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2017/08/11

若手らしからぬ“シブさ”を醸しだす、新星アミーネによる初のスタジオAL『グッド・フォー・ユー』(Album Review)

 米オレゴン州ポートランド出身の新星ラッパー、Aminé(アミーネ)。2014年に、EP盤『En Vogue』とミックステープ『Odyssey to Me』をリリースし、翌2015年には2作目のミックステープ『Calling Brío』を発表。2016年にリリースしたデビュー曲「キャロライン」が、2017年1月7日付米ビルボード・ソング・チャートで最高11位をマークし、ブレイクした。

 その「キャロライン」が3曲目に収録された、初のスタジオ・アルバム『グッド・フォー・ユー』が7月28日にリリースされ、8月19日付ビルボード・ヒップホップ/ラップ・アルバム・チャートで、15位にデビューを果たしている。

 レモンイエローの背景をバックに、中央の青い便器にアミーネが座る、ユニークでユル~いジャケット。本作は、このアートワークに通ずる“まったり”できるようなナンバーが目白押しのアルバムで、アミーネの良い具合に気の抜けたフロウが聴き心地良く、若手のヒップホップ・アーティストにありがちな、重たさも、うるささもない。

 レゲエ調の「Hero」やチルアウト系の「Spice Girl」、「Dilemma」(2002年)の大ヒットで知られるラッパー、ネリーが参加した南部の雰囲気漂う「Yellow」など、夏らしいサウンドも満載。「Beach Boy」も、ドライブやビーチに最適だ。ゲーム音のような電子サウンドが飛び交う 「STFU」や「Slide」も、耳障りな印象を受けない。

 一方、「Caroline」のイメージを払拭する、ジャジー・ヒップホップの「Turf」や、オルタナティヴ系ヒップホップ・ソング「Sundays」や「Money」など、生音を活かしたナンバーもある。一見、イケイケに思われがちな(?)アミーネだが、往年のヒップホップ・ファンも、受け入れられるアーティストだ。

 大御所チャーリ・ウィルソンが参加した80年代ファンク「Dakota」や、テレビ番組『レイト・ナイト・ウィズ・セス・マイヤーズ』で披露した、60年代風の「Wedding Crashers」も、若手らしからぬ“シブさ”を醸す。この曲には、ミーゴズのオフセットがゲストとして参加している。その他には、2ndシングルとしてリリースした「Heebiejeebies」にシンガー・ソングライターのケラー二が、アルバム冒頭のメロウ・チューン「Veggies」には、引っ張りだこの人気ラッパー、タイ・ダラー・サインが、クレジットされている。

 プロデュースは、おなじみのフランク・デュークスやメトロ・ブーミン、マーダー・ビーツ等が担当。さらに、LAのガールズ・パンク・デュオ、ガールプールや、サム・スミスをフィーチャーしたシングル「ラッチ」の大ヒットで知られる、ロンドンのダンス・デュオ、ディスクロージャーのローレンスといった、畑違いのアーティストも参加している。


Text: 本家 一成


◎リリース情報
『グッド・フォー・ユー』
アミーネ
2017/7/28 RELEASE