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2018/05/13

『グレイテスト・ショーマン』が売れ続けるわけは?! ミュージカル映画の復興【Chart insight of insight】

 Hot100に比べると、ロングセールスになりやすいアルバム・チャート。今週のHot Albumsでも米津玄師や安室奈美恵が長く上位にとどまっているが、ひときわ目立つのが『グレイテスト・ショーマン』のサウンドトラックが4位にチャートインしていることだ(【表1】)。

 このアルバム自体のリリースは、映画公開前の1月中旬。発売された当初のチャートアクションは、1/29付の40位というものなので、それほど売れているとは言いがたかった。しかし、2月に入って映画が公開されてヒットしたことで、サウンドトラックも再びチャートを上昇。2/26付で2位となり、翌週には1位を獲得。その後、現在に至るまでトップ10内をキープしている。

 本作はあくまでも映画のサウンドトラックだ。有名なミュージシャンが関わっているわけではないし、いわゆるヒット・チューンとして聴かれているわけでもない。ここから考えられるのは、純粋に映画の世界とその音楽に共感したから、CDも購入されていっているということ。ミュージカル映画というと、50年代や60年代の最盛期は数々のヒットが出ていたし、ディズニーなどのアニメ映画では最近でもおなじみだろう。しかし、大人向けのミュージカルというところで、潜在的に求められていたものが、『グレイテスト・ショーマン』で見事に形になり、実数に結びついたのではないだろうか。

 昨年同じようにヒットしたミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』のサウンドトラックも、同じようなチャートアクションをしていた(【表2】)。しかし、『グレイテスト・ショーマン』は、それよりもさらに長く売れ続けそうな動きを見せているのは、それぞれのグラフを見比べれば一目瞭然。今月末にはDVDやBlu-rayがリリースされるので、そこでまたさらに大きなアクションが期待できる。まだしばらくは、チャートを賑わせてくれそうだ。Text: 栗本斉