>の選考基準を調整し続けており、現時点では“パフォーマーとして過去に【グラミー賞】にノミネートされたことがあるアーティスト”は除外される規定になっている。

 厳密に言うと、「ボーダック・イエロー(マネー・ムーブス)」が2部門でノミネートされた頃にカーディがアルバムをリリースしていなければ、2019年の<最優秀新人賞>候補になれたかもしれない。ところが、2018年の<最優秀新人賞>候補になれるだけの曲数を発表していた上で別部門でノミネートされた為に2019年は対象外になってしまった。

 匿名を条件に米ビルボードの取材に応じた【グラミー賞】関係者は、カーディは2018年の<最優秀新人賞>候補として検討されたが、結局ノミネートされなかったと内部事情を明かしている。2018年はアレッシア・カーラが受賞し、他にカリード、SZA(シザ)、ジュリア・マイケルズ、リル・ウージー・ヴァートがノミネートされていた。

 ポスト・マローンも2018年の<最優秀新人賞>候補として検討されたが、カーディ同様ノミネートを逃している。彼の場合、過去に【グラミー賞】候補になったことがない為、規定上は2019年の<最優秀新人賞>候補になれたが、2015年にリリースした「コングラチュレイションズfeat.クエヴォ」と「ホワイト・アイバーソン」、及び2016年のデビュー・アルバム『ストーニー』の成功により“新人”と呼べる時期を過ぎたとみなされたようだ。

 現在の<最優秀新人賞>の規定では、発表した作品数がアルバム3枚または30曲以内のアーティストに限り、選考に3回まで応募することが可能となっている。2作目、3作目で大ブレイクを果たしたアーティストがノミネートされた前例もある。

 “新人”の線引きを巡り【グラミー賞】選考委員たちを悩ませたポスト・マローンだが、彼の2ndアルバム『ビアボングス&ベントレーズ』についてはジャンル分けで難しい判断を迫られているようだ。既出の関係者によると、選考委員会は『ビアボングス&ベントレーズ』の収録曲18曲すべてを聞いたのち、議論と投票の末、ラップ部門ではなくポップ部門の候補として検討することにした。

 <最優秀ラップ・アルバム>の候補になるには、作品の51%以上がラップで構成されていなければならず、『ビアボングス&ベントレーズ』はプロダクション、サウンド、メロディーにおいてもポップ寄りであると委員たちは感じたようだ。特定のジャンルに収まりきらないこのアルバムには、「ロックスターfeat. 21サヴェージ」、「サイコfeat.タイ・ダラー・サイン」など大ヒットしたラップ曲も含まれている一方で、「ベター・ナウ」など歌モノ、R&Bやロックの要素、そしてアコースティック・ギターが前面に出た弾き語り風の「ステイ」など、様々なテイストの楽曲が収められている。

 過去1年のポップ・チャートはラップ・アルバムが多数派を占めていたことから、<最優秀ラップ・アルバム>部門は大混戦が予想される。ドレイク、エミネム、XXXTentacion、カーディ・B、トラヴィス・スコット、リル・ウェイン、J.コール、ミーゴスのアルバムが候補として検討中とのことだ。

 ポスト・マローンのシングルがどの部門に落ち着くのかはまだ不明だが、一つのアルバムからの楽曲が異なるジャンルの候補になるアーティストは近年増加傾向で、例えばビヨンセの『レモネード』からはロック、ポップ、R&B、ラップ部門にノミネートされ、ジャスティン・ティンバーレイクやリアーナもダンス、ポップ、R&B、ラップ部門にそれぞれノミネートされたことがある。

 2019年の【グラミー賞】候補者を選出する1回目の投票は2018年10月17日に開始され、ノミネートされたアーティストは12月5日に発表される。2019年からノミネート数が、<年間最優秀レコード>、<年間最優秀アルバム>、<年間最優秀楽曲>、<最優秀新人賞>の主要4部門で5候補から8候補に増える。2019年の授賞式は2月10日に開催される。

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